シャーレの部長はブラックマーケットの代表   作:四脚好き

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94話

◎・オデュッセイア海洋高等 ゴールデンフリース号 機関室・

 

「さて……これからどうする?」

「はい。とりあえず代表が用意してくれた客室に移動しましょう。そこを作戦中の拠点とします。何かあれば逐次そちらで。その後はシステムルームに向かい、船全体の監視システムを無力化してから白兎の位置を―――」

「そこっ、誰だ!?」

 

 グランとアカネが並んでこれからの動きを確認していると突如大きな声が話を遮る。そちらに目を向けるとゴールデンフリース号のスタッフ……とどのつまり、生徒がいた。生徒はバニーガールの格好して手にはスナイパーライフルを持っていた。

 

「機関室で何をやっている!?」

「……あぁん?」

 

 戦闘を歩いていたネルは絡んできたスタッフを思いっきり睨みつける。そして次にその恰好に目が言ったのだろう怪訝な表情をする。

 

「つーか何だその服装? ふざけてんのか?」

「……? 何を言っている? それはこちらの台詞だ、なぜバニー姿に着替えていない? 警備担当でもなさそうだし……どうしてメイド服を……? 怪しいな……お客様だったら悪いが、ちょっと調べさせてもらおうか。おい、こっちだ! 集合!」

「ま、待ってくれ。ほら、これが乗船証だ、すこし道に迷ってしまっただけなんだ「……チッ」」

「ガハァッ!?」

「あーあー」

 

 グランが自身の乗船許可証を見せて穏便に済ませようとするが、バニーガール・ガードの視線がグランの乗船許可証に向いた瞬間にネルが思いっきりバニーガール・ガードを殴り飛ばしてしまう。そして吹き飛んだバニーガール・ガードが壁にぶつかり大きな音を立てる。

 

「……あ」

「まったく、リーダーは手が早いんですから……もっと代表みたいに口を使って切り抜けるとか……」

「あんなに『気が付かれないように』『スマートに』って言われてたのに」

「あはは、もう約束破っちゃったね!」

 

 ネルに吹き飛ばされたバニーガール・ガードの方を見ながら唖然とした表情を浮かべ、これから起こるであろう厄介ごとを想像し頭を抱える。

 それからアカネ、カリン、アスナの順で思ったことを述べていく。次々に攻め立てられるネルの顔はドンドン赤くなっていく。

 

「いや、何つーかその……。あー……グラン。あれだ、これはだな……!」

 

 口ゴマりながらグランに向かって言い訳をしようとするネル。そんなネルの姿を見てグランは溜息を一つ着いた後、顔を上げてネルに笑いながら話しかける。

 

「まぁ、不意な遭遇戦だったし。仲間を呼ばれる前に制圧する、という考えは何も間違っちゃいない」

「そ、そうだよな! 仕方ねぇよな! 別にまだ騒ぎになってねぇし! おし、セーフ!」

 

 グランの言葉にネルは激しく同意してニカッと笑う。しかし、奥の方から話し声が聞こえてくる。

 

「何か今、大きな声が……!?」

「さっきの声はどこからだ!? 侵入者か!?」

 

 笑顔のまま固まるネル。次々とC&Cの視線がネルに突き刺さり、次第に顔を伏せて耳が赤くなっていくネル。そしてそんなリーダーの醜態にアスナはにっこり笑って口を開く。

 

「アウトー♪」

「クソっ、一度俺の客室まで撤退する! こっちだ急げ!」

 

 グランが走り出す。その後ろをC&Cがついて走り出す。

 

「アカネ、煙幕! 爆発は無しだ、ここは機関室だからな!」

「かしこまりました」

 

 アカネがロングスカートの中に手を伸ばして何か操作をするとスカートの中からいくつかの缶が転がり落ち、その缶から煙が出て追っての視界を遮る。

 

「うわっ、なんだこの煙!?」

「ま、まさか火災か!? 消火班と整備班を呼べ!」

 

 バニーガール・ガード達が混乱し、浮足立った瞬間にその脇を潜り抜け、通りすがりに何人かのバニーガール・ガードを気絶させて機関室を脱出するのだった。

 

◎・ゴールデンフリース号 ロイヤルスイート・

 

 ロイヤルスイートの上品さを台無しにするように走り回り、客室になだれ込むグラン達。

 

「ふぅ……。追っ手は?」

「……いえ。大丈夫そうですね、上手く撒いたみたいです。顔も見られていませんし……。代表も大丈夫ですか?」

 

 部屋に駆け込んだグラン達は息を整えながら状況を確認する。アカネ話しかけられたグランは身体を確認してみる。

 

「左足がいつの間にか義足になってる」

「あ、あはは……それはちょっと、コメントしにくいのですが……」

「……ウケないか」

 

 アカネの顔色を見て自身の冗談があまり受けていないことを感じ、不服そうな顔をする。

 

「あら、そういえば……リーダー、その方は……?」

「……ん? あぁ、こいつか?」

 

 そう言ってネルは担いでいたバニーガール・ガードを床に転がす。その衝撃で目を覚ますバニーガール・ガード。

 

「こ、ここは……客室……? いったい何が? はっ! あ、アンタたちは……!」

「フッ」

「がっ! ぐはっ!? うぅ……」

 

 騒ぎ出そうとしたバニーガール・ガードはネルの殴打によって再び意識を失うのだった。

 

「わざわざ連れてきたのか……?」

「仕方ねーだろ、こいつ思いっきりアタシらの顔を見ちまったし。放っておいたら共有されちまうだろうが。とりあえず、ひと段落するまでここで寝ててもらおうか」

「確かに、仕方ありませんね。そうしましたら、手足を後ろ側で縛って……」

 

 カリンの疑問に理由を話すネル。その話を聞いて納得したアカネが素早く拘束を始める。するとカリンも手伝いを始める。

 

「目隠しもつけておこう。客室内にいることはバレたけど、それ以上の情報を渡すとどうなるか分からない」

 

 ソファにどっかり座りながらネルも意見を出す。

 

「起きて叫ばれると困っから、口にもなんか貼っとけ。……なんかのど乾いたな。おい、グランこの部屋飲みもんどこにあるんだよ」

「取ってくる。なんでも良いか?」

「おう」

 

 グランは部屋の中の冷蔵庫を開けて中からオレンジジュースを取り出してネルに持って行く。その間に拘束されているバニーガール・ガードに目線を運びその恰好に感想を述べる。

 

「これは……中々な……」

「ん? 何か変なところでもある? これくらいならいつものことだ。特に怪我もさせてないし、むしろ優しい方」

 

 カリンがグランが何かを言いよどむんでいるのを見て首を傾げる。それに続いてアカネが頷く。

 

「そうですね。もし代表がいなかったら、リーダーが四肢を縛って海に投げ捨てたりしていたかもしれません」

「るせぇぞアカネ!」

 

 ネルがグランの持ってきたオレンジジュースを飲みながらアカネを怒鳴る。アカネの言葉を聞いたグランは顔を顰めながらネルに苦言を呈する。

 

「……不法投棄は駄目だぞネル」

「そこじゃねぇだろ!」

 

 グランの苦言に思わず突っ込むネル。

 

「まぁとにかく、これで問題はなさそうだ。アカネ、次は?」

「では、拠点もできたことですし……。システムルームの掌握へ向かいたいところですが、その前にやらなくてはいけないことがありますね」

「どういうことだ?」

「先ほどリーダーが黙らせる前に、色々と言っていたじゃないですか。どうやらこの船には、特殊なルールがあるようです。このバニー姿の衣装が、まるでここでの通常の服装かのような言い方をしてしまいました。グランさんはともかく、私たちは着替えた方がよさそうです」

 

 アカネはそう言いながら眼鏡を光らせる。

 

「ああ、そういえば……そんなことを言ってたな。今まではメイド服でいれば、どこにでも潜入しやすかったけど……」

 

 カリンは自分のメイド服のスカートをつまんでクルリとその場で回る。

 

「ここにはここのルールがあるということですね、少し特殊ではありますが。ということで、円滑に動き回るためにも着替えた方がよさそうです」

「めんどくせぇなぁ……?」

 

 アカネの言葉にネルがソファの上で胡坐を掻きながら頭を掻く。そんなネルの背後に回って方に手を置きながらアカネが説得する。

 

「その方がきっと手間は減りますよ。そういうわけで、はい。先ほど拝借してきましたので。サイズも恐らく大丈夫かと。いつも見てましたし」

「流石アカネ、手際が良いじゃねぇか?」

 

 アカネの手際の良さにネルは笑顔になる。しかしその会話に疑問を感じたカリン。

 

「……? これはさっき、気絶させた彼女たちから脱がしたものだとして……。よく考えると、サイズとかは一体……もしかして今言った『いつも見てしました』って……?」

 

 首を傾げているカリンの肩にポンと手を乗っけるグラン。カリンがグランの方に向き直るとグランは首を振る。

 

「カリン……知らない方が良い事もある。ということだ」

「……そうなのか」

 

 グランの言葉の重みとその目を見てカリンも納得することにした。

 

「あ、リーダーはこちらへ。私が着せて上げます」

「はぁ? ガキ扱いしてんじゃねぇぞ?」

「あら、着方がわかるのですか?」

「分からん」

「ふふっ、では私がお手伝いしますので」

「はぁ……」

 

 ネルはウンザリした顔をしながら手に持っていたバニー衣装をいじくりまわす。そして何度も首を傾げる。

 

「おい、これどうやって着るんだよ。ってか何だこの形状、本当に服なのか?」

「あらあら、ちょっと待ってくださいね。さて。着替えて、システムルームへ向かって、その後は……」

「着替えるなら俺は外に出て置く……ぞ……。ん?」

 

 グランが着替え始めたC&Cから目を逸らし部屋のそとに出ようとするがあることに気が付いて部屋の中を一度見回す。そんなグランの様子に気がついたアカネがグランに目を向ける。

 

「代表、どうされましたか? 何か気になることでも?」

「……いつから逸れたのかわからんが、アスナはどこ行った?」

 

 グランは部屋の中を探しながらアスナを探す。そんなグランを見てC&Cは一瞬疑問符を頭に浮かべたが、そのあとすぐに納得して笑みを浮かべる。

 

「……? あ、なるほど……そういうことでしたか。代表は私たちの作戦に同行するのは初めてでしたね」

「アスナ先輩については、気にしなくても大丈夫。元々そういうものというか……」

「行ったところで、おとなしく聞くやつでもねぇしな」

「そうですね、遊撃隊とでも言いますか……アスナ先輩は、自由に動き回る方が向いているタイプでして。勿論最初のブリーフィングで色々とお伝えしますが、後は自由に動き回られます。いつものことなんです」

「成程。なら……、良いのか? まぁ、取り合え巣へ外に出ておくから着替えてくれ」

 

 そう言ってグランはバルコニーに移動して海を眺めながら後ろから聞こえる喧噪を聞こえないふりをしてタバコに火をつける。そのまま、長いようで短い時間が経過した。

 

 





「好きな人間グラゴンが~。好きな人間を発表します。
 かぁさん
 ユメ先輩
 とぉさん
 あの日、あの時見た桃色髪
 小鳥遊ホシノかな? それって小鳥遊ホシノ(過去)だね。
 好き好き大好―――ぉえッ!!」

 最近はやりの曲を自分風に替え歌して歌っていたグランが突如口元を抑え込み蹲る。その様子を眺めていたキッド4こと衛府フセが呟く。

「あーあー、代表無理して変な替え歌歌って、『汚れた自分じゃ、ホシノとは釣り合わない』とか思っちゃって体が拒絶反応起こしちゃってるっス。足をトばした時から思ってたっスけど……ホンっとイイ表情で苦しむっスよね。涎が出ちゃうっスよ」

 呟いた後、フセはグラン駆け寄って介抱をする。グランの背を摩りながら一言。

「聞いてて思ったんスけど代表の好きな人ってもう会えない人ばっかっスね」
「う゛ぉえ―――」

 今度こそグランは吐いた。

リロちゃんみたいな名ありのサブキャラ

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