シャーレの部長はブラックマーケットの代表   作:四脚好き

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25話

◎・崩れたビルの一角・

 

「――っと! ちょっと! 起きなさい!」

 

 耳元で誰かが大声でこちらに話しかけている。うるさいなぁ……。全身痛いし、疲れてるんだよ、こっちは。このまま寝かせてくれたっていいだろう。 

 

「――ない……絶対に死なせないわ!」

 

 そもそも、なんで……アビドスに…迫撃砲が…………あるん……だ?

 

「アビドスに迫撃砲はなかった!」

「きゃぁッ!」

 

 そうだ、俺は今シャーレの部長としてアビドスに来ていて、便利屋との戦闘中だった! そのさなか、砲弾が飛んできたのが見えて、咄嗟に便利屋のアルをかばって爆発するビルから飛び降りたはず。寝ている場合じゃなかった! アビドスに迫撃砲はない、そして便利屋の雇った傭兵なら便利屋の面々を重点的に狙う理由はない。つまり第三勢力! 飛び起きる―――

 

「うぐっ!?」

「ちょっと! そんな勢いよく動いちゃだめよ!」

 

 誰かが、俺の肩を掴んで寝かせようとする。そこには便利屋の社長、陸八魔がいた。彼女は俺を寝かした後、その両手を俺の右わき腹に充てる。

 

「なにやってるんだ?」

「貴方、自分の体を確認してみなさいよ!」

 

 陸八魔アルの言葉に従い自身の体を見ると右わき腹に鉄筋が刺さっていた。陸八魔アルは自分の手袋を外し、それを脇腹に当ててて止血しようとしていた。手袋には血が滲んでおり、よく見れば陸八魔の顔には汗が浮かんでおり、懸命に処置していてくれたのだろう。

 

「結局、何が起きてる?」

「ゲヘナの風紀委員の砲撃らしいわ。貴方が爆発から庇ってくれて、地面に落ちるときにも下になってくれたの。おかげで私は全くの無傷よ。借りは返す主義なの絶対に貴方は死なせないから安心して」

 

 手袋だけでは足りないと判断したのか、コートに手を伸ばす陸八魔。

 

「おい、それ、大事じゃないのか?」

「確かに大事なものだけど、命には代えられないでしょ! 鉄筋は下手に抜くと血が足りなくなるから、このままにするわよ」

 

 コートを裂いて包帯のようにして俺の腹に巻いていく陸八魔。随分手際が良いな。キヴォトスではここまで怪我する人間はいないし、したとしてもすぐ直ってしまう。だからこそ医療知識は一部の人間しか覚えておらず、広く広まっていない。そんななかでも真面目に応急処置などを学んだのだろう。アウトローを目指しているらしいが、根がかなりのいい子ちゃんだよな。……しかし、このままここで寝て居るわけにはいかないな。

 

「もう、大丈夫だ。行くぞ陸八魔」

「大丈夫って、そんなわけないでしょ! まだ、血も出ているじゃない!」

 

 立ち上がろうとする俺を抑える陸八魔。くそ……体が

 

「ここでッ!寝ているわけにはいかないんだ! アイツらは俺の後輩なんだ! 大切な奴らなんだ! ホシノがいない今、俺があいつらを守らなきゃいけないんだ! もう、先輩のようなことは死んでも起こさせない!」

「こ、後輩? あなたはブラックマーケットのリーダーでアビドス生じゃないでしょ? それに先輩? ……言ってることはわからないけど、大切な人たちを守りたいのはわかったわ。ねぇ、水戸グラン。貴方の前にいるのは一体誰?」

「……あぁ、そういうことか」

 

 目の前で愛銃を手に取り、胸を張る陸八魔アル。……今のお前、最高にカッコいいよ。それにしても

 

「……お前、思ったよりも乳あるんだな」

「なっ、そ、そうじゃないでしょ! 一体なんてこと言ってるのよ! 台無しじゃない!」

 

 手で胸を隠して少し俺から距離を取る陸八魔アル。うーん、やっぱりこの驚き顔の方がお前には似合ってる気がする。

 

「便利屋68、依頼がしたい。俺たちと一緒にゲヘナ風紀委員会を相手してほしい。報酬は……とりあえず、新しいコートだな。あとは、あとで話し合いでも良いか? 色は付けておく」

「ええ、構わないわ! とびっきりカッコいいコートを頼むわ!」

 

◎・少し前 柴関跡地近く・

 

「ターゲット、沈黙しました」

 

 柴関跡地を見下ろせるちょっとした丘にゲヘナの風紀委員会部隊はいた。連続砲撃で目標『便利屋68』の面々が沈黙したのを確認した擲弾兵は自身の上司に当たる人物に報告した。風紀委員会の幹部、銀鏡イオリ、火宮チナツだ。

 

「よし。歩兵、第4小隊まで突入」

「……イオリ、あの方たちはどうします?」

「ん? ああ、向こうの生徒? なんだっけ……アビドス? そんなの当然、公務の執行を妨害する輩は全員敵だ」

 

 イオリにアビドスの扱いについて確認するチナツ。イオリは自分の仕事を忠実に実行するため、邪魔するものは潰すだけと宣言する。 

 

「ならば、おとなしくしていてもらいたいですね……。しかし既に戦闘状態とは驚きました。一応、こちらの事情を説明した方がいいのでは?」

「説明? 必要ないだろ?」

「……」

「ウチの厄介者どもをとっ捕まえるための労力が惜しい。なんだってアコちゃんはこんなに大部隊を……。まぁ、戦力は余分にあるんだ、邪魔するなら、部外者でも問答無用で叩きのめす」

「……そうですか」

 

 イオリの言葉に呆れ黙り込んでしまうチナツ。ただ、今回の指揮官はイオリであるため、それ以上なにも言わなかった。

 

「な、何っ? 風紀委員会が便利屋を捕まえに来たってこと!?」

『まだ確定はしていません。……けど、私たちに友好的ではありませんね』

「確かに。砲撃範囲に私たちもいた、そして実際に被害がでた」

「グラン先輩との通信も繋がりません」

 

 ノノミの言葉にシロコ、アヤネ、セリカの言葉が曇る。先ほどから、おそらくアルともに砲撃を受けたであろうグランと通信がつながらない。便利屋の面々もアルと通信がつながらないのだろう。ムツキが懸命に通信機に話しかけているのが見える。

 

「冗談じゃない! 便利屋の面々は私たちの獲物なんだし、もう喧嘩は売られてるっての!」

「ゲヘナの風紀委員会は今までの相手とは実力も、性質も違います。……一歩間違えば政治的な紛争になるかもしれません……けど、セリカちゃんの言うようにもうグラン先輩が被害にあってますし、今更ですね☆ やっちゃいましょうか!」

『そうですね。ホシノ先輩にはこちらで変わらず連絡し続けます』

「お願いアヤネ。……ん、先生、力を貸して。風紀委員を阻止する」

『……わかった。確かに少しやりすぎな気もするし、便利屋をこのまま風紀委員会に渡す訳にもいかないもんね?』

 

 アヤネは片手でホシノの携帯への連絡を続けつつ、偵察ドローン、治療ドローン、通信ドローンをフル起動させる。ノノミ、シロコ、セリカは一度愛銃を点検してしっかりと構えなおす。表情は決意に満ち溢れて凛々しさも感じる。先生はシッテムの箱を構えて、戦術サポートを始める。

 その様子を見ていたチナツはイオリに話しかける。

 

「アビドスの生徒たち、戦闘態勢に突入しました」

「はぁ、面倒だな、たかだか4人で。こっちは3個中隊だぞ。だけど、売られた喧嘩を買わないことは風紀委員会としてできない。 総員、戦闘準備!」

「……ちょ、ちょっと待ってください、イオリ」

「ん?」

「アビドス側に民間人が移りました。確認中ですので、お待ちください。……え!? あ、あの方は……まさかシャーレのニイ先生!?」

 

 チナツは手元の端末で、民間人の正体を看破した。そしてふとある事実に気が付き顔を青くする。

 

「ニイ先生がいるということはまさか、グランさんもここにいた? ッ!! 最初の砲撃の時、便利屋社長の近くにあった人影らしきもの……。あれは本当に人影だったとしたら、アレは……」

「ど、どうしたんだチナツ!?」

「この戦闘、今すぐ止めてください!」

「どういうことだ!?」

 

 チナツの急変にイオリは面食らう。チナツはどうにか戦闘を停止させようとするが、風紀委員たちも既に臨戦態勢だ。

 

「アビドス、こちらに接近、発砲してきます!」

「応戦開始します!」

「ちっ、仕方ない行くぞ!」

「まっ、待って……」

 

 ドガアアァァァーーーン

 

 突如砲撃跡のビルが爆発して中からアルとグランが飛び出してきた。

 

「対策委員会! 便利屋とは一旦休戦! ゲヘナ風紀委員会を撃退する!」

「便利屋68! ブラックマーケットの代表から大口契約の依頼よ! 気張りなさい!」

「「「『『グラン(さん、先輩)!』』」」」

「「「アル(ちゃん、社長、様)!」」」

 

 二大アウトロー(笑)同盟爆誕





 グラン君、左腹にプレート入ってて良かったね。お陰で右わきに刺さった鉄筋が貫通しなかったよ! さてと……次は何を奪おっかな♬
 
 そういえば、挿絵募集してます! とか言えば書いてくれる人とかいるんですかね? コラボ編の恋ダンスとか。人気作とか支援絵めっちゃ来ててやっぱり憧れますよねー。割とマジで。
 自分、絵描けないんで絵描きの人を心底尊敬してるんですよ。……小説かけて、漫画もかけるトクサン様ってやべーな……。
 あ、支援絵、募集してます。


 

グラン「ホシノ! 良か――電話か」

  • うへ~、電話なってるよー。出てあげな~
  • 電話、さっさと出れば
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