シャーレの部長はブラックマーケットの代表   作:四脚好き

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121話

◎・PL.L.L 内部・

 

 PL.L.Lの上部にあるブリッジでキラーは中央に用意されていた自身の玉座に腰掛けていた。その膝にはクイーンが横向きに座り、キラーの胸に頬をすり当てていた。キラーは手に持っていたグラスを傾けて中身を一口飲んでに揺りと笑って宣言する。

 

「時は来た……。今こそこのキラー様がキヴォトスを統一する時だ!」

「あぁ、その通り! そして王となった"我の"キラーは全てを支配する偉大な存在になるのだ……」

「……ビーハイヴの信者たちに告ぐ! 進軍を開始せ―――「未確認飛行隊、急速接近!!」――なんだ一体!?」

 

 キラーが腕を振るって配下のビーハイヴたちに指令を出そうとしたとき、レーダーを監視していたブリッジクルーの一人が大声を上げる。

 

「大きさからして巡航ミサイル、約マッハ2で六方向から同時に接近しています!」

「L.L.Lの脚部が狙いか。 各砲台対空防御急げ! 下の信者どもにも伝えろ!」

「了解! こちらブリッジから、ッッ!?」

「何をしておる!?」

「待て、クイーン。何があった、落ち着いて報告しろ」

 

 キラーからの指令を全体に伝えようとブリッジクルーが通信機のスイッチを手に取ったところ、更なる反応を見つけて固まる。通信手がすぐに指令を伝えないことにクイーンが腹を立てて立ち上がり、苛立ちを露わにする。しかしそれを何かがあった故に固まったと判断したキラーはクイーンを落ち着かせ、通信手に報告を促す。

 

「こちらを包囲するように地上にも敵部隊出現! 下の兄弟姉妹たちはそちらの対応で対空攻撃できません!」

「地上部隊、だとぉ!?」

 

 驚愕の声を上げるキラー。クイーンが玉座の階段を下りて通信手のもとまで行き、レーダーとカメラを除く。

 

「今まで、その様な報告まるで無かったではないか!? どこから現れた!?」

「報告では地下鉄駅から現れたそうですッ」

「L.L.Lの落下の衝撃でほとんどが崩落したと思ったがまだ使える路線が残っていたのか! ……相手にはかなり有能な斥候がいるな。仕方があるまい……L.L.Lの砲台だけでどうにかミサイルを撃ち落とせ!」

 

 キラーの命令でPL.L.Lの脚部に設置されている砲台が稼働し始めて飛来する脅威を撃ち落とさんと火を噴く。

 

◎・・・

 

「敵の対空攻撃が来るぞ! 上手く避けて見せろよ!」

『言われなくてもッ!』

『キヒヒヒッ、相対速度に気を付けろ。思ったよりも敵弾の到達が速い』

 

 そう言って敵弾をスイスイと躱していくグラン、ヒナ、ツルギの翼を持つ生徒たち。三人とも戦闘でジャンプや、高いところから飛び降りた際、翼で姿勢制御をすることがあるため、それに近い感覚なのか空中での動きに迷いがなかった。それとは逆に翼をもたないホシノ、ネル、キッド1はいくらシミュレーターで特訓したとは言え、動きが鈍い。今の所回避は出来ているが中々辛そうだ。

 

『いやー、翼持ちは簡単に言ってくれちゃってーー。うへぇー、腰に負担が掛かる~』

『しかし、これしきやって見せねば!』

『おらッ、ウラッ! 曲がれってんだよッ!』

「よぉーし、下のビーハイヴ共は先生たち地上部隊が引きつけてくれてる! 俺達はこのまま、突っ込んでPL.L.Lの脚部に取りつく! その後各脚部にある砲台を破壊して、PL.L.L上部にあるブリッジを目指す。そこにクイーンもキラーもいるはずだ! ……行くぞ!」

 

 そう言ってグランが加速すると他の五人も負けじと加速したのだった。

 

◎・・・

 

「ダメです! 対空攻撃回避されました! なんだこれ……ミサイルじゃないのか?」

「急いで正体を解明しろ! 遠距離、中距離での迎撃は諦める! 機銃で弾幕を形成しろ!」

「了解!」

 

 キラーの指示を受けて各砲台は地上部隊への攻撃を開始し始める。そしてVOBの撃墜には各銃座が使われ、VOBに向かって幾つもの火線が集中する。しかしVOBはその火線の合間をぶち抜いて接近してくる。

 

「迎撃失敗! 衝突します!」

「クソっ! 総員対ショック姿勢!」

「ッッ!」

 

 迎撃の失敗を告げる声がブリッジないに響いて、キラーは毒づきながらショック姿勢をとる。キラーの言葉にブリッジないにいた信者たちもこれから来るであろう激しい揺れに備える。

 

「……揺れが来ない?」

 

 いつまでたっても来ない衝突の衝撃にキラーが疑問を持って頭を上げる。クイーンや他のブリッジクルーも疑問に思い頭を上げたとき、僅かに爆音と揺れが響いた。

 

「何だ? あの大きさのミサイルにしては揺れが少なすぎる。……全弾不発か? 何が起きた?」

「こ、これは……砲台が内部から破壊されて行ってます!」

「は、なに!?」

 

 通信手の報告に驚くキラー。小規模の爆発と揺れは断続てきに起こり混乱を加速させる。

 

「何が、何が起きている!?」

「飛翔体の画像出ます!」

「ッ!」

 

 メインモニターに目を向ける全員。そこに映し出されたのは、VOBが目標に接近したために自壊していく瞬間だった。

 

「ミサイルではない、巨大なブースター……。こんな、こんな方法で接近してきたのか! ということはこの揺れは……。おい! 爆発した砲台近くの監視カメラ映像!」

「はい!」

 

 キラーの言葉にすばやく応対するブリッジクルー。そしてメインモニターには各脚部の監視カメラ映像が流れる。そこに映っていたのは……。

 

『ケェーヒャヒャヒャヒャ!』

『オラオラオラァ!』

『そこ退いて』

『実力行使でいく』

『代表の為に!』

『……』

 

 VOBから切り離され脚部内に侵入して、プロテクトスーツを脱いで大暴れするグラン達の姿が映し出されていた。6人はPL.L.Lの脚部内を走り回りながらブリッジを目指し、途中にある砲台を破壊してそれを阻止しようと出てきた信者たちをなぎ倒していく。そして、破壊された砲台の負荷がPL.L.L全体に伝播し始める。

 

「第8ブロックにて火災発生!」

「第4ブロックもダメです!」

 

 次々に上げられる報告。次第に歪んでいくキラーの顔。

 

「メインシャフトに被害が及んでいます! 抑えられません!」

「クソッ!」

 

 そして最後に受けたその報告はPL.L.Lが完全に使い物にならなくなったことを意味しており、キラーは手に持っていたグラスを思い切り床に叩きつけた。

 

「このL.L.Lには全財力の五分の三をつぎ込んだというのに……ッ! それをこんなあっさりと!」

 

 キラーは悪態を付きながら血が出る程両手を握りしめ、悔しがる。そして数秒沈黙したあと、顔を上げる。

 

「まぁ、良い。元々そんな簡単にキヴォトスを統一できるとは思っていなかった。L.L.Lは高い代償になったが、オリジナルらを直接葬る必要がある事がわかってよかった。……おい、今L.L.Lはどうなっている?」

「はい、現在L.L.Lはメインシャフトが破壊されたことで行動不能になっています。主砲や副砲も破壊されており、数台機関砲などは生き残っていますが、これも時間の問題かと」

「つまり、移動不可能のデカい棺桶ってわけか……。崩壊の危険は?」

「幸か不幸か内部から破壊されたおかげで装甲は殆どダメージを受けていません。無事な装甲が外骨格的な役割をしているため崩壊の危険性は少ないものと考えられます」

「そうか……」

 

 報告を聞いたキラーは何やら決意を決めたような表情を浮かべる。

 

「よし、クイーン俺と来い、上に出て甲板上で奴等を迎え撃つ」

「分かった」

 

 キラーの言葉にクイーンが頷く。そのあと他のブリッジクルーに視線を向ける。

 

「お前たちは武器をもって各脚部に援護に迎え、奴等を足止めしろ」

「了解!」

 

◎・PL.L.L 天井甲板上・

 

 ブリッジを出てPL.L.Lの頭頂部にある甲板上へ出てきたキラーとクイーン。キラーはゆっくりと甲板の端の方へと歩いて行き、そこからブラックマーケットを一望する。火の手が上がり、爆音と銃声が絶え間なく響き、立ち上る煙が空を覆いつくし、青空は見えなかった。

 

「あっちを見ても、こっちを見てもビルと喧騒ばかりだ。こんなとこを支配して一体なんになるという、こんなところ目障りなだけだろう。俺が支配した暁にはこんなところ破壊してどこまでも、地平線の彼方まで透き通った青空が見れるような街にしてやる」

 

 そこまでいってキラーは口を閉じた後、ポツリと呟く。

 

「そうしたかったんだがなぁ。お前はどう思う……オリジナル」

「ッ!?」

 

 キラーの言葉にキラーのすぐ後ろについて来ていたクイーンは驚き急いで甲板の入り口の方に振り返る。そこには入り口の扉に寄りかかりながらキラーたちを見つめるグランの姿があった。

 

「ビルや喧騒は豊かさの象徴だ。ここには富、権力、そして力がある。アビドス砂漠の景色(何処までも続く青空)なんて見てもつまらんだけだぞ? こういった賑わいであったとしてもいつかはアビドスにも欲しいものだよ、何もない今よりかはマシだろうからな」

 

 グランはそう言って扉から離れ、キラーとクイーンを正面に見据える。キラーも景色を見るのを止めて振り返りグランを見つめる。

 

「それに俺は……もうユメ先輩をなくした日の空(青空)なんてこりごりでね」

 

 

 





 PL.L.Lは小型炸裂弾三つでも落とせる。RTAでは必須テクです。

 そろそろこのオリジナル章も終わり。ある程度の小話を挟んでエデン条約に入ります。遂にウチの小説もエデン条約を書くことに……ッ。私は上手く書けるでしょうか。心配だ……ですが、それ以上に楽しみです。

 そして現在読者参加企画を計画中です。『代表の電波も支配しちゃうぞRadio』第二回開催決定! グランがパーソナリティのラジオが再び帰ってくる! 今回の収録はなんとシャーレで! ゲストに先生を迎えてお送りします!
・この『シャーレの部長はブラックマーケットの代表』世界の住人エミュをして質問してください。いくつかの質問を代表直々に回答いたします。ペンネームをつけてご応募ください。
・こちらで今後の話に影響がないと判断すればネームドキャラのエミュものも採用します。
・前回とまったく同じでもつまらないので、少しばかり前回とは状況が違います。今回グランがラジオを収録するのは『シャーレの私室内』! なんとゲストには『ニイ先生』が登場します! と言うことでグランに対する質問だけでなく、先生に対する質問などもお答えできます!

例 ペンネーム『かんぺき~会計』
「先生、先日の当番の際引き出しの奥に見慣れない領収書がくしゃくしゃになっていましたけど、これはなんですか?」

先生「え、あ! やっば!」
グラン「オイ、今度は何を黙って買ったんだ先生! 俺はもう庇いきれないぞ!」

 質問はこちらの活動報告にて募集中です。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=317388&uid=101362
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