シャーレの部長はブラックマーケットの代表   作:四脚好き

100 / 186
85話

◎・ミレニアム オペレーションルーム・

 

ドカアアァァァァン!!

 

 ミレニアムのオペレーションルームに響き渡る爆発音と煙。一時は目の前が真っ暗になるほどの煙だったがここはミレニアム。最新の排煙装置によってすぐさま視界は開ける。それと同時にアカネはすぐに自身の武器を構え、目標に大して射撃する。

 

「くっ!? や、やられてしまいました……! ふ、復活の呪文……を……」

 

 アカネが射撃したのはアリスだった。アリスはアカネの攻撃を受けた後、姉意味アリスらしい台詞を言いながらドサリと倒れこんだ。その様子を同じように武器を構えながら眺めていたユウカ。

 

「……信じられない……。どんな方法で来るのかと思ったら、よりにもよって強行突破だなんて」

「この子がアリスちゃんですね。とっても可愛いですねー、6番目のエージェントメイドとして育てたくなってしまいます。連れて帰ってもいいですか?」

 

 アカネが気絶して倒れこんだアリスを抱えてそう言うとユウカは顔を険しくした。

 

「……それは駄目。今は生徒会を襲撃した犯人の一人なんだから……取り合えず一旦、生徒会の反省部屋にでも閉じ込めておくわ。それにしても……まさかエレベーターの『視認認識システム』を突破するためとはいえ、無理やり扉を撃ち破るだなんて」

 

 ユウカはアリスを反省室に連れていくようセミナーの役員に指示をだす。それからオペレーションルームのエレベーターの方に近づいて状態を確認する。その背中に別の役員が声をかける。

 

「確認した。エレベーターのセキュリティロックはすぐに修理するのは難しい。対処としては丸ごと取り換えるしかない」

「分かったわ、スウィンバーン。じゃあ新しいのに交換……ううん、ちょっと待って」

 

 そこまで言いかけてユウカは手を顎に当てて考え込む様子を見せる。

 

「多分だけど、あのアリスちゃんの意味分からないくらい巨大な武器……エンジニア部で作られたものに違いないわ。こういう時はいつも、エンジニア部に依頼してたけど……。そこに、罠がある可能性も捨てきれない。……一番協力そうなセキュリティを購入して、急いで取り換えて。ただし、エンジニア部製じゃないもので」

 

◎・ミレニアム 廊下・

 

「うぅっ! アリスが連れていかれちゃった!」

「落ち着いてモモイ、計画通りだよ」

「計画と知っていても……やりきれないな」

 

 アリスがセミナーの役員たちに連れていかれるのを離れた場所から眺めることしかできないことにモモイとグランは歯がゆさを感じる。しかしここでアリスを助けてしまうことは折角の計画を台無しにすることなのでどうにか走り出しそうなのを抑える二人。

 

「とりあえず……一つ目の仕掛けは、上手く行った感じかな。そうだよね、先生?」

 

 ハレはそんな二人の様子を一歩離れた所から眺めており、更に後ろにいる先生に向けて振り返って話しかける。

 

「うん、そうだね。次はエンジニア部の方に、準備が終わったか聞いてみて」

「ちょうど連絡が来てたよ、『こちらエンジニア部、トロイの木馬を侵入させることに成功した』……ってね」

 

 先生の隣にいるマキが自身のスマホを操作して先生に件の連絡の画面を見せる。

 

「ひゅーっ、それは一安心。もし失敗してたら、アリスが意味もなく監禁されただけ……ってことになるところだった」

「じゃあ、次のステップに移ろうか」

 

 そういって一行は一度その場を離れた。

 

◎・数時間後・

 

 日は落ちて、夜の帳が空から落ちてきたころ、ミドリとモモイそして先生は再び廊下にいた。

 

「……さて、始めよっか。はぁ、緊張する……。こんな気持ち、古代史研究会の建物を襲撃した時以来」

 

 ミドリが武器の点検などしながらそうぼやく。一方、モモイは通信機に向かって声をかける。

 

「ヒビキとウタハ先輩、それからグランは?」

『もう「お客さん」を迎える準備はできてるって』

 

 モモイの言葉にハレが通信機越しに答える。

 

「良いね、さすが」

「やってるのは決して良いことじゃないけどね……」

「マキとコトリの方は?」

『こっちも準備OK、待機中だよ~』

『お任せください! 私の理論上、この作戦が成功する確率は2%です!』

 

 マキとコトリが返事をして一機に通信は賑やかになる。

 

「えぇっ、ほぼ間違いなく失敗じゃん! 何で自信満々なの!?」

『えへへ、場を和ませる冗談ですよ! 逆です、98%成功するでしょう!』

 

 コトリがおどけてみせてモモイはホッと息を吐く。コタマの弁の通り場を和ませる効果はあったようだ。

 

「コトリちゃんとマキちゃんの準備も終わったなら……」

「第2段階、だね」

 

 モモイとミドリはしっかりと武器を握りしめる。

 

「それでは……先生!」

「作戦開始!!」

「はい!」

「行っくぞー!!」

 

 先生の号令で『鏡奪還作戦』が開始した。

 

◎・ミレニアム オペレーションルーム・

 

 ピピピッ、ピピピッ。電子音がオペレーションルームに響き渡る。その音を聞いて今まで待機していたユウカは目を開けて、口を静かに開く。

 

「……来た」

 

 セミナーのオペレーターたちも続々と配置についてそれぞれの仕事をこなす。

 

「監視カメラにて対象を発見しました。1番ゲート、ポイントA1にターゲットを確認。まもなくポイントA2に侵入します」

「そこまで入れば、もう脱出はほぼ不可能と見て良いのですよね? ……では、私が行きましょう」

 

 オペレーターの言葉を聞いてアカネは武器を取り出してモモイとミドリの迎撃に向かおうとする。そんなアカネをユウカは横目で見る。

 

「あら、だいぶ高く買っているみたいね。アカネがわざわざ行く必要、ある?」

「もちろんです。お客様のお出迎えは、メイドとしての基本ですから」

 

 アカネはそう告げて深く礼をしたあとオペレーションルームを後にした。

 

◎・時は遡り2時間前・

 

「じゃあ、私たちのターゲット『鏡』があるとされる、生徒会の差押品保管所について説明するね」

 

 ハレは部室中央の立体モニターにミレニアム校舎の見取り図を表示させる。

 

「ミレニアムの生徒会『セミナー』は基本的にミレニアムタワーの最上階を専用スペースとして使用している。鏡がある差押品保管所は、その最上階の西側」

「調べた感じ、入り口から差押品保管所へたどり着くには、約400台の監視カメラと50体近い警備ロボット、それにブラック企業から押収したUNAC数十体を突破しなきゃいけないみたい」

「正確には監視カメラが442台、警備ロボットたちが3種に分類されて52体だね。何でそこまで把握しているのか……という表情だね先生。単純さ、あそこのセキュリティシステムの構築に協力したのが私たち、エンジニア部だからね」

 

 ヴェリタスが説明したセミナーの警備に合流したエンジニア部が補足を入れる。

 

「うえぇ……」

「一番の問題は、保管所まで行くためには必ず『エレベーター』を使わなきゃいけないということ。このエレベーターは、生徒会の役員とか限られた人にしか通過できない、指紋認証システムが付いてる。もし仮にエレベーターを突破できたとしても、セミナー所属の生徒たちや武装した警備員がいるだろうし、何より……。最上階は、各部屋ごとセクションで分けられてる」

 

 ハレの説明が続く。その説明が続けば、続くほどモモイの顔は歪んでいく。

 

「セクション……部屋が仕切られているのは当然のことじゃないの?」

 

 ミドリが首を傾げながらハレに質問する。

 

「セクションと、セキュリティシステムとが対応している。だからもし、どこかの部屋で火事が起きたり煙が発生したら、シャッターを下ろして他の部屋と隔離したりすることもできる。もしシャッターが下りたら、これもまた生徒会メンバーの指紋でしか解除ができない。登録されていない指紋や強い衝撃に反応すると、次はもっと強力なチタン製の二番目のシャッターが出てくる。そうなると今度は、生徒会役員の指紋と虹彩、この二つの認証が必要になる」

「うーーん、ややこしい……それに何だかか凄すぎて、実感が湧いてこないっていうか……。整理すると、まず差押品保管所まで移動する方法はエレベーターしかない。それから指紋を利用したセキュリティシステムがあって、それでミスをするとシャッターが下ろされて、他のセクションに移動するのが難しくなる。それを無理に通過しようとしても、更に強力なシャッターが下ろされて閉じ込められちゃう……」

 

 ミドリは目を瞑りながら唸り数々の障害を確認する。

 

「警備ロボと監視カメラも忘れずに~」

「監視カメラについてはハッキングができそうだが……セキュリティシステムそのものについては、ヴェリタスの力でも正面突破は難しそうだね。何せ、基本的に外部のネットワークから遮断されている」

「あ、もう一つ新しい情報が入った」

「……今度は一体なんだ」

 

 ハレが手元の端末を確認して追加で情報を伝えようとすると、グランがジト目で辟易した表情をする。

 

「エレベーターに無理矢理侵入しようとすると、最上階の全部のセクションにシャッターが下ろされるみたい」

「ああもう、なんか難しいし絶望的な話ばっかりじゃん! 何かいい話はないの!?」

 

 モモイが余りに絶望的な状況に腹を立てて頭をガシガシ搔きながら大声を上げる。

 

「……弱点なら、ある」

 

 ヒビキがモモイの手を止めながら語りだす。

 

「まず、外部電力を遮断する方式に弱い。電力を絶つと自然に外部のネットワークに繋がるから、一時的にハッキングの隙が生まれる。私たちが作った超小型EMPなら、その隙を狙ってあらゆるシステムを無効化することができる。恐らく、無効化できる時間は……約6秒」

 

 モモイの手を止めた後ヒビキがバックからEMP装置を取り出して机の上に置く。その装置を今度はハレが持ち上げて観察する。

 

「6秒、か……十分だね

 




なんか……ハレが物凄く強キャラみたいになっちゃった。いや、実際凄く優秀なハッカーなんですけどね。どうしてもエナドリイメージが先行しがち……。

恐怖爆発バーン、スウィンバーン ボソッ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。