シャーレの部長はブラックマーケットの代表   作:四脚好き

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3話

◎・シャーレ・

 

 シャーレを奪還した翌日。私がシャーレの部室に入るとそこには先日力を貸してくれたグランがいた。彼は車いすに座っており本来左足がある場所は裾がプラプラとしていた。

 

「おはようございます。先生」

「おはよう、グラン。体は大丈夫?」

「はい。問題ありません」

 

 彼の前に屈んで目線を合わせ、顔を見る。嘘をついているようでもないし、顔色も悪くない。本当に体調に問題はないらしい。

 

「?」

 

 彼はじっと見られている理由がわからないらしく首を傾げている。……ブラックマーケットの代表という立場のせいか彼は強気に振舞っているのがよく目につくが、所々こういう可愛らしい仕草をする。本来はこっちが素なのでは?

 

「今日はどうしたの? あ、用がなくても全然オッケーだよ!」

「いえ、こんか「すとっーぷ! 敬語は無理に使わなくてもいいよ! もっと気楽に」

「……まるであの人のようなことを言う

「え?」

 

 ボソボソと聞き取れない音量でグランが何かを口にする。もう一度聞き返そうとするが、それよりも先に、

 

「それじゃあ、敬語は省かせてもらう。今日の用事は挨拶だ」

「挨拶?」

 

 すると彼は懐から封筒を差し出しこちらに渡す。その封筒を見る。表には連邦生徒会の刻印がある。開けて中身を確認すると、依頼書? 取引書? が出てきた。内容は連邦捜査部シャーレの部長に水戸グランを任命する、というものだった。連邦生徒会長直々にサインされている。

 

「改めて、正式に言っておく。連邦議会ブラックマーケット代表兼ブラックマーケット高層区エリア、海上施設エリア、鉱山施設エリア、廃棄都市エリアを支配している『ODI ET AMO』のボス、水戸グラン。連邦生徒会長の依頼によりシャーレ部長に就任します」

 

 車いすに座りながらもしっかりとした礼をするグラン。というか、

 

「よろしくね、グラン。なんだか肩書が一杯だね」

「……そうだな」

「昨日の今日だしまだ余り仕事がないんだ。普段のこと聞かせてほしいな」

 

 私の言葉に考える素振りを見せるグラン。さっき聞いた限り彼は生徒でありながらかなりの権力者。その立場故に話していいこと、悪いことがあるし、『責任』もあるのだろう。ソファに座り、聞く準備を整える。

 

「そうだな……。普段はさっきも言ったがブラックマーケットの一部を支配している組織のボスとしての活動をしている。先生、ブラックマーケットについては?」

「文字通り闇市という印象かな? もちろんまだ行ったことないし、地図上で確認しただけだよ」

「ならその認識は少し、改めたほうが良い。『マーケット』なんて言われているが、実態としては複数の学園を合わせても敵わないくらいの広大な面積を持っている巨大な都市群だ。勿論闇市もある、表じゃ手に入らない危険な火器や装備品に武装ヘリ、戦車などの兵器群、はてには学籍や個人情報まで売られているからな」

 

 うーん、禄でもない。

 

「その市場の広さ故か独自の法、警察、インフラ、金融が存在している。ただ、それ以上に問題なのは、中退、休学、退学、様々な理由で学校を辞めた生徒が不良となり集団を形成し、ブラックマーケット内での覇権をめぐり領地戦が日々行われていることだろうな」

「戦国時代?」

「間違っていない。ブラックマーケットには『生きる事とはすなわち闘争である』という言葉があるぐらいだからな。行き場のなくなった生徒が最後に流れ着くのがブラックマーケットだ。みな、最後の居場所を守るためいつまでも戦い続けるのさ」

 

 子供は、自分を薪として命を燃やし続けない、ましてや居場所のために命をかけちゃいけない、ただ生きているだけで尊い存在なのに。そんな世界間違ってる……。

 

「間違っていても、これしかないんだよ。先生」

「ッ!?」

 

 ビックリして顔を上げる。そしてまた驚く。そこにいたのは暗い、暗い目をしたグランだった。思わず体が固まる。うまく、声がでない。冷や汗が出てくる。多分これが、この『冷たさ』がこの子がブラックマーケットで培ってきたもの……。

 

「……ごめん。でも俺たちはこうするしかなかったんだ。こうして生きてきたんだ。こうして歩んできたんだ。もう、誰にも止められないし、止めさせない。否定しないし、否定させない」

 

 ……そっか。

 

「ごめんね、否定しないよ。でも、これからのあなた達の未来を変えることはできる」

 

 グランが驚いた顔をした。

 

「そんな言葉が出てくるとは思わなかった。圧をかけられて謝るか、それでも否定し続けるかと思っていた」

「生徒が道を踏み外そうとしているなら、どんなことをしても止めるし、否定するよ。道を外してしまっているなら、受け止めて道に戻れるように、一緒に歩いてあげる」

「そうかい、これからよろしく先生」

「よろしくね、グラン」

「すこし机を借りる。聞きたいことがあったら聞いてくれてかまわない」

「はーい。それじゃあ、私も仕事片付けちゃお」

 

 自身の机に向かい作業をはじめる。グランのほうからカチャカチャと音がする。なんだろ? ちらりと見るとグランは机に何かの道具を並べていた。細かい道具が多いけど銃の整備ってああいうもの使うのかな? 書類を片付けつつ横目にグランを眺める。すると、グランは左腕を外して机に置き整備を――――

 

「ちょ、ちょっと待った!?」

「うおっ!? なんだ先生」

 

 思わず立ち上がる。その際に書類が机から落ちるけど気にしない。グランに詰め寄る。

 

「な、なんで左腕外れてるの?」

「ああ、左腕も作りもんなんだ、俺」

 

 急に頭がふらっとしてきた。何だこの子は、何なんだこの子は、もしかしてキヴォトスって四肢が欠損している子が結構いるの?だとしたら……銃規制? できるの? このキヴォトスで? というよりも!

 

「他は!? 他はもうないよね!?」

「ひ、左腹を一度吹き飛ばされた」

「見せて!」

「なぁ!?」

 

 グランの来ている防弾チョッキとシャツを思いっきり捲りあげ、お腹を見る。確かに左脇腹から臍のあたりに色が変わっている部分がある。指を這わすと少し硬い触感がある。

 

「プレート入っているから堅いだろ」

「ねぇ、キヴォトスの生徒ってみんなこんな怪我しているの?」

「いや俺が珍しいだけだ。昨日見たチナツや早瀬がそうだったように基本キヴォトスの人間は頑丈だ。俺レベルに怪我しているほうが珍しい。実は俺そんなに強くないからな」

「強くない?」

 

 昨日の戦闘を思い出す。確かに怪我したのはグランだけだったが、それは彼自身が敵のヘイトを多く買っておとりになったり、ワカモといった強敵に立ちなかったからだからだ。十分強いと思うんだけど。

 

「こんにちは、先―――なにしてるんですか!?」

 

 ガチャリとシャーレの扉が開いてユウカが入ってきた。そして絶叫を上げた。どうしたんだろうと思ったが私たちの状況を客観的にみるとかなりまずい。『生徒の服をめくりあげて肌に指を這わせる先生』……私が悪いねこれは。顔を真っ赤にしてこちらにずんずんと歩いてくるユウカにどう説明したものかと考えながら私は覚悟を決めるのだった。

 

 

 

 

 このあと滅茶苦茶説明した。




ユウカよりも先にメモロビを開放する主人公。今回は色々な解説を。

・KO-3K2 簡単に言えば銃身が4つあるショットガン、もちろん同時発射。火力特化型。

・BD-O MURAKUMO ブレード。ナイフより大型で剣よりは小さい。接近戦のお供。最悪蹴ればよいのだが。

・『屋浦ニイ』私がブルアカを知るきっかけになったVtuber二人の名前からとってごっちゃにしている。本来、漢字は浦ではなく裏、ただこの浦ほうが名前っぽいため浦になった。驚くとCVがドラえもんになるといえば一人はヒントになるだろう。

評価、感想は作者の承認欲求モンスターが満たされるので執筆速度向上につながります。どうぞよろしくお願いします。

 

いつか考えているイベント回グランが若返ります。1年や幼児は体の年齢。記憶は頭の中身、なしだとその体の当時の記憶しかない。ケガは主に四肢欠損のありなし。

  • 一年、記憶あり、ケガあり
  • 一年、記憶なし、ケガあり
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  • 一年、記憶なし、ケガなし
  • 幼児、記憶あり、ケガあり
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