【お前ら】俺の異聞帯がやばい【助けろ】 作:FGOネタ出し
作者の勝手なこだわりなのですが、FGOの主人公の名前は藤丸立香だと思うんですが、女性である場合にはわかりやすいように立花にしてます。今作は全部基本ぐだ子なのですが、たまに男主人公の方も出るのでそこで区別してます。
アッシュールという神は、アッシリアの最高神であり、アッシュルという同名の都市の都市神である。そういう点で言えば、Fate/Grand Orderにおけるイシュタルがウルクの都市神であるのと同じく、型月の世界では都市を司るもの、人より高き存在として支配するという立場で存在しているが、あるいは神の存在が明確ではない現代の世界史においては、『アッシュルという都市、あるいはそれが存在した土地自体を擬人化、神格化したものである』という解釈もなされている。
そんなアッシュルだが、都市神として成立しつつもアッシリアの最高神として扱われた出自故に、他の古代メソポタミアの神々とは1つ異なる特徴を持っていた。
それは、他のメソポタミアの神々がギリシャの神々やあるいは人間のように配偶者や子供といった子供を持つ神格であり人格であるという特徴を持っていたのに対し、アッシュールのみは、ただ『最高神』という位のみを持っていたという点だ。
アッシュールのこの特徴はアッシリアの最高神としてある間続き、そしてアッシリアがバビロニアを征服したことで大きな変化を迎える。バビロニアという、アッシリアとは別の神々を信奉する土地においての支配を確立するために、アッシュールという『最高神』の器しか持たなかった神を、バビロニアの最高神であるエンリル神と同一の存在であるとみなすようになったのである。
これによってアッシュールは、エンリル神の妻であったニンリルと、エンリル神の息子ニヌルタ、ザババを己のものとして吸収することになる。
加えて、このエンリル神からのある種寝取りとも言えるような吸収と同時に、アッシュールの名前の表記に、アッシリアの神官たちによってそれまでとは異なる表記が加えられるようになった。『アンシャル』、バビロニア神話におけるアヌ神の息子アンシャルを示す符号だ。これによって、アッシュールはこのアンシャルという神と同一視されることになった。
アンシャルを示す符号がアッシュールの表記に加えられたのはただその名前が似ていたからだが、これによってアッシュールは、アンシャル神と同等の地位を、すなわちエンリル神やニンリル神より上位の神の地位を得たのである。
そんなアッシュールだが、もう一つ大きな特徴がある。それは、アッシリアという国家の真の王はアッシュールであり、人間の王はアッシュール神に任命された副王であるというイデオロギーだ。つまり、アッシュールは神々の最高神であるとともに、人間社会においても、太古の王政の中で民を支配する王としての役割も同時に担っていた、というわけである。
長々と語ってきたが、つまるところ。
アッシリアとは人も神も全てアッシュールのものであり、そして現代のアッシュールにとってアッシリアのかつて支配したバビロニアも、そこに存在する全ても己のものであった、とそれだけの話だ。
『んー! 心地よい風だあ!!』
眼前、儚げな姿から一転、その巨大な本体を現したティアマトとそこから溢れるラフムに向かって、宙に浮かぶ人ほどの大きさをしたアッシュールが両腕を振るう。
そこから振るわれるのは風の刃や風の塊といったありきたりなものではない。
冒頭の説明をよく読んで欲しい。
現代の世界史においてアッシュールとは、『最高神』の形だけを与えられた存在だった。人格もなく、家族もなく。
それは逆説的に、何も無いのに『最強』の器を持っていたと同義である。
バビロニアのエンリル神と融合することで、風を操る権能を、神格ではない人格を、妻と家族を。新しく得た。
その後も、アッシリアの隆盛に合わせて様々なものが加えられ、アッシュールを形作ってきた。
そしてそれは、現代の神話をもとに創作されたSCPの世界の彼も変わらないのだろう。
アッシリアの最高神であり、メソポタミアの最高神となり。王として人の上にも君臨したアッシュールは、まさしくバビロニアの全てを己のものとしたことがあった。
だから、そう。この結果は、型月で言うところの宝具でも、奥義でもなんでもない。
アッシュールの腕の一振りとともに、ラフムが、そして海を埋め大地を侵食するケイオスタイドが、無色の風へと溶けて消えていく。
風を操り敵を討つ
アッシリアはアッシュールのものであり。
アッシリアが支配したバビロニアもまたアッシュールのものであり。
天も地も、人も神も、全てがアッシュールのものである。
そしてアッシュールの権能は、風を操る、空の王者。風の吹くところ全てがアッシュールの領域であり、風そのものがアッシュールのもの。
だから
アッシリアの、メソポタミアの大地に立ったアッシュールにとって、それはあまりにも当たり前の光景だった。
「強すぎだろまじで……」
「ヒューム値の変動は微々たるものだ。とすればあれはヒューム値による現実改変能力ではなく、彼の異常性なのだろうな」
「落ち着かんでくれ博士。あれは、ちょっといくらなんでも強すぎるだろう……」
「英霊として召喚された今ならわかる。神とは、最強とはああいうものなんだろう。あるいは、ヤルダバオトやメカネはあれ以上の存在、なのだろうな。異常が人類にとっての脅威であるのも頷ける」
流石に予想していなかったアッシュールの強さに呆然とする俺の隣で、のんきにヒューム値の計測なんかをしている博士には腹が立つ。財団の博士として当然の行動かもしれないが、一般人目線だとどう見ても頭おかC。
ティアマトの強さ、ラフムの厄介さは、俺も良く知っている。キリシュタリアとともに人理修復を歩んだらしいという記憶はないが、藤丸立花やマシュの旅を傍観者視点で見ていたので知っている。
神の強さもまた同様に知っている。つもりだった。
だが、よく考えれば当然であるという思いもある。
今でこそ、風の神、空の王者など、風やそこから派生する嵐などを司る神として存在し、SCP-3740でもそうであるアッシュールだが、その始まりはそうではない。
器だけの最高神。身の伴わない最強。
それがアッシュールの始まりにして原点。
アッシリアの人々は、最高神の器に様々なものを注いだのだろう。
最強の骨組みに、様々な身をつけていったのだろう。
そうして出来上がったのが今のアッシュール。風を操り、メソポタミアの神と人を支配するという付加要素を持った、
神はアホだが、きっとバカではない。
だから気づいたのだ。最強であることは、かくもつまらないことなのか、と。
だからこそアッシュールはアホをやる。他の神々から世話係が選ばれ、人間とすら酒の席で馬鹿話をして下品な話に大笑いする。
人間に戯れに神々の名前をつけたり、英雄のように扱ってははしゃいで見せて。人も、そんな自分を楽しませようと馬鹿げた話をしてくれる。
退屈ならば、真面目にやってるよりはアホなことをやってる方が良い。そんな、消極的な楽しみ方だ。
でも、そう。
退屈だとわかってそれを楽しんでいたアッシュールは戻ってきたのだ。
メソポタミアの、かつての己の大地に。
だから、きっと。
アホが加減を間違えるのは、よくあることなんじゃないだろうか。
******
「アッシューーール!!!」
『なんだ! レイよ!』
「一休憩に、しませんか!!!」
『……うむ! ちょうど疲れてきたところである! 飯にしようではないか!』
ラフムの群れとケイオスタイド、ついでにその奥にいるティアマトをまとめて攻撃していたアッシュールだが、俺の言葉にすぐに答えてこちらに戻ってきた。
『いや、しかし、久しぶりに少し本気を出してしまったぞ! どうだった俺の戦いは!?』
「いや、そらもうとんでもなく強かった。ほんとに。さすがは空の王、全てを空にする者アッシュールだ」
『全てを空にする者だと!? かっこいいではないか! 今後はその名で俺を呼ぶことを許す』
「はは、どーも。で、飯は部屋の中に」
『おお! これは宮殿ではないか! 行くぞレイ!』
話の途中で勢いよく宮殿へ、スクラントン博士が現実改変で作ってくれた宮殿へ突っ込んでいくアッシュールは、やっぱりアホである。
それはそれとして、『少し』本気を出した、なんて信じがたい言葉も聞こえた。
「あの上があるんかい……? ティアマトの上半身消し飛んでたけど……?」
とはいえおそらくティアマトは、かつて見た旅路の中でカルデアが分析した通り、メソポタミアに人がいる以上は地上では死なないのだろう。ラフムとケイオスタイドをまとめて風にしていたアッシュールがついでとばかりにティアマトの眼前に瞬間移動して上半身を半分近くふっ飛ばしたときには、カルデアの旅路の邪魔をしたかと余計な心配事が浮かんでしまったが、消し飛んで数分で復活した様子を見ればまた何事も問題なくウルクを攻めてくれるだろう。
復活したティアマトがラフム相手に暴れまわるアッシュールから明らかに逃げていたのは、見なかったことにしておこうと思う。
アッシュールの出自とか説明は、ウィキペディアのアッシュル神のところ見つつFGOの神様とか神秘周りの言葉遊び的な強さの表現をイメージしてたらこんなことになりました。
戦闘シーンはこれで終わりです。これ以上戦うとカルデアの出番無くなっちゃうので。後はカルデアに発見されて話して最後の戦い見守るぐらいかなあ。
ちなみにもう出てこない可能性が高いので、本話で少ししか本気を出してないアッシュールの本気について説明しておきます。
本気を出すと『全てが空になる』です。イメージとしては圧倒的曇天が雲が無い状態で発生すると考えてください。空が落ちてきて、そこにあった全ては空に溶けて消えます。