今回のお話は伝説の超三毛猫様の『HENTAIの野望〜キヴォトス同人誌化珍道中〜 』
https://syosetu.org/novel/311789/ とのコラボ話前編です。伝説の超三毛猫様、ありがとうございました。。どうか伝説の超三毛猫様にコジマの加護があらんことを。
この世界戦での設定。
・先生は『HENTAIの野望』準拠。
・今回の話の後半あたりはアビドス後、エデン前の時系列。
・グラン君が本編より強い
後編はもう少しかかりそうです……。
誤字脱字報告ありがとうございます。
Intersecting stories テーマソング『桃源郷エイリアン(serial TV drama)』
◎・本編数年前 ブラックマーケット・
「はぁ……はぁ、はぁ。流石のブラックマーケット、チンピラの質も大違いだ」
アビドスに退学届けを出して少し経った頃、グランは死にかけていた。というのも、ブラックマーケットはキヴォトスで最も危険な場所の一つ、不法と色欲で溢れ、表では手に入らない危険な火器や装備品に武装ヘリ、戦車などの兵器群が蔓延る場所だ。アビドスという僻地からやってきたグランにとって過酷な環境だった。
「ま……まだ、倒れるわけには…アビ……ドスを……」
「お、おい! 大丈夫か!? ん? だ、男子、だと!!」
本来、ここでグランを助けるのは後に一番にグランの部下となるゲヘナの少女なのだが、
◎・少女の部屋・
少女は倒れたグランを抱えて、自室に帰ってきていた。少女の名は間島スバル。トリニティ総合学園、中等部の生徒だ。そして前世の記憶を持つ、元大人兼元ブルアカの先生でもある。スバルはこのキヴォトスで、同人誌を書いていた。しかもエロ方面の。彼女にとってエロマンガを描くことこそがアイデンティティであり、この世界での自己精神剤だった。
しかし、前世の記憶を思い出す前のスバルは弱かった。
そのため同人誌を書くことと同時に体を鍛え始めた。エロを楽しむための健康な身体を。エロマンガを燃やされないための力を。エロマンガに没頭できる居場所を作るための武術を。彼女はあらゆる手段と修行をもって、手に入れようとしていた。修行の一環でブラックマーケット外縁の不良どもなぎ倒しツアーを敢行していたところグランを拾ったのだ。
「勢いで拾ってきちまったけど……大丈夫だよな? 一応、応急処置はしたけど死なないでくれよ……」
何か危険物がないかなど確認するためにグランの体と持ち物を調べるスバル。
(しかし……やっぱり男子だな。ブルアカに普通の男子? ブルアカの生徒は基本女子だ、男子生徒なぞいなかった。少なくとも、ゲームには存在していないはずだ。身体特徴は、黒い髪に赤のメッシュの長髪。左腕の欠損。目元の色がひどい、大分疲労がたまっていたのか無理をしたかだな。武器はブラックマーケットで流通しているマシンピストルだな、片腕で扱えるものがこれくらいしかなかったんだろう。財布はないな、ブラックマーケットだもんな、カツアゲにでもあったか? ボロボロのパーカー、こっちには何か身分がわかるものは……。これは名刺か? 何枚も持っているし、コイツの物で間違いなさそうだ。『運び屋 水戸グラン』か、何かヤバいブツを運んでしまって証拠隠滅に、って感じだったりするのか? 他には……これは、校章か? たしか、アビドスのマークだったような……? 本編では描かれなかった元アビドスの転校したモブだったりするのか、こいつ?)
スバルが色々なことを考えて時間を潰していると、1時間くらいたったころだろうか。ゆっくりとグランが上半身を持ち上げる。
「うっ……ここは……?」
「トリニティ総合学園中等部、第三寮だぜ」
グランはハッとしてスバルの方を向いた。まさか近くのに人がいるとは思っていなかったようだ。しばらく驚愕の表情で固まっていたグランだが再起動したようで若干頬を染めながら咳払いをして話し出す。
「そ、そうか。君が助けてくれたみたいだな。ありがとう。名前を聞いてもいいか?」
「おう、トリニティ総合学園中等部、間島スバルだ」
「俺はグラン、水戸グラン。ブラックマーケットのしがない傭兵兼運び屋だ」
これが二人の最初の出会いだった。
「ところで、グラン。お前はどんな女がタイプだ?」
「はぁ?」
スバルの突拍子もない質問にグランは宇宙猫と化した。
「初対面では絶対に聞くことにしている質問でな。理由としては人の性癖……好みのタイプにはそいつの全てが詰まってると俺は思ってるからな」
「せ、性癖っていったぞ。しかし、そ、そうなのか」
グランはスバルの説明を聞いた後じっくりと考え込んでしまった。スバルも「あ、結構真面目に考えるんだな」と思ってしまった。
「強くて、キツイ性格だけど根はやさしいツンデレ猫……かな?」
「ほほう、大した
こそれはスバルにとって満足に足りる返答であった。こうして知り合った二人はスバルのキヴォトスにいる男子を観察したい、欠損はどうした? という好奇心から交友を持つこととなった。
「運び屋か……いいこと思いついた」
「ん?」
グランの実力は修行中のスバルの足元にも及ばないものだったが、グランの脚力を活かした三次元的跳躍移動は確かに運び屋として優秀なものであった。スバルが敵をなぎ倒し、その間にグランがスバルの同人誌を運搬するという形でプリンスメロンの同人誌は本来より早くキヴォトスのより広範囲に広まることになった。既に淑女(意味深)と噂され始めていたトリニティの次期ティーパーティーに就任予定のある少女はこの事態に白目を剥いて震えていた。
こうして出会った二人は様々な時間をともに過ごして成長していく。
◎・・・
「剃……?」
「あぁ、脚力の優れてるグランなら出来ると思うんだ。これができれば戦闘も移動も一機に数段上に入れるはずだ」
「で、どうやってやるんだ?」
「一瞬にして地面を10回以上蹴って移動する」
「は?」
◎・・・
「よし、グランちょっと服を脱げ」
「仕事終わりの人間の家にいきなり押しかけておいて開口一番それか」
「なに、少しばかり男の体のモデルをしてほしいだけさ」
「片腕のないモデルとか意味ないだろ」
「おまっ! あえて触れてこなかったことを……」
「何だ、気になってはいたのか?」
「
「……いつかな」
◎・・・
「入学おめでとう、スバル」
「ッ!? グラン! 久しぶりだな! 来てくれたのか!?」
「最近、傭兵家業が波に乗ってきて、中々会えなかったからな。だが、友の高校入学日だ。今日ばかりは休業だよ」
「そっか、ありがとな」
そうして時は流れ、スバルがシャーレの所属となり、アビドスの問題を解決して少したった現在、二人はブラックマーケット内安アパートのグランの一室でスバルが結成したプレアデス性団の書いた、同人誌を呼んでいた。
「なぁ、『砂漠の国のハーレム』ってお前の作品、第五王妃だけがピックされた本とか出ない?」
「第4巻だな、ほれ。というかなんで6巻から読んでるんだお前は」
「いや、お前がストーリー構成うまいからどこから読んでも話が分かるから、つい」
スバルから受け取った『砂漠の国のハーレム』第4巻を読むグラン。スバルはふとその横顔を見て、違和感を感じる。エロ本を読んでるにしてはなんだかグランの顔が優しい、若干の悲壮感すら感じる。
「なぁ、人のエロ本見てその、なんか、自分以外と結婚した初恋の人を見たみたいな表情は一体どうしたんだ」
「え? そんな表情してたか?」
「ああ、凄く」
自身の顔を摩りながらグランはつぶやく。
「昔の知り合いにそっくりだったからかな(この、のんびりとした感じユメ先輩みたいだなぁ)」
「昔の知り合い、って……。そうなのか……(モデルは確かホシノ先輩だし、あの校章といい、やっぱりアビドスの関係者か?)」
グランのなんとも言えない表情にスバルは意を決して喋り出す。
「なぁ、グランってアビドスの生徒だったりしたのか?」
「ッ!? な、なんでそれを!?」
「最初にあった日の事覚えてるか? あの時一応危険がないか、持ち物を見せて貰ったんだよ。その時にアビドスの校章があって……」
スバルの言葉を聞いたグランは少し目を閉じた後、持っていた『砂漠の国のハーレム』第4巻を置いて、姿勢を正す。
「少し、昔話を聞いてほしい」
そうしてグランが語りだしたのはスバルの想像を遥かに超えた過去だった。
アビドスにホシノの同級生として入学したこと、過去ホシノとユメ先輩の間で奔走したこと、少したって過去ホシノとも仲良くなったこと、アビドスで大変だけど和やかな日々を過ごしたこと、『3人全滅するか、ユメ先輩を見殺しにして自分とホシノを助けるか』という問題に対して後者を選んだこと、ホシノにユメ先輩を殺した人間として扱われたこと、ホシノの攻撃で左腕を失ったこと、まともな手段ではアビドスを救えないと思いブラックマーケット入りしたこと、闇バイトや運び屋をして金を手に入れ、返済金を稼いできたこと。
「そっか、そんな過去が……」
「情けないだろ?」
「俺はそうは思わん」
「え?」
「本当に情けない奴なら、何も言わずに転校して何もせずに過ごして、そんな過去をパッパと忘れるはずだ。お前は違うだろ?」
スバルはグランの背をバシバシと叩きながらニッと笑う。
「それにいいこともあるんだぜ! シャーレって知ってるか?」
「知らん」
「連邦捜査部シャーレ! 俺はそこの部員でもあってな、アビドスにも行ったことがあるんだぜ!」
「アビドスに?」
殆どをブラックマーケットで過ごしているグランは知らないのかもしれないと、シャーレの話とその時に訪れたアビドスでの話とアビドスの現状について話すスバル。しかしホシノが『ゆるゆる~でなでしこ~な雰囲気』だったということを話し始めたあたりからグランの様子がおかしいことに気が付く。
「お、おい。グラン大丈夫か?」
「違う」
「え?」
「違う、それはホシノじゃない。盾を使う? 長い髪? のんびりとした喋り? まるでユメ先輩じゃないか!? 俺のせいなのか? 俺が逃げたから……。ホシノが一人で背負うことになって、それで……。ああ、どうしてこうなったんだ……。あああァぁあアアぁあぁあああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛アあ゛゛あ゛あ゛゛あ゛あ!!!」
「おい! 落ち着けって! クソ! 暴れるんじゃねぇ!!」
急に狂乱したグランを押さえつけるスバル。『そういえばコイツの好みの異性って……過去ホシノじゃねぇか! 好きな人間が自分のせいで死んだ人の恰好しているとか地雷すぎるな!』と内心で叫ぶ。
「俺のせいで……、俺のせいで。ホシノが……嘘だ。嘘だと言ってくれよスバル!」
「こんのッ! しっかりしやがれ! 」
「ゴハッぁ!?」
途中から縋り付き始めたグランにスバルがついに切れてグーパンをグランに叩き込んで吹き飛ばす。
「そこまで思ってるなら、そんなになるぐらい大切なら会いに行きやがれ!」
「今更……今更なんて言って会えっていうんだよ!」
「知るか!」
「は!?」
「人間、そういうときが来たら、本当に言いたいことなんか考えずにスラスラ出てくるもんなんだよ!」
倒れているグランの前に仁王立ちしてそう宣言するスバル。俯いているグランを見てスバルは溜息を吐きながら携帯を操作しモモトークを開く。相手は先生だ。
既読『どうかしたスバル?』
既読『わかった』
既読『すぐに向かうね。どこに行けばいい?』
「ほら、シャーレに行くぞ、その後アビドスだ。どんな結果になってもお前は一度ホシノと会ってちゃんと話すべきだ。先生なら絶対に力を貸してくれる。しっかり向き合え」
「い、いや。今日は無理だ」
スバルがグランを引っ張って立たせるが、グランは暗い顔をしたまま否定する。
「はぁ? この期に及んで弱気かぁ? もう一発行くか?」
スバルがこぶしを上げれば、グランは手を上げて降参のポーズをとる。
「勘弁してくれ。お前の拳はもうたくさんだ。今日はこの後大口の依頼があるんだ」
「仕事とホシノどっちが大事なんだよ」
「ホシノだからだよ。今回の報酬があればアビドスの負担をかなり減らせる。今の俺にできるせめてもの償いだ。お前の言う通り向きあって見せるさ。ただ今まで俺が何をしていたのか、しっかりと現物でも示したいんだ。だから明日まで待ってくれ」
スバルはグランの目を見る。逃げるために嘘をついている目ではなかった。仕方がないか、と肩をすくめた後に先生に謝罪と明日に時間がほしいことを伝える。
「明日、集合場所はアビドスに変更。ちゃんと来いよ」
「わかってるさ。約束だ」
スバルはグランに約束をとりつけると帰っていった。残されたグランは散らばった同人誌を片付けるとファイリングしている依頼書の束から印を付けていたものを引っ張り出す。高い報酬に、依頼を受けた時点で前金として半分支払いという破格の条件の依頼。これを成功させればアビドスの借金はかなり減る。そうすればホシノの負担もかなり減らせるはずだ。そうしてこれを渡すと同時に一人でアビドスを去ったことを詫びよう。結果はわからないが、スバルの言う通りだ。一度ホシノに会ってちゃんと話すべきだ。
「俺一人だったら、こうはならなかっただろうな。お前のお陰だよスバル」
こうして背を叩いてくれる親友のありがたさを確かめながら、気合を入れる。ホシノとの話し合いその一歩目になる依頼だ、絶対に成功させて見せる。グランは意気込んで依頼書に目を落とす。依頼者も受取人の名前も変わった感じだが、この業界で偽名なんてよくあることだ。
「運ぶものは危険物だし、慎重にルートを選ぶ必要があるな……」
グランは事前に用意したいくつかのルートを確認してあらゆる状況を想定してより細かい計画を立てて依頼の約束の時間もまで過ごす。
| 依頼者 | ゴルコンダ |
| 受取人 | ベアトリーチェ |
| 依頼内容 | 新型爆弾の廃遊園地までの輸送 |
| 報酬 | 2億(前金として半額提供) |