シャーレの部長はブラックマーケットの代表   作:四脚好き

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そういえば、今日初めてブロンコビリー、というステーキ屋行ったんですよ。うまかった。


7話

◎・対策委員会 教室・

 

「それじゃあ、改めて! 私は屋浦ニイ。シャーレの先生、アヤネからの手紙を見て助けに来たよ! ほら、グランも自己紹介する!」

 

 先生がそう言って俺の背中をたたく。本当にこの人は……。俺の不安を感じ取ったのか? 態々もう一度自己紹介をして、普段ならしない背中をたたくというスキンシップもした。……ホント、生徒をよく見てる。いい先生だよ、あなたは。

 

「水戸グラン。ブラックマーケットで活動している『ODI ET AMO』というグループトップをしている。今は連邦生徒会長からの依頼でシャーレの部長も兼任している」

「ブラックマーケットって不良のたまり場じゃない! そんなところの一グループのトップがどうして連邦生徒会長に仕事の依頼を受けてる訳?」

「セリカちゃん! 『ODI ET AMO』は唯の不良グループとは違うよ!」

 

 黒見がこちらを非難するように見ながら疑問を投げかける。それを近くの奥空が慌てて止める。どうやらこの子はこちらのことを知っているらしい。……名乗ったときに僅かな反応を見せたのは奥空、十六夜の二人か。このアビドスでは情報の入手は一苦労だろうしな。奥空は自身の努力で情報をかき集め、十六夜の方は実家からの情報か?……やはりセイント・ネフティス社のあの時の娘で間違いはなさそうだが。

 

「『ODI ET AMO』と言えば、ブラックマーケットの50%を支配しているブラックマーケット内最大派閥ですよ、セリカちゃん☆」

「うぇっ、本当ですかノノミ先輩!」

「ん、強そう」

「いや、俺はそれほど強い方じゃないぞ。お前と戦ったら多分俺が負けるぞ」

 

 いや、マジで。先程も言ったが、センスがずば抜けているし度胸もある、それにハッキリ言うと表情が読みづらい。よくよく注目すれば分かるがパッと見でこの子の考えを読み解くのは至難の業だろう。

 もし彼女の感情をすぐに理解できるようになればそれ程の時間をともに過ごしたということでもあり、そのころには確実な信頼関係を作っているだろう。その信頼関係は戦場において良い働きをするに違いない。……ああー、凄く部下に欲しい。

 

「……」

「何だ、砂狼」

「シロコでいい。私はグランって呼ぶ。……グランはホシノ先輩と知り合い?」

「ちょ!」

「シロコ先輩!」

「わぁ☆」

「うへ~」

「お前、凄いよ」

 

 確かに俺と小鳥遊ホシノの間でかなりピリピリした空気を出していたが、みんな遠慮して何も聞かなかったのに。すげー度胸してるよ、本当に……。

 

「戦闘終了からホシノ先輩がチラチラとグランのこと見てた。それなのに二人とも絶対に目が合っていない」

「シロコちゃんたら、そんなにおじさんの事見てたの~? 照れちゃうな~」

「はぐらかさないで」

「ッ」

 

 小鳥遊ホシノがすぐにお茶らけて空気の緩和を図ったがシロコにジッと目を向けられて黙りこんでしまった。

 

「俺と小鳥遊ホシノが一年のころにある依頼が原因で大ゲンカしたことがあんだよ」

「……ッ! あれがッ! 喧嘩!?」

「「「!」」」」

「ホシノ先輩……?」

 

 気が付いたら俺はホシノに襟を捕まれて顔を強制的に小鳥遊ホシノの方に向かされていた。初めて目が合った。彼女は目を潤ませ、これ以上声を上げないようにするためか、唇を固く結んでいた。君の泣き顔なんてあの日以来見ることはもうないと思っていたんだがな。たまらず目線を動かせばシロコが慌てふためいているのがわかる。彼女もこうなるとは思っていなかったのだろう。

 

「また、私から逃げるの?」

 

 思いっきり襟を引っ張られて視線を強制的にまた合わせられる。……力強っ!? 襟の手を外そうとするが全く取れない。どれだけ強く握りこんでるだ。どうしたものか―――

 

「はーい、そこまで!」

「……?」

「先生」

 

 先生が声を張り上げる。その声に合わせて小鳥遊ホシノ以外の対策委員会が素早く動く。先生の声に気を取られていた小鳥遊ホシノはあっという間に対策委員会に両手や胴をつかまれていた。

 

「ホシノ先輩もそこまでですよ~☆」

「ホシノ先輩も手を……もう、どれだけ強く握ってるのよ! アヤネちゃん反対の手!」

「うん! ホシノ先輩落ち着いてください」

「ん、離れる」

 

 ◎・対策委員会 教室 数分後・ 

 

「落ち着いたか?」

「まぁ……ね。うん、みんなごめんね。おじさんカッとなっちゃって、年かな~」

 

 ……そういえば何だが、その『おじさん』という一人称はなんだ?あの先輩もそんな一人称ではなかったはずだが。

 

「え、えっと話しを戻しますと、御覧の通りわが校は危機的状況にさらされています……。その為『シャーレ』に支援を要請し、ニイ先生がいらしてくれたことで、危機を乗り越えることができました。先生がいなかったらさっきの人達に学校を乗っ取られていたかもしれません」

「はい、は~い! 対策委員会って何なの?」

 

 奥空が話を戻してアビドスの現状について語る。その後、先生が手を上げ、質問を投げかける。アンタは先生だろうに……、まるで生徒だよ。しかし『対策委員会』か……。二年前のアビドスにはなかったものだな。先生の質問を受け、奥空が眼鏡を一度上げてから説明を始める。

 

「ご説明いたします。対策委員会とは……このアビドスを蘇らせるために有志が集まった部活です」

「うんうん☆ 全校生徒で構成される、校内唯一の部活なのです! 全生徒といっても、私たち五人だけなんですけどね」

「ん、他の生徒は転校したり、学校を退学をしたりして町を出て行った。学校がこのありさまだから、学園都市の住民もほとんどいなくなってさっきのヘルメット団みたいなチンピラたちが集まってきちゃって、学校を襲われてるの。現状私たちじゃ学校を守り切るのをが難しい」

「もしシャーレからの支援がなかったら、今度こそ万事休すってところでした」

「だねー。補給品も底をついていたし、流石に覚悟したね。なかなか良いタイミングで来てくれたね、先生」

「間に合ってよかったよ」

 

 アビドスのあんまりな現状に頭を抱える。二年前もひどかったが、なんだかますますまずいことになってないか? 小鳥遊ホシノ……、お前はどうして、どうやって、あの地獄を乗り越えた? 

 ……まぁ、いつか聞いてみるとして。先生はどうやら大量の補給物資を担いでアビドスに来たらしい。この人、キヴォトス人でない割にはガッツあるよな。

 

「一応、VBMRの中にも物資は積み込んである」

「お二人のお陰で暫くは物資に困らなそうです。もうヘルメット団なんてへっちゃらですね。大人の力ってすごいです☆」

 

 その言葉に対策委員会の面々の顔から険しさが取れる。しかしすぐに顔を引き締めてねシロコは言う。

 

「かといって、攻撃を止める様な奴らじゃない」

「あー、確かに。しつこいもの、あいつら」

 

 黒見がシロコの言葉に同意する。

 ヘルメット団。このキヴォトス各地で活動している不良集団。なにやら派閥のようなものがあるらしい。『カクカク』『ジャブジャブ』等が名前の前に付いて活動している。巨大な拠点や、軍事施設を持たないが、それゆえのフットワークと大勢の構成員が強みだ。……真剣にこのキヴォトスの組織内でも五本指のうちに入る構成員の数じゃないか?

 そういった点から奴らはまたこの校舎に攻めて来るだろう。それもかなり早いうちに。それにこのアビドスにいるのはヘルメット団だけではない。少人数グループのチンピラ程度の不良はこのアビドスの住人よりも多いのでは?と思うほどにはいる。ヘルメット団だけに注意していることはできない。

 

「そういう訳で、ちょっと計画を練ってみたんだ」

「えっ、ホシノ先輩が!?」

「うそッ……!?」

 

 小鳥遊ホシノの言葉にあからさまに驚いた顔をする対策委員会の面々。へー……自分で計画したりすることが意外だと思われるような生活をこの二年送っていたわけだ。また大きく変化したんだな。

 

「いやぁ~その反応はいくら私でも、ちょーっと傷ついちゃうかなー。おじさんだって、たまにはちゃんとやるのさー」

「……で、どんな計画?」

「ヘルメット団は数日すればまた攻撃してくる筈だよ。ここんところずっとそういうサイクルが続いているからねー」

「物資の枯渇を狙った連続攻撃か」

「そうそう。相手の狙いはわかるんだけど、必死に攻撃しなきゃ人海戦術で押し切られちゃうからね。いつも大量に物資を使っちゃうんだよね~」

 

 ……ヘルメット団の団員の数は確かに脅威だが、奴らは所詮チンピラ。収入源なども限られている。なんとなく言ったが、奴らに連続攻撃を実行させるほど物資が潤沢にあるとは思えない。……スポンサーでもついたか?

 

「だから、このタイミングでこっちから仕掛けよう。奴らの前哨基地を襲撃して損害を与えるよ。今こそ奴らが一番消耗しているだろうからさー」

「い、今ですか!?」

「そう、今ならシャーレもいるし、補給とか面倒なことも解決できるし。ね~、先生?」

「うんねー、まっかせて!」

「ヘルメット団の前哨基地は此処から30㎞くらいだし、今から出発しよう」

「良いと思います。あちらもまさか今から反撃されるなんて、夢にも思っていないでしょうし」

「そ、それはそうですが……そうだ水戸さんはいかがですか?」

 

 おおう、ここで俺に話を振るのか。まぁ、真面目そうな奥空からすれば情報も少ない敵の前哨基地に攻撃を仕掛けようとしているんだし、不安になるのは仕方がない。だがその少し困った顔をしながら見つめるのは止めろ。しかも顎を引いて上目遣い気味なのもやめろ。机の上にある俺の左腕を遠慮がちに引っ張るのもやめろ! 天然でこれかよ!? 

 

「……小鳥遊ホシノの提案は理屈自体は通っている。確かに、不安要素はあるが安心しろ。万が一があっても対策委員会の面々は絶対に逃がす」

 

 そういって椅子から少し腰を上げ奥空の頭に手を伸ばす。変に撫でると髪のセットが崩れると女子から聞いたので軽くポムポムと叩く程度にしておく。―――ッ!? 殺気!?

 

「――――」

 

 殺気の出どころはすぐに見つかった。隣の小鳥遊ホシノからだった。……後輩に手を出すな、というところか。久々に味わったけど相変わらずの気迫でビビっちゃうね、まったく。早急に奥空の頭から手をどかす。……小声で「ぁ」とか言うんじゃない! 奥空ァ! 黒見ィ! 顔を赤くするんじゃなぁい! あぁ! また殺気が濃くなった! ッ!? 十六夜からだと!?

 

「な、なんの根拠もないがどうか信じてほしい」

「わ、わかりました。そこまで言うなら私も『グラン』さんを信じます!」

 

 ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?

 

◎・アビドス ヘルメット団 前哨基地・

 

「カタカタヘルメット団のアジトがあるとされるエリアに入りました。半径15㎞圏内に敵シグナル多数検知」

 

 ……あぁ、いた。

 

「確認した。向こうもこっちに気が付いているな。先遣隊との交戦始まるぞ」

「ええっ!確認したって、まだまだ距離ありますよ!よく見えますね!」

 

 助手席に座っている『アヤネ』から驚きの声が上がる。……目は昔からいいんだよ。現在、VBMRに対策委員会と先生を乗せて、ヘルメット団のアジトがある地域をかっ飛ばしていた。時間をかければかける程相手に体制を整える時間を与えることになるからな。その為に砂漠の段差だったりを無視して突き進んできたたのだが、車内はそれはそれは揺れた。そのせいか、不穏な声が背後から聞こえる。

 

「うう、ぎぼぢわ゛る゛い゛」

「ん、先生はもっと私に寄りかかるべき」

「先生~☆ 膝枕もありますよー」

「ああ、もう仕方ないわね! ほらできるだけ窓の近くに座って! 後、上着脱いで涼しくする! アビドスは砂漠なんだから街中でも、日陰でも、知らぬ間に暑さで体力を削られるのよ!」

 

 長袖ワイシャツに白いロングジャケットはきついよ。(長袖ワイシャツ、防弾チョッキ、超ロングチェスターコート男)

 

「車はこのあたりに止める。アヤネと先生はここから指示を出してくれ」

「よし。それじゃあ、おじさんたちは出撃だー!」

「はーい☆ やっつけちゃいますよー」

「やってやるんだから!」

「全部倒す」

 

 VBMRから降りた面々はしっかりと己の武器を構え、戦闘に備える。

 さぁ、 

 

「気合入れていこう」

 




ホシノは既に過去を乗り越えている。それはそれとして『良い先輩』のイメージがユメ先輩しかいない。だからホシノは後輩たちの為に『良い先輩』であろうとしている、だからユメ先輩の真似をしているんだ。そう自分は解釈しています。だから乗り越えたはずの過去(主人公)が再びホシノの目の前に現れる必要があったんですね。

評価、感想は作者の承認欲求モンスターが満たされるので執筆速度向上につながります。どうぞよろしくお願いします。

 

グラン君はこの中の一人と知り合いです。さてどなた?

  • 海綿体
  • 昆布茶
  • ゴリラ
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