シャーレの部長はブラックマーケットの代表   作:四脚好き

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 伝説の超三毛猫様の『HENTAIの野望〜キヴォトス同人誌化珍道中〜 』
https://syosetu.org/novel/311789/ とのコラボ話中編です。
 ……えぇ、中編です。前後編で終わると思った自分の見通しの悪さに呆れてしまいそうです。
 後編? まだまだ先です。

この世界戦での設定。

・先生は『HENTAIの野望』準拠。
・アビドス後、エデン前の時系列。
・グラン君が本編より強い



Intersecting stories2 テーマソング『桃源郷エイリアン(serial TV drama)』

 ◎・廃遊園地『スランピア』・

 

 スランピア、元々はモモグループが『ユートピア』という名前で建設したテーマパークらしが……。

 

「この廃墟が『ユートピア』ねぇ……」

 

 俺は依頼された荷物を左腕があった部分に取り付けられている固定用アタッチメントに接続して受取人の場所まで歩いていた。電気の通っていない遊具が夜になると動き出す、近づいた生徒が行方不明になるだとか奇妙な噂があるけど多分、行く当てのない不良どもが居るのだろう。もしくはこれから会う受取人、『ベアトリーチェさん』に消されたか……。風貌こそ驚いたが、話してみると案外親切だった『ゴルコンダさん』と『デカルコマニーさん』が出発前に話してくれたことを思い出す。

 

◎・・・

 

『荷物はこれで受け渡し完了です』『そういうこった!』

『はい、確かに受け取りました』

 

 依頼人との待ち合わせ場所に30分前についた所、既にその場にいたゴルコンダさんに俺は慌てて話しかけた。かなり変わった見た目だが、何者かだなんて、このブラックマーケットでは関係ない。ただ報酬と仕事があるだけだ。お待たせしてしまったことを謝ったが、ゴルコンダさんは丁寧に問題ないと言ってくれて、自己紹介をしてくれた。どうやらコートを纏い、ステッキを持った首のない男性が『デカルコマニー』さんで、デカルコマニーさんが持つ写真に写っている後ろ向きの男性がゴルコンダさんらしい。……そういう、設定なのか、新型のサイバーウェアで本当に二人一つで生活しているのかは気になるところだ。だが、さっきも言った通り、相手が誰であろうと金さえ払ってくれるなら、ブラックマーケットでは何の問題もない。

 

『最後に一つだけ。受取人のベアトリーチェの事です。彼女は自分以外のすべてを道具としてしか見ていません。どうかお気を付けて』『そぉいうこったぁ!!』

『は、はい。ご忠告ありがとうございます。ゴルコンダさんもデカルコマニーさんもお気をつけて! それでは失礼します』

『えぇ、さようなら(・・・・・)

 

◎・・・

 

 自分以外のすべてを道具としてしか見ていない存在。それならこの遊園地に入り込んだ生徒がどうなったかは想像に難くない。受け取りの際に見たときはただのC4みたいだったんだが、なかなか、ヤバいものを今俺は運んでいるのかも知れないな。前金は既に振り込まれてる、引き返すことは不可能だ。気を引き締めていこう。気合を入れ直して歩いていくとメリーゴーランドやメインゲート、奥には観覧車なども見える広場についた。メインゲートの近くに立っている女性が見える。

 長身で、長い黒髪に赤い肌、白いドレスを身に纏う。目がついている翼で埋め尽くされた頭部を持つ貴婦人めいた女性、後ろ姿だが、受取人のベアトリーチェさんで間違いない。近くにはガスマスクを装着した人間たちもいる。私兵隊だろうか? 私兵隊の一人がこちらに気が付いてベアトリーチェさんに耳打ちする。するとベアトリーチェはゆったりとした動作で、こっちを向く。……すっごい美人だな。振り向き美人……だっけ? こういう人の事をいうんだろうな。

 

「その左腕につけているのが、ゴルコンダから受け取ったものですか?」

「はい。運び屋グラン、お届けに上がりました」

 

 ベアトリーチェさんまではそれなりに離れているはずなのに彼女の声はまるで頭に直接流れ込んでくるようにはっきりと聞こえた。

 

「いまからこちらの者が本物かを確かめに向かいます。この者は非武装です。貴方に危害を加えるつもりはないので検品を受け入れなさい」

「了解しました」

 

 ベアトリーチェさんが顎を動かすと武装していないガスマスクが一人こちらに両手を上げながら近づいてくる。そして近づくと、箱の中を確認して数個ある爆弾のうち一つを取り出してベアトリーチェさんに見えるように掲げる。ベアトリーチェさんはその爆弾に向かってリモコンを操作する。すると爆弾の表面に何かのマークが浮き上がる。

 

「ゴルコンダからの事前情報にあった印もありますね。本物でしょう。報酬を渡しなさい」

「こちらを」

「あ、どうも」

 

 爆弾を箱に戻したガスマスクがポケットから端末を取り出す。電子決済だ。取引が無事終わりそうで安心する。少しばかり気が抜ける。しかし、ゴルコンダさんと言い、ベアトリーチェさんといい、報酬を踏み倒しそうな見た目の割には契約には律儀だし、電子決済対応とは……。楽だからいいけど。

 

「ゴルコンダの『ヘイロー破壊爆弾』。試作品とは言え、どこまでのものか見せてもらいましょうか」

 

 は? 聞こえた不吉な言葉に顔を向けると、ベアトリーチェさんが不気味な笑顔を向けながら先ほどのリモコンをこちらに向けていた。 

 

―――キュイイイイイン――― 左腕の方から聞こえる収束音、そして熱―――

 

 

◎・アビドス高校・

 

「遅い」

「確かに、約束の時間からだいぶ経ってるね」

 

 スバルは先生と共にアビドス高校の校門前でグランを待っていた。対策委員会に合わせたい人がいる、とスバルが言った時、シロコ達も外で待つことを提案してきたのだがスバルはこれを却下していた。さっさと話し合えとは思うが、いきなりグランを対策委員会連中の前に出すのは流石に酷かと思い、校門前でスバル、グラン、先生で疑似三者面談をしようかと思っていたのだが、時間になってもグランは現れなかった。

 

「バックレやがったか……? でもなぁ、あの目で?」

「私も話を聞いて逃げ出すような子じゃないと感じたけどな。……水戸グラン、ホシノの同級生の元アビドス生か……」

 

 あまりに遅いのでグランには悪いと思いつつもスバルは先生にグランがどんな奴で、どんな過去を歩んできたかを教えた。そこで先生は初めてホシノに何があったのか、ユメという救えなかった生徒がいたことを知る。そしてホシノには自分から何があったか話してくれるようになるまでは決して踏み込まないことを誓った。

 

「うへぇ~、スバルちゃん。待ち人はまだ来ない感じ~?」

「こっちは待ちくたびれたわよ! 時間も守れないやつなんてほっておいて良いじゃない!」

「ん、セリカの意見も一理ある」

「でも、先生もスバルさんも会わせたいと言っていますし、重要なことだと思うんですけど……」

 

 対策委員会が待ちくたびれたようで、校門前にやってきてしまった。ホシノ、セリカ、シロコ、アヤネの順に意見を述べる。流石に空気が悪くなってきたかと感じたスバル。

 

「もしかして途中で事故や怪我をしちゃたとかでなければいいんですけど☆」

「……それだ」

 

 ノノミの言葉にスバルが声を上げる。

 

「そうだ、昨日アイツはあの後、何かの依頼に向かったはず。もしそこで何かがあれば……ッ!」

「ここには『来ない』じゃなくて『来れない』になるね」

 

 スバルの意見を先生が続ける。スバルは先生の顔をジッと見る。先生は何も言わず、頷く。

 

「マイシスター、それに他の皆も武装して再集合。俺も待つのには飽きてきたところだ。こっちから出向いてやろう。行先はブラックマーケットだ」

 

◎・・・

 

「うっし、ついたな」

 

 対策委員会と先生を引き連れてスバルはブラックマーケット内安アパートのグランの部屋の前まで、やってきた。

 

「スバルちゃ~ん。そろそろ誰を会わせようとしているか、教えてくれてもいいんじゃない? ブラックマーケットにまで来ることになるなんて、一体誰に会わせようとしてるのかな?」

 

 ホシノは笑顔だが、その目の奥に殺気に近いものが宿っているのをスバルは『擬・見聞色の覇気』で察知した。どうやらおかしな人間、ブラックマーケットの犯罪者などと会わせるつもりなのではと少し警戒しているようだ。その視線に対して『どうすっかなぁ』と少し考えた後、顔を上げるスバル。

 

「水戸グラン」

「……へ?」

「あんたが良く知ってる、水戸グランだよ。ホシノ先輩」

「ここに、いるの?」

「お、おい?」

 

バンッ バンッ バンッ!

 

 スバルがグランの名前を出した瞬間、ホシノはいつもの眠たげな半目を見開く。そしてホシノはふらふらと部屋の扉の前に立つ。扉に鍵がかかっていて、ドアが開かないことを確認するホシノ。するとホシノはすぐさまショットガンを持ち連射。扉の鍵部分を破壊してドアを開けて部屋にズンズン入っていくホシノ。

 

「おぉぉぉぃぃいい! ホシノ先輩! ここ賃貸だぞ!?」

「「「「ホシノ先輩!?」」」」

「ホシノ!?」

 

 突然の凶行に驚く、ホシノ以外のメンツ。 慌てて、追いかけて部屋の中に入る。

 

「シスターはその『グラン』っという人がどんな人か知ってるの?」

 

 部屋に入っていく途中でシロコがスバルに聞いてくる。セリカ、アヤネ、ノノミも声には出していないがスバルの方を向いているし、耳を傾けている。

 

「水戸グラン。元アビドス高校 生徒会書記 水戸グラン。ホシノ先輩の同級生だった男だ」

「それって……」

「私たちの先輩でもありますね」

 

 セリカとアヤネが呟く。その後ろでノノミが何かを思い出したような表情をしていた。

 

「かなり、親しかったが喧嘩別れをしたあと、互いに音信不通だったらしい。ホシノ先輩にとってはかつて背中を任せた戦友に数年ぶりに会えるかもしれないと思っているわけだ。……あの感じからしてただの戦友って仲じゃなさそうだが……」

「こ、恋人だったとか!?」

「あ、アヤネちゃん! 声が大きいよ!」

「ホシノ先輩の恋人……強そう」

「あの時の彼なんでしょうか……?」

「ノノミ、どうかした?」

「い、いえ、なんでもないです。先生」

 

 先生がノノミの様子に気が付いて声をかけるがはぐらかされてしまう。そうして部屋の中に入ったホシノ以外の面々。部屋の中は片付いており、机の上に何枚かの資料が広がっているだけだった。スバルは早速資料や依頼を確認する。

 

「案外片付いているみたいね……」

「ん、綺麗」

「ホシノ先輩は……いました! ホシ……ノ……先輩?」

 

「良か゛っ゛だ……い゛ぎでる゛。グランがっ、いきでっ……生ぎでだ……私は……ぐずっ。てっきり。……グランはっ、弱っちいがら゛……もう、もういない゛んじゃ゛ないがっで……ああぁ、あ、っ……、ぅあ……!」

 

 ホシノは何かを抱えて、涙やら鼻水やらで顔をぐちゃぐちゃにして泣いていた。声は裏返り、肩は小刻みに震えている。ホシノを見つけたアヤネは初めて見たホシノの泣き顔に思わず駆けだして、ホシノを抱きしめていた。今まで強く見えていた背中が今はとても脆くて、こうしないとそのまま消えてしまいそうに思えたからだ。他の対策委員会の面々も集まってきてホシノを抱きしめる。

 はっきり言えばホシノ以外はグランがどういう人物で、ホシノとどういう関係だったかは分からない。それでも今までとんなことがあっても涙一つ見せなかった先輩がここまで感情を露わにして泣いている。それだけで、ホシノにとって、グランという人物がどれだけ大事だったかは想像ができる。

 

「これ……嘘だろ!?」

「スバル、何か見つけた?」

 

 対策委員会がみんなでホシノを慰めている間、スバルはグランが受けたであろう、依頼を見つけて絶句した。

 

(確かに時期的には、そろそろ『エデン条約編』が始まってもおかしくはないが……。こんな、ピンポイントでヤバい依頼を受けやがったのか! この爆弾は……間違いなく『ヘイロー破壊爆弾』ッ!)

「スバル、大丈夫!?」

「あ、あぁ、先生か」

「顔色が本当に悪い。……その依頼書、そうとう不味いものなの?」

 

 先生もスバルが持っていた依頼書に目を通す。

依頼者ゴルコンダ
受取人ベアトリーチェ
依頼内容新型爆弾の廃遊園地までの輸送
報酬2億(前金として半額提供)

 

「ヤバさとしては最上級です。最悪、その、死んでいてもおかしくない

「そんなに!?」

 

 先生にだけ聞こえるように途中から小声で話し始めるスバル。スバルの言葉に驚き、険しい表情を浮かべる先生。この事実をどうやってあの状態のホシノに伝えれば良いか考えていると―――。

 

「スバルちゃん。『私』は大丈夫。今、考えられるグランの状態に教えて」

「ホシノ先輩! ……もう、大丈夫なのか?」

 

 そこにはいつもよりも、眼光が鋭く感じるホシノが立っていた。左手に盾、右手に銃、首元に見慣れないタクティカルグラスをしていた。後ろに心配そうな対策委員会もいるがホシノはしっかりその足で立っていた。

 

「グランだが、ハッキリ言って今も生きてるかは分からない。この依頼書を見てほしい。ここに書かれてる名前、ホシノ先輩を攫った黒服と同じ組織の奴らの名前がある」

「「「「「!?」」」」」

 

 部屋の中が驚きに包まれる。それもそうだろう。対策委員会にとって大事件だった、あの一件からそんなに経っていない。そんな中、再び同じ組織がらみの事件だ。

 

「あと、この『新型爆弾』……おそらく『ヘイロー破壊爆弾』だ」

「『ヘイロー破壊爆弾』?」

「……まさか」

「嘘ですよね……」

「そんなものが」

「そっか。じゃあ、さっさとグランを助けないとね。スバルちゃん場所はどこかな? 『私』がサクッと片付けてきちゃうよ」

 

 ホシノが、スバルに近寄り依頼書を取ろうとする。それを寸で避けるスバル。

 

「一人で行く気ですか」

「そりゃあ、『ヘイロー破壊爆弾』なんてあるかもしれない場所に後輩たちを連れていけないよ。それにグランの事は、私だけの問題だしね」

 

 ホシノはヘラリと笑う。

 

「ふざけんなよ……」

「へ?」

「何が、『私だけの問題』だ! グランは今は俺のダチでもあるんだ! ホシノ先輩だけの問題なんかじゃねぇ! アンタはもっと周りを頼れよ! 何でもかんでも一人で抱え込むんじゃねぇ! 俺たちはそんなに信用ないか!?」

「そうですよ、ホシノ先輩!」

「ん、水臭い」

「対策委員会で『二人だけの秘密』みたいなものは許されません。私たちは運命共同体ですから☆」

「行きましょう、その水戸先輩を助けに!」

 

 スバルが怒鳴ればそれに続いて対策委員会のみんなが笑いながらホシノの前に出る。最後に先生がホシノの前に立って肩に手を置く。

 

「ホシノ」

「みんな、先生……。うへー、こんなに先輩思いの後輩を持てて私は幸せ者だー。うん、みんな。私はグランを助けに行きたい! だから力を貸して!」

「支援はお任せください!」

「そうこなくっちゃ!」

「ん、もう一人の先輩を迎えに行く」

「頑張っちゃいますよー☆」

「よし、対策委員会プラススバル! 出撃!」

 

 先生の音頭にそれぞれの武器を掲げる。ここに水戸グラン救出作戦が始まる。

 

 

 

「グランといい、ホシノ先輩といい、本当にどっちもお互いの事大切なくせに色々抱え込みすぎなんですよ。 全くお似合いカップルですよ」

「え!? そ、そうかなー。う、うへへへ」

「数少ない男性モデルなんだ。絶対に助ける」

「へ?……ねぇ、モデルってことはスバルちゃんグランの体見たことあるの?」

「上裸だけですけどね」

「へぇー……」

「うわ、面倒クセッ。 あとで絶対新作のネタにしてやろ」

 

 





 因みにグランがベアトリーチェに惚れてしまうルートもありました。見た目は良いからね、見た目は。
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