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「ヒーナー♪ いるー?」
「いるわよ、先生。入って」
先生はアコに言われた通りヒナの部屋へととやってきていた。色々なことが起きて不安なこともあるが、アコもどうしても無理そうだったらヒナを呼ぶと言っていたため、そうなればヒナの隣にいる先生にも状況が伝わることになるため大事になる前には対処できるだろうとひとまず先生はヒナの対応に集中することにした。
「いらっしゃい、先生」
「……」
「あれ、先生?」
先生はヒナに招き入れられて部屋の中に入る。しかしその瞬間に自身の目の前に飛び込んできたヒナの姿に目を丸くする。
「ヒナがいつの間に水着に!!??」
先生の目の前にはスクール水着姿のヒナがいた。しかも昔ながらの旧スクと言われるもので胸元には『5-A ひな』と名前のが縫い付けられている。
「そ、そんな大げさな……逆に私の方がびっくりした。……そのせっかくの休暇で海に来ているわけだし、着替えておこうかなって。……合宿の前にアコが『せっかくの海なので』って新しい水着を買いに誘ってくれたから新しい水着に買って着るって手もあったのだけど結局行かなかった」
「それはまたどうして?」
「どうしてって……この水着があるし。まだ着られるのに、何も態々新しいものを買う必要はない。持っている物を再利用した方が効率的」
ヒナの言葉に先生は少しばかり頭を抱える。
「それはそうなんだけど……。華の女子高生が旧スク……。というか平仮名の名札ってことは……」
「先生の考えてる通りよ。何か問題でもある? 別にまだ着られるし……何か変?」
「……もしかしてヒナはまだ小学生の可能性が……?」
そう言いながら先生はヒナに近づいて頭を撫で始める。
「え、な、何を言ってるの……!? もう、変なことを言うならこの話は終わり!」
顔を赤くしては無しを終わらせるヒナ。しかし自身を撫でている先生の手を止める気配はなく、本人も気づいていないが羽がパタパタと小さく動いている。
「……それより外は大丈夫? 少しずつだけど騒がしくなり始めている気がするのだけれど?」
「大丈夫。アコもイオリもチナツもみんな張り切ってたし、グラン達もいる。そこらの不良相手ならまず負けないよ」
「そうね。……なら良いかしら。アコに任せるって言ったし。任せると言った以上は、何かよっぽどのことがない限りは見守るわ。今までは結構その、私が自分一人で全部決めてきちゃったから……」
「信頼してるんだね」
そう言って先生は微笑む。その言葉にヒナも少し笑ったコクリと頷いて返す。
「普段から風紀委員会の業務全般を管理してくれているんだからただでさえ大変だと思うのだけれど、アコがやると言ってくれたんだから任せたい。……たまに暴走することが玉に瑕だけど……そうね、信頼してるから。……こんな風に部下たちに色々と任せられるようになったのも先生の協力があったから、本当にありがとう」
そう言いながらヒナは先生にポンッと抱き着き、寄りかかる。丁度目の間にある先生の胸に顔を埋めるような形になってしまうが構わない。先生はそんな風に甘えてくるヒナが可愛らしくてそのまま受け入れて先生の方からもヒナを抱きしめる。
「私がいなくてもヒナならいつかできていたと思うよ?」
先生の返答に納得がいかなかったのかヒナは顔を上げて先生の方を見つめながら頬を膨らませる。
「そうかもしれない。けれどそれは今じゃなくてもっと時間がかかっていたと思うわ。これだけ早く任せられるようになったのは先生が切っ掛けをくれたから。だからありがとう。……そんな言い訳の様な言葉じゃなくてもっと欲しい言葉があるわ」
「ふふっ、どういたしまして」
「それで良いわ」
先生の返答に満足が言ったヒナは再び先生に甘えるように抱き着く。
「ヒナ、これからの予定は?」
「……ここ最近少し忙しかったこともあって急に『休暇』と言われても、その手持無沙汰と言うか……なんだか落ち着かないの。とりあえず午後にはアコ達の様子を見に行くのもかねて少し海に出ようかなと思ってたんだけど、午前は得に決めてないの。……だから、えっと……もし先生が良かったら、その一緒にいたい……ダメ?」
不安そうに聞いてくるヒナ。そんなヒナを安心させるように先生は笑って、ヒナを撫でていた手を止め、今度は両手でヒナの頬を包み込む。
「勿論大丈夫。アコにも話はついてるから一緒にいようヒナ」
「うん」
「そしたらヒナ、午前の時間を先生に任せてほしいんだけど良い?」
「構わないわ。先生と一緒に入れるなら」
「よし、それじゃあ新しい水着、買いに行こう!」
先生はヒナの手を取って駐車場にあるアレグロブリーズを目指す。
「え? でもこの水着があるから……」
「違う、違うよヒナ! 折角のお休み、折角の海! 確かに旧型スクール水着、それも悪くはない。悪くはないけれど! 誰もが少なからず持つマニア心をくすぐるし、一部にはブッ刺さると思う!」
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「ブエッックション!!」
「だ、代表大丈夫ですか?」
「うんまぁ、少し鼻が痒くなっただけだ」
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「だけどそれでは……」
「それでは?」
先生の熱量に若干驚きつつもヒナは先生の言葉の先を待つ。
「色物の域を出ない!」
「なっ!///」
先生の言葉に顔を赤くし、バッと翼で自分の身体を隠すヒナ。
「勿論、その水着もヒナに似合っていてとても可愛らしいんだけれど、華の十代! 折角のお休み! 遊び放題! もっとおしゃれして楽しんじゃおう! ヒナにぴったりの水着私に選ばせて!」
「……もう、それじゃあお願いするわ、先生」
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銃声が飛び交う海岸線。ハルミの指示のもと風紀委員会はスケバン、ヘルメット団の両方を捕縛する為に行動をしていた。
「……イオリ、お前は指揮官だ。誰よりも先に突撃し、いち早く相手を制圧したいという意気込みと正義感には感心するが目の前ばかりに気を取られて部隊全体に目を配り切れてない。それは致命的な欠陥だ。そもそもお前もスナイパーだろう、後方から指示を出しつつ、援護も出来るだろうに」
「うぅ゛、それは解ってるだけど……」
ハルミとイオリそしてチナツは後方から部隊に指示を出しつつ、狙撃などで援護をしていた。しかしイオリは後方でジッとしているのが合わないのかうずうずとしている。
「ふっ、それなら後方待機は一旦ここまでにしておくか。元々お前には前線に立ちながら指揮官と振舞えるよう教えて欲しいと行政官に頼まれていたしな。ほら、行くぞ。一つの目標に集中し過ぎにならないような前線での指揮官の戦い方を教えてやる」
「た、頼む!」
「チナツはここで待機。戦場全体の動きとアコの指示をよく聞いておけ。ヒナのあとを継ぐのがイオリなら、アコの後を継ぐのはお前なのだから」
「っ、はい」
ハルミはイオリを連れて前線へと走る。その最中にハルミはイオリに問いただす。
「……風紀委員会は人員募集にどれくらい力を入れてる? 正直な話人員不足が来年度から深刻化しないか?」
「それは、そうなんだけど……ウチの治安だと現場で戦ってばかりで募集の為の活動とかやってる暇が無かったんだよね。……最近ようやく余裕が出来てきたんだけどさ。でもこのままだとこの先が本当に不安だよ。私もヒナ委員長みたいになれるか分かんないし……」
イオリの顔が少し暗くなる。
「別にヒナのようになる必要はない」
「え?」
「お前はお前のやり方でやればいい。その為の練習相手にもなってやるし、教えを請われれば色々な方法を教えてやる。お前はその中で自分のやり方を身に付けろ」
そえハルミは少し笑いながら話す。その言葉と表情を見て目を丸くするイオリ。
「ありがたいけど、どうしてそこまで?」
「ん……。少しばかり古巣の後輩に良いところを見せたくなっただけだ」
「古巣……ってあんたゲヘナ生だったのか!?」
「言ってなかったか?」
「聞いてない! ……先輩って呼んだ方が良かったり?」
「別に好きにするといい」
そう言ってハルミは足を速めて前線へと一直線に向かう。その様子をみたイオリは砂浜でよくあんな速度が出せる、と思いながらも同時に追いついて見せると闘志に火がともる。
「それじゃあ、色々学ばせてもらうぞ! 先輩!」
本作では先生とヒナちゃんがいち早く絆を深めております故、少しばかりべったり気味なヒナちゃん。エデン条約調印式まであとどれくらいだっけ……。
先輩属性の付いたハルミと後輩属性の付いたイオリ。次代の風紀委員会のためのイオリやチナツの育成は順調に進んでおります。これにはヒナ委員長もにっこり。
でも真面目に原作だと次の年、というかヒナ、アコ卒業後の風紀委員会は心配なんですよね。なんでもイオリ特攻と言っても良いカスミもいるし……。それに比べて正義実現委員会は切れたらヤバイイチカ。冷静スナイパーのマシロ。エロのコハル。と層が厚いんですよねぇ……。