引っ越しが落ち着いたので執筆再開。転勤の告知が遅れたり、物件の内見する暇がなかったりと色々あったが、まぁどうにかなるもんですね。
という訳で一か月ぶりの執筆と投稿なので腕が落ちてるかも……。
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「よし、顔合わせが済んだところで事実確認と準備をしないとな」
それぞれの顔合わせとちょっとしたやり取りが終わった頃グランは手を叩いて注目を集める。そして皆が静まったのを確認して先生の方に視線を向ける。先生は頷いてからナギサの方を向いて質問する。
「まず確認からね。ナギサ、今、第19分館で待機している正義実現委員会を動かす人は出来ない?」
「申し訳ございません先生。正義実現委員会への指令は私とミカさんの連名で出したものでして、何らかの非常事態が起きない限り、指令の解除も連名でないといけませんので私一人では……」
先生の言葉にナギサは申し訳なさそうに答える。
「非常事態っていうのは?」
「ティーパーティーのメンバーが犯罪に手を染めた時、何らかの理由で投獄された時、今までのメンバーが除名されたり、権限を失った際に新しいメンバーが選出されていない時。……メンバーが事故などによって死亡した時」
「ッ」
「凡そこういった場合が当てはまります」
「なるほど……」
ナギサの言葉に一瞬アズサが見を強張らせる。先生はナギサの言葉を聞いて少し考えた後再び口を開いた。
「今回のミカは最初に言っていた『犯罪』には当たらないの?」
「残念ですが。我々はミカさんの罪を知っていますが、それはあくまでここにいる面子だけが知っていることです。公的にはミカさんはまだ無罪です。その手を使うのでしたら、まずはティーパーティーで会議をして事実確認をし、それから裁判を開くかどうかの会議をして、開く方向に決まったならどのような罪でどのような罰を与えるのかを会議して、そのあとようやく裁判が開かれて、審議をくり返しようやく判決が出ます。……とても今からでは間に合わないかと」
「うわぁ……」
ナギサの言葉に思わず先生は顔を顰める。
「形式的な会議は省きたいですが会議を開かないと出来ないことが多すぎるんです」
「効率は悪いですがそれが文書主義、民主主義の根幹ですね」
ナギサも少しばかり困ったような表情を浮かべながらそう呟く。ハナコがナギサの言葉に続けると、ナギサはハナコの方を向いて力なく頷いた。
「ふむ。授業をしていて民主主義は素晴らしいものだと思ったんだが、こんな弱点もあるんだな」
「平時であれば問題は無いんだよ。ただ緊急時には色々後手に回っちゃうけど……」
「だからまぁ、俺は独裁だし」
アズサがナギサとハナコの様子を見て授業を思い出して、先生が補足して、グランが自身のことを語る。
「ともかく、正義実現委員会の助力は得られないみたいですね。であれば、基本的には最初の作戦通りで問題ないはず。むしろナギサさんを誘拐する必要がなくなった分多めにトラップの準備ができるかも……」
「誘拐ってハナコ、お前何するつもりだったんだ……」
ぼそりと呟かれた言葉にグランは引き気味になる。
「まぁ、いいや。先生、俺は武器を仕入れてくる。長期戦になるだろうからな。こっちの指示は任せる」
「わかった。それじゃあ、ハナコは私と作戦の打ち合わせ。サクラコとスズミは出来るだけ人を集めて。アズサはブービートラップ、ヒフミはペロロデコイを各地に準備して。コハルはマッパー、二人の罠の位置を地図に記していって」
「ま、マッパ!? エッチなのはダメ! 死刑!」
先生が指示を出して、生徒たちがそれぞれの行動に移り出したとき、ナギサがオロオロとしだす。
「わ、私は……」
「こいよ、ナギサ。少し頼みたいことがある」
そんなナギサにグランは手を差し伸べて一緒に来るように促す。一応グランは眼で先生に許可を求め、先生が頷いたのを確認してナギサを連れ出した。
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「こんな時間でも開いてる店があって良かった」
「大分年季の入ったお店ですね……」
合宿所から少し車を走らせた位置にある鉄砲店を見つけたグランとナギサ。街角の個人商店らしい、店の外観は偉く年季が入っておりナギサは少しばかり不安を覚える。
「いらっしゃい」
二人が店内に入ると体格の良い店主とその息子らしき人物が二人を出迎える。店の中は外観通りに古めかしく、コの字型のカウンターとショーケース、そしてカウンター後ろの壁に多くの銃が飾られているタイプの店だった。
「(まるで大昔のミレニアム開拓時代っぽい店だな)」
グランは店の中をぐるりと見回して店内の作り方、装飾、販売されている武器を見てそう考えていた。
「何をお探しで?」
「あー、トンプソンのサブマシンガンを見せてくれ」
店主がグランに話しかけて、グランは少し考えた後銃の名前を答える。それからすぐに別の場所へ目を向けて指さしながら次の銃を指定する。
「コルトモニターマシンライフル、そこのカスタムピストルグリップのやつ」
「はい」
店主とその息子は直ぐにグランの言った銃をカウンターに並べる。
「コルト自動拳銃。……後ろのスミスM1917。それとあれ、BAR300。スプリングフィールドM1903も。レミントンM11も見せてくれ」
つらつらと銃の名前を言っていくグラン、そしてそれに対応して次々にカウンターに銃を並べていく店主とその息子。それぞれがテキパキと動き独特の空気を作り出していた。そんな空気について行けず少しばかり気まずさを感じるナギサ。
「(けれども……殿方の買い物について行く彼女というのはこういうものなのでしょうか……。はっ!? 私ったらなんて考えを!?)」
ナギサは直ぐに自分の考えを振り払うように頭を振った。
「28インチ? 20インチ?」
「ショートバレルの方だ。……12ゲージ?」
「そうです」
「そこの古いウィンチェスターも見せてくれ……。少し貸してくれ」
ナギサがそうしている間にもグランと店主のやり取りは進んで、グランはカウンターの後ろに置いてあったウィンチェスターライフルを借りてその場でレバーを動かして内部の音を聞いて異常がないかチェックする。何度か繰り返した後満足したのかグランは銃をカウンターに乗せる。
「弾詰まりしない銃が欲しい」
「トンプソンのマガジンはスティック、ドラム?」
「スティックは?」
「20発」
「1ダースくれ。ドラムは2ダース。ハーフムーンクリップ一握り、このスミス用だ。……スミスは黒あるか? ニッケルは目立つ」
「あったと思います」
カウンター前で店主とのやりとりをするグラン。そして要望通りの品が揃うとグランは満足そうな顔を浮かべる。
「よし、以上だ」
「以上って、お買い上げは?」
「全部だ」
「全部?」
店主はまさかグランが今まで言っていた銃全て買うとは思っていなかったようで驚いていた。
「それから……ACP弾を4ケース、30-06弾も4ケース。他は100ケースずつだ」
グランの大量注文に一瞬呆けた店主だったが、すぐに仕事人としてのしっかりとした顔つきになりグランに質問する。
「こんな大量の銃器、かなりのお値段になりますがお支払いは大丈夫でしょうか?」
「あぁ、問題ない」
そう言ってグランはサッ、と後ろを振り向いてナギサを見つめる。ナギサはグランにジッと見つめられて最初こそ照れていたが次第にまさか、という表情になっていき恐る恐るグランに声をかける。
「あのー、もしかしてですがグランさん。私のお金を当てにしてます?」
「……正直、トリニティでこんな事になるとは思ってなくて手持ちはわずかしか持ってきてなかったんだ。後でしっかりと返せはする。だから……金、貸してくんない?」
グランは少し頭を下げて、両手を合わして片目を瞑りナギサを拝み倒す。その姿は先ほどの銃を選んでいた時の様な鋭さはなく、どことなくダメ男感がにじみ出ていた。そんなグランの姿を見て、今までグランに感じていた恐怖や頼もしさとの差でナギサはギャップを感じて、何か新たな扉を開きかけていた。
「……しょうがないですね、グランさんは」
そう言いながらナギサは財布を取り出した。その顔はちょっと嬉しそうであった。
はい、すいません。まだ戦闘に入らないんです。でも、どうしても銃を買うシーンがやりたくて……。多分次回先頭です。
・ミレニアム開拓時代
ミレニアム・サイエンススクールが出来る以前、その広大な土地を開拓しようとトリニティの派閥『ピルグリム・マーザーズ』が現ミレニアムの領域に進出した時代。
グランは勘違いして覚えているがミレニアム開拓時代と西部ミレニアム開拓時代は別である。店の内装や雰囲気は西部ミレニアム開拓時代のもの。