シャーレの部長はブラックマーケットの代表   作:四脚好き

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111話 

◎・探索チーム・

 

「どう見てもあいつの仕業ね! 全員、生きて帰るわよ!」

 

 アルは自身の愛銃をしっかりと構え、突進して距離を詰めようとしている男に向かって発砲する。しかし、『NO.7』とタトゥーのある男はアルの狙撃を華麗に避けて見せた。

 

「嘘ッ!?」

 

 トンネルと言う狭く、薄暗い空間での狙撃、その一撃に自身を持っていたアルは自身の攻撃が避けられたことに驚きを隠せなかった。しかし、すぐに切り替えて指示を出す。

 

「ムツキ、弾幕お願い! ツルギとハルカは前進! 交互に攻撃を仕掛けてお互いの隙をカバーし合って! イズナは得意の忍術で混乱させちゃいなさい!」

「りょーかい!」

「行きます!」

「キィヒヒヒヒヒ!」

「参ります!」

 

 ムツキは近くの車のボンネットを支えとして銃身を置いて安定性を高めたうえで射撃を開始する。その弾幕のなかツルギ、ハルカ、イズナはNO.7に突っ込んでいく。NO.7はムツキからの弾幕を狭いトンネルの中、壁や車の残骸を足場に跳び回り回避する。

 

「秘技!炸裂手裏剣!」

「ぁんだぁ?」

 

 イズナは掛け声と共に手裏剣を投げる。それは丁度、跳び回った後着地したNO.7の足元に突き刺さる。するとバンッ、と小気味いい音を立てながら、手裏剣が破裂してその破片が当たりに飛び散る。銃弾でも傷が残る程度のキヴォトス人にとって手裏剣の破片程度は大したダメージにはならないが、眼や口内などの防御が薄いところに入らないように顔を腕て覆ってガードするNO.7。

 

「けっ、こけおどしかよ。大した事ねぇ―――ッッチぃ!」

 

 手裏剣が破裂した際の威力に大げさに防御した自分がバカらしかったのか笑いながらイズナの方に顔を向けたNO.7の視界に映ったのは至近距離まで接近し、自分に向かって蹴りを放とうとしているツルギの姿だった。再び腕を盾にして防御姿勢をとるNO.7。しかし、正義実現委員会委員長の蹴りは凄まじい威力でNO.7の体は全力で蹴られたサッカーボールのような勢いで吹き飛ぶ。そのまま背後の車に衝突するNO.7。その威力で車のドアは拉げ、車体からは煙が上がりトンネル内に車の盗難防止用アラートがけたたましく鳴り響く。しばらくして発砲音。盗難防止用アラートの音が消えた、煙の中から、首の骨をゴキゴキと鳴らしながらNO.7が現れる。

 

「ははっ、ようやく面白れぇ奴らが出てきやがったな……。精々俺を楽しませろや!」

 

 今度は射撃を織り交ぜながら、ツルギに向かって突撃するNO.7。迎え撃つために同じように射撃をするツルギ。しかし、セミオートのNO.7に対してレバーアクションのツルギ、攻撃速度には差があり次第にツルギが押され始める。そして二人の距離が近づいて先ほどの仕返しとばかりにNO.7がヤクザキックを繰り出し、その蹴りがツルギの身体に触れそうになったその瞬間、ツルギの身体が音と煙を立てて、狐の人形へと姿を変えた。

 

「はぁ?」

 

 NO.7が仰天し固まった瞬間、煙の中を足が通過していく。そしていつの間にかNO.7の懐の内にいたハルカにゼロ距離での射撃をされ吹き飛ぶ。

 

「ガァッ!?」

 

 大きくよろめく、NO.7。しかしその脳内で歯冷静にハルカがどこから現れたかを分析していた。

 

「(そうか、このガキ。ずっと黒髪女の後ろで待機していやがったのか! そして黒髪女が空蝉の術とかいうので煙になってせいで俺は身体をこのガキに無防備に晒すハメになったってことかよ)クソが!」

「ひ、ひっ」

 

 よろけながらいきなり罵倒の言葉を叫んだNO.7にハルカは驚いて硬直してしまう。その隙を見逃さずNO.7は体勢が崩れたのとは逆の手に持っていた大口径ライフルでハルカを撃つ。

 

「あぅっ」

「ハルカ! よくもッ!!」

 

 ハルカがNO.7の攻撃を受けて傷ついたのを見てアルは怒りの声を上げながら、狙撃。今度は狙い通りに狙撃は命中し、NO.7の喉元に強烈な衝撃が走る。仰向けに倒れるNO.7。

 

「ぐほっ、ごほ、くっ……そッガア゛ッ゛! ッ!」

「避けますか!」

 

 仰向けに倒れ息を整えつつもこんな子供たちに言いようにされているという事実に怒ったNO.7が大声を上げると何か煌めくものが落ちてくることに気が付き急いで転がり避ける。すると先ほどまでNO.7が倒れていた場所にクナイを構えたイズナが落ちてくる。イズナはよけられたことに驚きつつ、すぐにその場を離脱しようとする。

 

「逃がすか! 厄介なガキめ!」

「キャッ!?」

 

 離脱しようとしたイズナの尻尾を掴んで地面に引き倒すNO.7。急に尻尾を引っ張られて体勢を崩したイズナ。立ち上がってイズナの腹を力を込めて踏みつける。

 

「あぁ゛っ゛!」

「その足をどけろッ!」

「おっと、あぶねぇ」

 

 苦痛の声を上げるイズナ。グリグリと踏みつけられるイズナ、その足をどかそうとツルギが攻撃を仕掛けるが、NO.7はなんとイズナの腹に乗っけた足を軸にバレエのように回転することで回避して見せた。

 

「あ゛あ゛ァッ……イズナから、降りてください!」

「ほらよ!」

 

 イズナが自身の腹にグリグリとめり込む足に激痛を感じながらも銃を構えて自分の上からNO.7をどかそうと射撃する。それを宙返りで避けるNO.7。

 

「離れた!」

 

 イズナからNO.7が離れたのを確認したムツキが再び攻撃を開始して、倒れたハルカやイズナから離れるように攻撃する。

 

「カヨコ、今のうちにハルカを回収!」

「分かった!」

「ツルギっち、そろそろリロードかも!」

「キィヒヒ、準備は出来てる」

 

 カヨコはトンネルの中を音もなく走り抜けて、ハルカの元へ向かう。それと同時にムツキはツルギにそろそろ自身の銃が弾切れになることを告げる、それを聞いたツルギは笑いながら自身の銃を構える。そしてムツキの弾幕が切れると同時に突っ込むツルギ。そんなツルギに気が付いてNO.7も好戦的な笑みを浮かべてツルギの方に両手の武器を向ける。

 

「っしゃ、来いやぁぁぁああ!」

「キェェェェェェエエエ!」

 

 NO.7からの攻撃を物ともせずに攻撃を続けるツルギ、ツルギからの攻撃を紙一重で躱したり、受ける時の角度を調整することでダメージを最低限にするNO.7。両者の激しい打ち合いが場を支配する。その間にハルカ、イズナの元に辿り着いたカヨコ。

 

「二人とも大丈夫?」

「か、カヨコ殿……大丈夫です。イズナはまだ戦えます!」

「うぇっ、あ、わ、私いつの間にか気絶して!? すいませんすいませんすいませんすいません! 今すぐ戦います!」

 

 腹を抑えながらも立ち上がるイズナと、自分が気絶していたことに気が付いて焦り出すハルカ。二人とも、大けがはしていないようでカヨコは一安心する。そんな安心もカヨコ達のすぐ隣にツルギが転がってきたことで直ぐに消える。

 

「ツルギ殿!?」

「ケケケ、問題ない」

 

 ツルギの怪我の心配をするイズナだが、すぐに立ち上がったツルギは笑っていた。身体を見れば衣服こそ破れている箇所はあるが、傷にはすでに薄い皮膜が張っており凄まじいスピードで再生していた。

 

「化け物かよ、クソが」

 

 そんなツルギを見て悪態を付くNO.7。

 

「なかなか面白かったが、これ以上はやってらんねぇ。一気に片付けさせてもらう!」

「来るよ!」

 

 そう云い捨てて、ステップをしながら射撃をし始めるNO.7。ハルカとツルギが前に出てて自らを盾として攻撃を防ぎながら近づく。ツルギとハルカが得意な接近戦を出来るようにイズナとカヨコ、さらにはムツキが距離を取ろうとするNO.7に向かって退路を塞ぐように射撃をする。ツルギの格闘と射撃を織り交ぜた攻撃を回避して、時には銃を盾に受け止めるNO.7、しかし先ほどとは違いツルギの攻撃の隙にはハルカが突っ込んでくる。それもツルギのリロードが終われば一度下がりツルギの陰になるような場所に移動する。そしてツルギがリロードのタイミングでツルギの背後、様々な方向から飛び出してくる。左、右、時にはツルギがジャンプをしてその下をスライディングで現れる時もあった。

 

「(こいつら、一体どうやってこんな連携を? この激しい攻防の中、背中に文字を書くわけにもいかねぇし、耳の通信機に触れてる様子はねぇ。つまりこいつら発信していない、受信しかしてない訳だ。どいつだ、どいつが指示を出していやがる)」

 

 ツルギ、ハルカとの攻防の最中視線だけ動かして辺りを見回す。そして通信機に手をずっと当てて何かを喋り続けているカヨコを見つける。目が合うNO.7とカヨコ。

 

「テメェかぁぁぁ!」

 

 最初に指示を出している奴を叩いてこの厄介な連携を終わらせようと考えたNO.7は正面にいたツルギの攻撃を回避するのではなく食らいながらままカウンターでツルギを吹き飛ばす。その衝撃でツルギの背後にいたハルカも体勢を崩す。

 

「カヨコ殿!」

「カヨコっち!」

 

 急いでイズナとムツキが射撃してカヨコに向かってくるNO.7を止めようとする。

 

「秘技!爆裂手裏――「おせぇ!」キャウン!?」

 

 イズナが手裏剣を投げて対応しようとしたが、NO.7はイズナが手裏剣を取り出した瞬間にライフルでイズナの手を打って手裏剣を取り落とさせる。その衝撃で手裏剣が爆裂してイズナも倒れてしまう。

 

「狐ッ娘ちゃん!」

 

 ムツキが心配の声を上げながらも攻撃を続けるがそれを無視してカヨコに襲い掛かるNO.7。

 

「これで、終わりだよ」

 

 しかしカヨコは冷静に自身の銃からサイレンサーを取り外し、襲い掛かるNO.7を軽い身のこなしで回避、そして自身の拳銃をNO.7の耳元で発砲。カヨコが普段持ち歩いている拳銃『デモンズロア』はそのまま使うとその名の通り射撃のたびにかなりの轟音を発するため、基本的にはサイレンサーを装着している。それをサイレンサーを外して音が反響しやすいトンネルで発砲するとどうなるか……。

 

――ガァァァアアアアンッッ!!――

 

「イがッぁぁっ!?」

 

 突然耳元で鳴り響く轟音にNO.7の鼓膜は破け、三半規管が狂い、視界が一瞬ぼやける。

 

「あとはお願い、社長」

 

 カヨコがそう通信機に語り掛ける。そして帰ってくるのは自身に満ち溢れたアルの声。

 

「えぇ。決着には一撃で十分、片手でも命中させられるわ」

 

 アルがそう言って片手で構えた狙撃銃から放った弾丸は綺麗にNO.7の額に当たった後、爆発。NO.7の意識を吹き飛ばしたのだった。

 

 

 





 多人数戦闘って何回書いても苦手です。ハルカとか全然活躍させられなかった……。

・NO.7 通称『カンケル』腕にNO.7と言う文字と蟹のタトゥーが入った金髪の男。レジスタンスやビーハイヴの兵士たちを『雑兵』と呼び不快そうにしていた。
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