シャーレの部長はブラックマーケットの代表   作:四脚好き

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133話

 

補習授業部 教室

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 教室に入った俺を見て何故か大声を出した女を先生が落ち着かせた後簡単な自己紹介と補習授業部の紹介が行われた。

 しっかし自己紹介の時もチラチラと俺の方を見てくる正義実現委員会の制服を着た女子……下江コハル。んー、今まで彼女と何かあった記憶はないんだが……? そんな俺の疑問を置いてこの補習授業部の部長であるヒフミが教団の横に立って仕切りの挨拶をする。

 

「えっと、そういうことですので……短い間ですが、これからよろしくお願いします」

「よろしくね!」

 

 ヒフミに続いて教団の上にいた先生も挨拶をする。そんな二人、というよりは俺も含めた三人の方を見つめる、下江、白洲、浦和の三人。

 

「……」

「……」

「……」

 

 三人の視線を受けて若干たじろいだヒフミが恐る恐る声をかける。

 

「え、えっと、何か分からない点とか気になる点がありましたら—―――「大丈夫。これからは普通の授業に加えて、毎日放課後に特殊訓練があるってだけでしょ」

 

 訓練って……。そんなもんではないだろうに。何やら物騒な解釈をしているのは白洲アズサ。小柄な体躯に白い髪、多くの装飾を付けた白い翼。こう要素だけで言えば随分可愛らしいんだが、実物を見ればそれらの要素をすべて帳消しにしてしまうほどの冷たい表情。成程教室に入った後先生に借りて見たプロフィール表に乗っていた『氷の魔女』というあだ名も納得だ。ふーん……最近トリニティに来たばかりの転校生、正義実現委員会も手こずるほどの戦闘力も持っている……。実際先生が白洲と初めてであったのは正義実現委員会とドンパチやって連行される所だったとか……。無表情、戦闘力、行動力……なんだこいつ、トリニティのシロコか?

 

「えっと、訓練といって良いのかわかりませんが、そうです。私たちが目指すのは、これから行われる特別学力試験で、『全員同時に合格する』こと。先生も手伝ってくれますし、み、みんなで頑張って落第を免れましょう……! 特別学力試験は第3次まで、つまり3回あるようですが……そのうち一度でも全員同時に合格すれば、そこで補習授業部も終わりとのことです!」

 

 『全員同時に合格』か考えたな。それなら例え裏切り者が成績優秀だったとしても他の奴らの成績が振るわなかったらそのまままとめて退学に出来るものな。裏切り者だけ合格して一抜け、なんてことはさせないか。というか裏切り者、つまりスパイに選ばれるような奴だから頭は良いに決まってるか。

 

「先生は主にスケジュールの調整や、いろんな補習を行っていただけるとのことです」

「うん、理解した。3回のミッションのうち、一度でも良いから全員で成功を収める。その為にここに毎日集まって訓練を重ねる……それほど難しい任務じゃない。この集まりはつまり、各自のリタイアを防ぐための措置……私としては特に、サボタージュする気も理由もない」

「そ、そうですね、頑張りましょう! えっと、アズサちゃんは、転校してからあまり時間も経っていないんですよね? まだこの学園になれていなかったせいもあるでしょうし、みんなで頑張れすぐに何とかなると思います!」

 

 アズサの手を取って励ますヒフミ。そんな二人の様子を見て驚いて口に手を当てる浦和。

 

「あら? 白洲さんはこちらに転校されて来たのですか? トリニティに転校だなんて、珍しいですね……?」

 

 浦和ハナコ……。豊満な肉体にトリニティ内でもトップクラスに優秀な頭脳を持つ、正に深窓の令嬢と呼ばれるにふさわしい才女"だった"女。今でも見た目は麗しい()()()()()()()()()()()()()()

 だが、それは見た目だけの話。今の彼女は何かあれば卑猥な言葉を吐き出し、校内を水着姿で歩き回るトリニティ屈指の問題児だ。

 

「……」

 

 ジッと浦和の事を見つめる。多分、俺は()()()()()()()()。有り余る才能のせいで全てがつまらなく、ただただ虚しく死んだように生きていた(キッド1)を知っている。なんとなくだが、浦和も似たようなことで不満が募り、そしてハジけた存在なのだろう。……()()()()()()()()()を与えれば上手く説得してウチの組織に勧誘できたりしないだろうか……。

 

「あ、書類上はそう書いてあって……も、もしかして私、余計なことを……?」

「いや、別に隠すことじゃないから気にしないで良い。れっきとした事実だ。こう言われるのは慣れるべきことだし、そのための努力もする」

 

 不味いことを喋ってしまったかもしれない、とヒフミが慌ててアズサの顔色を伺う。しかし当の本人はまったく気にしていないようで顔色一つ変えずに返事をした。

 

「なるほど……。それでは私も、アズサちゃんって呼んでもいいですか?」

「……? 別に良いけど?」

「では、アズサちゃん。ヒフミちゃん。それからコハルちゃん。うふふふ、何だか良い響きですね。私たちはこれから補習授業部の仲間ということで。アズサちゃんは一見冷たそうに見えますが、なんだか可愛らしいですし。ふふっ」

 

 白洲の何が浦和の琴線に触れたのかは分からないが、浦和はこの補習授業部の面々をいたく気に入ったようだな。まだそっちの意味で好みなのかは分からないが勧誘の際に小柄な女を何人か連れてった方が良いか……?

 

「……」

「あら、そんな憎悪に満ちた目で、どうしたんですかコハルちゃん?」

 

 あらあら、うふふ、といった具合に笑顔を浮かべている浦和の事を睨みつけているのが下江コハル。正義実現委員会の黒セーラーを身に纏い、ピンクのツインテールと小さな黒い翼を持った生徒だ。普段は押収品管理として倉庫番をしていることが多い……と。しかしシャーレでハスミと話しているときに何度か名前を聞いたことがあった気がする。期待の新人という奴だろうか……? 

 そして何故か俺に死刑判決を出してきた。一体荒れは何だったんだ?

 

「言っておくけど、私は認めないから……!」

「えっと……?」

「あら、何のことですか?」

 

 一体何を認めないんだ?

 

「私は、正義実現委員会のエリートだし! 私の方が年下だからって、あんたたちを先輩だなんて呼ぶつもりはないから! それにそもそも、こんな部活さっさと抜けてやるんだからっ! あんまり馴れ馴れしくしないでもらえる!?」

 

 元々ハスミ達の話で名前に出ていたこと、それにこの感じ、多分コイツは裏切り者じゃないな。単に実力で補習授業部入りが決まった人間だな。

 

「成程……確かに補習授業部の中まで、先輩後輩なんて扱いにする必要はないと思います。私としては何も問題ありません」

「私も別に。そもそもそういう文化は不慣れだし。そもそも仲良くするために集まっている会じゃない。あくまでお互いの利益のためなんだから、親しいふりをする必要もないはず。違う?」

「あ、あうぅ……」

「あんま落ち込むなヒフミ。しっかし思ったよりドライだな、白洲」

「そう?」

 

 白洲の言葉に押され縮こまってしまうヒフミ、そんなヒフミの肩を叩きながら白洲に思ったことを口にすればコテン、と首を傾げる。若干だが、不思議そうな顔も……して、る……な?

 

「あ、ありがとうございます、グランさん」

「ああ。それから後でどうしてこんな所(補習授業部)にいるか、お前には山ほど説教がある。楽しみに待っていろよ……」

「あ、あぅぅ」

 

 お前の書類も確認したぞ阿慈谷ヒフミ。テストを何回かサボタージュそうじゃないか。お前がテストなんて重大な物をサボタージュする理由なんて一つだもんなぁ……。お前はちゃんとしていれば学力試験の合格は間違いないだろうからお勉強の前にお説教だ。そんな風にヒフミの肩に置いていた手に力を込めて、しかし傷めないように気を付けながらヒフミを拘束して逃さないようにする。それを見て下江は顔を赤くして、浦和は笑顔をにっこりと浮かべていた。

 そうして、補習授業部の紹介とちょっとした挨拶は終わり、これから毎日放課後にこの教室に集まって試験に向けて勉強をすることになったのだった。

 

 さて、裏切り者は一体誰かな。

 




 グラン君はハナコの事を自分の力を発揮できる場がなくてストレスをため込んでしまった娘と判断してしまいました。結果として彼女に活躍の場を与えることを引き換えに勧誘しようと決意します。ええ、普通の高校生活とは程遠い暴力と欲望渦巻く場にハナコを誘うのです。あーあー。

 

 

ちょっとした質問、ヒフミはグランのヒロインに……

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