シャーレの部長はブラックマーケットの代表   作:四脚好き

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2話

◎・シャーレ近くの公園付近・

 

ドドドドーン

 

「爆撃が始まった、着陸するぞ」

 

 爆炎に隠れながら着陸してハッチを開き周囲を確認してから、先生の盾……壁になるように動きつつ近くの障害物まで走る。走りながら先生が声をかけてきた。

 

「これ公園が火事になったりしない!?」

「問題ないです。燃え移る間もなくすべてを吹き飛ばしてますので」

「……あんまりやりすぎないでね。ここはみんなの使う公園だから」

 

 この人案外図太いのか? 爆発やら爆音が響いているのに他人を気遣う余裕があるし、しっかり走れている。先生に了解の意を伝え手元のインカムで爆撃機にクライアントの意ということで少し火力を落とすことに。

後ろを見て、他の奴らもついて来ているのを確認する。そして全員公園内の障害物に一度隠れる。

 

「よし、着陸は成功したね!」

「はい」

「公園の地面がデコボコになってるわね……この請求ウチに来たりしないわよね」

「それは俺のほうで持つから心配しなくていいぞ早瀬」

「急な爆撃で不良たちも浮足立ってるようです。今のうちに前進するべきかと」

 

 先生が羽川の言葉を聞くと頷き少しの間目をつぶる。すると先生の雰囲気、気配が変わった。先生が手元の地図とインカムに手を伸ばす。

 

『みんな、行くよ。ユウカ、シールドを張りつつ前進ヘイトを稼いで。グラン、ユウカへの射撃で敵位置を割り出してスポットと遊撃をお願い。スズミはユウカのシールドが切れそうになったら閃光弾を前方に投擲、ユウカを援護して。ハスミとチナツは私がタイミングと対象を支持するからそれぞれ狙撃と回復剤の準備をよろしく』

「了解」

「はい!」

 

 遊撃ね、それじゃあ行きますか!早瀬が電磁シールドを展開しつつ、衝撃物を飛び出し道路へと飛び出す。銃弾がいくつも飛んでくる。1、2、3……9、居場所は把握した。発見した敵位置を無線で先生に告げつつ、前線へ飛び出し駆ける。

 

「ちょ、ちょっと!?」

『へ? グラン!』

 

 早瀬も先生も俺が真正面から突っ込んでいくとは思っていなかったのか驚きの声が無線から聞こえる。公園の木々や障害物に隠れながら近づくとでも思っていたのだろうか? 銃撃が俺に集中してくる。体に銃弾が当たり、傷が増えていく。左腕を前に突き出して、そこに被弾が偏るようにして突っ込む。突撃してくる俺を仕留めようと不用心に体を出して射撃をしている不良に対して、後ろからの狙撃が当たる。致命傷になりうるLMGやSRを優先して狙撃させている、的確だな。そして……

 

「吹き飛べ、チンピラ」

「ゴハァッ!?」

「クソッ、こいっヅァッ!?」

 

 接近成功。ほとんどゼロ距離でKO-3K2をぶち込む。後ろに吹き飛んでいく不良。隣の不良が急いでこちらに銃を向けるが、引き金を引くより早くそいつの顔面に蹴りを叩き込む。そしてよろけた所に再び散弾を至近距離から打ち込む。

 

「動きが止まった、撃て! 撃て!」

 

 

 複数の銃口を向けられる。しかし、焦る必要はない。この短時間で先生の能力は大分信頼できる。

 

『スズミ! 閃光弾』

「閃光弾、着弾、今!」

 

「まぶっ!?」

「目が……」

 

 俺の近くに守月の閃光弾が投げ込まれる。こちらに銃口を向けていた奴らは光によって目を潰されていた。

 

『ハスミ、左の大型電光掲示板の下に狙撃手。お願い』

「はい」

 

 敵の狙撃手がダウン。

 

『グラン一度下がって、チナツの回復剤を受け取って。ユウカ、右方向から前進。敵の注意を引いて。スズミ、左から前進。ユウカの援護を。ハスミ、敵が遠慮なしに障害物から体をさらし始めた、撃ち放題よ』

「了解、後退します」

「わかりました。行くわよ!」

「行きます!」

「代表! あなたはまた!」

 

 後方に下がるとチナツが少し怒りながら治療をしてくれる。

 

「すまないが、説教はまた今度だ。すぐに前線に戻る」

 

 

 簡易な治療を済まされた後再び前線へと駆ける。

 

「うわぁ! また突っ込んできた!」

「遅い」

「よそ見厳禁よ!」

 

 再び不良に飛び掛かり押し倒して、腹に散弾を叩き込む。更に早瀬の援護射撃も飛んでくる。気絶した不良を担ぎ上げぶん投げて他の不良の動きを止める。すると動きが止まった不良にすぐ狙撃が飛んでくる。戦いやすい。先生の指示通りに敵を倒していくだけでかなり楽に戦闘が進んでいく。

 

『グランは足が速いというか、脚力が強そうだけど、壁を蹴ることで飛んだりできない?』

「出来る」

『できるって、やったことあるんだ……。わかった。歩道橋から左のビルの壁を蹴って上から襲撃して』

「了解」

 

 近くの歩道橋を駆け上がり、上まで来たところで飛び、近くのビルの壁に着地。瞬間斜め上に飛ぶように力を込めて、壁を蹴る。不良どもも上から人が降ってくるとは思わないのか、こちらに気が付いていない。下に銃を向けて撃ちおろす。突如降ってきた、銃弾の雨に浮足立つ不良ども。そうして付近の不良どもは制圧が完了した。

 

「なんだか、戦闘がいつもよりもやりやすかった気がします」

「やっぱりそうよね?」

「先生の指揮のおかげですね」

「これが、先生の力……」

『うえへへへ、それ程でも~』

 

 それぞれが先生の指揮に感心している。成程確かにアイツが呼んだだけはある。生徒を制限加入させられるシャーレ、その生徒たちがこの指揮のもとに行動する。……味方であるなら心強いが、逆だったら……。本人は謀略やら策略とやらには向かなそうな性格しているが。

 

「それでは次の戦闘もよろしくお願いします」

 

 

◎・シャーレ付近・

 

 

「もうシャーレは目前よ!」

 

 早瀬がそう告げる。大通りの突き当り、そこにある白い外観のビル、その壁に刻まれたエンブレム、連邦捜査部シャーレ。ヘリポートまである、ずいぶんと立派な建物だな。そう考えていると先生の持つ端末が震え、リンの姿が表示された。

 

『先生』

「リンちゃん」

『誰がリンちゃんですか。今、この騒ぎを起こした生徒の正体が判明しました。ワカモ。百鬼夜行連合学院で停学になった後、矯正局を脱獄した生徒です。似たような前科が幾つもある危険人物なので、気を付けて下さい先生』

「ワカモかよ……」

 

 聞こえてきた名前にうんざりせざるを得ない。だが同時にワカモで安心もした。これだけの騒ぎを起こせる存在が我々の認知していない存在であった場合、それは新たな勢力が秘密裏に誕生していたことになる。それはブラックマーケットを収める代表として避けたい事象だ。自身の影響下の勢力図をしっかり把握できていないのはよろしくないからな。

 

 

「先生、前方に敵です!」

 

 シャーレまでの道に壁になるように展開している不良たち。その中に見知った面がいるのを見かけた。

 

「先生、ワカモを抑える。他は頼んだ」

「気をつけて」

 

 再び駆けだすが、銃撃が飛んでこないどころか不良たちも俺を無視している。これは……誘われているな。乗ってやる。

 

「よう、ワカモ。随分派手にやってるな!」

「お久しぶりですわ、グランさん。さてあなた一人で私を相手取れますでしょうか?」

 

 左腕にBD-O MURAKUMOを装備して切りかかるが銃剣で防がれる。向けられた銃口を左手で弾き(パリィ)、右手の銃を向ける。が、横顔を思いっきり蹴られて転がる。すぐに立ち上がり動き出す。先ほどまで転がっていた場所に銃弾が撃ち込まれる。牽制目的にワカモに向けて連射するが、避けられる。車などのがれきを蹴り、先ほどの不良たちにしたように上空から強襲をかける。

 

「あら、びっくり!」

「ゴハァッ」

 

 びっくりと言いながらワカモはしっかりと対応してきて逆に上空に飛び上がり、無防備になった俺に射撃を浴びせる。また地面に転がされる。銃剣での追撃だけはBD-O MURAKUMOで防ぐが、KO-3K2が手を離れ、奪われる。

 

「貴方は目が良いのだからこんな乱暴な武器ではなく、スナイパーライフルを持てばよいといつも言ってるでしょうに……。それに先ほどの動き、ビルを蹴ってすぐに高所を移動して狙撃。まさにスナイパー向けでしょう」

「……」

「だんまりですか」

「ガッ」

 

 ワカモが奪ったKO-3K2を撃ち込んでくる。さすがは四連装ショットガン、いってぇ。……ショットガンよりもスナイパーライフルか、知ってるよ、そんなこと。元々はスナイパーだったし

 

 やっぱ強ぇ。倒れた俺を見下ろすワカモ、ここまでか?そう思っていると横から銃撃がワカモを狙ってされた。

 

「あら?」

 

 銃撃が飛んできたほうを見ると先生たちが見えた。気が付けば周りの不良たちは倒されていた。

 

「これは、これは……ここまでですね。ではさようなら」

 

 ワカモはそう言い、KO-3K2を手放し走り去っていった。俺はすぐさま放り出されたKO-3K2を拾いワカモに向けるがすでにワカモの姿はなかった。

 

「ちょっと、逃げられてるじゃない!」

「いや、申し訳ない」

「いや、私たちが不良たちの相手している間、ワカモの攻撃はこちらに来なかったよ。しっかり抑えられていたよ」

 

 先生はそう言って服や翼についた汚れを手で払ってくれる。ありがたいが、なんか手つきが……。まぁいいか。その時、遠方から爆発音が聞こえる。同時に俺の端末に通信が入る。

 

『代表、こちらキッド1。戦闘区域に入りました。不良の掃討を始めます』

「こちらはシャーレの入り口付近まで来ている。他地域の不良どもをこちらに寄せ付けるな」

『了解』

 

 通信を切る。

 

「先生、うちの部隊が同区域に入った。少しずつこの区域をシャーレを中心に包囲させる。俺たちがシャーレを確保後、シャーレのヘリポートに兵力を下ろさせてもらう。その後シャーレからも部隊を進めて挟み撃ちにする」

「わかった、そのためにもシャーレを奪還しないとね」

 

 そう意気込む先生。そしてシャーレに向かおうとすると、ギャリギャリと鎖が地面を擦っているような音が聞こえる。 音に気付いて先生をかばうように立ちながら、移動を始める。先生を障害物の後ろに隠れさせてから道路の中央に陣取る。音の正体が姿を現した。

 

「これはッ!?」

「そーいえば、これがまだ残ってたわね」

「おっきい……」

 

 無限軌道の脚部を持ち、右腕の盾と左腕の武装、強固な装甲、3メートル以上の巨体、うちの主力兵器R2B SHCHITが登場した。

左腕のガトリングがこちらを向く。まずっ

 

バラララララララララララララ

 

「取り合えず、動き回れ!奴は旋回がクソだ!」

「自分のとこの兵器に使う言葉じゃないわよ!」

「しかし、弱点があって助かりました」

『全員、動き回って! 一か所に留まっちゃいけない! スズミは頭部に閃光弾を! ユウカ、グランはかく乱を! ハスミは装甲の継ぎ目を狙って!』

 

 走り回りながら、キャタピラに射撃を撃ち込む。しかし効果はあまりなさそうだな。さてR2B SHCHITの弱点は……。

 

「こちらでどうにか動きは止めるから、給弾ベルトと左腕の継ぎ目を狙え! そこが比較的装甲は薄いし、上手くいけば誘爆を誘える」

「わかりました!」

「閃光弾準備できました!」

 

 守月が閃光弾をカメラ部分に投げつける。攻撃が一瞬止む。……覚悟を決めるか!足に力を籠め、キャタピラ部を思いっきり左足で蹴りつける。ベキャベキャと音を立てながら左足がキャタピラに挟まる。異物が挟まったことと、衝撃でキャタピラの動きが止まる。インカム越しに息をのむ声が聞こえる。

 

「動きは止めたぞ!」

「ッッ、撃ちます!」

 

 羽川が徹甲弾をR2Bの左腕に撃ち込み炸裂、左腕が吹き飛ぶ。アブねッ! 落ちてきた腕が身動きの取れない俺の近くに落ちてきた。……こいつまだ動くな。バキバキと左足を踏みつぶして動き出すR2B 。そして右腕のシールドをこちらに振り下ろそうとしてくる。

 

「ダメっ!」

『グラン逃げて!?』

「グランさんッ!」

 

 珍しい。チナツが代表、ではなく名前で俺を呼ぶとは……。そこまで焦らなくても―――

 

 

「撃て」

『了解』

 

ビシュゥゥゥゥゥン

 

 空から青白い光が降ってきてR2Bを吹き飛ばす。両腕の捥げたR2Bは横転し、今度こそその動きを止めた。それを確認してからインカムから手を放す。あー、疲れた。この足どうすっかな……。

 

「グラン! 大丈夫!?」

「ちょっと生きてるわよね?」

「チナツさん、医療キットを!」

「はい!」

「私は周囲警戒に努めます!」

 

 先生たちがこちらに走り寄ってくる。うわ、先生めっちゃ泣いてる。まだ出会って数時間だろうに本当に優しい人だ。この人があの時いてくれたら結末は変わった?

 

「先生、顔が台無しになっていますよ?」

わ、私の指揮のせいであ、あ、足が。チナツ医療キットを、治療し、しないと

「代表、最悪切除もかく……ごしていて―――これは?」

「大丈夫だよ、チナツ。それに先生も。左足は元々機械なんだ、俺」

 

 そう言って左ももまでズボンをまくり、器具を外す。するとももから下がゴトッと音を立てて落ちる。呆気にとられる面々、しかし次の瞬間怒号が響く。

 

「なっ、もう! 心配させないで!」

「先生の言う通りよ! あー、ドキドキした」

「ご無事でよかったですが一言言ってほしかったですね」

「代表……。確か左腕も……。いっそ、監禁したほうが安全……?

「かなり、出来の良い義肢ですね」

「金、大分かけたんだよなぁ。ミレニアム製だし」

「これウチの学校のだったの?」

 

 シャーレ奪還参戦は賑やかな最後を迎え終了した。

 

 

◎・シャーレ・

 

 暫くして先生はシャーレの建物内に入っていった。その様子を見届け、不良達と停学中の生徒の追跡、討伐を目的とした部隊の指揮を執ることに、AS-12シリーズを中心とした中隊。都市部での即応を目的としているが……さてワカモは網に掛かるか?『要塞』の燃料もあるし、長時間の展開は厳しいか。

 作戦指揮をシャーレビルの入り口の三、四段の階段に腰掛けながら執っていると不意に頬に缶が当てられた。振り向くと見なれないタブレットを持った先生がいた。先生はこちらに缶ジュースを渡した後チナツたちにも同じようにジュースを配っていく。

 

「みんな~お疲れ~。これジュース! 皆で分けて、分けて!」

「あ、ありがとうございます」

「ありがたくいただきます」

「スズミさん良ければ交換したり……」

「かまいませんよ、ハスミさん」

 

 キャイキャイとはしゃぐ先生たち、どうやらサンクトゥムタワーは正常に動作するようになったらしい。それを伝えるために降りてきたらしい。

 

「ワカモは自治区に逃走してしまったのですが……すぐ捕まるでしょう」

「お疲れ様でした先生。先生の活躍はキヴォトス全域に広がるでしょう。すぐにSNSで話題になってしまうかもしれませんね?」

「ふふん、私も有名人だね」

 

 胸をはる先生。

 

「これでお別れですが近い内に是非、トリニティ総合学園に立ち寄ってください。先生」

「トリニティ自警団もお待ちしています」

「私も風紀委員長に今日の報告をしに戻ります。ゲヘナ学園にいらっしゃった時は是非尋ねてみてください」

「ミレニアムサイエンススクールに来て下されば、またお会い出来るかも? それではまた!」

「俺も暫くしたら迎えが来るから帰ります。ブラックマーケットは……来ないほうが良いでしょう。何か御用があればこちらに連絡ください。こちらから伺いますので」

 

その場は先生に見送られ、各々の学園へ帰っていった。

 




主人公が最も実力を発揮した戦闘は今回が最後です。実は主人公、戦闘に関しては二流です。そのためこれから起きるであろう戦闘ではただでさえ二流なのにどんどん負傷してどんどん弱くなるので最も強い状態の主人公はこれにて終了。 まぁ、何かを代償にすれば力なんてすぐに手に入るよ、やったね。

評価、感想は作者の承認欲求モンスターが満たされるので執筆速度向上につながります。どうぞよろしくお願いします。

 

いつか考えているイベント回グランが若返ります。1年や幼児は体の年齢。記憶は頭の中身、なしだとその体の当時の記憶しかない。ケガは主に四肢欠損のありなし。

  • 一年、記憶あり、ケガあり
  • 一年、記憶なし、ケガあり
  • 一年、記憶あり、ケガなし
  • 一年、記憶なし、ケガなし
  • 幼児、記憶あり、ケガあり
  • 幼児、記憶なし、ケガあり
  • 幼児、記憶あり、ケガなし
  • 幼児、記憶なし、ケガなし
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