頭を空っぽにして読んでくださると嬉しい
「…はぁ」
「君にも悪い話ではないと思うがな」
宇宙世紀0078
宇宙では何やらサイド3とやらがキナくさくなっている頃、とある往診にある不動産関係の企業に勤めていた私は上司に呼び出された
(またいつもの無茶振りかよ)
と内心大きなため息をつきながら、それでも仕事であるからと自分を無理矢理納得させて上司のオフィスに来て開口1番そう我らがクソ上司殿はほざきやがった
なんでもうちの会社の上得意サマとやらが優秀な土地鑑定士をご所望との事
そこでここ数年実績のある自分が選ばれたらしい
いやまぁ報酬も破格なんで二つ返事で受けた
確かに私は受けましたよ?
でもね?
「しかし、サイドの買取とはよく考えたものだねラウム君」
「いやまぁ、適当に言ったらこうなりまして
マジ申し訳ないです。ワイアットおじさん」
「…ラウム、私の事を怨んでいるか?」
「恨まずにおれましょうか?
確かに父と母の決断は許されるものではなかったかも知れません
しかし、それでも
「…そうだな。すまぬ」
「ふっ、我が義弟には驚かされてばかりだな
まさか現役連邦軍中将や連邦議会の地方閥のトップと繋がりがあるとは」
え、何ですかこの場所は?
グリーン・ワイアット連邦軍中将
ウチの上得意様で直接の依頼人
フェム・クラヴァス連邦議員
オセアニア閥のトップを務める欧州出身の私でも名前くらいは知ってるヤバい人
そして
ギレン・ザビジオン公国総帥
言わずと知れたサイド3『ジオン公国』の事実上のトップ
で、なんか1人場違いにも程がある人物が居たと思ったら
ラウム・クラヴァスジオン公国政策補佐官
…いやちょっと待ってくれ
クラヴァス?なのに先程ギレン氏は『義弟』と言っていなかったか?それにワイアット中将に対しておじさんと
え、なにこの方1番ヤバいのではあるまいか?
冷や汗の止まらない私をよそに
「しかし前日までの議論は中々に見応えがありましたな、ワイアット中将にクラヴァス議員?」
「これは手厳しいな」
「お恥ずかしい限りですな」
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ある日、ラウムは最近増えた義兄であるギレンとの短いながら会話を楽しんでいた
勿論モニター越しではあったが
「やはり連邦との衝突は避けられませぬか?」
『此方としても打つ手がない。と言うのが正直なところなのだ。ラウム』
ラウムの言葉に頭が痛そうな顔をするギレン
元々独立運動時代に少ないながらも知己のあった2人だ。それがドズルとゼナの結婚により義理とは言え家族となったのだからある程度の話もしよう
「分譲、と言う訳には
まぁ、いくはずもありませんね」
苦笑を浮かべたラウムの言葉に
『待て、ラウム
なんだその分譲とやらは?』
ギレンは一筋の光明を見た
『つまり何か?
その出来た建物とその土地を併せて買い取る手法、と?』
「まぁ自分もそこまで詳しくはありませんが」
と乾いた笑いを浮かべるラウムに
『…父上と話をする急用が出来た
すまないが今日はこれで失礼するとしよう』
「あ、はい」
ギレンは通信を終えたその足で公王府にいるデギンと首相であるダルシアと話し合いを行なった
そして明くる日
『ラウム、昨日はすまなかったな』
「いえ、ギレンの兄上もお忙しい身
叶うならば力になりたく思いますが、私程度では何も出来ぬのが口惜しいです」
いつもならばギレンもそれにそこまで反応しない
しかし
『…そうか。そう言ってくれるなら私の補佐をして貰うとしよう
セシリアの様な秘書ではない。政策補佐官として、だ』
「え、ええっ!
いや俺で兄上の力になれるでしょうか?」
狼狽するラウムに
『ああ。私や父達ではどうしても見方が偏っていると昨日改めて気付かされた
お前にとっては複雑だろうが、お前の両親の様な役割を任せたいと思っている
…すまんな、出来るならお前を表に出すべきではないのだろうが』
沈痛そうな義兄の顔を見たラウムは
「…その話お受けします
浅学非才の身ではありますが、どうか我が力をお役立て下さい」
と兄の、義理の家族達の力になろうと決心したのだ
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となれば自分の出来る事を可能な限り迅速に行なうのがラウム・クラヴァスという人物であった
故に先ず地球側とのパイプを作るべく、両親の友人で自分の事を甥っ子の様に思ってくれていたワイアットに連絡を取ったのだ
『…良く
良く生きていてくれた。今の君がジオンの政策補佐官であるなどということは関係ない
何も、何も出来なかった私を良く頼ってくれた。…ありがとう』
と涙すら浮かべながらワイアットはラウムとの再会を果たした
…そして
『ふむ、なるほどな
確かに連邦軍人としても可能な限り武力による解決は避けるべきだろうな。我々など穀潰しと批判される方が正常なのだ
…分かった。ならば然るべき人物に話をつけておくとしよう』
とワイアットはあっさりラウムの頼み事を引き受ける
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『私も暇ではないのだがね?』
「勿論承知しておりますゴップ大将閣下
ですが、上手くいけばジオンとの戦争を回避できる妙案となり得るのではないかと思いまして」
『…ふむ?戦争屋と揶揄される事すらある連邦軍のしかも中将の地位にある君がその様な話をするとは意外だね』
「仰られる通りですな
全くもって正論かと
…であればこそ、この話を是非聞いてもらいたく」
(…ふむ?)
ゴップは敢えてワイアットが怒りそうな言い方をした
だが、相手は一切それを気にした様子はない
ならば聞いても良いか?
と考えてしまったのが、ゴップにとって連邦軍人生活の中で最大の失敗だったと後に述懐する事になる
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そしてゴップはその話を聞いて
「面倒ごとになるな
…しかし、戦争よりは遥かにマシだな」
とため息混じりにワイアットの要請を受ける事になる
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さて、サイドの評価額を決める
などと言う明らかにキチガイじみた話であったが、最初からマズイ事になってしまう
ジオン側の交渉担当となったラウム・クラヴァス政策補佐官から
「…ところで、皆々様方にお伺いしたい
…そも、サイドやコロニーとは不動産なのですかな?」
と発言が飛び出た事で会議は一時紛糾する事になる
不動産と動産の定義は要約するとこうなる
『動かなくて、人が住めるなら不動産』(超意訳)
『それ以外は動産』
と
ところが議題に挙がったコロニーの集まりであるサイド
これは月と地球の引力により存在するラグンジュ・ポイントと呼ばれる場所に建造されたもの
そう、地球と月の軌道に合わせて『動くのだ』
勿論そんな事を言い始めたら、地球全土の不動産が動産となってしまうだろう
ラウムとしては場を和ませるジョークのつもりだったのだが、何せラウムが『地球生まれのジオン公国の役人』である事を知る人間がそこまで多くなく、しかも知っている者がラウム以外誰一人として居なかった為に連邦政府側の役人が過剰に反応
「先ずはこの疑問を解決せねばならん!」
と意気をあげたのである
政府役人にとっては、避けられる事がほぼ不可能と見られていた公国とのソレが回避できる方法であった事から何が何でもこの交渉をせいこうさせなければならない
という考えがあった為に起きた喜劇であった
ラウムは
「…あれ?なんでそうなるのさ?」
と内心疑問符を乱発していたが、それを表に出すわけにもいかず義理の兄を真似た(何故其処を真似た!?byザビ家一同)鉄面皮で回避している
そしてその不毛ともいえる議論は公国の総帥であるギレンが会場に赴く前日まで行われていたのだから、ワイアットやフェムに連邦政府高官からしてみれば情けない事この上なかったのである
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…つ、疲れた
査定を終わらせた俺は与えられた会場近くのホテルのベッドで力無く横になっていた
だってそうだろう!
誰が連邦政府高官や軍のトップの1人であるゴップ大将、欧州閥の纏め役であるワイアット中将、オセアニアの支配者と呼ばれる事もあるクラヴァス議員にジオン公国の総帥であるギレン・ザビまでが揃う席に唯の会社員である俺が居なくちゃならんのだ!!
しかも、安く見積もればギレン総帥から睨まれるだろうし、高くしたらしたで未来に影響が出る事間違いなしじゃ無いかよ!
思わず初日には
「…申し訳ございません
これ程の話とは全く思っておりませんでしたので、事前の調査が出来ていないのです
暫し時間をいただく事は出来ますか?」
と恥もブライトも全て捨てて絞り出したってのに
「総帥。サイド3建設当時の資料って確かありませんでしたか?」
「…ああ、そう言えば父上が持っていた気がするな
良し、直ぐにダルシアに命じてデータを此方に送らせるとしよう」
と公国の方のクラヴァスが口にしたからもう大変だった
公国側は準備を整えて、この場に来ている
…では、連邦政府は?
そう聞かれているようなものだ
「直ぐに調べさせよう」
「となれば、以前我々が行なった経済封鎖などのデータも使えるかも知れませんな」
「グラナダの建設費なども多少は参考になるかも知れん。明日にはデータを揃えさせよう」
と連邦政府高官が口々に言うものだから俺は内心蒼白になった
つまりこのままいけば、明日にはまたこのような場が用意される。という事なのだから
だが
「お待ち下さい
既に時刻は地球標準時間で夕方です。これから資料集めをさせるというのは余りにも用意させる者達に負担になりかねません
明後日で宜しいのではありませんか?」
とクラヴァス補佐官は連邦政府高官達を嗜めた
ク、クラヴァス補佐官!
俺は心の中でクラヴァス補佐官の心遣いに対して涙を流さんばかりに感謝した
明らかにそれは此方を気遣っての事である事は明らかだったのだから
この時ラウムはあまりの憔悴っぷりに思わず義兄の無茶振りに応えてしまった自分の姿を見たとか何とか
「…おかしな事を言うものだ
我が義弟殿が助けてくれると言ってくれたから、私は義弟殿の出来る事を最大限にしてもらおうとしただけなのだがな」
と本人は言うだろうが
そして査定は1週間もの長い間続いたが、漸く終わったのだ
調印式とか名誉とかその辺はもうどうでも良い
先ずはゆっくりと休みたい
そして
こんなふざけた案件をもってきた
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サイド3の分譲
という宇宙世紀始まって以来前代未聞の出来事はこうして静かに始まり、そして終わった
その後ジオン公国は約30年もの時間をかけて連邦政府に支払いを続けた結果、連邦から完全に独立した組織となる
サイド3の後に続けと他のサイドもこれを真似ようとしたが、あまりにも巨額の費用が発生する事から各サイドはこれを断念
ジオン公国は宇宙世紀0160まで存続し、サイド2に成立した『ザンスカール帝国』に対して終始敵対したとされる
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「ミネバ、良いか?」
「あぅ?」
「『口は災いの元』だ。お前もこの言葉を良く覚えておくんだぞ?」
「…あー、きゃっきゃっ」
「いやラウムの兄上、何をミネバに言っているのだ」
「公国の独立を勝ち取った原動力なんて言われてますのに」
ラウムは生まれて間もないミネバにそう諭したという
それを複雑そうな顔で見守る『ドズル・ザビジオン国防軍長官』とその妻ゼナ・K・ザビ
宇宙は平和を手にしたのである
舞い降りてきた電波を文にするとこうなった
なのでそれなりの形に整えて(?)投稿するストロングスタイル
IFルート
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狂った者(公国ルート)
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潜む刃(ソフィルート)
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悪意の先に(アクシズグレミー討伐ルート)
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その他