シャーレの部長はブラックマーケットの代表   作:四脚好き

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13話

◎・対策委員会 教室・

 

「……それでは、アビドス対策委員会の定例会議を始めます。本日はシャーレの二人にもお越し頂いたので、いつもより真面目な議論が出来ると思うのですが……」

 

 後半になるにつれドンドン声が小さくなっていくアヤネ。この定例会議、以前から実施していたらしいがこのアヤネの様子を見るとあまり有意義とは言えないものらしいな。

 

「は~い☆」

「もちろん」

「何よ、いつもは不真面目みたいじゃない……」

「うへ、よろしくねー、先生」

「よろしく」

「努力はしよう」

 

 各々が席から返事をする。さらにアヤネは手元にノートと数枚のファイルがある。どうやらアレが今回の議題らしい。

 

「早速議題に入ります。本日は私たちにとって非常に重要な問題……。『学校の負債をどう返済するか』について、具体的な方法を議論します。ご意見のある方は挙手をお願いします!」

「はい! はい!」

 

 アヤネの声に大きく手と声を上げるセリカ。

 

「はい、一年の黒見さん。お願いします」

「……あのさ、まず苗字で呼ぶの、やめない? ぎこちないんだけど」

「セ、セリカちゃん……でも、せっかくの会議だし……」

「いいじゃーん、おカターい感じで。それに今日は珍しく、先生も居るんだし?」

「ん、初めて」

「ですよね! なんだか委員会っぽくてイイと思いま~す☆」

「はぁ……ま、先輩たちがそういうなら……。とにかく対策委員会の会計担当としては、現在我が校の財政状況は破産寸前としか言いようがないわっ! このままだと廃校だよ! 皆、分かっているわよね?」

 

 はぁ……本当に、アビドスは昔からこうだよな……。当時の学園維持には必要だったとはいえ、借金をした生徒会になんとも言えない感情を抱かずにはいられない。

 

「うん、まあねー」

「毎月の返済額は利息だけで788万円! 私達も頑張って稼いではいるけれど、正直利息の返済も追いつかない。! これまで通り、指名手配犯を捕まえたり、苦情を解決したり、ボランティアをするだけじゃ限界があるわ! このままじゃ埒が明かないって事! 何かこう、でっかく一発狙わないと!」

「でっかく……って、例えば?」

 

 アヤネが疑問の声を上げる。でっかく一発の時にシロコが何か反応をしめした。シロコもセリカと同じように一発系の提案をするつもりなのか?

 

「これこれ! 街で配っていたチラシ!」

「これは……!?」

「どれどれ……? 『ゲルマニウム麦飯石ブレスレットで、あなたも一攫千金』ねぇ……」

 

 これ、駄目な奴だ。

 

「そうっ、これでガッポガッポ稼ごうよ!」

「……」

「この間、街で声を掛けられて、説明会に連れて行って貰ったの。運気を上げるゲルマニウムブレスレットってのを売っているんだって!」 

 

 少しずつセリカ以外の顔が真顔になっている。しかしそれに気が付かないセリカはしゃべり続ける。

 

「これね、身に着けるだけで運気が上がるんだって! で、これを周りの三人に売れば……。

「……みんな、どうしたの?」

「却下~」

「えーっ!? 何で? どうしてっ!?」

「セリカちゃん……それ、マルチ商法だから……」

「儲かる訳ない」

「へっ!?」

「そもそもゲルマニウムと運気アップって関係あるのかな……こんな怪しいところで、まともなビジネスを提案してくれる筈がないよ……」

「そっ、そうなの? 私、2個買っちゃったんだけれど!?」

「セリカちゃん、騙されちゃいましたね。可愛いです☆」

 

 セリカが腕につけているブレスレットを睨みつける。若干涙目なのは仕方がないことだろう。……というか今時こんなコッテコテのマルチに引っかかる奴なんていたんだな。

 

「……ッ!!」

「全く、セリカちゃんは世間知らずだねぇー。気を付けないと悪い大人に騙されて、人生取り返しの付かない事になっちゃうかもよー?」

 

 …それは、そうだったな。

 

「そ、そんなぁ……そんな風には見えなかったのに……せっかくお昼抜いて貯めたお金で買ったのに……」

「大丈夫ですよセリカちゃん。お昼、一緒に食べましょう? 私がご馳走しますから」

「俺もたまに奢ってやる。いつでもアビドスにいるわけではないから偶にだが」

「ぐずッ……ノノミせんぱぁい、グラン……!」

 

 ついにぐずりだしてしまったしまったセリカ。そのあんまりな姿にはさすがに同情する。ノノミはセリカの頭をなでて慰めていた。バイト代がぱぁか……。ん? 小鳥遊ホシノから他の生徒や先生に見えないように紙が渡された。これはセリカが持っていたチラシ? あぁ、販売場所に小鳥遊ホシノがつけたであろう印があった。……了解、後輩を泣かせたケジメは付けさせるよ。

 

「えっと……それでは、黒見さんからの意見はこの辺で……他に意見のある方……」

「はい! はい!」

「えっと……はい、3年の小鳥遊ホシノ委員長。ちょっと嫌な予感がしますが……」

「うむうむ、えっへん! 我が校の一番の問題は、全校生徒が此処にいる数人だけって事なんだよねー。生徒の数イコール学校の力。トリニティやゲヘナみたいに、生徒の数を桁違いに増やせば毎月のお金だけでもかなりの金額になるはずー」

「え……そ、そうなんですか?」

「そういうことー! だからまずは生徒の数を増やさないとねー、まずはそこからかなー。そうすれば議員も輩出できるし、連邦生徒会での発言権も与えられるしね。でしょ『代表』」

 

 そういって小鳥遊ホシノがこちらに話をふる。

 

「まぁ、否定はしない。が、ウチの件はあまり参考にしない方がいいぞ」

 

 あれは不良どもを利用して戦力拡充をできるかの実験だったし。居場所を与えればある程度制御できる、という考えもあったし。その結果としてこの代表の地位を得たという形が正しい。

 

「鋭いご指摘ですが、でもどうやって……」

「簡単だよー、他校のスクールバスを拉致すればオッケー!」

「はい!?」

 

 小鳥遊ホシノの提案にアヤネが驚愕の声を上げる。……拉致って、ブラックマーケット(俺のところ)じゃないんだぞ。

 

「登校中のスクールバスをジャックして、うちの学校への転入学書類にハンコを押さないと、バスから降車出来ない様にするのー。うへ~、これで生徒数がグンと増える事間違いなーし!」

「――それ、興味深いね。ターゲットはトリニティ? それともゲヘナ? ミレニアム? 狙いを何処に定めるかによって、戦略を変える必要があるかも」

「お? えーっと、うーん……そうだなぁ、トリニティ? いや、ゲヘナにしよーっと!」

 

 ……ゲヘナかぁ。あそこの生徒たちが仮にアビドスに転校してきたとしても好き勝手する奴らだ。元々のアビドス生が苦労するだけだと思うぞ。というか、奴らもヘルメット団あたりとあんまり変わらないと思うんだが……。

 

「ちょ、ちょっと待って下さい! そんな方法で転校とかありなんですか!? それに他校の風紀委員が黙っていませんよ!?」

「うへ~、やっぱそうだよねー?」

「やっぱそうだよねー、じゃありませんよホシノ先輩。もっと真面目に会議してもらわないと……」

 

 ゲヘナの風紀委員か……。そういや、チナツ最近どうしてるんだろう? シャーレの部室に来るときは話したりしているんだが、最近こっちから会いに行っていないな。変わったお茶が手に入ったって自室に誘われてたし、落ち着いたら行ってみるか。

 

「いい考えがある」

「……はい、2年の砂狼シロコさん……」

 

 シロコが今度は手を上げる。アヤネはもう不信半分、呆れ半分だ。渋々シロコを指名するアヤネ。……この会議は毎回こんな感じなのだろうか? だとすればアヤネの気苦労は図りしれない、今度飯でも奢りながら話を聞いてやろう。

 

「銀行を襲うの」

「はい!?」

 

 あぁ! アヤネ、今度絶対相談に乗ってやるからな。

 

「確実かつ簡単な方法。ターゲットも選定済み、市街地にある第一中央銀行。金庫の位置、警備員の動線、現金輸送車の走行ルートは事前に把握しておいたから」

「さっきから一生懸命見ていたのは計画書ですか!?」

「5分で一億は稼げる、はい、覆面も準備しておいた」

 

 鞄から覆面を取り出して机に並べるシロコ。うわぁ……本格的だぁ。黄色、ピンク、青、緑、赤の色とりどりの覆面。しっかり番号もふられているし、おそらくセリカかシロコ用だろう、耳も覆えるようになっている。

 

「いつの間にこんなものまで……」

「うわー、これシロコちゃんの手作りー?」

「わぁ、見て下さい! レスラーみたいです!」

「………」

 

 さっそく被るノノミ。……令嬢の姿か? これが? 

 

「いやー、いいねぇ。人生一発でキメないと。ねぇ、セリカちゃん」

「そんな訳あるか! 却下! 却下―!」

「そ、そうですっ! 犯罪はいけませんっ!」 

 

「………」

「そんな膨れっ面しても駄目なものは駄目です、シロコ先輩! ……みなさん、もうちょっとまともな提案をしてください……」

 

 アヤネが頭を抱えて、俯きながらそう言う。あまりにその姿が業務に追われ、疲れ果てた先生に見えたので隣に移動して、肩を軽くたたいて同情する。アヤネが『わかってくれましたか』という目線を向けてくる。

 

「あのー! はい! 次は私が!」

「はい……2年の十六夜ノノミさん、犯罪と詐欺は抜きでご意見をお願いします……」

「はい! 犯罪でもマルチ商法でもない、とってもクリーンかつ確実な方法があります! アイドルです! スクールアイドル!」

 

 は?

 

「ア、アイドル……!?」

「そうです! アニメで観たんですけど、学校を復興する定番の方法はアイドルです! 私達が全員アイドルとしてデビューすれば……」

「却下」

 

 アニメか……全然見てないからノノミが言っていることが全くわからん。アイドルになって廃校問題が解決する? チケット代とかで稼ぐということなのか? 確かに対策委員会は美人揃いだし、人気は出るだろうな。

 

「あら……これも駄目なんですか?」

「なんで? ホシノ先輩なら特定のマニアに大ウケしそうなのに」

「うへーこんな貧相な体が好きって云っちゃう輩なんて、そんなにいらないよー」

「決めポーズも考えておいたのに……」

 

 意外にセリカが猛反対しないな。てっきりすぐに反対するかと思っていたのだが、いや、賛成でもないなあの顔は。

 

「ノノミ、こっちだ」

「! 水着美少女団のクリスティーナで~す♧」

 

 試しにノノミに向けてスマホのカメラを向けると決めポーズともに名乗りを上げる。……クリスティーナって随分な芸名だな。

 

「どういうことよ……。何が『で~す♧』よ! それに『水着少女団』って! だっさい!」

「えー、徹夜で考えたのに……」

 

 セリカのあんまりな言葉にノノミはしょげる。セリカ……さっきノノミに慰めて貰っていたのにあんまりだろう……。

 

「あのぅ……議論が中々進まないのですけれど、そろそろ結論を……」

「それは先生に任せちゃおうー。先生、これまでの意見でやるならどれが良い?」

「えっ!? これまでの意見から選ぶんですか!? も、もう少し真面な意見を出してからの方がいいのでは?」

「大丈夫だよー。先生が選んだものなら間違いないって」

「ちょ、ちょっと待って下さい! 何でそう言い切れるのですか!?」

 

 視線が先生に集中する。先生は腕を組み、うんうんと唸っている。一体何を考えているのか?

 

「アイドル……事務所。プロデューサー……緑のあく……頭がッ!?」

 

 あまりまともなことは考えていないみたいだな。

 

「まさかアイドルやれなんて言わないわよね?」

「アイドルでお願いします☆」

「………ん」

 

 それぞれの主張を先生にぶつける対策委員会。それを見てアヤネはオロオロし、小鳥遊ホシノは笑っている。先生は勢いよく立ち上がり宣言する。

 

「アイドルグループ結成! 私がプロデューサーになる!」

「まじか」

「ええっ!? 本気ですか!?」

「だってみんなのフリフリ衣装とか可愛いウインクみたい!」

「私利私欲か」

 

 この先生は確かに生徒思いで誠実だが、その、なんというか開けっ広げだ。趣味周りは特に。

 

「あはははー! よーし決まりー!」

「きゃあ~☆ 楽しそうです!」

「ほ、ホントにやるの?」

「やるなら徹底的に、でしょ、アヤネ?」

 

「…い……」

 

 あーあー、知らね。

 

「いいわけないじゃないですかぁ!!」

「ガッ!」

「「「「「「あ」」」」」」

 

 アヤネが机をちゃぶ台返しの要領でぶっ飛ばした。その際に俺の顎に机が直撃した……。あぁ、アヤネ。なかなかいい一撃だった……。そうして俺の意識は解けていった。




アヤネでもその気になれば主人公を押し倒して拘束できるですよ。ホントグランくんダッサ、銃の腕や、組織の拡張の前にしっかり体鍛えたら? なに薬を乱用しているから体調がすぐれない? はっ、そんなんで医学交流会とか開いていたの? ホント救えないね。

評価、感想、怪文書は作者のモチベーションが刺激されて執筆速度向上につながります。どうぞよろしくお願いします。

グラン君がこの中で一番仲良くなるのは?その1

  • 看板娘
  • 任侠娘
  • 眠り姫
  • 大和撫子
  • カードバトラー
  • 陰陽部のアイドル
  • キヴォトス最高の忍者
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