シャーレの部長はブラックマーケットの代表   作:四脚好き

139 / 186
 本日12月13日はグラン君の誕生日です! 


124話

カフェ 二号店 

────────────────────────―――

 

 

『連邦捜査部S.C.H.A.L.E 公式☑

こんにちは、シャーレの部長の水戸グランです。今日からシャーレの建物内で先生と私それぞれが監修したカフェがオープンします。カフェというよりも休憩所のような感じですが……。入店無料で店内の施設は自由に利用可能です。一号店は先生監修でシャーレビル3階。二号店は私監修で4階にあります。なお、本日私はシャーレ業務のお休みを言い渡されたので二号店の方で給仕をしております、皆さんお気軽にお立ち寄りください。』

 

「反応はまずまずかな」

 

 俺は先ほどモモッターに投降した呟きの反応を確認しながらエプロンを身に付ける。そしてカウンターに出て、コップやコーヒーメーカーの操作方法を確認しながら時間を潰す。そう、今日の俺はこのカフェ二号店の店員。不定期だがこうやって店先に立って客に飲み物を提供していく。ふふふ、いつかキサキに言われた店を出したようなモノだろ、これは。

 

「……まぁ、出来合いのモノしか提供できないけどな」

 

 最近、というかアビドスで『OVERED WEAPON』を使った後から少しずつ味覚を感じなくなった。ゴールデンフリース号に行った頃にはもう何も感じなくなっていた。お陰で趣味だったコーヒーもめっきり淹れなくなった。それでもこうして店モドキな行為をするのは多分、以前キサキに『店でも出したらどうじゃ』と褒められたのが頭に残ってて……そんな将来に憧れてたからだと……思う。

 

「今一言語化が難しい感情だな……」

 

 入口の看板を『close』から『open』に変えてカウンターで素手に綺麗なはずのグラスを磨いて時間を潰す。……昔ドラマとかで見たときに『いつもグラス磨いてんな……』とか思ってたけど実際にやってみると分かる。良い手慰みになる。さて……一体誰が来るかな。

 

数分後

──────────────────―――

 

 

「キキッ! グラン、カフェをオープンしたそうだな! このマコト様がお祝いにやって来たぞ!」

 

 大きな音を立てながら扉を開けて入店してきたのはマコトだった。

 

「いらっしゃいませ。マコト、その手に持ってる花は?」

「キキキッ、言っただろう。祝いの品だ」

 

 そう言ってマコトは手に持った花束を俺に渡してくる。それを受け取って適当な花瓶に入れてカウンターに飾る。そしてマコトを適当なカウンターの席に誘導して座らせる。

 

「何か飲むか?」

「あぁ、そうだなアイスコーヒーをブラックで」

「了解」

 

 マコトからの注文を受けて冷蔵庫の中から出したコーヒーパック取り出して氷を入れたグラスの中に注ぎ入れる。そしてそれをマコトの前に差し出すが何故か怪訝な顔をされる。

 

「どうかしたか?」

 

 不思議な物を見るような目でこちらを見るマコトにそう尋ねる。

 

「いや、グランが淹れるんじゃないのか? 万魔殿の情報には自分で淹れるのが趣味と会ったんたが……」

「ゲヘナの情報部はそんなものまで調べてんのか……」

「いやいや、こういった情報こそ大事なのだ。相手の好み知っておけば、その分野の話を振ったり、品自体を送ったりして交渉や会談をスムーズに進められるだろう?」

 

 俺が少しばかり引き気味に言ったが、それに対してマコトは真剣な顔をしてこう言い返してきた。成程賄賂の一種みたいなもんか。……現金を忍ばせたことしかなかったからアレだったが、確かに現金以外でも良かったかもしれないな。もっぱらブラックマーケットにいる輩は現金しか好まないが。にしても……。

 

「マコトはそういう所優秀だよなぁ……」

「キキキッ、惚れ直したか?」

 

 マコトがどや顔をしながら、そう笑い声をあげる。毎回俺にベッドで滅茶苦茶にされてるくせによくもまぁ、自分が攻め側ですみたいな表情出来るよ。不快ではないが、若干マコトの態度が鼻につくので、カウンターから見を乗り出してマコトに口付けする。

 

「ッ!?」

「――んっ。確かに惚れ直した。けど、その余裕そうな表情は腹が立つ。また"鳴かされたい"のか?」

「あ、い、いやッ! そ、そうではないが! その……お前が望むなら……」

 

 マコトは顔を赤くしながら俺の手を取って自分のその大きな胸に当てさせる。軽く手に力を入れれば服の上からでも分かる確かなハリをもった感触が手に伝わる。

 

「その、何か言ってくれ……ずっと見つめられると……」

「……マコト。奥の部屋に案内す―――」

 

 

「野生のアリスが現れました!!」 

「「!?」」

 

 俺たちが"そういう"雰囲気になりはじめたときバンッと大きな音がしてカフェの扉が開かれた。俺達はその音の大きさと誰かが来たという事に驚いてバッ、と身体わ離して何事も無かったように振舞う。そして扉を開けた人間の方に目を向けるとそこにいたのはアリスだった。アリスは店内に入るとキョロキョロと周りを見回した後、俺の方に駆け寄った来た。そしてマコトの隣のカウンター席に座りキラキラとした目を向けてくる。

 

「お兄様! お兄様がジョブチェンジをしたと聞いてアリス、来ちゃいました!」

「お兄様?」

「いらっしゃいアリス。来てくれて嬉しいよ。……一人で来たのか?」

「いえ、開発部のみんなで来ました!」

 

 アリスが手を上げながら自身の来店を告げる。そしてそんなアリスの隣ではマコトが疑問符を浮かべている。確かにわけわからんよな。だがこの呼び方はアリスが自分からし始めたもので決して俺が強要しているわけでは無い。……あとでしっかりとマコトには説明した方が良い気がする。どこから情報が洩れるか分かったもんじゃないし。

 

「で、その開発部の他の面子は?」

「他の皆は下の一号店の方で遊んでいます! アリス、驚きました! このカフェ、前にゲームで見た酒場にそっくりです!」

「酒場……あぁ、そう見えなくもないか……」

 

 うーん、暗めの木材と、間接照明が上手い具合に蠟燭めいてるのが原因か? 別にそれ程気にすることでもないんだろうが、目指したのは大人なカフェであって大人の騒ぎ場ではないんだが……。

 

「ここは落ち着いたカフェだし、もし酒場としても貴様には早すぎる場だな」

「へ?」

 

 いい雰囲気だったのを邪魔されたためか若干棘がある言葉がマコトからアリスに向けられる。突然話しかけられたアリスは一度キョトンとしたあと、にっこりと笑ってマコトの方に向き直る。

 

「そんなことはありません! なんて言ってもアリスは勇者ですから! 勇者の仲間は酒場で募集するんです! 貴方は……クエストの仲介人さんですか?」

「……何を言っている?」

 

 ふっ、流石のマコトもアリスのコミュ力の前に驚愕か。アリスも出会った頃とは見違えるぐらい明るくなって……。ユウカから聞いた話だと、今ではミレニアムのちょっとしたアイドル何だとか。笑顔で周囲を明るくして、癒し、人を寄せ付けてやまないそのあり方はましく勇者だな。

 

「アリス、少し落ち着け。紹介しよう、彼女は羽沼マコト。ゲヘナ学園の生徒会長だ。マコト、この子は天童アリス。ミレニアムの生徒で俺の妹だ」

 

 アリスの頭を撫でながらそう紹介する。

 

「い、妹? そんな情報聞いてないぞ……」

「まぁ、実際の兄妹ではないし、最近兄になったばかりだからな。だが本当の兄妹並に大事に思ってる」

「そ、そうなのか……」

 

 俺の言葉に何を思ったのか、ジッとアリスを見つめるマコト。アリスもなんで見つめられているのか理解できておらず、不思議そうに首を傾げる。

 少ししてもずっと無言でアリスを見つめ続けるマコト。そんなマコトの姿にアリスは不安を覚えたのか、顔を俯かせながらマコトに質問する。

 

「あ、あのアリスは何かしてしまったのでしょうか……?」

「ぇ様だ……」

 

 アリスの言葉に何かを呟くマコト。

 

「?」

「マコト?」

 

「お義姉様と呼んでくれないか!」

 

「……マコトさぁ」

「え!? え? ま、マコト義姉様?」

 

 突然大声でおかしなことを宣うマコトに思わずあきれ顔になってしまう。

 

「お前、アリスに何させてんだよ……」

「い、いや、外堀を埋めておくのは大事だろう!?」

「外堀っておま!?」

 

 何気に凄いこと言ったなマコト!? 自分で言うのもあれだが、俺かなりお前に酷い事してきたと思うんだが!? 

 

「可笑しな話でもあるまい。お前はこのマコト様に女の喜びを教えたんだ。そう簡単に逃す訳がないだろう……。だが、私は器が広い。別にお前が何人女を侍らせようが構わない、私が一番であればな。あぁ、だが二番は出来れば火宮チナツにしてやって欲しいとは思う。アイツは私の大切な友人だからな……」

 

 ……いつの間にか随分チナツと仲が良くなっているらしい。あんなにいがみ合っていた風紀委員と万魔殿も最近は協力関係が出来つつあるという。どんなことがきっかけとはいえ、仲良くなるのは喜ばしいことなんだが……シモで繋がったかぁ。

 

「一番? 喜び? マコト先輩とお兄様は一体何を話しているんですか? アリスもお兄様の一番になりたいです!」

「「!?」」

 

 しまった! この場にはアリスもいるというのに! 急いでマコトにアイコンタクトを送る。するとマコトも察してくれたようで落ち着いて対応を始める。

 

「あー、それはだな。アリスにはまだレベルが足りない話だから教えられない」

「そんな!? 成程高難易度クエストのキーワードですね……。一体どれくらいのレベルが必要なんですか!?」

「キキキッ、この話が聞きたければこのマコト様のように立派にならないとな! ハーッハハハハッ!」

 

 マコトがそう言うとアリスはキラキラとし為でマコトを見上げ、そしてマコトのテーブルに置かれていたブラックコーヒーが目に入る。

 

「はっ! それは一部の高レベルプレイヤーだけが飲めるという『ブラックコーヒー』! お兄様! アリスにも、アリスにもブラックコーヒーを下さい!」

「ふふふ、分かった。少し待ってくれアリス」

 

 そうして俺はアリスにマコトと同じものを出すために準備をするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

"そういう"こともアリスは知っていますよ、お兄様。でも知らないふりをしてあげます! ……今のうちだけですが。

 

 





 やめなよ、アリス!
 マコトが出るとなーんか話が叡智な方に流れがちな四脚です。


 現在読者参加企画を計画中です。『代表の電波も支配しちゃうぞRadio』第二回開催決定! グランがパーソナリティのラジオが再び帰ってくる! 今回の収録はなんとシャーレで! ゲストに先生を迎えてお送りします!
・この『シャーレの部長はブラックマーケットの代表』世界の住人エミュをして質問してください。いくつかの質問を代表直々に回答いたします。ペンネームをつけてご応募ください。
・こちらで今後の話に影響がないと判断すればネームドキャラのエミュものも採用します。
・前回とまったく同じでもつまらないので、少しばかり前回とは状況が違います。今回グランがラジオを収録するのは『シャーレの私室内』! なんとゲストには『ニイ先生』が登場します! と言うことでグランに対する質問だけでなく、先生に対する質問などもお答えできます!

例 ペンネーム『かんぺき~会計』
「先生、先日の当番の際引き出しの奥に見慣れない領収書がくしゃくしゃになっていましたけど、これはなんですか?」

先生「え、あ! やっば!」
グラン「オイ、今度は何を黙って買ったんだ先生! 俺はもう庇いきれないぞ!」

 質問はこちらの活動報告にて募集中です。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=317388&uid=101362

 評価、感想は作者の承認欲求モンスターが満たされるので執筆速度向上につながります。どうぞよろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。