義理の兄、なんだそれは!?   作:鞍馬エル

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ラウムとは何者か?
そんなお話


 悪友の素顔

「…ヤザン、貴様随分とあの男と仲が良いのだな」

 

それはある日(?)の事

シロッコは不機嫌そうにヤザン(元部下)に話しかける

 

「ああ、悪く無い奴だからな

…逆にアンタにとっては余り得意な相手では無い様だな」

心底愉快そうにヤザンは笑う

 

ヤザン・ゲーブルという男は確かに戦場において最も輝ける男であった。ヤザン自身それは否定しない

しかし、彼とて色々と死んでから考える事が増えた

 

「死んでから成長するなんて、それはそれで面白いじゃねぇか」

 

 

特に生前戦場とは無縁だったラウム(これはヤザンの思い違いだったが)とヤザンではまるで物事の見方や考え方が異なる

だからこそ、愉快だと彼は思っていた

 

…まぁ、ヤザンからするとラウム自身が言うよりも寧ろ対人戦において秀でており、ラウムの方が強いのははっきり言って意外だったが

 

 

 

ある時ジェリド(他人の名前を貶した男)の話になった事があった

 

「…ほう、連邦軍人ってのはその程度の良識でも出来るもんなんだな?」

とラウムは心底軽蔑した視線をジェリドに向けている

 

 

…ジェリドを組み伏せた上で、だ

 

 

曰く

「これでもかつて独立運動の時色々(・・)やったからな」

と言っていたので、思わず一度手合わせをしたのだが

 

 

「くっくっくっ

まさか、この俺があっさり手玉に取られるとはなぁ」

と負けていたりする

 

曰く

「連邦軍人とも手合わせ(?)した事もあるから、まぁ慣れだな」

との事

 

確かに連邦軍人としての教育課程に対人格闘もある

…あるのだが、それだけで勝てるほど安いものでもないのだ

 

「…というか、慣れる程に連邦軍人を相手している民間人とはなんなのだろう?」

とは観戦していたマウアーの言葉

 

全くもってその通りだとヤザンは笑ったものだ

 

 

なお、デギンやジオン、ダルシア。ギレンにサスロすらも普通にシロッコクラスならば普通に組み伏せられる模様

彼等もまたジオン独立運動において最前線で連邦と渡り合っていた闘士だったのだから当然なのかも知れないが

 

それに、だ

何もかもを見下していた男が逃げ回らねばならない相手。そんな醜態を晒させている友人の事を多少なりとも気にかけるのは仕方ない事だろう

 

 

 

----

 

「…ふむ、ラウム君と私の関係かね?」

 

「ああ、アンタは元連邦軍大将だ

だがアイツと親しそうに話をしているのを何度か見かけてな」

 

ヤザンはワイアットに訊ねた

 

グリーン・ワイアット元連邦軍大将

宇宙世紀0083における『デラーズ紛争』にてデラーズ・フリートによる『星の屑作戦』のコンペイトウ核攻撃により艦隊旗艦バーミンガムと連邦軍総司令部と共に消滅していた

 

ヤザンは時折話をしているワイアットとラウムの姿を見かけていた

 

 

方や連邦軍上層部の人間

方やジオン共和国独立運動の闘士

ヤザンからすれば接点はない様にしか思えなかったのである

 

 

「そこまで可笑しな事はないだろう?

私の家と彼の実家は縁続きなのだ」

 

「…そりゃまた」

ワイアットの一族とクラヴァスは元々一つの家であった。それこそ旧世紀にまで遡る話ではある。のだが、ワイアットは元より偉大なる祖国や先達に対して敬意を払う人物

それは遥か昔に遠きオセアニアへ旅立った者達に対しても同じであった

 

 

…いや、寧ろ当時世界の中心であった欧州を離れてまで己が立場に課せられた責務を行なったクラヴァスの者達に対して畏敬の念すら覚えている程

 

そしてワイアットとラウムの父ケイムは親交があり、ケイムがセリアと結婚した時は遥か欧州から2人の門出を祝うべくオーストラリアまで赴いた事すらあった

そんなワイアットが2人の息子であるラウムの事を気にかけない筈もない

 

そうでありながらも連邦軍大将であるが故に身動きが取れなかった。言うまでもなくケイムとセリアの死は彼にとって悲しすぎる訃報だった

 

 

そしてワイアットは気がかりだった

両親を喪ったラウムとその妹ゼナはどうなるのか?と

 

しかし、ジオン共和国からジオン公国と改めたサイド3

此処は既に反連邦組織(明確な脅威)として連邦政府や連邦軍に見なされつつあった

そこに当時連邦軍中将であったワイアットが介入するとなると、それは連邦軍中将としての行動と判断される事になってしまう可能性は高かった

 

 

かと言って、非正規組織に依頼でもしようものなら助けるべき2人の身すら危険に晒される事は普通に予想出来る

当時のワイアットは連邦軍中将だったのだから

 

 

 

友人の子供達の身を案じながら、その者達の住まう国に剣を向ける

 

何度この軍服を脱ごうかと思ったか分からない

だが、己の職分や職責から逃げるというのはワイアットが何よりも敬意を払う先人達の道にも背く事

 

それは決して出来る事てもなかった

 

 

 

故にこそ、ワイアットは戦後観艦式という形をもってジオンを屈服させる道を選んだ

 

それが自分に出来る最善の道であると信じたかったのだから

 

 

----

 

「人はいつまでも無力だ

だが、無力を嘆いているだけで事態が好転する事など殆ど有り得ない

無駄であろうと自嘲しながらも、手を伸ばし

届かぬと知りながらも足を運ぶ

そうやって我々は果てのない旅路を歩むのだ」

幼い頃のワイアットは祖先からの薫陶ともいえるこの言葉を胸に刻んで進んできた

 

 

「…本当にアイツは難儀な生き方をしてやがったのか」

ワイアットからの話を聞いたヤザンは絶句する

 

「重荷という意味においてならば、彼の背負ったものも相当なものだったのだろう

…私としてはその重荷を分かち合える存在が彼のそばに居てくれたら良かったのだがな」

 

ワイアットはそう憂鬱そうに呟いた

観艦式に対する核攻撃の迫る中、彼が最期に願ったのは遺される者達への祈りだった

 

ラウムと直接会う事は終ぞ叶わなかったが、それでも通信モニター越しに話をした事や顔を見た事はある

 

 

此方に来て再会した時には目を疑ったものだ

 

 

「…あの利発そうな少年だった君も変わったな

いや、変わるしかなかったのか」

 

「お久しぶりです

ワイアットおじさん。まさかデラーズ大佐の作戦で最も被害を受けたのが貴方だったと聞いた時には流石にこの世の不条理を呪いましたよ」

 

デラーズ紛争におけるラウムの受けた衝撃はともすればラウムが生きている中で受けたそれの中でも五指に入るだろう

 

デラーズ(独立運動時代からの知人)の作戦によりワイアット(両親の友人にして理解ある大人)が亡き者となったのだから

 

 

デラーズ紛争以後ラウムがそれまで持っていた気力を失ったとしても仕方のない事

 

 

 

ラウムが持っている妙な知識の大半はワイアットが旧世紀の知識をラウムに披露したり、旧世紀からの極東に伝わる料理のレシピなどを持っているのもワイアットが自身の伝手を使って手に入れたものだった

 

ワイアットには息子がいた

…が、その息子や妻に先立たれていたからこそ友人の息子(ラウム)にはひたすらに構い倒したという背景もある。それはワイアット自身も否定しない

 

 

勿論、政治や思想などについても早熟であった幼き頃のラウムと何度も言を交わしており、立場や歳に見合わぬ知識や考え方などは此処で培ったと言っても差し支えなかった

 

「助けようとは思わなかったのか?」

 

「助ける?」

ヤザンの口から思わず漏れた疑問にワイアットは不愉快そうに眉を顰める

 

「君は何か勘違いしている様だ

確かにラウムくんは世間からすれば不幸以外のなにものでもないのかも知れないな

…だが、それを憐れむは決して許されるものではない

彼は彼の誇りをもって人生を生き抜いたのだからな」

 

ヤザンはワイアットの言葉とその迫力に一瞬とはいえ気圧される

 

(なるほどな。少なくともジャミトフを抑えるだけの何かがこの男にはあったんだろう

全くもう少し視野が広けりゃ面白い景色が見れたのかも知れねぇな)

 

ヤザンは己の価値な戦場にあってこそだと思っている

故に後悔はない

 

…しかし、だとしてもやはり勿体無い事をした

そう思ってしまうのは人間(ヒト)であるが故に避けられぬ事でもある

 

ある意味らしくない考えをしてしまうのは、やはりラウムと親しくしているからなのだろうか?

だが不思議とそれも良いと思える自分がいる

 

全くもって人生というのは面白い

ヤザンは改めてそう思った

 

 

 

 

 

既に死んでいるが、些細な事だろう

 

 

 

----

 

「ラウムくんかね?

…ふむ」

 

ヤザンはジオン(親バカ殿堂入り2号)のところに行って話を聞く事にした

ザビ一家の元に行っても良かったのだが、正直なところとして面倒くさい(・・・・・)というのが本音である

 

 

 

デギンは何がきっかけとなって暴走するか解ったものではない

 

ギレンは面白い話が聞けるとは思うのだが、いかんせんこの男の側にいる女(セシリア)が面倒くさい

そうヤザンは確信していた

 

サスロは口こそ悪いものの、明らかにラウムの事を評価している。期待もしているからこそ、強い言葉を投げかけているのだろう

…こいつも面倒くさい

 

ドズルではそもそも(ラウムの妹)や本人への遠慮もあってか大した事が聞けるとも思えない

…これが一年戦争において自分を含めた連邦軍を恐怖に陥れた男だとヤザンとしては正直思いたくなかったりするのだが

 

ガルマは教えてくれるかもしれないが、それだけ話し込む時間が長くなりそうである。しかもそうなればガルマの兄妹達(面倒くさい奴ら)が集まってくるだろう

故に却下

 

キシリアの場合、どう考えても面倒くさくなるだろう

論外だ

 

 

そこで、日頃から喧しい位にはラウムに構おうとしているジオンに話を聞こうとしたのである

…些か以上に不安が残る事は否めないが、仕方ない事だとそこは割り切る事にした

 

 

 

 

「ふふ、デギンではなく私を頼ってくれたのはとても嬉しく思うよ

ラウム君はそうだな」

ジオンは遠くを見る様な表情(かお)をすると

 

「熱狂の中にあっても覚めていた様に思えた

…それが私やデギン達が彼を気にかけた理由だろうな」

そう語り始める

 

 

----

 

私や私の様に独立運動を各サイドで起こした運動家達だったが、連邦軍や警察などによりその身を追われていたのは恐らく君も知っているだろう

そして私達はサイド3に辿り着いた

…いや、追いやられた。と言うべきだろう

 

私は家族全員でサイド3に逃げたし、他の者達も殆どがそうだった

 

 

今思えば不穏分子を纏めて始末するつもりだったのだろうな

…しかし、私達が辿り着いたサイド3はデギン達の手によって他のサイドよりも経済基盤が整えられていた

その上で、連邦とどうあるべきか?との議論が活発に行なわれていたのだよ

 

そこに私達の様な活動家などがなだれ込んだ事で、連邦はサイド3に対する締め付けを少しずつ、だが確実に強めていった

結果、サイド3は連邦との共存の為には先ず対等な立場にならねばならない。そう動きだしたのだよ

 

 

そんな激動の中、ケイムとセリアはサイド3に来たのだ

 

 

ケイムとセリアは生粋の地球市民(アースノイド)

故に彼等を受け入れようとする者は本当に少なかったよ。私も当初疑っていたし、ギレンくんやサスロくんもそうだった

 

…だが

 

「父さんと母さんが疑われるのは仕方ないと思う

…でも、もう帰る場所はないんだ」

ある日いつもの様にケイムとセリアを受け入れるか否かの話し合いをしていた時、ラウム君はそう発言したのを今でも良く覚えているよ

 

「…帰る場所がない、と?」

 

「アンタ達が考える以上に『地球から宇宙に上がる』ってのはとても大変な事なんだよ

連邦政府や連邦軍の人間ならどうにかなるかも知れないけどね」

 

当時のラウム君は歪んだ笑みを浮かべていたね

 

それでも彼等を疑う者は多くいた

だから、ラウム君は自身の動きを以て証明するしかなかったのだよ

 

ともすれば、ケイムやセリア以上に鉄火場に出ていたのが当時のラウム君だった

 

「…おいおい、俺よりも先に戦場に出ていたのかよ。アイツは」

 

「残念だが、あれは戦場ではないさ

あれはただの殺し合い。そこに明確なルールなんてあってない様なものだったよ」

 

連邦政府の意を受けた警察機構や連邦軍。それに連邦による支配(利益)を甘受するサイド政府

それらとの闘いはMSや艦隊戦に慣れてしまった者達には到底想像も出来ない壮絶なものであった

 

 

----

 

旧公国軍のエース『青い巨星』ランバ・ラル

彼の率いるランバ・ラル隊やアクシズにて壮絶な戦死を遂げたシーマ・ガラハウと彼女の率いるシーマ海兵隊

更にグラナダのキシリア麾下、特殊部隊サイクロプス隊

 

恐らく対人戦闘まで考慮した戦闘を行なえるのは旧公国軍においてもそこまで多くはないだろう

アンリ・シュレッザー率いる首都防衛隊も当て嵌まらなくはないかもしれないがね

 

 

 

彼等は銃火器を使う戦闘を行なう事が多い

ところが、独立運動時代の戦闘を経験している者達は銃火器を好んで使う事はない。私もあまり銃火器は好まなかったよ

寧ろ、徒手空拳やナイフなどによる格闘戦を選んでいたのは知っているかな?

 

いや、それは正確ではないかも知れない。そちらを選ばざるを得なかったと言えるのだろうが

 

 

 

----

 

「MSや艦艇がコロニー内において戦闘を禁じられているのは君も知っているだろう」

 

「ああ、そうだな

コロニーに致命的な損傷を与えかねないからだろう?」

 

ジオンの問いにヤザンは応える

 

「そうだ。如何にコロニーが母なる大地などと言ったところで、そのコロニーから一歩でも外に出れば生身の人間の生存を許さない宇宙

コロニー内には外壁は勿論、コロニーを支えるシャフトなどコロニーを維持する為に必要な設備や基点が多く存在する」

ジオンは続ける

 

「だが、私達が銃火器を使わなかったのはそんな理由ではない

増援を呼ばれる事を防ぐ為だったのさ」

如何に数が多かろうとも、当時のジオン達は民衆の集まりに過ぎない。相手は治安維持の名目で武装しており、個々の戦力差は明らか

 

収監された者や、不穏分子として処理(・・)された者もいる

 

 

意外に思うかも知れないが、連邦軍などよりもサイド3の組織の方が私達に対する対応は過激なものであり、連邦軍などはあくまでも傷つけはしても殺すまではしないスタンスだったが現地組織は手こずると見るや即座に始末する事を選んでいた

 

故にジオン達は現地組織と対峙する時選ぶしかなかった

自分(仲間)の死か?

相手の(破滅)か?

 

 

結果として嫌でも私達の対人戦能力は向上する事となり、まだ少年であったラウムも生きる為に(・・・・・)嫌でもその能力を伸ばさねばならなかったのである

 

 

----

 

ケイムとセリアは余り人を傷つける事に肯定的ではなく、話し合いを以てサイド3の独立を目指すべきだと主張していた

 

それは理想論であり、当時の状況から考えるとほぼあり得ないもの

 

 

そうであるからこそ、ケイムとセリアは独立運動の中にあって孤立する様になってしまったのだ

 

無論、ジオンやデギンからすれば一つの方向性として検討するものではあったのだが

 

 

----

 

「両親が孤立しそうになっていたからこそ、彼は文字通り命をかけて動くしかなかった」

そうでなければ自身の身を守れなかったから

 

ジオンにせよ、デギンにせよその辺の事情は理解していたが、下手に動けば組織が崩壊する危険性を孕んでいたのが当時の状況だった

結局ラウムに対して親身にあたっていたのはキツイ言葉を投げかけるサスロという状態

 

そうであるからこそ、周囲の者達も見逃した(・・・・)という部分があったのである

 

 

----

 

「随分と壊れた生活を送ってやがったのか」

 

ジオンとの話を終えたヤザンは普通とはかけ離れた生活を送っていた友人の事を苦々しく思った

…なお、途中からジオンによる親バカじみた話になった為にヤザンは聞き流す事に専念していたりする

 

さしものヤザンとて、そう言った話に関しては全く以て興味がなかったのであるが、話を聴きに行った手前要件を済ませて「はいさよなら」という訳にもいかなかった

 

…ヤザン・ゲーブル

『野獣』だ『生きていてはいけない人間』だのと言われているが、一般的な常識を弁えている規範的な連邦軍人であったりする

 

 

 

----

 

「ラウムの事?

…意外なものだな。貴方でもその様な事を気にするとは」

 

ヤザンが次に向かったのはシャア(赤いどうしようもない奴)のところ

 

 

 

旧公国軍のエースであり、エゥーゴのエースでもあり、指導者でもある。更にネオ・ジオンの総帥にして、ジオンの息子

だが、此処にいる男はその重荷から解放されたかの様に自由気ままに振る舞う何処にでもいる人物

 

(…いや、それはねぇか

こんなの(・・・・)が沢山いたとなったら、そりゃとんでもない世界になるか)

ヤザンは内心そう苦々しく呟く

 

 

仮にもエゥーゴのエースとして幾度も対峙してきた相手である。知らぬながらもそれなりにいちパイロットとしての実力は敬意を払うに値するとヤザンは思っていた

 

のだが、その実女性に対する想いを盛大に拗らせていたり、女癖は控え目に言っても最悪ときた

 

(あれか?ニュータイプってのは女性関係を拗らせないとならないってきまりでもあるってのか?)

とそれを知ったヤザンが思わず天を仰いだ程

 

ラウムと最近親しくしている小娘2人や、ラウムの娘達の姉を名乗る喧しいガキや自分のかつての上司を見るとそう思えてしまってならない

 

分かってはいたが

 

「そんな事っ!」(byバナージ)

 

「…バナージ(涙目)」(by色の変わるガンダム(匿名希望)

 

 

最近ではラウムと話をしたいらしく、良くラウムの近くに居ようとするのだが

 

「のこのこ遊びに来たってのかい!?」

 

「ととさまに近づくな、この女性の敵」

 

「とうさまを悪い道に引き込もうとする悪い奴!」

 

などとまぁ目も当てられない状況になっている

勿論、自業自得なのでフォローするのは余程の物好き(約2名)くらいだ。お陰でヤザンの腹筋が最近過剰労働気味である

 

…言うまでもなく、爆笑する為だ

 

 

ヤザン・ゲーブル

最近の悩みは笑い過ぎて腹筋が良くつる事であったりする

 

 

----

 

「しかし俺が言うのもなんだが、節操ないのも程々に出来んかったのか?」

 

 

「む、それを言われると何も言い返せないな

しかし、ラウムの事を聞きたいとは正直意外だな」

 

「そりゃそうだろうよ?本来なら俺とアンタはどう考えても馴れ合う関係ではないだろうからな

…本当に妙な奴だぜ」

 

「確かにそうだろうな

生前の遺恨も何もかも気にしない。口にするのは簡単だが、いざそれを実行出来るかと云えば私だけでは無理だろう」

 

 

ヤザンとシャア、いやこの場合ならばクワトロだろうか

ティターンズとエゥーゴ、連邦とジオン、純粋な軍人と指導者

本来ならば交わる事のない相手だろう

 

だが、共通の話題(ラウム)がいるからこそ、話をする事が出来る

言葉を交わせば見えてくるものもあるのだ

 

 

対話こそが人と人を繋ぐ唯一無二の方法

勿論戦争の只中にあっては余りにも無力なものかも知れない

その二律背反を乗り越えて行けるならば、人の未来は明るいのだろうか?

 

 

「人類の未来なんざ誰か1人でどうにかなるもんでも無いだろうよ

ラウムの奴が言う様に随分生真面目過ぎるもんだ」

 

「確かにそうかもしれん。が、あの時の私はそれで良いと思ってしまったのさ」

 

「その真面目過ぎる気質はラウムの奴によく似てやがるな」

 

「そうか?

…ならば嬉しく思えるのだが」

 

(皮肉すら通じねぇのかよ。本当に拗らせてやがるな)

ヤザンは嬉しそうに相好を崩しているシャアを見ながら内心呆れてすらいた

 

 

 

結局ヤザンはシャアにラウムの過去の事を聞くのをやめた

単純に面倒だったからである

 

 

加えて、ヤザンがこれまで話をして来たのがワイアットとジオンであった事も大きい

 

ワイアットは連邦軍艦隊司令を経て連邦軍総司令官に就任している

 

言うまでもないが、『人に指示する』事や『人に話を聞かせる』方法に長じている人物だ

 

 

ジオンとて、ジオン共和国の首相や独立運動組織の指導者を務めていた。ともなればワイアットの様な技術は身につけていなければならない。

 

 

ところがシャアはそうでもない

確かに公国軍大佐であるし、エゥーゴにおける前線指揮官でもあっただろう

…だが、どうにも『したい事』や『やりたい事』を優先するきらいが彼にはある様にヤザンはラウムから愚痴られた事がある

 

 

「ホント歪な育ち方をしたもんだ

なまじ能力が高いから、自分のできる範囲(・・・・・・・・)の事はあらかた出来る

だからこそ、視野が広い様に見えて偏っているし、その状態でニュータイプなんていう解釈が難しいものに出会ったからなぁ」

 

『希望と絶望に目を奪われた』

そうラウムの奴は評していたな

 

難儀な奴だと俺は改めて思ったものだ

既に死んでいる身でありながら、それでも周りの者を気にかける

 

 

 

そんな変な奴だからこそ、近くにいると面白いものが見れるのもまた事実

 

「は、本当に飽きさせねぇ奴だ」

 

そんな悪友とでも言える人物と誼を通じたのはヤザンにとって良い巡り合わせだったのだろう

 

 

「さて、ガキどもを揶揄いにでも行くとするか」

 

そうヤザンは呟くとのんびり歩き出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ワイアットは曲がりなりにも連邦軍総司令官にまでなった人物な訳で、決して狭矮な視野を持つ人物でなかっただろう

じゃあ何で観艦式なんていう明らかに反連邦組織や勢力を刺激しかねないものを挙行したのか?
という事に対する私なりの解釈


なお、古き時代の知識を観艦式のスピーチに織り込んだワイアットなら旧世紀の事柄について詳しくてもおかしくないのではないか?
との事からラウムとの関係性を考えついたりする

その内座談会(連邦軍バージョン)をやりたかったりする
予定は未定、ではありますが

 IFルート

  • 狂った者(公国ルート)
  • 潜む刃(ソフィルート)
  • 悪意の先に(アクシズグレミー討伐ルート)
  • その他
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