◎・・・
「私が援護する。砂狼シロコ、貴女は自分が思うように好きに動いて」
「ん、了解」
ゲミニの二人を分断した先でヒナは自身の愛銃を構え、再び銃弾の豪雨を浴びせに掛かる。それをゲミニは回避しつつ、自身の持つガトリングを起動してヒナに撃ち返す。
「っ、と」
しかしその攻撃はヒナに傷一つつけることは無く、ヒナはそのまま攻撃を続ける。ヒナのそんな様子にゲミニは驚愕した。その隙を逃さずシロコは一気にゲミニとの距離を詰め、自身の愛銃の銃口を突き付ける。
「ん・・・!」
「くっ!?」
咄嗟にガトリングを盾代わりにして防御するゲミニだが、それでも銃弾は防ぎ切れずに彼の身体が大きくよろめく。その衝撃でゲミニが手放したガトリングが宙を舞う。
「しまった!?」
ゲミニがガトリングに気を取られたその瞬間、その隙を見逃すことなくシロコは彼の腹部に銃口を突き付ける。
「ん、隙だらけ」
その言葉と同時にシロコは引き金を引き、ゲミニの腹部に銃弾が突き刺さる。その衝撃でゲミニの身体は大きく吹き飛び、そのまま地面に叩きつけられた。
「がはっ!?」
しかしそれでもまだ息があるようで、ゲミニはなんとか立ち上がる。そして転がっていたガトリングを拾い上げ今度はシロコに向けて攻撃を開始する。それと同時に反対の手ではスモークグレネードを投げて離れた場所にいるヒナの視界を遮ろうとする。
「面倒ね……」
ヒナは眼前に広がる煙に対してうっとおしそうにそう言うと自身の持つ大きな蝙蝠の様な羽をはためかせ、煙を吹き飛ばす。
「ゲヘナの風紀委員長……これほどまでに無法な存在だったか。だが!」
ヒナが煙を吹き飛ばすと、その煙の先から銃弾が跳び出した。
「ッ!?」
咄嗟に腕で顔を隠して防御するが、ヒナの体勢は大きく崩れる。ヒナは身体に走る衝撃が落ち着いたのを見計らい防御に使った腕を確認すると大きく腫れていた。
「これは……」
「ふ、貴様の先ほどまでの様子なら必ず防御すると思ったぞ! 自身の身体の丈夫さに物を言わせ、一方的に連射をする。単純だが、圧倒的よな。だからこそ、狙撃の可能性を考えず漫然と翼を使って煙を吹き飛ばした! その動きで煙越しでも貴様の位置が丸わかりだ!」
ヒナがガトリングだと思って防御したのはゲミニのもつスナイパーライフルの弾だった。大口径ライフルの銃弾を不意で受ければ流石のヒナもよろけざるを得なかった。
「ん、よそ見しないで!」
「ふん! よそ見などしていないわ!」
「くぅ!?」
ゲミニのガトリングの弾幕をどうにか走り抜けたシロコがゲミニの後方から射撃をするが、ゲミニはそれを読み切っており華麗に避けられてしまう。そして反撃の銃ガトリングを喰らってしまうシロコ。吹き飛ばされるも追撃のスナイパーライフルを喰らう前に起き上がり障害物の後ろに隠れる。
「砂狼シロコ、大丈夫?」
「ん。平気」
ヒナが心配してシロコに声をかける。それに対してシロコは一瞬親指を立てたグッドマークの手を一瞬瓦礫のしたから覗かせながら返事をする。
「(今まで見たいに撃っていたらアイツの狙撃の良い的になるだけ……私もどうにか距離を詰めた方が良さそうね)……砂狼シロコ! ドローンを起動して! 私も近づくわ!」
「分かった。ドローン起動!」
シロコがヒナの言葉に応えて戦闘支援ドローンを起動する。ドローンからゲミニに向かってミサイルが放たれる。
「ぬっ!」
ゲミニは近づいてくるミサイルをガトリングで撃ち落としながら距離を取ろうとする。しかしミサイルを撃ち落とすにはゲミニ一人では手が足りず、何発かは被弾してしまう。
「まだだ! まだ終わっていない!」
「ん。流石に硬い」
「無駄口叩いてる暇はないわ! 追撃する! 続いて!」
「ん!」
その言葉にシロコも障害物から飛び出して攻撃を開始する。ゲミニも負けじと攻撃を始める。ガトリングによる弾幕やシロコが放つドローンによるミサイル攻撃で互いに傷が増えていくが、致命傷にはどれもなり得なかった。
「小賢しい……!」
二人の攻撃を躱しきれないと判断したゲミニはガトリングを捨てると代わりにスナイパーライフルを構え、弾をバラまくスタイルから、一撃にかけるスタイルに変化した。しかしヒナもシロコもそれを読んでいたかのように回避行動をとる。
「……ちぃ! ならば!」
ゲミニはスナイパーライフルをしまうと、背後から見たことのない銃器を取り出す。シロコとヒナの二人は知る由もないがそれはアリスの持つ『光の剣』ととても酷似しており、奥まった銃身とその銃身を上下で挟むように伸びている二枚の板。板の間には青白い電が走っており、パチパチと音を立てている。
「これでも……喰らえ!」
ゲミニがトリガーを引くとその光はより一層強まったのち、光球となってヒナたちに向かって跳び出した。
「「ッ!?」」
シロコとヒナはその光球の正体はわからなかったが、直感的に不味いものだと理解して回避する。しかし、その光球はシロコとヒナの近くに来ると唐突にはじけて辺りに紫電を撒き散らかした。
「なっ!」
「これは……!?」
二人は雷の放電に巻き込まれ吹き飛ぶ。幸い放電にはそれほどダメージがないのかすぐに起き上がるシロコとヒナ。
「見慣れない攻撃」
「威力は高くないけれど、近接信管の様な機能があって、範囲攻撃が出来るみたいね……。紙一重では避けないように」
「ん」
ヒナの言葉に頷くシロコ。そして二人はゲミニの放つ武器に気を付けながら再び接近を試みる。
「ふん! 来い!」
ゲミニは再びスナイパーライフルを取り出して謎の武器との二丁持ちを、シロコとヒナは自身の愛銃をそれぞれ構える。そして再び始まる激しい戦い。三人の身体に刻まれた傷の数だけ攻撃が放たれていく。
「……いい加減に倒れなさいよ」
「その言葉……そっくりそのまま返してやろう!」
一進一退の攻防が続くなか、先に限界を迎えたのはシロコだった。まだ二年生であるシロコではいくら体力に自信があるとはいえ連戦続きで疲労がたまっており、ホシノが倒れたことに対する焦りもあって足を滑らしてしまった。そしてその隙を見逃すほどゲミニも甘くはなく……
「うっ!?……しまっ……!」
ゲミニの放つ光球をもろに喰らってしまい、体勢を崩してしまうシロコ。好機と見たゲミニはスナイパーライフルを構えるが、ヒナによってそれを阻まれる。
「止めだ!」
「させないッ!」
しかし自身の銃撃では防ぎきれないと判断したのか、ヒナは愛銃『終幕:デストロイヤー』をゲミニの持つスナイパーライフルに向かって投げるとその勢いのままゲミニに肉薄する。そしてスナイパーライフルの銃口と衝突して宙を舞っていた愛銃をキャッチしてその銃口をゲミニに突き付け、引き金を引いた。
「ぐぁ!? ……甘いわぁ!!」
当たりにけたたましい轟音が響き渡り、ゲミニが後ろに大きくよろける。しかしそのまま反撃とばかりにヒナに向かって光球を撃ち返した。
「……ッ!」
その攻撃に対してヒナは回避が間に合わず直撃してしまう。大きく吹き飛ばされたヒナは地面に倒れ伏したのだった。
「ふははは!これで一人目だ!後はお前だけだぞ!砂狼シロコ!」
「ん……!」
ゲミニの挑発にシロコはしっかりと銃を握りしめ再び構える。そのまま引き金を引き、弾丸が放たれる。
「はっ! 今更貴様一人に遅れはとらん!」
「くッ」
しかしゲミニはシロコの攻撃に怯むことなく、攻撃を受けつつ反撃をする。
「……ドローン展開」
シロコは支援ドローンを展開しつつゲミニの周りを走り回って射撃を繰り返す。ゲミニはシロコの攻撃を物ともせずに障害物から障害物へと走って移動しながら攻撃を繰り返すシロコに狙いをつける。
「そこだ!」
そして、その一撃はシロコの右足を捕らえた。。
「~ッ!?」
足を撃たれたことでバランスを崩し転倒するシロコ。そんな隙をゲミニが見逃すはずもなく、スナイパーライフルを構えるとそのまま発砲した。
「しまっ……」
慌てて防御しようとするも間に合わないことを悟る。シロコは眼を瞑ってこれから来るであろう痛みに身構える。しかしいつまでたっても痛みはこなかった。それを疑問に思ったシロコが眼を開けると桃色の髪と見慣れた背中、そして黒い盾がそこにはあった。
「―――うへー。随分派手にやられたねシロコちゃん。あとはおじさんに任せて。……リハビリには丁度いいか」
「だ、誰だ貴様は!?」
ゲミニの戸惑った声に小鳥遊ホシノはゆっくりと盾を置いて、その裏から姿を見せながら銃をゲミニに向ける。
「小鳥遊ホシノ。この子の先輩だよ」
プラズマライフルを光球と表現しましたが……光線か? いや、でもV系のプラズマライフル……。うーん、ムズイ!
あ、ゲミニの出番はこれで終わります。後輩を傷つけられて激おこ状態のホシノがボッコボコにして終わりです。ホシノの活躍に期待していた読者さんがいたらごめんなさい。
今回のオリジナル章は戦闘描写に挑戦してみようと多めに戦闘が入っていますが……まぁ、荒の目立つこと、目立つこと、まぁ、この章が終われば日常回とエデン条約編が待っているので戦闘はエデン後半のまでは控えめやし、ま、ええか。