ガブリアス「ここが…、シロガネ山…。凄いな…。」
シンオウ地方出身のガブリアスは、ジョウト地方に1匹で旅に来ていた。ガブリアスが来ていたこのシロガネ山はジョウト地方屈指の観光スポットである。しかし、強力なポケモンが多くいるため途中で立ち入り禁止区間が設けられており、基本的には外観しか見ることができない。
ガブリアス「(けどやっぱ…、この山の中は気になる…。)」
ガブリアスはシロガネ山が危険な場所だということは十分解ってはいたが自分のエゴを押さえられなかった…。
ガブリアス「(せっかくジョウトまで来たんだ…、見ておかないともったいないよな…。)」
ガブリアスは周囲を見て誰もいないことを確認して立ち入り禁止区間を越えてシロガネ山の中に入った。
ガブリアス「(うわっ…!)寒っ…!」
「(外から見たときから頂上付近は雪で覆われてたけど…、入り口からこんなに寒いなんて…。外の天候が吹雪になったら帰ろう…。)」
ガブリアスはシロガネ山の内部を歩き始める。
ガブリアス「(…、それにしても、吹雪の音以外全く聞こえない…。この静けさ…、なんか怖いような…。安心するような…。)」
ガブリアスはシロガネ山内部の雰囲気に恐怖心を抱くが、足をとめることはなく、先へ進んでいった。…先へ先へ進んでいくと頂上らしきとこに出てきた。
ガブリアス「(ヤバい…。吹雪だ…。急いで帰ろう…。)」
頂上では猛烈な吹雪が吹いていた。ガブリアスは雪にはめっぽう弱いため、急いで帰ることにした。
ガブリアス「(結構登ったし…、もしも天気がよかったら景色もよかったんだろうな…。…まぁ、危険とは聞いてたけど何もなかったし、また天気いい時に出直すか…。)」
ガブリアスはシロガネ山を下山していった。…しかし、その道中でガブリアスは道に迷ってしまった。
ガブリアス「(あれ?なんだここ…。こんなとこ通ったか?)」
「(やべぇ、迷った…。なんか暗いし見えないな…。野生のポケモンもいないみたいだし。一旦朝まで休むか…。)」
ガブリアスはシロガネ山内部で体を休めることにした。
…しかし数時間後…
ガブリアスは何かしらの集団に襲われた…。
ガブリアス「うわぁぁぁぁ!!」
ガブリアスは瀕死寸前で、意識を失ってしまった…。
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ジョーイ「…じょうぶ…だいじょうぶ?」
ガブリアス「…え…?」
ガブリアスがゆっくり目を開けるとベッドの上にいた。
ガブリアス「…ここは…?」
ジョーイ「シロガネ山入り口前のポケモンセンターよ。」
ガブリアス「あれ?なんで…。(確かあの山の立ち入り禁止区間に入ってそこから…。)」
ガブリアスはシロガネ山の入り口に足を踏み入れたことは覚えていたが、それ以降のことは完全に記憶から飛んでいた。
ジョーイ「…あなた、シロガネ山の内部で倒れてたのよ…?シロガネ山の中は立ち入り禁止になるくらい恐ろしいポケモン、天候が待ち受けてるんだから、ルールを無視して入っちゃダメよ?」
ジョーイ「…とは言え…、無事で良かったわ。」
ガブリアス「すみません…。ありがとうございます。助かりました。」
ジョーイ「お礼を言うなら…あの子に言ってね。」
ガブリアスはジョーイの目線の先を見た。すると治療室に張ってある透明な窓ガラス越しに廊下から緑色の巨体のポケモンは腕を組んでじっと見ていた。
???「…。」
ガブリアス「…。(やべぇ…、凄ぇ威圧感…)」
ジョーイ「…あの子、あなたの容態が良くなったら話したいことがあるって言ってたの。中に入れてもいいかしら?」
ガブリアス「あ、はい。」
ジョーイ「じゃあ、私は別のポケモンの治療に行ってくるわね。」
ジョーイさんは治療室から姿を消し、入れ替わるかのように緑色の巨体のポケモンが入ってきた。
???「邪魔するぜ。」
ガブリアス「あ…、助けてくれてありがとう…。…、えっと、名前は…。」
バンギラス「俺はバンギラスって言うんだ。…悪かったな。俺のナワバリのポケモンが急にお前を襲ったみたいでよ…。俺はお前に謝りたくて来た。」
ガブリアス「…え。(あのシロガネ山にナワバリ!?)」
ガブリアス「いや、勝手に入った俺も悪かったし…自業自得だ。」
ガブリアスは笑って言った。無愛想な態度をとったら殺されるかもしれないと考えたからだ。
バンギラス「無理して笑わなくていいぞ。瀕死ギリギリまで追い込まれてたんだからな。」
ガブリアス「全然覚えてないから大丈夫だ…。ところで…、どうして俺のことを助けてくれたんだ?」
バンギラス「あ…?ポケモンがポケモンを助けるのがそんなに変か?」
ガブリアス「いやいや、そうじゃなくて…。ナワバリのやつが襲ってきたってことは、君も襲ってきててもおかしくないかなって…。」
バンギラス「…。アイツらは自分等の住みかを奪われたくなかったんだ…。」
ガブリアス「…だよな…。勝手に入ったらそりゃあ驚いて襲ったりもするよな…。」
バンギラス「…とは言えお前の目的も聞かずに勝手に襲ったアイツらも悪いからな…。現にお前は俺らを倒しに来たわけじゃないんだろ?」
ガブリアス「あぁ…。ジョウトに来たのが初めてだったから観光したくてな…。」
バンギラス「ハッ、そんな可愛い目的だったとはなぁ…、こりゃ相当悪いことしちまったな俺たちは。悪い。」
ガブリアス「いや、君が助けてくれただけで嬉しかったし…。何よりちゃんとルールを守るっていう教訓もできたしな。」
バンギラス「そうか…。なぁ、せっかくジョウトに来たんだ。シロガネ山をちゃんと見てみねぇか?今度は俺も一緒に行くから。」
ガブリアス「…え?いいのか…?」
バンギラス「あぁ。勝手に襲っちまったアイツらの分のせめてもの詫びだ。」
ガブリアス「ありがとう。」
バンギラス「あと、これは助けた俺からの頼みなんだが"君"はやめてくれ」
ガブリアス「あ、おう…。…えっと…なんて呼んだらいい?」
バンギラス「バンギと呼べ。いいかガブ。」
ガブリアス「あぁ、バンギ。」
バンギラス「今日はゆっくり休めよ。ガブ。」
ガブリアス「おう…。」
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翌日、バンギラスとガブリアスはシロガネ山に向かった。
バンギラス「ところでよ、なんでお前はジョウトに旅に来たんだ?」
ガブリアス「いや、普通にいろんな場所を回ってみたくなってな…。」
バンギラス「へぇー、凄ぇな…。生まれてからシロガネ山にこもってる俺とは大違いだなw」
ガブリアス「でも、ずっといるってことはそれだけ他のポケモンに信用されてるってことじゃね?」
バンギラス「…、俺以外に信じれるヤツがいないんだよ…。」
ガブリアス「…?なぜ…?」
バンギラス「…捨てられたんだよ…アイツらは。ロケット団とかいう組織の奴らに…。」
ガブリアス「…ロケット団…。たしか20年前くらいにカントーとジョウトをめちゃくちゃにした…。」
バンギラス「…よく知ってるじゃねえか。」
ガブリアス「まぁ、その話は有名だからな。」
バンギラス「…そんな時に1人のポケモントレーナーが助けてくれたんだよ。レッドっていうな。そいつはロケット団を完膚なきまでに叩き潰してくれた…。けど、その出来事で俺は両親を失った…。」
ガブリアス「え…。」
バンギラス「まだ生まれて2ヶ月くらいの頃だったから何もわかんなかったんだけどな…。少し成長したときにその出来事を聞いて…、外の世界に出るのが怖くなったんだ…。」
ガブリアス「バンギ…。」
バンギラス「…あ、悪ぃ。暗い話になっちまったなw」
ガブリアス「でも…、俺もそれはわかる…。」
バンギラス「…?」
ガブリアス「俺も…、親、いないからな…。」
バンギラス「…亡くなったのか?」
ガブリアス「いや…、どちらかと言うとシロガネ山のポケモンたちと同じ…、捨てられたに近いかな…。」
バンギラス「…捨てられた?」
ガブリアス「俺の家系ではポケモンは強さが全てだと言われてきたんだ…。でも、俺は生まれながらにガブリアスという種族の中でも圧倒的に弱かったんだ…。」
「うちでは…、生まれながらに強いガブリアスが求められた。…正確にはフカマルっていう進化前のポケモンなんだけど…。俺は1番最初に生まれて1番最初に捨てられた…。出来損ないだってな…。」
バンギラス「…俺はそうは思わねぇけどな。」
ガブリアス「…!」
バンギラス「本当に出来損ないならこんな1匹で旅なんてする勇気ないと思うぞ…。めんどくさがりの俺とは大違いだ…。」
ガブリアス「…そう言ってくれるヤツがいてくれて嬉しいよ…。バンギ、俺のこの旅での目的はな…「夢」を探しに来たんだ…。」
バンギラス「夢?」
ガブリアス「あぁ、クソな親のためじゃなくて自分の夢を探しに来たんだ…。自分自身が何をしたいのかってな。」
バンギラス「…、自分自身がねぇ…。そんで…、その夢とやらは見つかったのか?」
ガブリアス「…いや、これからだ…。」
バンギラス「…見つかるといいな…。」
ガブリアス「バンギはなんか夢あるのか?」
バンギラス「…ねぇな…。」
ガブリアス「じゃあさ…俺と夢を探しに行かないか?」
バンギラス「は?どういう…?」
ガブリアス「旅にでるんだよ!俺たちはまだ知らないことが多すぎる。だから怖い…。だから過去のトラウマを乗り越えられてないんだ…。」
バンギラス「ポジティブだな。」
ガブリアス「まぁな。」
バンギラス「でも、なんで俺なんだよ。シンオウにポケモンなんていっぱいいるだろうし、わざわざ俺を選ぶ理由はないだろ。」
ガブリアス「…。それは…、お前が助けてくれた時にお前のこと…かっこいいなって思ったから…。」
バンギラス「それだけか?」
ガブリアス「それだけじゃ…ダメか?」
バンギラス「…。わかった…。俺もお前のこと嫌いじゃねぇから乗ってやるよ。確かにお前の言うとおり無知なことは良くねえってのは思ったしな。」
ガブリアス「サンキューな!バンギ!」
バンギラス「…。俺の夢ってなんだろうな…。」
ガブリアス「さぁ。ま、その答えも俺となら見つけられるだろ…!」
バンギラス「自信家だな。」
ガブリアス「じゃあ、探しに行こうぜ相棒!俺たちの夢を!」