シャーレの部長はブラックマーケットの代表   作:四脚好き

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91話

◎・シャーレエントランス・

 

 なんだかここで仕事するのも久々だな……。ここ最近はミレニアムの駐車場に止めていたアレグロブリーズの中で仕事してたしなぁ。俺はエントランスで回収した書類を確認しながらエレベーターでオフィス回まで向かう。……毎回思うんだが、先生と当番の生徒数名が利用するにはこのビル大きすぎるだろ。色々な設備もそろっているが、広すぎて完全に利用しきれていないのが現状だ……。この設備を活かすためにも部員の増員は重要だな。

 

「……ついたか」

 

 エレベーターが止まる。扉があき始めたのを確認して歩き出す。

 

「お帰りなさいませ!」

「ああ……。……あぁ?」

 

 一瞬、いつもの癖で普通に返事したが、なんだ? 俺は声をかけてきた奴の方を向く。するとそこにはメイドがいた。……なぜ? いつからシャーレはメイドを雇うようになった? 先生の激務具合からたしかにハウスキーパーとかそういった人材がいた方が良いだろうが、いつのまに?

 

「あれ? 固まっちゃってどうしたの? 部長さーん?」

「職場にいきなりメイドが現れたらそれは驚くでしょう、アスナ?」

「うーん、そっかなー?」

 

 俺が固まっているとオフィスの奥から先生がやってきてアスナと呼ばれたメイドに話しかける。

 

「……俺は確かに驚愕したぞ。先生の貯金はメイドを雇うほど潤沢にはないはずだし、なによりユウカが許すとは思わなかったからな」

「ちょっと!?」

 

 先生の大きな声が聞こえるが努めて聞こえないふりをする。俺の目線は既に先生の後ろから現れた3人のメイドに向けられていた。おいおい、マジかぁ……。

 

「んだよ、その目は?」

 

 先生の後ろから現れたメイドの一人。赤髪に小柄な体躯、メイド服にスカジャンという特徴的すぎる恰好。最近味わった強烈な一撃を思い出して、完治したはずの傷が痛む気がする。

 

「あー、ネルがいるということは成程、こいつも」

「おう、C&Cだ。今日からアタシらもシャーレの世話になるからな、よろしく頼むぜ、部長さんよぉ?」

「は?」

「あと、ゲーム開発部の子たちもこれからシャーレ所属になるよ」

「は?」

 

 ネルと先生の言葉に驚いて顎が外れるかと思った。それにしても……C&Cとゲーム開発部が……。

 

「ここでは暴れてくれるなよ?」

「暴れねぇよ! ったく、お前の中でのアタシは一体どんな奴なんだよ」

「バトルジャンキー、ヤンキー、不屈、馬鹿力、強者、小柄、ミレニアムの最高戦力……」

「おーおー、なんだ? まだぶっ飛ばし足りなかったか、おい?」

「あと、美人」

「んなぁッ!?」

 

 ネルに対して思っていることを次々と口に出していく。相手はC&Cの部長、情報部の情報からの印象、人聞きの印象、そして自分が実際に戦って抱いた印象、思っていることには事欠かない。

 

「それに――「もういいっ! もういい、大丈夫だ!」……そうか」

 

 ふむ。まだまだいえることはあるがネルに止められたので、そこまでにしておく。

 

「ったく……。ったくよぉ……」

「ふふ、良かったねリーダー。"美人"だって」

「代表の好みについてはあまり情報が得られなかったので良かったですね」

「あぁ、それに個室のお店の予約についても了承されたから、これは脈アリ、という奴だろう」

「るっせぇッ!! ぶっ飛ばすぞ!!」

 

 自分のデスクに向かっている最中こそこそとC&Cたちが話していたが急にネルが大声を出して、他の奴らが若干にやけながら怒ったネルから逃げるという状態になる。

 

「……はぁ」

 

 どたばたとオフィスで走り回るその姿を見て思わずため息も漏れる。まぁ、実際に走り回っているのはアスナとネルで他の二人はある程度距離をとって静観している。まったく、一体何をしに来たんだこいつらは……。

 

「オフィスの清掃をお願いしちゃった、あんまり手が回ってないし、折角のメイドさんだしね!」

「……余計、埃が舞っているように見えるんだが?」

「……生徒は元気なのが一番!」

「おい」

 

 俺がデスクに座ると隣のにデスクの先生がこちらに話しかけてくるので思ったことを言えば、先生は苦笑いしながらそう言って視線を逸らす。思わず語気が強くなるがそれも仕方がないだろう。

 ……仕方がない。折角座ったデスクから立ち上がり手を手ていて注目を集めさせる。

 

「追いかけっこはそこまでだ。シャーレに来て部員になったからには指示には従ってもらう。……まぁ、そこまで堅苦しい事を云うつもりはない。が、あえて今は厳しく言おう。……メイドとしての仕事をしろ。C&C」

 

 頼むから指示を聞いてくれよ……。部長として舐められないために少しだけ凄んで指示をだしたが、ハッキリ言って断られたら実力差的に俺にはどうしようもない。そんな俺の虚勢がバレないように祈りつつネルたちの方を向く。

 

「そう言われちゃあ、しょうがないな。オラ、サッサと片付けんぞ」

「はーい!」

「はい。それでは私はあちらを」

「じゃあ、私は反対だな」

 

 お、おおう。良かった、上手く行った。ネルたちはテキパキと行動をして掃除を開始する。しばらくすればあれだけ荒れ放題だったシャーレのオフィスも綺麗サッパリだ。

 

「おおー! オフィスがキラッ、キラだ!」

「へへっ、アタシたちに掛かればこんなもんよ」

 

 先生の感激したような声を聞いてネルが満足げに笑う。確かにすっげえ綺麗になった。俺たち部員も、そして先生も掃除できるときは少しでもしていたんだが、やっぱり本職はすげぇや。

 

「おう、どうだ部長さんよ」

 

 ネルが笑いながらこちらに声をかけてくる。

 

「……驚いたよ。戦闘以外もしっかりできるんだな」

「どういう意味だコラァ!?」

 

 いやだって、あの普段の粗暴な態度からは見えないくらいしっかりメイドをしていたんだ。こんな感想にもなるだろう。

 

「チッ! ったくよぉ……」

「ふふふっ」

 

 そんな俺たちの様子を見て先生が楽しそうに笑っていた。というか……。

 

「先生?」

「ん? どしたの、グラン?」

 

 いや、どうしたって……。

 

「……なんで先生もメイド服を着てるんだ?」

 

 俺の視線の先にはC&Cと同じようにメイド服を着ている先生がいた……。なんでさ、いや、似合ってはいるんだけども。 

 

「え、き、記念に? それよりもこれ!」

「これは……紅茶」

 

 先生は俺のデスクに紅茶を淹れて持ってきてくれた、メイド服のまま、いや……なんで? いや、確かに先生は美人だし? スタイルもいいから似合うけど……。

 

「ほらほら! C&Cのみんなも!」

 

 そう言って先生はC&Cの連中が座っているソファーの方にも紅茶を持って行く。

 

「お、それじゃあ頂くとするか」

「わー! ご主人様の紅茶!? 飲む飲むー!」

 

ネルとアスナはソファーに座り先生が入れた紅茶を飲み。

 

「紅茶もいただきますが、私は記念撮影をしたいですね」

「とっても似合ってるぞ先生」

 

 アカネはどこからかカメラを取り出して、先生の方に向ける。その隣でカリンは先生のメイド服姿を褒めていた。そんな風景を眺めながら先生の淹れてくれた紅茶を口に含む。

 

「……おいしい」

「ふっふーん! 当然、だって先生が淹れたんだからね!」

 

 味はわからなかったが、とりあえず褒めておく。先生が胸を張ってどや顔を披露する。その先生の姿を見て、俺は思った。それは先生関係なくねぇか……と。

 

◎・・・

 

 先生の淹れてくれた紅茶を飲みながら仕事をしてしばらくたったころ、俺は一旦手を止めてネルたちの方ほ見る。

 

「そういえば、今日はシャーレの加入と部室の掃除が用件だったのか?」

 

 ずっと気になっていたことを聞いてみる。正直な話、所属申請書は郵送可だし、ミレニアムからシャーレは大分距離がある。わざわざ直に来ることは無かっただろうに。そう言ってネルの方を見れば、何やら自身の髪を弄りながら下を向いている。顔こそ見えないが、その耳は赤く染まっていた。

 

「あー、その、なんだ。……ちょっと、アンタに会えるかと思って……な?」

「ん?」

 

 俺に? まぁ、最近はシャーレにいることが多いからここに来ればかなりの高確率で俺には出会えるだろうが……。

 

「その……なんだ。……アタシはアンタと戦っただろ?」

「……まぁな」

 

 嫌でも思い出されるあの一夜の戦闘。……あ、傷が疼いてきた気がする。

 

「それでよ、あんなに苦戦させられた野郎初めてでよ。その、なんだ。……アンタのことが気になってな」

 

 いや、なんでだよ。いや、まぁ? ネルみたいな美人に気になるって言われたら悪い気はしないけども……。でも、だからってわざわざシャーレまで来るか?

 

「……それで? その、なんだ。……アンタはアタシのことどう思ってる?」

「え? あー……強い」

「ああ! もう、そうじゃなくってだな! いや、それはそれで嬉しいんだが!」

 

 うーん、対応を間違えたらしい。ネルは顔を真っ赤にしてこちらを睨みつける。……こっわ。

 

「っあ゛ーっ! とりあえず今はそれで良いっ! コレ、受け取りやがれ!」

「うおっ!?」

 

 ネルから俺の手に叩きつけられるようにして書類が渡される。その書類はセミナーからC&Cへの依頼書だった。なになに? 『オデュッセイア海洋高等学校への潜入任務』

 

「何でこれを俺に?」

「アンタも一緒に行くからだよ」

「は?」

 

 え、これC&Cへの依頼だよな。なんで俺が?

 

「前回の生徒会襲撃に代表も関与していたのでしょう? そのことはこの任務への協力でチャラにする、とユウカが言っていましたよ」

「ユウカがか……」

 

 アカネが説明をしてくれた。しっかし……成程なぁ。オデュッセイア海洋高等学校は複数の船で構成された学校。その内の一隻、豪華客船の『ゴールデンフリース号』に潜入したいと。

 

「確かに俺はゴールデンフリース号への乗船は可能だが、あそこは"凄いぞ"……色々と」

「あ?」

「まぁ、拠点として使う客室の確保とかのサポートはしてやれる。それで? いつから始める?」

 

 俺がそう言うとアカネが眼鏡を光らせる。

 

「今からです」

「……今!?」

 

 俺の驚きの声が部室に響きわたった。

 




 次回から色々な意味でブルアカを人気にしてくれた。伝説のイベント、『バニーチェイサー』編が始まります。そういえばC&Cは全員バニー化しちゃいましたが、別衣装のバニーは人気もあると思うのでこれで終わりはもったいないと思うんですよね。だから別の学園、組織がバニー化する可能性が……。皆さんは誰のバニーが見たいですか?

 評価、感想は作者の承認欲求モンスターが満たされるので執筆速度向上につながります。どうぞよろしくお願いします。

リロちゃんみたいな名ありのサブキャラ

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