◎・???・
高層ビルの最上階。その一室に佇む一人の男。全身をサイバーウェア化しており、見た目は黒いロボットそのものだ。彼はどっしりと椅子に座り込み忌々し気にモニターを睨む。
「……格下のチンピラ如きでは、あの程度が限界か。主力戦車まで貸し出してやったというのに、このザマとは。しかし、『ODI ET AMO』か……。厄介なことになったな。不良ではいくら戦力を投入しても、あいつら相手では勝てんだろう。となれば今度は少数精鋭か……。専門家に依頼するとしよう」
こめかみに指をあてて、体内の通信機を起動させる。数コールした後に女性の声が流れた。
『はい、どんな事でも解決します。便利屋68です』
「仕事を頼みたい、便利屋」
◎・カタカタヘルメット団 アジト・
「はぁ……はぁ……」
「うわぁぁ!」
タタタタタタタタッン!
「ぐゥ!」
現在、カタカタヘルメット団は正体不明の敵から襲撃を受けていた。唯でさえ装甲列車の攻撃で被害が大きくなっていたアジトにさらなる出撃。カタカタヘルメット団たちは浮足立ち、まともな反撃をできないまま一方的に倒れていった。
「あーあー、こっちは終わったよー」
「こっちも制圧完了だ、ボス」
集まってくる正体不明だった敵。カタカタヘルメット団リーダーは倒れつつも声をかける。
「う、うぅ……何者だ、貴様らは……」
「ふふふ」
質問されたボスと呼ばれた少女は笑いながら、不良の背を踏みつける。踏み躙られた不良は痛みに思わず呻いた。
「う、うぐぅぅ。ま、まさかアビドスの!? よくも我々を……」
「はぁ、こんな不潔で嫌な匂いのする場所がアジトだなんて、あなた達も冴えないわね。……いいわ、あなた達を労働から解放してあげる」
「何だって?」
「要するにクビって事、現時刻をもってアビドスは私達が引き受けるわ」
「ふ、ふざけるな!そんな真似――――ガンッ! ―――ぐはぁっ!」
少女がヘルメット団の頭を手に持った銃で撃ちぬく。その衝撃でヘルメット団のリーターは意識が途切れ今度こそ倒れこむ。
「私達は便利屋68、金さえ貰えれば何でもする――
◎・アビドス高校 校庭・
夜も更け、救出作戦のあと解散した俺は、VBMR内でEZ-06 ARGUSの実戦データを確認していた。やはり、機関車両の脆弱性が出たなぁ……。カタカタヘルメット団のアジトからの帰還時に何回か止まってしまったしなぁ……。あと、やっぱりコストがかかるなぁ。あ、乗組員の奴らに特別報奨金をやらないと。急な依頼にもよく対応してくれた。パソコンに向かって仕事をしているとVBMRの扉を控えめにノックする音が聞こえた。一度パソコンを落とし、扉を開ける。
「お、黒見か。体は大丈夫か?」
「え、ええ。問題ないわ。さっき先生と会ったんだけど……そのアンタには、ま、まだ言ってなかったから」
扉の先にいたのは黒見だった。どうやらお見舞いにいった先生とはもう話したらしい。
「そ、その、医療班を用意したり、あの列車とか、助けに来てくれてありがと! それじゃ!」
「もう攫われるんじゃないぞー」
「あったりまえよ! また明日、『グラン』!」
感謝の言葉の後に手を振りながら校門の方へ走っていくセリカ。その背に軽く手を上げ軽口を叩くと振り向いてセリカが吠える。あの様子じゃあ心配はなさそうだ。……また明日か。あのツンツンしていた頃から一歩前進か?そう思いながら車内に戻る。
「随分、好かれてるみたいじゃん」
「ッ!?」
振り向いた先には車内でくつろぐ小鳥遊ホシノがいた。びっくりしたぁ……。しかし一体何のようだ? はっきり言ってしまえば戦闘など仕方がないとき以外はお互い、余り干渉しないように避けていたと思うんだが。
「……どうした?」
「いつもここで寝てるんだ……硬」
「お、おい?」
こちらの質問に答えずに寝床にしている場所に寝転び毛布に包まる小鳥遊ホシノ。何がしたいんだコイツ? 一応、部室棟のシャワーは借りてるから匂わないはずだが……え、大丈夫だよな?
「せめて目的は答えてくれ、どう対処していいかわからん」
「……」
包まった毛布から顔の上半分だけを出してこちらを見る小鳥遊ホシノ。しばらく見合った後モソモソと毛布から出てきた。俺の武器を拾いこちらに投げ渡す。そしてこちらによって来て―――ッ!?
「ほら、ついて来て」
「え? え?」
手を握られ、引っ張られる。混乱するが、こちらの様子はお構いなしといった感じで、ズンズン引っ張られる。そのままアビドスの町へと繰り出す。
◎・アビドス 市街・
「……」
「……」
今、俺は小鳥遊ホシノに連れられアビドスの市街を歩いていた。お互いに一定の距離を置いて歩く。これは一体何だ?
「アビドスはさ、かなり無法地帯じゃん。だからこうやって、毎晩パトロールするんだよ」
「それで毎日眠そうなのか」
先を歩くホシノが、こちらを振り返らず前を向いたままそう話す。毎晩の深夜パトロール、そりゃあ、日中はあんなに眠そうなわけだ。
「しかし、どうして教えたんだ?」
「ん~、知っていてほしかった?」
「ますます、わからん」
「私も、よくわかんないや」
「何だそれ」
それ以降、何かを喋ることなく深夜のパトロールは続く。結局小鳥遊ホシノがなにをしたかったのかわからなかった。ただ……、普段のピリついた空気はなく、穏やかな空気が俺たち二人の間を流れていた。しばらく歩いて、学園に戻る道に着いたとき小鳥遊ホシノが口を開いた。
「今日……もう昨日かな、セリカちゃんのことありがとね」
「……気にするな」
「セリカちゃんみたいな子が好みなの?」
「なんでそうなる」
いきなり、変なことを言いだしたぞコイツ。ホントに今日どうしたんだ。
「随分張り切ってたじゃん。
「それは、男を助けるよりかは女子の方がやる気でるのは否定しないが……好みは別問題だろう」
「そうなの?」
「そういうもんだ」
いつの間にか、隣を歩いている小鳥遊ホシノにそう説く。確かに、セリカは魅力的な女性だとは思うがそういった対象かと言われると違う。そう小鳥遊ホシノに説明しながら帰り道を歩いていく。……なんだってこんな話になったんだ。ふと、小鳥遊ホシノが目を細める。
「じゃあ、あの時は?」
「は?」
「あの時、あなたはどう思っていたの?」
小鳥遊ホシノを見ればこちらに体を向けまっすぐに見つめてくる。『目は口程に物を言う』というが、その目は確かに嘘は許さない、というのが伝わってきた。
「……助けたかったよ。あれほどもっと自分に力があればと思ったことはないよ。本当に……本当に……」
「そっか、そうだよね。ごめんね。やっぱり今日の私少し変かも」
小鳥遊ホシノはクルリと向きを変え、学校へ向かっていった。自分もその後を追い歩き出す。彼女の後ろ姿は何か、決意というか、覚悟というか、そういった何かを感じさせるものだった。
◎・アビドス高校・
そうして学園に着く、小鳥遊ホシノと別れて装甲車に戻ろうとすると呼び止められた。
「まって」
「ん?」
「こっち」
何だよ、もう。またかよ!? 腕を引っ張られて、アビドスの校舎に入っていく。こういう変なところで強引なのは変わってないんだな!? というかまるでシロコみたいだな!? というよりシロコが小鳥遊ホシノっぽいのか? シロコの育ての親かお前は!? そうやって引っ張られてある教室に着く。
「ここは?」
「へへへ~、いつもおじさんがお昼寝に使っている秘密スポットだよ」
「秘密基地みたいなもんか……色々もちこんでるんだな」
「あんなに硬いところで寝てたら体悪くしちゃうよ。だから特別に貸したげる。ほら早く早く」
「え、あ! おい!?」
小鳥遊ホシノに押されるままに教室内に入り寝床にしているだろう体育マットまで連れていかれる。
「そーれ」
「うおっ!? え、なんだこの体育マット?」
体育マットの傍まで来た後、マットに向かって投げられる。うつ伏せにマットに突っ込む形になったが、マットは案外いいものだったのかわずかにしか衝撃を感じなかった。
「ふふふ、これは唯のマットじゃないんだよ! なんと、ダウンマット! 本物のダウンフェザーをギュッと詰め込んだ贅沢な一品。我が校がお金に恵まれていた時期の象徴ともいえる一品!」
「そんなものあったのか……」
仰向けになりながら金の使い方がどうなってるのか昔のアビドスに聞きたい品の感触を味わう。ああ、確かに良い感触ですぐに―――眠れ……そう―――。あったかい……ホシノが隣にいるからか―――。……ん?……ん!?
「小鳥遊ホシノ!?」
「わっ!?」
飛び起きる。その勢いで隣で寝ていた小鳥遊ホシノも驚いて起きる。
「いや! 何してんの、お前!?」
「うえ〜、そんなに大きな声出さなくても〜」
「出すわ!」
し、心臓に悪い。一気に眠気吹き飛んだわ! しかも何だ、その俺のほうが非常識みたいな目は!?
「細かいことは気にしな〜い。おじさん疲れたからもう寝よ〜よ」
「なら、お前がここで寝ろ。俺は戻る」
そう言って立ち上がろうとするが、袖を引っ張られて再びマットに倒れ込む。抗議の目線を隣で寝転んでいる小鳥遊ホシノに向けるが、全く相手にされない。それどころか袖を握り込む力がドンドン強くなっている。……あぁ! もうどうにでもなれ!
「もういい、寝る」
そう一言告げ寝転ぶ。こんな良いマットで寝るなら義肢を外して完全にリラックスしたいが、もうしょうがない。諦めてさっさと寝ることに限る。せめてもの抵抗で小鳥遊ホシノに背を向けて寝る。
「……ごめんね」
背中越しに聞こえる声。……何に対しての謝罪なのかはわからないまま意識は解けていった。
ホシノはグランが寝た後、グランの胴に腕を回して、左腕と義肢の境目をずっと撫でていたそうですよ。
あ、ACVで主人公をイメージして機体を組んだのでプレイできる方は是非再現してみてね!
HEAD(頭部パーツ)BEOWULF HD103
CORE(コアパーツ)WODAN CR110
ARMS(腕部パーツ)KT-4S2/SVIR
LEGS(脚部パーツ)GUADALUPE LG18
F.C.S.(火器管制)FCS-07/Lr UZUME
GENERATOR(ジェネレータ)KV-3D3/PROCHNYI
BOOSTER(ブースタ)TEMPETE BT49
RECON(リコン)URD-36/ER
ARM UNIT(腕部武装)KO-3K2
SHOULDER UNIT(肩部武装)SBC-9 TSUKUYOMI
武器は右手にKO-3K2が固定で後は状況に応じて変える感じです。作中でもBD-O MURAKUMOやKO-7H3/SVETLYAKを左腕に装備しています。ハンガーには何も積みません。
ACVをプレイしたことのある人ならわかるかもしれませんが、主人公はこの機体構成なのにまっすぐ突っ込んできて接近戦を仕掛けてきます。しかもどちらかというとブーストチャージをメインにして攻撃をします。腕も二流です。まぁ、勝てない訳ですよ。
評価、感想、怪文書は作者のモチベーションが刺激されて執筆速度向上につながります。どうぞよろしくお願いします。
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