シャーレの部長はブラックマーケットの代表   作:四脚好き

179 / 186
すいません。少しミアレシティに観光に言っていたので投稿が遅れました。色々あったのですがひと段落したのでホテルZにMZ団のジャケットと帽子、それから『バイバイ、ミアレシティ』という書置きだけ残して帰ってきました。


164話

アラバ海岸

────────────────────────―――――――――

 

「テキパキ動けー! 『ODI ET AMO』の連中に遅れをとるなー!」

「「「「はいっ!」」」」

 

 光る砂浜、押し寄せる波、煌めく太陽、その下でイオリの指示で動き回る風紀委員会たち。そんな風紀委員たちをグランは砂浜に置かれたビーチチェアに腰掛けながらパラソルの下で眺めていた。

 

「つい先日まで無為ヶ浜に居たと思ったら今度はアラバ海岸か……。今年の夏はいつも以上に海にいる気がする」

「キキキッ、別に良いではないか。あんな年中雨が降っているような場所の執務室に篭っていてはお前にカビが生えてしまう」

「マコト……」

「無論私は雨の匂いを纏わせているお前も好きだぞ。だが、今のお前の方が私は何倍も良い」

 

 グランがパラソルの下で呟きながら遠くを眺めているとスッと誰かがグランにグラスに入ったジュースを差し出す。海の家で買ってきたのか透明のプラコップは氷と色鮮やかなフルーツ、そして炭酸の泡がいかにもな夏らしさを演出していた。ジュースを受け取りながら差出人を確認するとそこにいたのは黒と赤のグラデーションが綺麗なスポーティーでありながらオシャレでもある競泳水着を着ているマコトがいた。いつもと違い髪を後頭部でひとまとめにしてサングラスを大胆にも胸の谷間にひっかけていた。余りに自分好みの格好に一瞬そこらの岩陰にでも引っ張って行ってやろうかとも考えたグランだが、流石に『風紀委員会』、『万魔殿』、『ODI ET AMO』そして先生のいるこの場でそれはマズイと理性が勝った。

 グランがジュースを受け取るとマコトはグランの隣の自分ビーチチェアを並べて座り、寛ぎだす。そして態々グランに自身の身体のラインを見せつけるかのように時たま身を捩る。マコトの意図を察しつつも本能を抑え込みつつグランは真面目な話を切り出す。

 

「最初聞いた話では風紀委員会との合同訓練だったんだが?」

「あぁ、毎年恒例の風紀委員会の夏季特別訓練だ。今回はそれでお前たち『ODI ET AMO』に仮想敵を演じてもらう予定だったんだが、少しばかり予定の変更があってな。……事情は?」

「先生から聞いてはいる。空崎ヒナを休ませるんだろ?」

「あぁ、アイツは少し働きすぎるからな。たまにはこういうことがあっても良いだろう」

「……」

「な、なんだ?」

 

 今までの自分だったら絶対に言わなかったことを口にしたと、心の中でそう思いながら話すマコト。そんなマコトをグランはジッと見つめる。急に見つめられたことでマコトは期待8割困惑2割でグランに何があったか聞く。

 

「いや、随分と丸くなったな、と」

「キキキッ、お前のせいだぞ。あの日私はお前にグチャグチャにされたんだ。身も、心も、価値観さえ、な」

「成程。……人間変わるもんなんだなぁ」

「後は……」

「後は……?」

「風紀委員会と訓練合宿だなんて許せるか! お前の事だどうせどっかのタイミングで水着のチナツの手をとってどっかの岩陰でシッポリするだろう!? そんなうらやましい事許せ――ボガァッ!?」

 

 マコトはガバリと椅子から立ち上がりビーチ中に聞こえるような声で欲と嫉妬にまみれたことを言い出した。しかしその言葉は最後まで紡がれることは無く、マコトの顔面にクリップボードが直撃したことで止まる。かなりの衝撃があったのかパタリと砂浜に倒れこむマコト。『仰向けだから呼吸は大丈夫だし放置で良いか』とマコトをスルーしてクリップボードを回収、ボードが跳んできた方向を見ると顔を赤くして肩で大きく息をしているチナツが居た。先ほどの声が聞こえていたのだろう周りの風紀委員に注目されている。ズカズカとこちらに大股で近づいてくるチナツ。オフショルスカート付きの黒いビキニを身に纏ったチナツは色っぽくありながら所々にあしらわれたフリルが可愛らしい女の子をアピールしていた。

 

「なんてこと大声で言ってるんですかマコト議長は! そんなことするわけないでしょう!」

 

 真っ赤になった顔で既に気絶しているマコトを見下ろしながら反論するチナツ。無論マコトは気絶しているので返事はない。

 

「くく、まさか万魔殿の議長を気絶させるほどの威力でぶん投げるとは……。お前もゲヘナらしくなってきたなチナツ?」

「あ、ぁぁグランさんボードをありがとうございます」

 

 グランはボードをもってチナツの傍によってボードを手渡す。ボードを受け取ったチナツは自身の乱暴な面を見られたためか、先ほどの大声の成果少しぎこちなくなりながらグランからボードを受け取る。そして恥ずかしさからすぐに風紀委員会の指揮に戻ろうとしたところ、グランに腕を掴まれ引き寄せられる。そして抱き寄せたチナツの耳にグランの囁く。

 

「それで、シないのか?」

「え!? し、しまぁす」

「楽しみにしてる」

 

 チナツの返事に満足したのかグランは腕を離して開放する。こちらに来る時よりも赤くなった顔で風紀委員会の方へと戻っていくチナツを見送りながらマコトをお姫様抱っこして元々座っていたビーチチェアへそっと横にするグラン。

 

「あー! マコト先輩せっかくの海なのに寝てるー!」

「本当ですね。仕方がありません、イブキはあちらで私と遊んでいましょう。ほっとけば起きるでしょうし」

「イブキにイロハか」

 

 いつの間にかグランの背後にいたイブキがグランの背からぴょこりと顔だけのぞき見せマコトを見て大きな声を上げる。数テンポ遅れてイロハも姿を現してイブキを浜辺へと誘う。二人は色違いの同じフリーバッグで水玉の水着を身に付けていた。しかしイロハだけ僅かに肩紐をずらして同じ水着でもまったく違う印象を抱かせている。

 

「むー。マコト先輩最近お仕事ばっかりだから一緒に遊びたかった……」

「イロハも言っていたが少ししたら起きるさ。そしたらイブキが遊びたがっていたと伝えるから先にイロハと遊んでおいで」

「分かった! お兄ちゃんもあとで一緒に遊ぼうね!」

「ああ」

「では代表、私たちも失礼しますね」

「日差しと波には気を付けろよ」

 

 イロハとイブキを見送るグラン。笑顔で手を振っているとパシャリとシャッター音が聞こえる。音の正体に薄々気が付きながらもそちらに顔を向けるグラン。そこには残りの万魔殿のメンバー、チアキとサツキが居た。

 

「悪鬼とも呼ばれる代表の笑顔! なかなかレアな良い写真が取れました!」

 

 そう言いながらカメラを向けているのはフリルデザインのトップスとショートパンツ姿のチアキ。

 

「そう? 代表の笑顔なら結構見てる気がするのだけど?」

 

 チアキのカメラを覗き込みながら白いキーホール水着のサツキが不思議そうな顔を浮かべる。

 

「いやいや、サツキ先輩。それはだいたい『悪だくみの笑顔』とか『相手を虐めてるときの笑顔』とかくらーい理由の笑顔じゃないですか。それに比べてみてくださいよ! この自然な笑顔!」

「あら、ホントに良い笑顔ね」

「……好き勝手言ってくれる」

 

 サツキとチアキの言葉に苦虫を嚙みつぶしたような顔を浮かべるグラン。

 

「イロハとイブキならさっき見た通り遊びに行ったぞ。そしてマコトならそこで伸びてる」

「あら、本当ね」

「こちらも一枚パシャッと」

 

 ビーチチェアで横になっているマコトを見て驚きの表情を浮かべるサツキとカメラを向けるチアキ。そんな二人を眺めているグランに更に人影が近づいてくる。

 

「代表、こちらにいらっしゃいましたか」

「キッド2」

 

 赤い下地に白いフリルのついたフレアビキニを着こなしたキッド2こと白羽ムイだった。

 

「先ほど天雨行政官より訓練中の臨時オペレーションルームの設置が完了したと報告を受けました。打ち合わせのため集合してほしいとのことです」

「了解した」

 

 グランはマコトが勝ってきてくれたジュースを一気飲みするとムイにに案内するよう言ってその後をついて行こうとする。しかし一瞬立ち止まり、サツキたちのほうを振り返る。

 

「マコトに『上手かった。今度は俺が奢る』と伝えておいてくれ」

「了解よ~」

 

 先ほどまでグランが座っていたビーチチェアにサツキはごろりと寝そべりくつろぎながら軽くてを上げて返事をする。チアキに関してはいつの間にかイブキの写真を撮りに行っていたようだ。

 

ホテル・アグスタ内 臨時オペレーションルーム

────────────────────────―――――――――

 

 ムイの案内で風紀委員会、万魔殿、『ODI ET AMO』のメンバーが宿泊するホテル・アグスタ内に設置されたオペレーションルームに到着したグラン。

 

「準備は如何ですか?」

「問題ない。もう準備が終わったところは、取り合えず休憩してもらっている」

「こちらも、医療部の運び込みはおおよそ完了しています」

「我々も問題ない。いつでも始められる」

「各施設への事前伝達、各部署、部隊とのデータリンク確立も終了だよー。ディヒ」

「合宿中使う予定の資材もホテル近くの貸倉庫への搬入完了っス。あとはその日に使う分を前日の最後か当日の朝に出すだけっス」

 

 オペレーションルーム内では万魔殿のメンバーを除く幹部メンバーが集結していた。

 

「壮観だな……」

「……確かにメンバー、資材、機材の数は多いですがこの程度なら対ビーハイヴ総力戦の時の方が壮観では?」

 

 グランの呟きにムイは首を傾げながら部屋内を見回してビーハイヴ戦時と比較する。

 

「いや、ただの独り言だ気にするな」

「かしこまりました」

 

 グランの言った壮観というのは機材や人材の事ではなくメンバーの格好の問題だった。今回宿泊場所となっているホテルはビーチと隣接していることもありよっぼと過激な物やびしょびしょでなければ館内を水着で移動していても咎められない。その為このオペレーションルーム内も殆どのメンバーが水着だったのだ。アコは髪色に合わせた水色ビキニにホットパンツという格好で、キッド1ことハルミは白いバンドゥビキニにシースルー生地のスカートを合わせている。キッド3、アムは首元から谷間がレース生地になっているハイネックを身に付け、キッド4のフセはオレンジのタンキニだ。

 

「……視線だけ気を付けるか」

 

 マコトやチナツだけでは済まなそうだと考えながらグランは話し合いに参加するのだった。

 

 




いやー、ほんとマコトとの絡み書いてるときが一番筆が進むのはなぜだろう……。キッドと水着衣装がないキャラ分の水着考えるのはなかなか疲れました。あとマコト以外の万魔殿メンバーは公式カウントダウンイラストの物です。マコトだけグランくんの好みに合わせてきました。いじらしいですね。
 
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。