シャーレの部長はブラックマーケットの代表   作:四脚好き

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6話

◎・アビドス自治区・

 

 

 シャーレを出た後、部下からVBMRグリフォンを受け取り出発した。アビドス自治区に入ってから暫く車を走らせる。……うちは装甲車両は作ってないんだよなぁ。帰ったら開発部門に提案してみるか? でもあいつら最近莫大な予算でなんか作ってんだよな……オーバー何とかだったか? 6枚もチェーンソー繋げて一体どうすんだか……。

 少しずつだが、見覚えのある場所に出てきた。それに加え遠くにアビドスの校舎が見えてきた。

 

ダダダダダダダダダッ!

 

 校舎の方角から鋭い銃声が聞こえてきた。クソっ、地元の暴力組織とやらか! アクセルを踏み込み加速する。ドリフト気味に角を曲がりながら学園に向かう。あと少し、あと少しすれば……。急ぎながらもポイントを逃さないように車を操作する。この車両だとギリギリか? 行くしかないがな! そこか、今は雑草だらけの空き家の庭! 突っ込め!

 

「校舎へのショートカットぉぉっ!」

「なぁ!」

「何だぁ!」

 

「何アレ、アレもヘルメット団!?」

「民家の敷地を突っ切ってくるなんて!」

『あの車両のマークは!』

「死ぬほど痛いぞ!」

「「ごはぁ!」」

 

 アビドスの校門前に飛び出した後、通り道にいた不良を二人ほど撥ねた後、校庭にスライドブレーキで止まらせる。立ち上る砂煙。静寂、先ほどまでの銃撃音が嘘のようだ。今のうちに車両の後部へと移り、武装を装備する。砂煙が落ちてきたのだろう。周りが騒がしくなってきた。

 

「お、おい。あのマークって『ODI ET AMO』じゃないか?」

「はぁ! ブラックマーケットの最大グループがうちらヘルメット団に何の用だよ!」

「知るわけねぇだろ!」

 

『やっぱり『ODI ET AMO』! 一体なぜアビドスに?』

「アヤネちゃん、どうしたの?あの車そんなにヤバいやつなの?」

「セリカ、重要なのは敵か味方か」

「シロコちゃんの言う通りです。悪い人なら、ヘルメット団と一緒にめっ☆しちゃいますよ~」

「うへ~、おじさんもう疲れちゃ『あっ、グランの車だ! 皆味方だよ!」……は?

 

 後部ハッチを蹴り開けて降りる。不良たちに銃口を向けながら一言。

 

「不良ども、恐れるな。死ぬ時間が来ただけだ」

「こっちの敵かよ!」

「相手が一人増えただけだ撃て! 撃て!」

 

 身を屈め、駆けだす。時折回避するフェイントを入れながら近距離まで近づく。KO-3K2をニ、三回撃つ、火力にビビった不良が頭を下ろして、障害物に隠れる。その隙にさらに接近、相手は障害物から腕と銃だけ出して、いわゆるブラインドショットでこちらを近づけまいとしているがそんなのそうそう当たるわけ ダンっ! 痛ったぁ……。左肩に直撃した。今の射撃で義手との接続バンドが切れたのか左腕が落ちたのを感じる。この感じ、取れただけで壊れてはなさそうだ。とはいえ……

 

「新品が砂まみれじゃねぇか!」

「ギャッ」

 

 障害物を思いっきり蹴り壊す。背中を預ける壁が壊れるとは思っていなかったのか、転がる不良。その腹にKO-3K2を撃ち込む。そいつのヘルメットを取り外して、力いっぱい他の不良に投げつける。

 

「これで二人」

 

 ヘルメットが直撃して気絶した不良がゆっくりと膝から崩れ落ちる。その不良にグレネードをつける。そして思いっきり蹴って不良どもの集団にぶつける。爆発。爆発で吹き飛んだ奴らの意識を確実に飛ばすためKO-3K2を一発ずつ撃ち込んで気絶のふりしている奴がいないか探る。元々先生たちが数を減らしていたのか大分簡単に片付いた。こんなもんか―――

 

「う、動くんじゃねぇ!」

 

 後頭部に銃口を押し当てられる。んー、苦い記憶で終わった土地(アビドス)のせいか、俺もかなり緊張しているみたいだ。まさか後ろを取られるとは……。ゆっくりと振り返る。緊張した面持ちの不良が涙目にながらもこちらに銃を突き付けていた。

 

「その肝っ玉は評価するが、お前の敵は俺だけじゃないはずだぞ。右を見ろ」

「え!―――ガンッ

 

 不良は右だと言ったのになぜか左を向いた。そして銃床で殴られて崩れ落ちた。

 

「ああ、俺から見たら右だった。すまない助かっ……た……」

「なんでここにいるの」

 

 小柄な体躯に桃色の髪。ヘルメット団を殴ったのは随分懐かしい顔だった。

 

『お前が……、お前が■■■■を■したんだッ!』

 

 嘘だ、嘘なんだろ。なんで君が……ここにいる。あのあとてっきり転校したのかと。まだここにいたのか、ここで戦っていたのか? それにその『盾』は……、その恰好は! 一人で戦っていたのか?

 

『カタカタヘルメット団残党、校外エリアに撤退中』

「わぁ☆ 私達、勝ちました!」

「あははッ! どうよ! 思い知ったかヘルメット団め!」

「ん、ホシノ先輩大丈夫?」

「ん? うへへ~心配してくれてありがとうね、シロコちゃん。先輩思いの後輩でおじさん感激だ~」

「先生が呼んでる一度部室に集合。そっちの人も来てほしい」

 

 暫く二人で固まっていたがその間に不良どもの残党は負傷者を引き摺りながら撤退していたらしい。シロコという名の少女が異変に気が付いたのか間に入ってくれた。懐かしい顔、小鳥遊ホシノは顔を緩めシロコとい少女のあとについていった。自分もその後について行き校舎に向かう。途中左腕を拾って予備のバンドを出して接続する。途中チラチラと視線を感じるが気づいていないふりをする。

 

 

 

◎・対策委員会 教室・

 

 

 

「いやぁ~、まさか勝っちゃうなんてね。ヘルメット団もかなりの覚悟で仕掛けて来たみたいだったけれど」

「まさか勝っちゃうなんて、じゃありませんよ、ホシノ先輩……。勝たないと学校が不良のアジトになっちゃうじゃないですか……」

「先生の指揮がよかった。あなたも強かった」

 

 シロコと呼ばれた子がこちらに向かってサムズアップをする。

 

「そりゃどうも」

 

 それぞれが、銃をガンラックに立てかけながら椅子に腰掛ける。俺も空いてるラックに銃を置かせてもらい、端の席に座る。すると隣に小鳥遊ホシノが座る。成程、俺と後輩の間に入ることで壁になってるつもりか……大分警戒されているな、よく見ると彼女だけがいまだに銃を持っている。『いつでも撃てるぞ』ということだろう。妥当な判断だな。俺と小鳥遊ホシノの空気に気が付いたのか、教室内に少しヒリついた空気が流れる。

 

「あはは……少し遅れちゃいましたが、改めてご挨拶します、先生。私たちはアビドス対策委員会です」

 

 眼鏡をかけた子が空気を換えようとしているのか自己紹介を始めた。

 

「私は委員会で書記とオペレーターを担当している一年の奥空アヤネです。こちらは同じく一年の黒見セリカ」

「どうも」

 

 猫耳の勝気そうな少女が軽く頭を下げる。この子もかなり警戒しているな。……ホントに猫みたいなやつだ。

 

「二年の十六夜ノノミ先輩と砂狼シロコ先輩」

「よろしくお願いします、先生~」

「さっき道端で先生にあったのが、私。……あ、別にマウントを取っているわけじゃない」

 

 十六夜ノノミ……十六夜? 確かセイント・ネフティス社の……。まぁ、あとで確かめれば良いか。なんとなく、あの人に雰囲気がにているな。 親族ってことはないよな?

 砂狼か、ちらっとしか見ていないが随分いい動きをする。度胸もありそうだ。アビドスじゃあなければぜひスカウトしたかった。

 ……そうか、こんなに。あの頃のアビドスを知っている身としてはこんなに後輩が、それも優秀そうな後輩が入学しているなんて、すごいじゃないか。なぁ――――

 

「そしてこちらは委員長で、三年の小鳥遊ホシノ先輩です」

「いや~、よろしく先生」

 

 眠たげに目を擦りながら挨拶をする桃色の髪を靡かす君。懐かしくも思うがそれ以上に募るのは(にが)くて(くる)しい感情。会えてうれしい、だが同時にできれば会いたくなかった存在。昔とはまったく違う君。それは(過去)のせいだろうか。まさかこんな風になっているとは思いもしなかった。まるであの人を見ているようで本当にそこに(小鳥遊ホシノ)はいるのか問い詰めたい。けれどそれはできない。そもそもこんなに人がいる所で聞くべきことではないし、俺にそのことを聞く権利があるとも思えない。

 ああ、あの時俺はどうすれば良かった? どうすればこんな気持ちに、どうすればこんな未来にならなくて済んだ? あの依頼は受けるべきではなかった? とっとと諦めて出ていけばよかった? もっと無情であればよかった? ……もう、どうしようもできないのか?

 

 先生や対策委員会の面々がいるとわかっていても、顔が歪むのを抑えることはできなかった。

 

 

 ◎・対策委員会 教室 ??? ・

 

 隣で彼の顔が歪んでいるのを横目で確認する。最初にその姿を見たときは驚いた。シャーレの先生という『大人』がやってきた。なんとその大人はアビドスを助けに来たという。ただでさえ厄介だと不安に思っていたのに、そこにヘルメット団が攻撃してきて、仕方なしに先生の指揮に従っていた。先生の指揮は見事だった。的確で効率的。順調にヘルメット団を片付けていた時、『それ』は現れた。

 一台の装甲車。その装甲車は二人のヘルメット団を吹き飛ばしながら、グラウンドに止まった。車体には見慣れないマーク、『ODI ET AMO』(私は憎み、そして愛する)。一体何を憎んで、何を愛しているのやら。少なくても、敵か、第三勢力かと銃をしっかりと握りなおしたがそこで先生から驚きの名前と情報が出た。動揺した、けどすぐに同名の別人なのではとも思った。けど違った。装甲車から現れたのは私の知っているグラン、水戸グラン本人だった。

 かつてのあなたとは全く違うあなた。それは(あんなこと)のせいなの? まさか今、そんな感じになっているとは思わなかった、思いたくなかった。どこかで見たことのある目をしているあなたは前とは違う武器で、前とは違う戦法をしていて、まるで別人だ。私があなたをそうさせたのか、そこまであなたを壊したのか知りたい。けれどこれは私たち二人の問題で、後輩を巻き込むべきではなかった。

 彼は一体いつのことを思い出して顔をゆがめているのだろう? 私に左腕を奪われた時? それとも私が一方的にあなたを撃った時? 

 

それともユメ先輩を殺した、とあなたを糾弾したとき?

 

 

 




暴力使ってトップに立ってる人間がいっちょ前に罪悪感感じてんじゃん。ウケる、撮っとこ(トーセン〇ョーダン)
評価、感想は作者の承認欲求モンスターが満たされるので執筆速度向上につながります。どうぞよろしくお願いします。

グラン君はこの中の一人と知り合いです。さてどなた?

  • 海綿体
  • 昆布茶
  • ゴリラ
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