シャーレの部長はブラックマーケットの代表   作:四脚好き

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108話

◎・ビーハイヴ秘密拠点・

 

「急げ! いつ敵がここに来るかもわからん! 出来るだけ多くの物資と記録を持ち出せ! 世に平穏のあらんことを!」

「「世に平穏のあらんことを!」」

 

 ビーハイヴ幹部の男が部下たちに教団の掛け声をかける。部下たちも男に掛け声を返し、せっせと荷物をトラックに運び込む。幹部の男は焦っていた。この拠点は現在ビーハイヴのメインの金策拠点であり、これからもビーハイヴという組織が活動していくには必要な情報と物資がこの拠点に詰め込まれているのだ。そんな拠点の移動とその護衛を任されたのだ失敗は決して許されないというプレッシャーが幹部の男の肩にのしかかる。

 

「そもそも何故私がこんな……ッ」

 

 部下たちに適格に指示を出しながらも幹部の男は苛立ちを隠せずにいた。この幹部の男元々は教団内で『キングビー』と呼ばれ、クイーンビーの次に権力を持つ組織のナンバー2の立ち位置だった。クイーンビーの亡きあとは自身が教団を率いてブラックマーケットを、ひいてはキヴォトスを手中に入れて見せようと意気込んでいた。それが数か月前、『キラー』なる人物を突然クイーンビーが連れてきたのだ。それで男の人生は滅茶苦茶になった。なんとクイーンビーはキラーにビーハイヴの全権を与えたのだ。お陰で男の権威は失墜、『キング』の称号も剥奪され今やただの幹部の一人だ。

 

「どうにかこの苦境を乗り越えて再び権力を手に……ッ! 総員警戒!」

 

 男、キングビーがそう叫ぶと全員が一度手を止めて武器を手に取る。そして次の瞬間狙撃が始まり、トラックのタイヤに穴が開く。

 

「敵襲! 迎撃体勢!」

 

 工場の正門が吹き飛びハルカとムツキが姿を現す。

 

「命令ですので……死んでください、死んでください、死んでください!」

「やっほー、遊びに来たよ!」

「我らの本懐を妨げる愚か者ども…… 消えよ!」

 

 ムツキとハルカが攻撃が始める。寸前にキングビーの警告があったとはいえ、正門の爆破から煙に紛れてのショットガン、マシンガンの乱射に対応できずに何人かの信者は倒れる。その中でも元ナンバー2と言うだけあってキングビーは素早く襲撃に対応して回避と同時に攻撃を開始する。

 

「撃て! 信者たちよ! 敵は二人のみ、いかほどに強力であろうとも我らが信仰の前には無力よ! 世に平穏のあらんこと!」

「「世に平穏のあらんこと」」

 

 すぐにそのあり様を戦場へと変えた工場。ビーハイヴにとって重要な拠点という事もあり、キングビーを始め護衛は腕利きが集まっており、最初こそ出鼻をくじかれたが既に体勢を立て直し始めていた。

 

「敵には狙撃手が付いている。同じ場所に2秒以上留まるな! 常に移動しながら攻撃しろ! それかッ!? そこか!!」

「きゃうんッ!?」

 

 言葉を途中で遮ったキングビーは突然後ろを振り向いてハイキックを繰り出す。するとそのキックは丁度背後から音もなく奇襲しようとしていたイズナを的確に地面にはたき落とした。

 

「このっ、女狐がァッ!」

「うぐぅっっ!」

 

 地面に落ちたイズナの腹を更に蹴り飛ばし、ハルカゆムツキのいる方に吹き飛ばすキングビー。倒れたイズナに射線が集中するとハルカがすかさず前に出て身を盾としてイズナを守る。

 

「は、ハルカ殿!?」

「だ、大丈夫です。私、頑丈なので」

 

 心配の声を上げるイズナにハルカは余裕たっぷりに返事をするが、服はボロボロになり、傷も出来てる。明らかにアルたちの旗色は悪かった。

 

「うえ~、アルちゃーん相手大分強いよー。それに爆弾も使えないし、ちょっと不味いかも」

『分かってるわよ! でも、この場でやつらを放置も出来ないわ。援軍が来るまでどうにか耐えるしかない。……ムツキ、ハルカ! 思いっきり爆破させちゃいなさい!』

『ちょ、社長!?』

「え、良いの! やったー♪」

「アル様の命令なら全部吹き飛ばします!」

 

 アルの決断に本部と通信していた、カヨコは驚いて、ムツキ、ハルカは喜んだ。

 

『確かに敵の情報が紛失してしまうかもしれないわ。でも、それはあなた達の無事には変えられないわ。代表には私が謝るわ。だから思いっきりやっちゃいなさい!』

「おっけ~。それじゃあ、やっちゃうよ! ば・く・は・つ♪」

 

 本来の戦法と言っても過言ではない爆発物の縛りが消えたことにより本来の実力を発揮しだした。

 

「おぉー、これはイズナも負けていられませんね! 空蝉の術!」

「き、消えた!?」

「後ろです! ニンニン!」

「ぐはぁっ!」

「後ろに回られた!? 妙な技を使うぞ、全員警か――がっ!?」

「死んでください、死んでください、死んでください!」

「こ、コイツ、全然止まらねぇぞ!」

 

 ハルカに大して攻撃をするが、ハルカはそんな攻撃をなんとも思っていないのかショットガンを連射し続ける。痺れ切らして信者の一人が警棒を取り出して掘るかに殴り掛かる。

 

「ウオォォォッッッ!」

「っく……う、うわぁぁぁぁぁ!」

 

 警棒を銃を盾にして受け止めて少し硬直したあとハルカは大声を上げて信者を押し返して体勢を崩す。そこに思いっきりボディーブローをぶち込み、信者を吹き飛ばす。自分の方に吹き飛んできた信者をさらに蹴り飛ばしながら悪化する現状にキングビーはイラつきを隠せなくなっていた。

 

「……っち! 腕一本でも道連れにすればいいものを、役立たず共が! 貴様らも!代表の連中も!!私の邪魔をするものは、皆死ねばいい!!」

「き、キングビー?」

 

 行き成り別人のように切れ始めたキングビーに回りの信者たちが引く。そんな時、カヨコの無線に吉報がもたらされる。

 

『みんなお待たせ、援軍の到着だよ』

「おっそーい! それで援軍はどれだけ来たの?」

 

 マシンガンを連射しながらムツキがそう言うと、ムツキの隣に黒い影が落ちてくる。突然落ちてきた黒い影に驚くムツキ。影はゆっくりと立ち上がりその姿を現す。

 

「援軍。正義実現委員会、総勢1名。剣先ツルギだ。キヒヒ」

「わー……強そうー」

 

 

◎・・・

 

「ったく、苦心して作り上げた金策だったが、お前らのせいで台無しだ。せめて代償は払ってもらうぜ」

「くっ!」

 

 グランのクローンというだけあって高い脚力を活かして、高くジャンプをして空中で身を捩りながら的確にホシノに攻撃をしてくるキラー。ホシノはそんなキラーを迎撃しようと狙いを定めるが視線の横でクイーンビーが動いたのを確認して急いでその方向に盾を向ける。

 

「ちっ、勘は変わらず冴えておるか」

 

 自身の狙撃を防がれたクイーンビーはそう悪態を付きながらすぐに信者に援護射撃を命じる。降り注ぐミサイルの爆発範囲から逃げようとするが……。

 

「ホシノ」

「っ!? ぐ、グランの真似をするなぁ!!」

 

 間近に接近していたキラーの言葉に硬直してしまう。すぐに偽物であることを思い出して動き出すが、その数舜の硬直は明確な隙になってしまった。

 

「愚か者め!」

「この顔がそんなに好きか?」

「グはぁッ!!」

 

 足にクイーンビーの狙撃を受けて体勢を崩したところにキラーの蹴りが胴に叩き込まれ、ミサイルの方に吹き飛ぶホシノ。ミサイルは転倒して動けないホシノに集まり爆発。ゴロゴロと爆炎に吹き飛ばされるホシノ。手足に傷がついて、どこかで打ったのか額から血が流れている。

 

「ふんっ、俺のオリジナルを倒した人間だというから警戒したが大したことないな。オリジナルが弱いのか、俺が強いのか……」

 

 キラーはゆったりとした足取りで吹き飛ばしたホシノの元まで歩いていく、そしてホシノの近くで片膝をついて倒れたホシノの顔を見る。

 

「……これがオリジナルが執着している女か」

 

 その顔をじっくりと見つめるキラー。その表情は無に近いものだが、僅かに苛立ちを含んでいるようにも思えた。

 

「分からんが、この女を見ているとなんだかイライラしてくる。オリジナルの影響か? ……だとしたら余計わからん、オリジナルはこの女にご執心なはず。……内心怒っているのか、この女に?」

 

 倒れているホシノの顔を掴んで持ち上げるキラー。触れられたことで流石に目が覚めたホシノ。

 

「うっ、お、お前はグランの偽物……」

「その言い方は気に入らんな。俺は『キラー』お前を殺し、オリジナルを超え。俺はキヴォトスの王になる」

「ふ、ふふふ、成程ね。確かにグランじゃないね、お前は。グランだったら絶対に言わないことだよ、それ」

 

 キラーの言葉に思わず、笑いが噴出してしまうホシノ。そんなホシノの態度が気に入らないのか、キラーはホシノの顔を掴んだまま、再び地面に叩きつける。痛みに顔を歪めるホシノ。

 

「いっ、っう……。女の子はもう少し丁寧に扱ったらどうかな……」

「本当に口が減らない女だ。まぁ、そんな言葉ももう聞かないで済む。総員、攻撃用意」

 

 キラーが手を上げて号令を出す。クイーンビーや信者たちが武器を構えてホシノを狙う。そしてその手を振り下ろそうとした瞬間。クイーンビー、信者たちに無数の銃弾が降り注ぐ。

 

「小鳥遊ホシノ!」

「なに、へばってんだテメェ!」

「空崎ヒナに美甘ネルか……むっ!」

 

 ヒナとネルが横合いから姿を現してクイーンビー達を牽制したのだ。その二人の姿を見て珍しいものを見たようなリアクションをしていたキラーだか、視界の端で光る何かを感じすぐに跳んで障害物へと見を隠す。次の瞬間には先ほどまでキラーがいた場所にミニガンの掃射が着弾する。

 

「ホシノ先輩!」

「ん、無事?」

「そんな訳ないでしょ、援護するからシロコ先輩ホシノ先輩を確保してきて!」

 

 ノノミ、シロコ、セリカだった。

 

「リーダー、お待たせー!」

「申し訳あれません、遅くなりました」

「委員長、援護する!」

 

 更に、アスナ、アカネ、イオリが姿を現す。次々に現れる各校のネームドにキラーは流石に限界を感じる。

 

「流石に限界だな。クイーンビー、例の物を起動しろ」

「了解した」

 

 クイーンビーに指示を出した後、障害物から姿を出すキラー。

 

「え、グランさん!?」

「グラン、テメェ何してんだ!?」

 

 ノノミとネルが驚いて声を上げる。他の面子も声こそ上げなかったが驚いた表情をしている。そんなネル達にキラーは逆にあきれ顔を浮かべる。

 

「お前たちはそればっかりだな……。もう少し変わったリアクションを見せてくれないものか」

「おい、小鳥遊ホシノ! アイツは一体なんだ!?」

 

 ネルがキラーたちに銃を向けて警戒しながらも事情を知っているであろうホシノに質問する。シロコに支えられながらホシノは答える。

 

「グランの……クローン。そしてビーハイヴのボスを今はしているみたい」

「グランの……」

「クローン……ッ!」

「そうだ。そして近い将来このキヴォトスに王として君臨する。俺はキヴォトス統一の象徴になるんだ」

「キヴォトスの統一……?」

「アレを!」

 

 キラーは両腕を広げ、自身の野望を口にする。その背後にビーハイヴの巨大輸送ヘリとそれに懸架された巨大兵器が現れる。

 

◎・上空・

 

「退避しろ、退避!」

 

 グランは大慌てで上空のヘリ部隊に指示を出していた。はビーハイヴが持ち出した巨大平気に見覚えがあったからだ。

 

「先生にも連絡を入れろ! 作戦は失敗、一時撤退すると! 作戦を練り直さないとアレは倒せん!」

 

 そう言ったあと、忌々し気に市街区に運び込まれた巨大兵器を睨むグラン。その兵器は円盤に6つの足が生えたような独特の形状をしており堅牢な装甲に身を包んでいた。兵装の様な物は視認できないがその圧倒的質量は動くだけでとてつもない破壊力を秘めている。

 

「プロトタイプL.L.L こんな物を持ち出すか!」

 

◎・・・

 

「今、この瞬間から俺がキヴォトスのを支配する新たな時代が始まる。……一つ問おう。新時代を作るのには何が必要だと思う? そう、破壊だ」

 

 キラーのその言葉を合図としてヘリからプロトタイプL.L.Lが投下され、地面に舞い降りる。そして辺りはその衝撃で大きく揺れ、視界は砂塵にまみれた。

 

 





 没案2
 名前『コーラ・フレイ』 ミレニアムの新素材開発部に所属している青年。自身の名前をもじった新エネルギー『コーラル』を研究している。アリスの武器『光の剣』のエネルギー源としてコーラルを提供していた。この世界戦では光の剣は赤い光線となっている。普段は礼儀正しい青年だが、ブち切れると上半身の服を破り捨てて銃すら捨てて殴り掛かってくる。
「行儀の良いふりは、もうやめだ。今より、俺はコーラ・ルー! 戦士よ!」

 没理由コーラ・ルーがやりたかっただけでなんも考えてなかった。
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