シャーレの部長はブラックマーケットの代表   作:四脚好き

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144話

合宿所 教室

────────────────────────―――――――――

 

 ナギサとの会談を終え、合宿所へと戻るグラン。しかしその途中で嗅ぎなれた匂いを感じ取り辺りを見回す。

 

「……なにかあったか?」

 

 爆薬の匂いがかすかに漂う付近。しかし爆音や銃声は聞こえておらずグランは首を傾げる。少しだけ警戒をしながら合宿所に近づくと所々焦げているような気がする合宿所が目に入る。

 

「……覚悟だけしておくか」

 

 グランは愛銃を手に取り、足音を立てないようにしながら合宿所の入り口のドアに近づく。そしてドアノブに手をかけようとしたところで反対側に人の気配を感じてドアノブに伸びていた手を引っ込めて、ドアの死角に入り込む。するとドアがガチャリと開いて中から、ハナコとシスター服の生徒が出てくる。

 

「それじゃあマリーちゃん、もう大丈夫だとは思いますが足元には気を付けてくださいね」

「はい。……あ、あのハナコさん! 私は……」

「マリーちゃん」

「……お、お邪魔しました。それでは、また」

 

 シスター服の生徒、伊落マリーは一礼した後、合宿所を離れていく。その背中を僅かに寂しそうに見つめながら手を振るハナコ。マリーの背中が見えなくなったころ、グランはハナコに死角から話しかける。

 

「知り合いか?」

「きゃっ!?」

「あ、悪い」

 

 急に死角から話しかけられたせいで驚いたハナコ。そんなハナコを見て思わず悪いとグランは謝る。しかし内心ではいつも余裕たっぷりなハナコの珍しい声が聞けたとすこし笑っていた。そんなグランの内心を感じ取ったのかハナコはジトッとした目でグランを睨む。

 

「女の子同士の話を盗み聞きとは感心しませんよ、代表さん」

「たまたま、聞こえただけだ。それで? この異常に爆炎臭いのとあのシスターは関係が?」

「それも説明しながら皆さんの所に行きましょうか」

 

 そうして合宿所に戻ったグラン。教室までの道のりで聞かされたことの次第にグランは苦笑いを浮かべるしかなかった。

 

 

次の日

────────────────────────――――――

 

 

「随分とまぁ酷い天気だ。……ブラックマーケット並みじゃないか?」

 

 グランは合宿所の部屋の中から外の天気を見てそう呟く。外の天気は大きな雨粒が窓に当たりバチバチと尋常ではない音が出ているほどの大雨であり、時折雷も見える。

 

「これは停電するかもなぁ……アレグロの充電ってどうだったかな? あとこれだけの雨だし、川の様子も見に行きた―――……何の音だ?」

 

 グランは万が一合宿所が停電した時に拠点として使用するであろうアレグロの充電状況を確認する為に外に出かける準備をする。しかしいざ着替え始めるとなにやら部屋の外が雨粒とは別の音で騒がしい。いったい何事かともう一度外を確認する。

 

「は? あ、そういうことか!?」

 

 窓の外に見えたのはパジャマ替わりのジャージ姿のまま外を駆けまわっているヒフミたちと先生。グランは一瞬『勉強のし過ぎでついに可笑しくなったのか? いや、ヒフミは元々おかしいところはあったけれども』なんて考えたが、寝起きの為か最後尾を走っていたアズサが洗濯籠を抱えているのを見て状況を察した。自分も手伝うべく勢いよく駆け出すグラン。しかし途中でその足の動きが鈍くなる。

 

「よくよく考えると下着とかもあるんじゃないか? 俺が行っても大丈夫か?」

 

 それでもここで突っ立っているよりかは現地で出来ることを見つけた方が良いだろうとグランは再び走り出す。

 暫くして……。

 

「さぁでは記念すべき第一回、補習授業部の水着パーティーを始めます♡」

 

 アレグロブリーズのソファに座りながらハナコはそう宣言する。

 

「……ホントこういう時テンション高いよなお前」

「あぅぅ……」

「……」

「なんで、どうしてこんなことに……」

 

 グランは助手席の座席を反転させ、車内を見ながらそういう。他にも椅子、ベッドに腰掛けた面々がそれぞれの反応を見せる。そんな社内を先生は見渡しながら一言。

 

「色々とすごい状況だね……」

「うふふ、だって仕方がないじゃないですか♡」

 

 先生の言葉にハナコは笑いながら答える。

 

「洗濯物は雨で全滅、おまけに雨の中大急ぎで取り込んだもんだから着ていた服もずぶぬれ、全部、洗濯機行きだ。着るものがないからと仕方なく水着に着替えた所で停電発生、洗濯機の蓋が開かなくなり、合宿所も真っ暗なため、水着のままアレグロに避難……。ホントに、ツイてねぇな」

「……確かに仕方ないか」

「そうですよ。こうなっては、パジャマパーティーならぬ水着パーティーくらいしかすることはありません♡」

 

 グランの状況説明を聞いた先生はあきらめがついたのか仕方がないと一息つき、ハナコが同調する。

 

「あうぅ……な、何か他にもありそうな気がしますが……」

 

 今だ明るい車内に水着姿でいることが慣れないのかヒフミが身じろぎしながらそう言う。

 

「なるほど、下着パーティーとかもありそうですね♡ 確かによく考えると他にもいくつかあると思いますが、それで本当に良いんですか……? 男性の代表がいる場で♡?」

「おい、俺を巻き込むな」

 

 ハナコの発言にヒフミは真っ赤になり、バッとグランの方を向く。視線を向けられたグランはヒフミに何も言えず、視線をハナコの方に向けて抗議する。

 

「っていうか流されそうになったけど水着パーティーってなに!? 部屋でおとなしく休めばいいでしょ! 普通に考えて!」

「あら、ですがこういう時間こそ合宿の花だと思いませんか? みんなで寄り添って、お互いの深い部分をさらけ出し合う……雨も降っている上に狭い車内に篭りっきり、雰囲気は最高です!」

「狭い……?」

「言葉の綾だと思うよ、グラン」

「うふふふふ……♡ せっかくの休み時間なんですし、そうやって有意義に過ごしません?」

「……」

 

 ハナコがわくわくとした雰囲気を醸し出しながらそう皆に提案する。そんな中グランは『こいつ、思ったより普通……というか、学校生活の定番、みたいなの好きだよな……? もしかして……』とハナコの本当の望みに近づきつつあった。

 

「あはは……た、確かに合宿の定番という感じはしますね」

「なるほど、それがこの水着パーティーと」

「いやいやいや納得するか! 水着と掛け合わせる意味は!?」

「あうぅ、確かに……」

 

 一瞬ヒフミも流されかけたがコハルの突っ込みに正気を取り戻す。

 

「まぁまぁ、せっかくなんですし楽しむとしましょう。そうは言ってもただのお喋りですし、話題はなんでもありと言うことで♡ ふふっ♡ 私こういうこと、すっごくしてみたかったんですよね。なので、ちょっとテンションが上がっていると言いますか……」

 

 ハナコはそうはにかみながら少し気恥ずかしいのか頬を掻く。その様子を見て先生は笑いながらアレグロのキッチン上の棚を弄り出す。

 

「ハナコ、本当に楽しそうだね」

「気持ちはわかる。私も、補習授業部に入ってからずっとそういう気持ちだ」

 

 アズサがハナコの言葉に同意する。

 

「あら、そうなんですか?」

「うん。何かを学ぶということも、皆でご飯を食べることも、洗濯も、掃除も、その一つ一つが楽しい」

「あら……♡」

 

 そう口にしながら笑うアズサを見てヒフミはそっと胸を撫で下ろす。

 

「アズサちゃん……最初はあんまり表情の変化も読み取れなくて心配でしたが……良かったです」

「それは……ヒフミたちのお陰だ。本当にいつもありがとう」

 

 ヒフミの言葉にアズサは他のメンバーの顔を見てからお礼を言って頭を下げた。されに感極まったのかヒフミがアズサに抱き着く。

 

「あ、アズサちゃんッ! うわーん!」

「ひ、ヒフミ、少し苦しい」

「うんうん、仲良きことは良い事かな。ってことで今日はみんなで楽しくお喋りしよっか。ほら、お菓子もあるよ。パーティー開けしちゃおうか!」

 

 先生が棚の中からお菓子を取り出してテーブルに広げる。

 

「先生、私パーティー開けしてみたいです!」

 

 ハナコがやってみたいと手を上げて先生からお菓子の袋を受け取り、パーティー開けをして見せる。

 それから補習授業部の面々は話に花を咲かせる。

 

「そういえば今、トリニティのアクアリウムで、『ゴールドマグロ』という希少なお魚が――――」

「海、か……そういえば一度も言ったことがないな」

「い、一度も……!?」

 

「とっくに潰れたアミューズメントパークなのにも関わらず、夜になると―――」

「水着で覆面を被っている犯罪集団が―――」

「ど、ド変態じゃん!? なにそれ!?」

「……」

 

 そうして、第一回水着パーティーは雨がやみ、合宿所の電気が復旧するまで続いた。

 

 




 評価欄の方で『少し冗長すぎる』的なことが書かれていたんですが、やっぱりこのペースは遅いんですかねぇ。読者様的にはどうなんでしょうか? アンケートへの投票のご協力お願いいたします。
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