シャーレの部長はブラックマーケットの代表   作:四脚好き

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103話

◎・ブラックマーケット 市街区・

 

 スナイパー組の援護もあり無事に降下した生徒たち。ディフェンダーチームとして正義実現委員会と修行部が民間人の避難場所、そして撤退地点として拠点を設営し、設営時の護衛として風紀委員会がその場に残った。他の対策委員会、便利屋、C&C、イズナ、ワカモは侵攻の準備を整えていた。そんな中、ワカモがいち早く動き出す。

 

「私、グランさんの命令を聞く気はそれほどありませんので、好きに暴れさせてもらいますわ」

 

 そう言って走り出し、炎の中に消えたワカモ。他の面子も厄災の狐には好きにさせた方が良いと思っているのか誰も止めはしなかった。

 

「屋内戦闘になれてる私たちは資料にある建物内を回って薬品工場を探してくる」

 

 便利屋のブレインであるカヨコがそう手を上げて発言する。するとイズナも手を上げる。

 

「でしたら便利屋殿達は東を、西はイズナが参ります。忍びとして完璧に任をこなして見せましょう!」

「し、忍び……? それはよくわからないけど任せるね」

「はい! お任せください、カヨコ殿、ニンニン!」

「ふふふ」

 

 明るく笑いながら手で印を組んで見せるイズナが可愛く思えたカヨコは無意識の内にイズナの頭を撫でていた。

 

「わぷっ、か、カヨコ殿?」

「えっ、あ!? ご、ごめん」

 

 イズナに声をかけられたことでカヨコは正気に戻りイズナの頭から手を離す。そんな様子を見ていた他の便利屋メンバーはこそこそと話し出す。

 

「狐って確かイヌ科よね? まさか猫以外にもあんな優しい笑顔を向けるとは新発見ね」

「えー? でもハルカちゃんもアルちゃんも偶にあんな顔向けられてるよー?」

「え゛っ!?」

「あわわわ、カヨコさんの貴重な笑顔を私なんかの為に……」

 

 その光景を横目で見ていたネルが笑みを浮かべながら銃のグリップをしっかりと握り直す。

 

「あっちが建物の中を見回ってくれんなら、アタシらは正面から相手とヤリあうか! この前の任務でできなかった分も大暴れしてやんよ! ……おいアンタ」

 

 ネルは引き金に指をかけてはいないが、銃口をホシノに向ける。

 

「うへー、おじさん?」

「お、おじさん? ともかくピンク色髪のアンタだ」

「ん? 一体何の用かな?」

 

 ひらりと身体を移動させて万が一ネルが発砲したとしても流れ弾が後輩たちの方にいかないようにするホシノ。

 

「雰囲気に誤魔化されそうになるがアンタ、相当な手練れだな。アタシとどっちが多くあいつらをぶっ飛ばせるか勝負しろ」

「いやー、若い子は血気盛んだねー。でも、おじさんはもう歳だからそんなに動けないよー」

 

 ネルの言葉にホシノは肩を竦めながら返事をする。ホシノの態度が気に入らなかったのか顔が強張るネル。そんな二人を見て、アスナとアカネが止めに入る。

 

「リーダー! 強者が気になるのはわかりますが、今は大事な作戦中ですし、やめときましょう!」

「ごめんねー、ウチのリーダー喧嘩っ早いから」

 

 二人に抑えられてはネルも諦めたのか踵を返す。しかし去り際に一言。

 

「へっ、それならあたしが一番活躍してグランの奴に褒めてもらうとするか」

「は?」

 

 ネルの一言に今まで細目だったホシノの眼が見開かれ、ネルの方を向く。

 

「今、なんて言った?」

「"昔の女"には関係ねぇよ、小鳥遊ホシノ」

「ふーん、私の事知ってたんだ」

 

 辺りには火の手が上がっているというのに急に寒気を感じ始めるノノミ、シロコ、セリカ、アカネ、アスナ。二人がつかつかと歩み寄るのを見てアスナとアカネだけでなく対策委員会も慌てて止めに入る。

 

「ちょちょちょちょ、ストップ、ストップ! ホシノ先輩!」

「リーダー、なんで煽るようなこと言うんです!」

「ん、止まらない」

「リーダーったら強気ぃー♪」

「落ち着いてください、ホシノ先輩。それに……先輩が昔の女性なのは本当の事じゃないですか☆」

「え!? ノノミ先輩!?」

「ノノミッ!?」

 

 ノノミの発言にビタリと止まるその場の空気。ギリギリと音を立てるようにノノミの方を振り返るホシノと分かってるじゃねぇか、とでも言いたげな笑みをノノミに送るネル。

 

「まぁ、そちらのリーダーさんも何時まで今の女気取りでいられるかは分かりませんけど☆」

「あ゛?」

「「!?」」

 

 次のノノミの発言に今度はネルも顔を歪め、ホシノは笑みを浮かべ、セリカとシロコの二人は"お前もか!"という感情のこもった視線をノノミに向ける。

 

「ノノミちゃーん、いつもよりちょっーと突っ込みが鋭くない? おじさんビックリしちゃった」

「ふふふ☆」

 

 尋常ではない剣呑とした雰囲気に気が付いたのか、イズナや便利屋もいつでも三人を抑えられるように構えながらも女同士の戦いに少しばかり目を輝かせる。

 

「おおー、アルちゃん見なよ。女の戦いって奴だよ。代表も罪な男だよね……」

「ど、どうしますか、問題が起きる前に吹き飛ばしますか!? 吹き飛ばします!?」

「やめなさいハルカ! そんなことした方が問題が起きるわよ!」

「カヨコ殿、カヨコ殿、どうしてイズナの目を塞ぐんですか?」

「……いや、なんか……あんたはまだ見ない方が良い気がして」

 

 いつ戦闘が始まってもおかしくない空気感のなか、遂にホシノとネルが銃を抜き放つ。瞬時に身構えて、二人を止めようとする周りの生徒。しかし二人は互いに見当違いの場所に向けて発砲。

 

「ぎゃッ!?」

「グボゥァッ!?」

 

 二人が発砲した先に丁度レジスタンスが現れ二人の射撃で沈む。

 

「やっぱタダモンじゃねぇな」

「少しばかり長話しすぎたかもね。……最初の勝負、受けて上げる。それでどっちが上か教えてあげる」

 

 ホシノはそう言って盾の裏側からサブアームの拳銃を取り出して左手に持ち、畳んだ盾を背中に背負う。右手のショットガンと左手に拳銃の変則二丁持ち。ネルも二つの愛銃をしっかりと握り絞めて、二丁を繋ぐチェーンがまるでネルの気迫に応えるようにギャリギャリと音を立てる。

 

「何か勘違いしてるみてぇだから言っておくが……そっちが挑戦者だからな」

「……どっちでもいいよ」

「んじゃあ、行くぞォ!」

 

 ネルの掛け声で走り出すホシノとネル。市街区の中心部に向かって一直線に走っていき、銃声とレジスタンスの悲鳴をかき鳴らしながら二人の姿はあっという間に消えた。

 

「あー、もう何なの先輩も! そっちのリーダーも!」

「申し訳ありません……」

 

 セリカが地団駄を踏みながらそう怒鳴るとアカネも返す言葉がないようで眉間に手を当てながらセリカに謝罪の言葉を投げる。

 

「もう、二人とも行っちゃったし私たちは私たちで二人が取りこぼした相手がいないか確認しながら行こっか!」

「ん」

 

 アスナの提案にシロコが頷いてアカネとセリカも話を聞いていたのか頷いて行動を始める。そんな中、ノノミだけが俯いて、その場を動かなかった。そのことに気が付いたシロコは足を止めて振り返る。

 

「ノノミ?」

「……私だけ」

「ん?」

「私だけ、反応できなかった……」

 

 ノノミは舌を向いたまま下唇を噛み、ギュっと自身の銃のグリップを強く握り占める。グランの立場は普通ではない、複雑に権力が絡み、危険がまとわりつく。そんな彼の隣に立つことを望むなら、それ相応の"強さ"も求められる。そのことをノノミは理解していたため、とっさの敵に反応できなかった自分と、見事に反応して見せた二人との間に力の差というものを叩きつけられた。ネルが最初からホシノのみに狙いをつけて勝負を挑んできた理由もわかった。

 

「最初から、相手にされていなかった」

 

 結局言葉による挑発も一瞬しか気を引けていなかった。悔しがるノノミの肩にシロコは手を置く。

 

「ノノミ、気にする必要はない。私も反応できなかったし、先生はこう言ってた。『競うな 持ち味をイカせッッ』 って。ホシノ先輩にはホシノ先輩の強さが。ノノミにはノノミの強さが私はあると思う」

「私の強さ……」

 

 シロコの言葉を聞いてから銃を一度置いて、ジッと自分の手の平を見つめるノノミ。そうして数秒たった後ノノミは十を持ち直して顔を上げる。その顔は先ほどまでの思いつめた表情ではなく、いつもの明るい雰囲気に戻っていた。

 

「シロコちゃん」

「ん?」

「応援、ありがとうございます☆」

「ん。グランは元々アビドスだし、アビドスに来るべき。アビドスの中で誰がゲットするかは手助けできないけど、他校に取られないようには協力する」

 

 シロコはそこまで言って親指を上げてグッドを作る、

 

「それじゃあ、遅れを取り戻すためにも急ごうノノミ」

「はい☆」





 シロコ・テラーにホシノ臨戦、おまけにミカも……3天分もあった石が消えちまったよアロナ……。アロナぁッ!? 

 当小説ではカヨイズはありまぁす!


 評価、感想は作者の承認欲求モンスターが満たされるので執筆速度向上につながります。どうぞよろしくお願いします。
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