シャーレの部長はブラックマーケットの代表   作:四脚好き

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138話

屋外プール

────────────────────────―――――――――

 

「……」

「……」

「……」

 

 トリニティの指定水着に着替えたヒフミ、コハル、アズサの三人。アズサは喋ることが無いので黙っているだけだが、他二人は何とも言えない表情でハナコの事を見つめていた。

 

「さぁ、これでびしょびしょになっても構わないということですね♡」

 

 そこには何故か制服姿のハナコがいた。

 

「うん、問題ない」

「ま、まぁ一応……」

「では、みんなでお掃除を始めましょうか?」

 

「待て待て待てッ!!」

 

 何事もないかのようにプール掃除を始めようとするハナコについにコハルが突っ込む。

 

「コハルちゃん? どうかしましたか?」

「あんた掃除のときは水着でどうして今度は制服なの!? 本当にバカなの!? 『濡れても良い服』ってあんたが言ったんじゃん!?」

「これが『濡れても良い恰好』ですよ?」

 

 本当になんでもないように言い切るハナコ。

 

「もうあんたが何言ってるか分かんない! 制服が濡れても良いの!?」

 

 そんなハナコの態度にコハルは頭を抱えて叫ぶ。ハナコは叫ぶコハルにそっと近寄り肩に手を置いて語り掛ける。

 

「コハルちゃん、これは各々の美学の問題かもしれませんが……」

「え、び、美学……?」

「水着と制服、どちらが濡れた時に『良い感じ』になると思いますか?」

「は、はぁっ!? 『良い感じ』って何よ!? 何の話!?」

 

 ハナコのいきなりの発言に驚いて肩の手を振りほどいて顔を赤くしながら距離を取るコハル。

 

「濡れただけなら確かに制服の方が『良い感じ』にはなるとは思う。けど、『濡れて体に張り付く』という点まで含めて考えるとまた別の話になると俺は考えている」

「へぇ……」

 

 コハルとハナコ、二人のやり取りに割って入る男の声。声の方を補習授業部の面目が向くと、そこには長袖アロハシャツにカーゴパンツ、更にサングラスという恰好のグランがいた。ハナコはグランの言葉を聞いて考え込む。

 

「ちなみに、代表はどちらの方がお好みですか?」

「水着」

「あら♡」

「……ッ!」

「ぁぅぅ……」

 

 ハナコの問に即答するグラン。そのグランの答えを聞いてハナコは口に手を当てて驚き、コハルはさっとグランからも距離を取り、ヒフミが自分の身体を照れくさそうに隠す。アズサは相も変わらず、話についていけていない。

 

「み、皆お待たせ~~」

 

 グランの発言で場の空気が妖しくなり始めた時、再び割って入ってくる声。今度はグランも含めて声の方向を向く。

 

「ブッ――――!?」

「まぁ♡」

「あわわわわッ!?!?」

「し、死刑! 死刑! 死刑!?」

 

 そこには持ち前の豊満な肉体をギュウギュウとトリニティのスク水に押し込んだ先生がこちらに走ってきていた。先生が一歩進むたび押し込められてなお、弾性を失わぬ二つの巨峰が大きく揺れる。そんな光景にグランは先生にかつてのユメ先輩を重ね哀愁を感じ。同時に男としての本能で『うおっ、デッカ』となり。理性で『いや、教職が生徒と同じスク水着て良いのかよ』と呆れていた。そんな三つの感情に一気に襲われたグランの脳はフリーズを起こし、それでとっさにとれた行動はただ噴き出して目を逸らすことだけだった。

 対してハナコは眼を見開いて驚きながらもその双丘に目を輝かせ、ヒフミは顔を真っ赤にしてとっさにアズサの目を隠す。アズサは何が起きたのか今一理解できずにいた、しかし危険性はないと判断してヒフミになされるがままだ。そしてコハルはどこかがショートしたかのように固まり、死刑とだけを繰り返す。

 

「うーん、や、やっぱり私が着るにはキツイ様な気が……」

 

 先生はそう言いながら恥ずかしそうに尻の食い込みを手で直す。

 

「いえいえ、そんなことありませんよ先生! ねぇ、代表!」

「う、うへぇッ!? なんでそこで俺に振る!?」

 

 恥ずかしそうにしている先生の傍にハナコは素早く近寄って『やっぱり着替えようかな』と考えだしていた先生の動きを止めて、グランの方に話しかける。 急に話を振られたグランは挙動不審になり、変な声を上げてしまう。

 

「ど、どうかな? 変じゃない?」

「どうって……」

 

 さらに先生も何故かグランの方に感想を求めたことで逃げ場が無くなる。先生に感想を求められて答えなければいけなくなったグランはチラリと先生の方を見る。そこには恥ずかしそうに身体をもじもじとさせ、身長の関係でグランを上目遣いで見上げる先生(ユメ先輩に激似)がいた。

 

「―――クッ」

 

 かつてない程強大な問題にたじろぐグラン。それでもどうにか先生の方を向いて一言。

 

「に、似合っている……とても」

「そ、そう、なら良かった」

 

 互いに照れて何も言えなくなるグランと先生。そんな中、ハナコが手を叩いて空気をリセットする。

 

「はい、ということで先生もそのままプール掃除に参加と言うことで♡ さっそく掃除を開始しましょう!」

「待って! 結局アンタの格好の問題が片付いていないんだけど!?」

 

 さっそくホースを手に取ってプール全体に水をかけようとしていたハナコにコハルが突っ込みを入れて問題は最初に巻き戻る。

 

「あぁ、それならほら、実は中に来てるんです。お小遣いで買ったビキニの水着♡」

「え、ぇ……?」

 

 ハナコはコハルの言葉に一度ホースを置いて制服の裾をぺらり、と持ち上げる。するとそこにあったのは赤白ストライプのビキニだった。

 

「先ほどコハルちゃんに『水着の着用禁止』と言われてしまいましたし、たしかに学校ではスクール水着の方が鉄板ですが……今日はこれで許していただけませんか? スクール水着は今洗濯中でして、これがダメだとすると私、下に何も……」

「な、なんで私に判断を託すのさ……! べっ、別に勝手にすればいいじゃん……!?」

「うふふ、ではそういうことで♪ 改めて、お掃除始めましょうか!」

 

そして……

────────────────────────―――――――――

 

「見てください、虹ですよ! 虹!」

「ひゃっ!? ちょっ、ハナコちゃん冷たいですよぉ!」

「ふふっ、トリニティの湖から引っ張ってきている水みたいですので、そのまま口を開けて飲んでも大丈夫ですよ?」

 

 コハル、ヒフミ、アズサ、そして先生がデッキブラシを用いてプール底を磨き上げていき、ハナコが適宜水を撒いていく。そんな中ハナコがわざと水を空へ遊ばせる。そうすると水しぶきが中を舞い、綺麗な虹が浮かび上がる。

 

「ど、どうしてこんなことに……」

「あ、アズサ、へるーぷ。……こ、腰がキツイよぉ……」

「こちらのブロックは完遂した。続けて速やかにそちらへ向かう」

 

 そんな中でもコハルは真面目に掃除をして、先生は慣れない重労働で腰に疲労がたまったのかアズサに助けを求め、アズサはきびきびと動いて自分の担当ブロックを終わらせ先生の援護に向かうのだった。

 

「―――ふぅ」

 

 そしてグランは賑やかなプールの内部掃除組から少し離れてプールサイドの掃除や、プールに備え付けられているシャワーの点検などを行っていた。実はグラン、簡単な整備であればアヤネの入れ知恵のお陰でこなせるようになっているのだ。点検がひと段落したところで額に流れる汗をぬぐいながらグランはプール掃除をしながらキャイキャイと騒ぐ女子たちを眺める。

 

「……サングラス、してて良かったぁ」

 

 グランが一人離れて作業しているのには理由があった。確かにシャワー設備などの点検はグランでないとできないし言うのもあるがそれ以上に性癖に『スクール水着』があるグランにとってあの空間は暴力的すぎた。もしサングラスで視線を隠していなかったら今頃女子たちからのグランの評価はだだ下がりだったであろうことは想像に容易い。

 先生の暴力的なまでの豊満な肉体を、コハルの薄く平坦でなだらかな体を、アズサのしなやかでありながら鍛えられた筋肉を感じる身体を、ヒフミの実は案外"ある"という意外な躯を、薄い布一枚で包み込み、身体のラインをはっきりさせる。服を着ているのに、その下の身体を見て取れる。隠しているのに、隠せていない。そんな感覚がどうしようもなく、グランの脳を興奮させる。

 

「やっぱ良いなぁ……スク水」

 

 ユメとホシノとグラン。三人でアビドスのオアシス跡地に宝探しに行った日からグランの性癖は捻じ曲げられている。

 

 




グラン「(興奮が)もう、止まらんよ。流れ始めた水と同じだ」

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  • ゲヘナグラン君その2
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