東方旅天使   作:黒檻さん/詩歌

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どうも冷凍レンジです。

この小説は自分の書いている小説の息抜きで書いているので、不定期更新です。
駄文ですが、お楽しみ下さい。


第一章・古代編
魔法の誤作動、そして東方の世界へ


 彼女は今、困惑している。

 

 何故なら、彼女の目の前には見たこともないような高層ビルが建っていたり、巨大な結界が街を覆う様に展開されていたからだ。

 

 

 

 

 ーー時は少し遡る。

 

 20xx年、彼女は天空から人間を見ていた。

 

 彼女は天使族。

 しかし、神をも凌駕する力を持っていたために、遥か昔に天界から独立した。

 

「暇です……」

 

 彼女の名はハク。

 

 彼女は何時もの如く魔法と能力を操り暇つぶしを始める。

 

 しかし、運命の悪戯とはこの事か。

 

 ハクの魔法が誤作動し、目の前の空間が捻じ曲がる。

 

「え?」

 

 気付いた時には遅かった。

 

 その魔法はハクを飲み込み、ーー過去へと送り届けた。

 

 

 

 

 

 ーー気がつくと、彼女は広々とした平原の上にいた。

 障害物など一つもない、辺り一面に広がった草原。

 

「え?どういうことでしょうか!?」

 

 現代ではありえない光景。

 しかし、腐っても彼女は神をも凌駕する天使。困惑していても冷静に物事を考える事が出来る。

 空へ飛び、辺りを見回す。

 

 すると、遥か向こうに人影が一つ。

 

「……あの人に聞いてみましょうか?」

 

 その人に現在地、時間などを聞こうとして追いかける。

 人間と天使の速度の違いか、間は一瞬で詰まった。

 

 しかし、彼女はその人へ話しかける事が出来なかったのだ。

 

 何故ならその人は集落に住み、現代ではありえない古い道具を使っていたのだ。

 

「まさか、過去に戻ってしまった?」

 

 一瞬で答えに行き着いた。

 しかしハクは誤作動で過去に来たので、もう現代には戻れない。

 

「仕方が無いですね、この集落を見守るとしましょう。ーー私の加護がありますように」

 

 そしてハクはその集落を見守り続ける。

 

 

 一日目、集落が妖怪に襲われていたが、撃退していた。どうやら集落の住民は身を守る事は出来るようだ。

 

 

 二日目、ある一人の女の子が誕生する。名は永琳。ここで彼女は確信する。

 

 

 

 

 ここは元居た世界ではないと。

 

 

 

 

 そして、彼女の誕生から十年。

 集落が町になり、人々は電気を使い始めた。

 

「あれ?早くないですか?」

 

 そう、早すぎるのだ。

 まだハクが見守り始めてから十年。驚異的なスピードで人類は文明開化を遂げていた。

 

 そして更に六年……

 

「いやいや……幾ら何でも早すぎですよ」

 

 ハクの目の前には超高層ビル、強力な結界、更には某巨人漫画を連想させるような巨大な壁があったのだ。

 

 そして一番最初に戻る。

 

「大きい……」

 

 街を空から眺めていると、東西南北にそれぞれ門があることに気が付いた。

 

 ハクは一番近い門から少し離れた場所に着地し、自慢の白い翼を人には見えないようにして門に近づく。

 勿論頭の上の光輪も見えないようにしておく。

 

「誰だお前は!?」

 

 門番がいた。かなりの重装備だ。

 

「私は旅の者です。人影が見えたので……」

 

 旅の者だと伝えると、門番は懐から機械を取り出し、レーザーポインターのような光を彼女に当てた。

 

「ふむ、妖怪では無いようだな。いいぞ、入れ」

 

「ありがとうございます」

 

 とりあえずすんなりと街に入れたが、そこには大量の人が暮らしていて、凄い活気だった。

 

 そんな街を散策していると、不意に視界に奇妙な服の女性が映った。

 赤と青の色をした服だ。

 

 ハクはその女性に近寄り、声をかけた。

 

「あのー、そこの人。貴女が永琳さんですか?」

 

 するとその女性は一瞬躊躇いながらも、答えてくれた。

 

「はい、私は永「おらぁ!どけどけぇ!!」えっ!?」

 

 その女性が永琳という事はなんとか分かったが、ハクは通りすがり(?)の強盗に捕まってしまう。

 

「おい!この女が殺されたくないなら近づくんじゃねえ!!」

 

 どうやらハクは人質に取られたようで、首を締められていた。

 私に刃向かうとは愚かな人類だ、とは思いながらも、ハクは大人しく捕まっておく事にした。

 

「(人前だし、体力とか抵抗力も人類並みにしといた方が良いかな?)ううっ、助けて下さ〜い」

 

 しかし人質がいる影響か、誰も近づこうとしない。

 

 しかしそんな中、永琳だけは違った。

 永琳は強盗に向かって不思議な粉薬を投げた。

 恐らく攻撃のつもりだったのだろうが……

 

「あら?間違えて筋力増強剤を投げちゃったわ」

 

 薬は強盗に当たり、一気に力が腕に加わる。

 

「ちょっーーかふっ!?」

 

 そこでハクの意識は途絶えた。

 体力まで人類レベルへ下げてしまったのが間違いだったようだ。

 

 

 

 

 

 目が覚めると、知らない天井だった。

 

「う〜ん……ここは何処でしょうか?」

 

「あら、目が覚めたのね。気分はどうかしら?」

 

 どうやら永琳の家のようだ。

 

「何時もと同じ気分です。では、自己紹介でもしましょうか」

 

 ハクの落ち着いた様子に永琳は少し驚きつつも、自己紹介を始める。

 

「えらく落ち着いてるじゃない。まあいいわ、私の名前は八意永琳」

 

「私の名前はハク。妖怪では無いから安心してくださいね」

 

 お互い自己紹介を終えると、永琳が奇妙な粉薬を持ってきた。

 そして大きく振りかぶって

 

ーーハクに思いっきり薬を投げつけた。

 

「わぷっ、何するんですか!?」

 

 すると永琳は淡々と薬の効果を言い始めた。

 

「その薬は嘘をつけなくする薬よ。一定時間で効果は切れるから安心しなさい」

 

 ハクは驚いた。まさか人類がこんな薬を開発しているとは思ってもいなかったのだ。

 

「(そういえば薬の対処法は知らないですね。仕方が無いですが、本当の姿でも見せましょうか)」

 

 ハクの腰辺りから、純白の美しい翼が生える。

 そして頭の上には、綺麗な光輪が現れた。

 そして、ほぼ全てのステータスも元に戻る。

 膨大な量の神力と魔力を身に纏い、神々しくなったハク。

 

 それを見てただ唖然としている永琳。しかし一瞬で思考を始める。

 

「……ちょっとハク、聞きたい事があるんだけどいいかしら?」

 

 するとハクは永琳に微笑み、軽く頷いた。

 

「ハク、貴女は一体何者なのかしら?」

 

 薬の影響で嘘をつけないハクは、本当の事を話し始める。

 

「私は天使族。独立した天使です」

 

 『天使族』という言葉に驚く永琳。

 しかし表情には出さずに、次の質問をする。

 

「天使……能力とかはあるのかしら?」

 

「『繁栄と滅亡を司る能力』と、『創造と破滅を操る程度の能力』を持っています」

 

「能力が二つ……規格外だわ」

 

 流石の永琳でも驚きを隠せなくなった。

 しかし、こんな人が何処に住んでいたのか疑問に思い、質問をした。

 

「そう……ところでハク、貴女の家は何処なの?」

 

「ありませんよ。私は本日この街に来たばかりですので」

 

 すると永琳は何かを考え、ハクに一つの提案を出す。

 

「なら私の家に住まない?部屋なら幾らでもあるわよ」

 

 寝床が無いハクにとっては願ったり叶ったりの提案。

 

「ならお邪魔しますね。これからよろしくお願いします」

 

「ええ、こちらこそ」

 

 こうして永琳とハクの共同生活が始まった。

 

 この後、永琳はハクについて上層部と話をしてくるらしく、ハクは街を散策していても良いという事だった。

 

「さて、薬の効果も切れましたし、街を散策しましょうか」

 

 ハクは翼と光輪を見えないようにして、街に出かけた。

 

 街には様々な物があり、とても繁栄しているようだ。

 しかし、今のハクにはそんな事には興味は無い。

 ハクは、先程自分を気絶させた強盗を探していた。

 永琳曰く、あの強盗は逃げたらしく、ちょっとした復讐にと探しているのだ。

 

「愚かな人間が、私から逃げられると思ったら大間違いですよ……」

 

 ハクは探知魔法を使い、強盗の場所を調べ始める。

 すると、街から少し離れた場所の路地裏らしき場所に反応を確認した。

 

「ふふふ……待っていなさい」

 

 人間では視認不可能な速度でその場所へと向かう。

 ハクは、反応が確認された場所へと到着した。所要時間三秒、これでも遅いと彼女は言う。

 

「ここが強盗のアジト?根城?どちらでも構いません。後悔させてあげましょう……」

 

 ハクは翼と光輪を出す。

 しかし、前のような神々しさは無い。

 まるで悪魔のような笑みを浮かべ、ハクは強盗の根城へと入って行く。

 

 扉を勢い良く開けると、中には五人の強盗らしき人物がいた。

 

「な、何者だてめぇ!?」

 

「お前はさっきの女じゃねえか!!」

 

 五人は武器を構える。

 しかし、ハクは動じない。

 

「貴方達には、罰が必要です」

 

 ハクは口を三日月のように歪め、恐ろしい量と質の殺気を放出した。

 一ー軽く撫でるだけで人を殺める事が出来るような、濃密な殺気。

 

 強盗は次々と戦意を失い、腰を抜かしてへたりこんでいく。

 

「ひいぃぃ、許してくれぇ……」

 

 強盗が許しを乞うが、気にする事無く魔力と神力を混ぜ、禍々しい力を作り上げた。

 

「これは魔神の力。万物を滅亡させる、死の力。貴方は耐える事が出来ますか?」

 

 魔力と神力の融合した力、魔神力を具現化させ、真紅に染まった鎌を作り上げる。

 

 このままでは死ぬと思ったのか、強盗達は武器を構え、ハクに突撃していく。

 

 

 ーー刹那、ハクは鎌を一閃させた。

 四人の首は跳ね飛び、血が舞う。

 おぞましい量の返り血がハクを紅く染め上げる。

 

 唯一、ハクを気絶させた人間が意図的に残された。

 

「うわぁぁ!来るんじゃねえ!!」

 

 強盗の必死の抵抗。

 しかし、紅く染まった天使は無慈悲にもその人間を切り刻む。

 

 その場に残ったのは四つの首と胴体。

 元が何か判別不可能な程に切り刻まれた肉塊。

 それと、狂気に満ち溢れ、返り血で紅く染まった一人の天使だった……

 

 

「はっ!?いけない、私は何てはしたない事を……」

 

 人に見られるのはマズイ思ったのか、即座に魔法陣を足元に展開。

 

 その数秒後には、ハクは永琳の家にいた。

 

「ふう、お風呂でも借りますか」

 

 ハクが永琳を探していると、偶然にも永琳もハクを探していたらしく、廊下で鉢合わせた。

 

「ちょっとハク!?何よその血は!!?」

 

「あ、永琳。お風呂借りてもいいですか?」

 

 ややこしい事になるのは分かっているので、わざと無視をしたハク。

 永琳もその意図に気付いたらしく、諦めた顔をした。

 

「……向かって右側の奥から二番目の部屋よ。しっかり洗い流してきなさい」

 

「ありがとうございます」

 

「(あの返り血の量……少し気になるわね)」

 

 ハクは心配そうな永琳を無視して、お風呂へ向かう。

 ちょっと長めの廊下を歩き、お風呂へ到着した。

 

「お風呂より大浴場の方が適切ですね」

 

 広い。とても広いのだ。

 ハクは脱衣所で血に塗れた服を脱ぎ、カゴの中に畳んで入れる。

 

 まず、体に着いた血を洗い流し、髪、翼、体の順に洗う。

 全身が綺麗になったところで、気になっていた浴槽へと入る。

 

「これは……癒されますね……」

 

 完全に脱力しているハク。

 肩までお湯に浸かり、お風呂を堪能していた。

 

「もうそろそろ出ましょうか」

 

 ハクが浴槽から出て脱衣所へ入ると、自分の物では無い服とタオル。それと永琳の書き置きがあった。

 

『服は洗っておくから、とりあえずその服を着ておいて頂戴』

 

 永琳の書き置きの通りタオルで全身を拭いた後、永琳の用意してくれていた服を着た。

 

「これは浴衣ですかね?翼の為の穴も空いているということは、永琳が気遣ってくれたのでしょうか」

 

 ハクは永琳の気遣いに感謝して、永琳の元へと向かって行った。

 

 

 永琳は先程の廊下の近くの部屋にいた。そして真剣な表情でハクに話しかける。

 

「ハク。先程の返り血、あれは一体何なのかを説明してもらうわよ」

 

「ええ、良いですよ。まずはーー」

 

 

〜少女説明中〜

 

 

「と、言う訳です」

 

 全てを聞いた永琳は、理解したような表情をした。

 

「そうなのね……。まあ、もう今日は寝なさい。お風呂の向かいの部屋に布団を敷いてあるわ」

 

「ご理解ありがとうございます。では、お休みなさい」

 

「ええ、お休み」

 

 ハクは永琳に指定された部屋へと向かって行った。

 永琳一人になった部屋の中、

 

「スタイル……負けたわね」

 

 そう言った後、永琳は自分の胸部を見て

 

「こっちは断然勝っているのだけれど……」

 

 そう呟いた。

 この呟きは一人の部屋で少しだけ響いたそうな。




楽しんで頂けましたでしょうか?

それでは、また次話でお会いしましょう。
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