義理の兄、なんだそれは!?   作:鞍馬エル

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ジオンの姫と彼女を守り抜いた少年の節目
この二人の明日に希望(ひかり)のある事を


虹の向こう側へ
 可能性の向こうへ


 宇宙世紀0100

 

とあるコロニーにて一組の夫婦が新たな門出を迎える事になる

 

 

 

夫の名は

バナージ・K・リンクス

 

妻の名は

オードリー・M・K・リンクス

 

 

新郎側にはアナハイムの重役であるアルベルト・ビストが親族として

 

他にもリディ・マーセナスやオットー艦長にブライト司令らが

 

新婦側にはジンネマンと金髪の美女が

 

 

そして

「おじ様、ありがとうございます」

 

私が新婦であるオードリーの手に引かれていた

 

 

----

 

私としては今更ミネバの親族としてあれこれ言う立場ではない事を自覚していたから、バナージくんとミネバの結婚について許可するもしないもないと思っていた

だが、ミネバとバナージくんはそう思わなかったらしく、忙しいだろうなバナージくんは私の元に通い詰めた

既に五十路を迎えようとしている私としてはいつお迎えが来るかも分からないのだから其処まで気にしなくとも良いと言ったのだが

 

ミネバはミネバで毎日の様に私の家に来て、私との話に興じていた

これでもだいぶミネバからすれば譲歩した方らしく、当初は此処に住む事を私に求めてきたくらいだ

 

 

…なるほど、この強引さは確かにゼナとドズルくんの娘だな

私は私を必死に説得しようとするミネバを見ながらそう思ったものだ

 

 

流石にボロ屋にミネバを住ませるのは心が痛む。

何せ近所から『時の止まったアパート』などと言われるくらい年代もののアパートだからな

当初はアパートメントの為に他にも居住者がいたのだが、付近の開発などによりお隣さん達は皆他の家やマンションなどに移っていった

アパートメントである為、部屋はある。維持費さえ払えば即入居可能な物件だろう

なのだが、色々問題もあるのが此処なのだ

 

既に私以外の居住者がいなくなって久しいが、それ故にある時大家から私にこのアパートメントの売却をしたい。との申し入れがあった

私としてはそんな金銭的余裕はないから退去すべきかと考えたが、どうにも私の知らない口座からの振込があったらしく貯蓄としてはあったらしい

 

当時、不思議に思った私は調べようとしたのだが金融機関の者に問い合わせても

 

「申し訳ございませんが、それだけはご容赦を」

と繰り返し言われただけ

 

流石に納得するわけにいかない額だった為に電話ではなく、直接支店に赴いたのだが奥の応接室に通されて暫く待たされた

そして現れたのはその金融機関の頭取とこの支店の支店長の2人

 

…私はただの普通預金者なのだが

当時の私はひたすら困惑したが、あちら側は一貫して

 

「ご理解ください」の一点張り

堂々巡りになると判断してせめて資金元が問題ないのかどうかだけ確認してその場を後にした

 

そんなこんなでアパートメントを買い取った訳だが、何せこのアパートメント驚きの宇宙世紀52年築物件なのだ

わかりやすく言うと、ジオン・ダイクン一家がサイド3に移住してきた年である

 

なお、当時宇宙世紀82年

驚きの築30年物件である

 

地球において珍しくないかもしれないが、サイド3の建造開始が0035である

本格的に稼働し出したのは40年くらいだろう

 

そして、30年以前に建てられた建物の殆どは既に解体され、新しい建物となっている

何せコロニー内の敷地は有限だ。当然有効活用して然るべき

 

サイド3における最古の物件の一つとも言えるだろう

が、このアパートメントは改築すると言う話が話題に挙がる事はない

と言うよりも私しか住んでいない以上その必要性を認めなかったとも言えるのだが

 

 

当然古すぎるが故に入居者などいるはずもない。募集をかけていないから当然だが

そんな状況でも生活できていたのは助かる話

 

 

 

「お義父さん、俺とオードリーも此処に住んではダメでしょうか?」

 

ある日バナージくんは私にそう言ってきた

…私とミネバの関係性は叔父と姪なのを彼は知っているはずなのだが、どうにも彼は私をお義父さんと呼ぶ

 

流石にそれはドズルくんに悪いと思うのだが、どうにもミネバも最近私の事をおじ様と呼ぶ前に微妙な躊躇いがある様にも思えてならない

 

 

しかしなぁ、それについては譲りたくないのだ

いやまぁこの歳にもなって伴侶すらいない上にゼナ以外の親類縁者などそれこそミネバのみ

情けないにも程がある気もしないでもないが

 

…最悪あの娘(・・・)に相談する事になるのだろうが、個人的に気が重い

勿論彼女の気持ちは嬉しく思う

しかし、その反面申し訳ないと思ってしまうのも人情だろう

 

 

私はこの事を悩まねばならなくなった

 

 

 

----

 

『という訳で、どうすべきだと思うかな?』

 

「知りません。そう言えばあなたは納得してくれますか?」

相手の相談を私は一刀両断した。嫌な女だと自分でも思う

 

電話相手との付き合いはネオ・ジオン紛争の少し後からだ

木星に一時旅立ったジュドー少年から電話相手の事を聞いた

 

…いえ、正確にはジュドー少年からではなくアクシズの指導者であったハマーン・カーンからでしょうか

 

 

ジュドー少年はアクシズのコア3においてハマーンと一騎討ちを繰り広げたそうです

その際、彼女は今まで抱えていた様々な事を口にしたと聞きました

 

その中で私の兄や私と兄が幼少期お世話になった人物の話も上がったそうです

私はジュドー少年の妹さんを保護した関係で彼と少しだけ話をする機会を持つことが出来ました

 

そこで少年から

 

「俺、今度その人に会って伝えなきゃいけないんだ。

多分その人は伝えないと死を選ぶ。そんな気がするから」

と聞き出すことが出来たのです

 

我ながら卑怯な大人だと思いました

それこそ、兄や私を利用しようとした大人達と何も変わらない

 

そう思いましたが、手がかりのない中でコロニー一つ一つを探すとなるとどうしても時間と資金がかかります

加えて一年戦争、グリプス戦役、ネオ・ジオン紛争と立て続けに地球圏全土を焼き尽くした戦乱が起きた為に各コロニーの治安も危ない所が多々ありました。私も何度か危ない目に遭いながら、今まで無事でいます

でも、その幸運がいつまで続くか分かったものではありません

 

 

かと言ってジュドー少年について行くのは躊躇われました

…いえ、それは嘘です

 

----

 

 

私は他の人の前で非難されるのが嫌だったのでしょう

兄はジオン軍に志願し、ザビ家へと復讐する為に地球のマス家から離れました

私は兄と違い、マス家に育てられ一年戦争を迎えます

 

何の因果か、偶々いたサイド7のコロニーで兄と再会し、そのままホワイトベースに乗って一年戦争の渦中を戦い抜きました

その中でダイクン一家として暮らしていた時の知り合いであるランバ・ラルと出会い、彼を私は撃ちました。躊躇う事なく

 

戦後、私はマス家に戻りましたが気になる事があったのです

私や兄は父を殺されたとザビ家を恨んでいました

 

 

では、その逆はなかったのか?と

ダイクン派と呼ばれる者達の中には一年戦争という国家の存亡の危機にも関わらず、ギレン・ザビを害そうとした者もいたと噂に聞きました

 

そんな分別のない者達が果たしてザビ家のみを狙う(・・・・・・・・)そんな理性的な判断が出来るとは思えなかったのです

 

 

 

そして私はそれを調べた事を後悔しました

 

クラヴァス夫妻

サイド3独立運動に参加したと言われる一部では『地球の裏切り者』と憎悪される2人の事を私は知ったのですから

 

そして、その夫妻の息子の名前だけが判明したのです

 

ラウム・クラヴァス

 

 

私の幼い頃の記憶の中にある単語

 

それは

ラー(にい)というもの

そして兄は

ラ〇ムと確かに呼んでいた記憶があるのです

 

写真があれば1番でしたが、その様なものは一枚としてありませんでした。それだけでも私にとって衝撃だった

 

 

しかし、それは絶望への入り口だったのです

 

クラヴァス夫妻事故死!

地球の裏切り者、暗殺か!?

ザビ家の粛清!?

ダイクン派の陰謀か?

 

見るも悍ましい見出しの記事を私は見つけ、そして震えます

 

私達がコロニーから離れる前、最後に彼と会ったのは

夫婦が事故死する少し前の事だったのですから

 

----

 

幼い頃の私は大人達に囲まれていつも不満でした

それ故に偶に来る彼の事を私は待ち望んでいたのです

兄も不満げな顔をしていましたが、来なければこないで

 

「彼はいつ来るんだ?」

と周りの大人達に聞いていた様な気がします

 

それが来なくなったのですから、幼い私は不満だったのを今でも良く覚えています

負の感情の方が記憶に残りやすいみたいですね

 

そして、父が亡くなった葬儀の時、親しかった筈の彼と彼の両親の姿は何処にもなかった

私は辛くて兄に縋っていただけだと記憶しています

 

 

それ故に怖いのです

面倒そうな顔をしていても、私達兄妹に真剣に付き合ってくれた彼から憎悪を向けられる事が

 

その事実を知ってから、私は夢に見る事が増えました

 

 

幼い頃の彼が私に言うのです

 

どうして両親を殺した?

 

私はその事実を知った日から眠る事を恐れる様になってしまいました。まるで幼子(おさなご)の様に

 

 

----

 

私はネオ・ジオン紛争の少し後にようやく彼と再会する事が出来ました

 

 

長年の心労がたたったのか、とてもではありませんが年相応の人物には見えませんでした

 

「ラウム・クラヴァスさん、ですね?」

 

「…そうだとしたら?ザビの信奉者か?ダイクンの狂信者か?」

 

私を見る彼の目には昏い感情しか宿していない様に見え、衝撃を受けます

 

 

「私は、セイラ・マスと言います

そして昔貴方に助けてもらったアルテイシア・ソム・ダイクンでもあります」

 

私の言葉に目を少しだけ細めると

 

「確かにアルテイシアお嬢様の面影はある

が、似た人間を仕立てた可能性もあると思うが?」

 

「そう、ですね」

分かっていました。私にとって彼は恩人であり、今となってはそれ以上の感情すら抱いています

でも、彼にとっては自分の家族を壊した元凶にしか私は見えないのですから

 

ラー(にい)

私にとって、恐らく私がアルテイシアである事を証明するたった一つだけの方法

それがこの彼の呼び方でした

 

「…懐かしい呼び名だ。確かにアルテイシアの嬢ちゃんなのだろうな

随分と綺麗になった」

 

「…はい」

 

言葉では私を褒めているのでしょうが、その言葉に全く熱を感じない。だから、私は不安げな声を出すしかなかったのです

 

「話がある

そういう事か?」

 

「もし、良ければ」

 

私の答えを聞いて彼は部屋に戻りました。私もそれに続いて入る事にします

 

 

----

 

「あれからお互い色々あったのだろうな」

 

「ええ。そうだと思います」

 

部屋に入った私でしたが、会話というよりも近況確認に違い問答を繰り返すのみ

それ以外に話すことは無い

 

そう言外に告げられている様で私は泣きたくなります

 

 

そして私はソレを見ました

 

「あ」

 

思わず声が漏れました

そこには

 

 

苦笑いしながら椅子に座るデギン・ザビ

その傍らに儀仗をついて立っているギレン・ザビと赤い髪の女性

その逆側に立っている同じく赤髪のややつり目の女性

デギン公の真後ろに立つ、巨漢の傷痕が顔中にある男性

その巨漢の男性の横に寄り添う様に立つ金髪の女性

つり目の女性の横に立つ紫色の髪の男性

 

が写っている写真がありました

その写真の真下にはオレンジ色の髪が一房大切な物の様に置かれています。その為だけに台を作っていることから彼がその髪を大切にしている事が窺い知れました

 

 

「どうした?自分達の憎い相手ではないのか?」

 

冷たく彼は私に言い放ちます

つまり、これは

 

「私の義理とはいえ家族の写真だよ」

 

「え?」

私は彼の言葉を理解できませんでした

 

 

 

少し冷静になった私は一つの可能性に至りました

そして

「ドズル・ザビの妻が貴方の妹さん?」

 

「ゼナ・ザビ

それがザビ家に嫁いだあいつの名前だ」

 

私は衝撃を受けました

つまり、私は彼の義理の弟を殺したという事に他ならないのです

一度ダイクンの支持者によって、両親を奪われた彼

 

その彼に唯一残された家族はザビ家に嫁ぎ、そして義理の弟もまたダイクンの娘である私達に討たれたというのです

 

彼が私に抱く感情に好ましいものがある筈もないのも無理ない事でしょう。更に妹すらも地球圏より遠く離れたアクシズにて命を落としたと聞きました

つまり、彼は文字通りダイクンによって全てを奪われた

という事に他ならないのです

 

う、あ、ああっ

声が口から出ません。出るのは言葉にすらならない掠れた声

 

一度でもあれだけ苦しい思いをした

それを彼は二度、三度と受けたのです

 

その絶望は私に想像などできる筈もない

 

身体から力が抜け、床に跪きます。頭の重さに耐えきれず頭を下げてしまう

そして私は

 

それが彼に頭を下げて赦しを乞うている様に見える事に気が付きその自分の余りの身勝手さに

 

「うっ」

 

吐き気すら覚えてしまいました

もう、何もかもが嫌になったのです

 

----

 

 

 

幼い頃からずっと密かに想っていた相手の人生を知らず知らずのうちに狂わせ、壊していた

そんな愚かな女が誰かに愛される資格などある筈もない

 

私はそんな自責の念に追い詰められていました

仮にこの時の私に彼が

 

「死んで詫びろ」

と言おうものなら、私はそれを受け入れた事でしょう

 

 

----

 

「顔を上げろ」

 

彼はただ一言そう言いました

私は涙でぐしゃぐしゃになった顔を拭う事なく彼の方を向きます

 

「それが戦争なんだ。恨んでどうする?憎めば誰か帰ってくるのか?」

彼はただそう言いました

 

「殺し殺され、その結果何が起きた?

終わることの無い戦争と戦闘の繰り返しだ

一つだけ聞く、アルテイシア」

 

「…はい」

私は直感しました。この質問の答え如何で私とこの人の道は二度と交わる事がなくなるのだと

 

「ならばお前は代わりに死んだ方が良いと思うか?

ドズルくんを殺す代わりに自分が死ねば良い、と」

 

「いえ。それだけは出来ないと思います」

私は即答した

例え私が目の前の人から一生恨まれたとしても、仲間達を守る為に何度繰り返したとしてもわたしは剣を取るでしょう

 

 

「そう、それで良いんだ

当時お嬢は軍人だったのだろう?仲間を守る為に剣を取らねばならない時もあるのだろう

それについてはガルマ君やドズルくん、義兄殿やキシリア女史も覚悟していた。それが彼等の意地であり、誇りなんだからな

私の様に逃げ続ける臆病者とは違う」

 

私はその時、初めて彼の笑顔を見る事が出来ました

勿論疲れ果てて、力のない笑顔です

 

 

その時に私は決めました

 

この人から奪ったものの一つくらいは私が返そう

 

 

----

 

それ以来、私は彼の近所にあるマンションに住む事を決めて、毎日の様に彼の元を訪ねる事としました

…最近では彼の姪であるミネバ嬢が彼の元を中々離れないので、私が彼の元を訪ねるのは結果的に夕方以降になるのが不満ではありますが

 

 

 

「知りません。そう言えばあなたは納得するのですか?」

 

そうしていつの間にか時間が過ぎていったのです

別に私としては構わないと思ってる。今年で私も37になる

 

マスの家の者には『早く相手を見つけなさい』とせっつかれているが気にするつもりなんてない

私としては既に相手を見つけているのだから

 

少しずつ距離を詰めていけば良い

彼と過ごせなかった時間と出来てしまった溝は余りにも深い

だが私はそれでも構わないと思っているのだ

 

 

 

----

 

私は今、冷静さを欠こうとしています

 

「オ、オードリー、落ち着いて」

 

バナージが私を落ち着かせようとしていますが

「バナージ、私は冷静です

…それで貴女は何と仰られましたか?」

 

「私はセイラ・マス。別の名前で言えばアルテイシア・ソム・ダイクンになるわ」

 

この女だけは認められない!

私は常にない覚悟で話し合いに挑む事になりました

 

 

「ミネバ、落ち着きなさい

あと、お嬢もあんまり威嚇するなら放り出すが?」

 

「…そうね。流石に大人気なかった(・・・・・・・)わ、ごめんなさい」

 

この女っ!

私は明らかに挑発しているおじ様に近付く女に敵意を向けてしまいます

 

「あのさ、お前ら」

おじ様はジト目で

 

ちと、黙れ

そう言いました

 

 

 

室内を無言が支配しました

無理もありません。明らかに今おじ様は怒気を発したのですから

 

「アルテイシア。話をややこしくするなら出なくて良いんだぞ?」

 

「…ごめんなさい」

 

「ミネバ、一度落ち着けと言った筈だ

バナージ君と家庭を持つなら、お前かバナージ君のどちらか或いは2人で家庭を守らなきゃならん。冷静さを忘れるな」

 

「はい」

それはダイクンとザビ家に翻弄されながらも今まで生きてきたおじ様だからこそ恐ろしいまでの説得力を持った言葉でした

 

「バナージ君には本当にすまなんだ

ま、家庭を持つ予行練習になったとでも思ってくれれば助かる」

おじ様はバナージに軽く頭を下げます

 

 

此処に私とバナージ、それにおじ様とアルテイシアさんが集まった理由は一つだけ

 

「しかしなぁ、結婚式に出席するのは構わんが、伯父としてではなく義父としてと言うのは。うーん」

 

おじ様は頭を悩ませます

…正直なところ、これでおじ様が迷い無く受けてくれたらそれはそれで私の中に変なしこりが残る気もするのです

ですが私としてもおじ様に要らぬ気苦労を掛けたくないのも事実

 

相反する感情を持て余してしまいますが、おじ様は

 

「唯一残った肉親としては今までの分もしっかり面倒かけて欲しいものだ。そこまで長生き出来るとも思えんが、そうであるからこそ、せめてミネバにとって良い伯父でありたいのさ」

そう笑ってくれました

 

「私としては構わないと思いますけど、兄様」

 

はい?

 

いきなり何を言っているのでしょうか?この女は

 

バナージも微妙な目で女性を見ています

 

「…こほん

構わないと思うの、ラウムお兄様」

顔を赤くして女は言い直しました

 

そこで言い直した意味は!?

 

「懐かしい呼び名だな

あの頃はラー(にい)だったか?」

私やバナージは動揺していましたが、おじ様は苦笑いしながら気にする様子はないみたいです

 

「…分かった。一度義弟殿やゼナに報告してからの話だがそうするとしよう。ま、別にそこまで関係が変わる事もないだろう

…無いよな?バナージくん」

 

「ええ。ただお義父さんにはオードリーを連れて」

バナージは言い淀みます

 

「そういう事か。確かにそれは大事だな

すまんな。どうしても結婚式と言うのに実感が湧かなくて」

 

そう言えば父と母の結婚式はなかったのでしょうか?

おじ様、いえお父様にそれを聞くと

 

俺は出席できなかったが、ソロモン内でやったらしいな

義兄殿やキシリア女史にガルマ君まで挙って謝罪の文を寄越してきた。勿論義弟殿やゼナにデギン公もだったな

 

 

「さて、もしかしたらスペシャルゲストも呼べるかも知れんな

バナージくん。ブライトさんにも出すのだろう?招待状は」

 

「はい。お世話になりましたから」

 

「なら、季節外れの幽霊が見られるかも知れない

そう併せて連絡しておいてくれないか?」

 

「?はい、分かりました」

 

お父様はそう楽しそうに笑ってくれました

 

 

----

 

そしてその時がやって来た

 

ミネバ、いやオードリーに手を引かれながらバナージ君の所へと向かう。本来逆なのだが、既に脚を悪くしている為にこうなった

 

青い空は遠く

 

ギレン殿、デギン公、サスロ殿

俺は喪った人達の事を思い返す

 

広がって幾つもの火が消えるのだろう

 

ダイクンさん、キャスバル、キシリアさん、ガルマ君

 

君が願う夢の その欠片を全て集めてゆく

 

ドズルくん

 

憧れは絡まった車輪 黄昏の様に深く

 

父さん、母さん、ゼナ

 

そして、一歩ずつ噛み締める様に歩く

 

----

 

お父様とバナージの所へ歩いて行きます

お父様の足が悪い事を知らない者はこの場にいません

慌てる必要なんて、ないのです

 

一人きりではとても 超えられない夜には 悲しみのその全てにと 希望を燈そう

 

お父様を心配そうに見つめるアルテイシアさん

そしてバナージもまたお義父さんとなる人を心配そうに、そして大切な人を見る様に見つめます

私とお父様はバナージの所に辿り着きます

 

「バナージ君、ミネバを。娘を頼んだよ?」

 

「はい」

 

私の手をバナージにお父様は握らせます

 

永遠がきっとあって 誰もが手をのばして いつか君のその手を握るよ

 

お父様をアルテイシアさんが支えます

 

風に舞った砂が 降り注ぎ歩む足は重くなって

 

お父様とアルテイシアさんは1番前の席に腰を下ろします

 

例えば今日眠る場所も 何もかもを失っても

 

アルテイシアさんはお父様を心配そうに見つめます

多分お父様をあの人は支えてくれるのでしょう

 

----

 

お父様、お母様、ハマーン、シャア、マリーダ

 

朧気な温もりを探した 時が移ろう程に

 

私のこれまでの人生は血に濡れていました

 

振り返るだけ過去は 争いを求めたんだ 誰の為にと悩み 答えを探して

 

その果てにまさか私にも愛する人が出来るなんて

 

簡単な位きっと それはすぐ傍にあって 枯れ果てた涙へと変わった

 

私は今、確かに幸せです。バナージ

 

----

 

父さん、母さん、ロニさん、…マリーダさん

 

憧れは空回る車輪 錆びついたまま消えた

 

俺はオードリーと行くよ

 

流れていく日々から 君の声を探そう

 

どれだけこれからの人生が辛いものだとしても

オードリーと一緒に、乗り越えていく

 

両手にはもう持ちきれない程の枷

 

俺達は一人じゃないんだ!

 

いつか冷たくなって その日が訪れても 枯れ果てた涙へと変わってても

 

----

 

私とバナージは結婚指輪を交換します

 

一人きりではとても 超えられない夜には

 

ジンネマンは涙ぐみ、オットー艦長やブライト司令に少尉も目を潤ませています

 

悲しみのその全てにと 希望を燈そう

 

そして私とバナージは見つめ合い

 

永遠がきっとあって 誰もが手をのばして

 

「一緒に行こう、オードリー」

「ええ、共に歩みましょうバナージ」

 

いつか君のその手を握るよ

 

私達は愛を誓い、目を閉じて口づけを交わしたのです

 

 

 

 

 

 

 




 今回初めて歌詞使用をしてみました

出来る限り雰囲気に合わせて文章やセリフを決めてみたつもりですが、どうでしょうか?
なお、使用した楽曲は
PlayStation VitaのソフトであるGジェネレーションジェネシスの曲である『永世のクレイドル』です

個人的には合っている気がしますがどうでしょう?

結果色々と入れられなかったので、後日談が増えました
『終わる終わる詐欺』とか情けない奴!
と修正されるかもしれませんが、これも拙い私の技量ゆえ

間合いすら把握できぬ未熟者と笑ってやって下さい

という訳で情けない事ですが後日談でお会いしたく思います
出来れば感想をいただけると嬉しく思います

なにぶんどうすれば良いのか、わからぬままに書いておりますので

 ミネバの幼少期のエピソード

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