シャーレの部長はブラックマーケットの代表   作:四脚好き

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26話

◎・柴関跡・

 

「陸八魔、前方二時上方」

「ふふ、目を瞑っていても当てれるわ」

 

 陸八魔は俺の指示通りの箇所を一撃で打ち抜いた。腕は素晴らしいものらしい、ただのへっぽこ社長ではなかったか。

 狙撃は風紀委員会の装填済み迫撃砲に直撃し大爆発を起こした。急に爆発した迫撃砲に風紀委員会の連携は一時的に乱れる。その隙に移動をして仲間たちに合流する。

 

「グラン先輩良かっ――――え?」

「だ、大丈夫なの!? それ(・・)!?」

「動かないで」

『アヤネ! 行くよ!』

『はい、先生! グラン先輩、私が行くまで死なないで下さい! 絶対、助けますから!』

 

 ノノミを先頭に対策委員会の面々が近くに寄ってくる。そして俺の状態に気が付いたノノミが顔を真っ青にした。セリカも心配をしてシロコは強制的に休ませようとする。先生とアヤネはこちらに来るつもりらしい。そこに便利屋の面々もやってきた。どうやら、陸八魔が事情を説明してくれていたらしい。敵意は感じなかった。

 

「アルちゃんから聞いたよー。依頼なら、私たちがしっかり守ってあげるから休んでいても大丈夫だよ?」

「わ、私のせいですよね。ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」

「社長を助けてくれてありがとう」

 

 ……

 

「陸八魔」

「な、なに?」

「やっぱ、お前凄い奴だ」

「ま、また胸の話!?」

 

 いや、今回は純粋にこの癖の強いメンバーをよくまとめ上げているな、という関心だったんだが。一人はまったく申し訳なさそうにしていないし、一人は謝ってばっかりだし、一人は人を殺せそうな目線で睨みつけてくるし……怪我人にする対応じゃねぇよ。……陸八魔の胸発言で余計に視線が厳しくなった気がする。というより、ノノミ達からの視線も厳しくなったぞ……。

 

「ねぇ、二人で何してたの……?」

「何もしてないわよ!」

 

 うぉっ、浅黄の顔こわ。陸八魔が語気強めに否定してくれて助かった。……風紀委員会が立て直してきたか。そろそろこちらも動き出さないと不味いな。

 

「先生、指揮を頼む。お前らも準備しろ」

『待って! グランも戦うつもり!?』

「当たり前だ」

 

 先生が通信越しに焦った声を上げる。何を当然の事を聞いてくるんだ。

 

『そのケガでの戦闘行為はさすがに許可できないわ』

「今は少しでも動けるなら戦闘行動に参加するべきだ。風紀委員会はそんな簡単な相手じゃない」

『あなたは今戦えない! 戦っちゃいけないの!』

「俺は戦える!!」

「「「「ッ!?」」」

 

 しまった、つい大声を上げてしまった。対策委員会も便利屋も驚いてしまっている。

 

「先生……頼む。俺に戦わせてくれ。ここで何もしなかったら、俺は小鳥遊ホシノに合わせる顔がない」

『グラン……、わかった。けど前には出させないし、絶対に私の指示に従って。それが条件」

「了解した」

 

 先生の同意を取り付けて、戦闘準備に入る。

 

『前衛はシロコ、ハルカ。中衛にカヨコ、セリカ、グラン。後衛にアル、ムツキ。相手は三個中隊、定期的に砲撃が来るかもしれないから気を付けて!』

 

先生の指示のを聞いてそれぞれが動き出す。俺は中衛になったのでいつものKO-3K2を置いてサイドアームのOXEYE HG 25を取り出して構える。瓦礫に隠れて、目に見える範囲の風紀委員を攻撃していく。すると先生はすぐにこの銃の特性を掴んだらしい。

 

『グランは相手に一発叩き込んだら他の人に攻撃を譲って! グランの銃は着弾時に結構衝撃があるみたい。当たった風紀委員が体勢を崩すからみんなはそれを狙って!』

「「「「了解」」」」

 

 しっかりと狙いをつけて一人一人を狙撃していく。精度重視のハンドガンにしておいて良かった。

 

「その銃いいじゃん」

「ん?」

 

 狙撃している俺の隣に便利屋の鬼方がやってきて話しかけてきた。見た所、彼女の武器もハンドガンだ。成程、自分が普段使っている武器種だから興味を引いたわけだ。

 

「気になるんだったらまた今度、高層区に訪ねてこい。今回の報酬として武器の譲渡も考えておく」

「わかった」

 

 鬼方は頷くと攻撃に戻った。

 

『ノノミ、薙ぎ払って!』

「はーい☆」

 

ノノミの攻撃で幾人もの風紀委員が吹っ飛ばされる。するとしびれを切らしたのか隊長格らしい奴が飛び出してくる。

 

「舐めるな! 公務執行を邪魔する奴らめ!」

 

 スナイパーライフルを素早く三連射してくる銀髪風紀委員。その攻撃は移動しながらの者とは思えないほど正確だ。隣の鬼方がうまく動けない俺の頭を掴んで下げさせる。少し頭を出して銀髪風紀委員に射撃する。

 

「ぐっ!?」

『シロコ、ドローン展開。目標銀髪の良い脚している風紀委員! ハルカ、爆発の煙に紛れて前進、ショットガンの連射お見舞いしちゃって! ある程度攻撃したらハルカは下がって、ムツキはハルカが後退したらその道に爆弾投げ込んで。多分何人かの風紀委員が抜けてくる。アル、狙撃お願い』

「良い脚? えっと、了解」

「行きます!」

「準備おっけーい」

「任せなさい」

 

 動きの止まった風紀委員にシロコがドローンで攻撃する。爆発が起きる。その煙の中に伊草が飛び込む。すると煙の中からパンパンと数発射撃の音が聞こえ煙の中から伊草が飛び出してくる。うっすらとだが、数名の風紀委員が追ってきているのが見えた。

 

「いっくよー! ば・く・は・つ!」

 

バゴオオォォン

 

「ぎゃぁ!」

「うわーー!」

 

 浅黄が鞄を投げ込む。するとさらなる爆発が巻き起こり伊草を追っていた風紀委員を吹き飛ばした。煙の中からは爆発範囲から逃れてこちらに向かってくる風紀委員もいたが陸八魔の狙撃に倒れる。……やはり、最初にたおした銀髪風紀委員が隊長、もしくは幹部だったのか風紀委員の統率が取れていない。

 ある程度攻撃をしていると向こうからの攻撃が止んでいることに気が付く。

 

『あ、みんな! 攻撃中止。向こうが手を振ってる!』

「ん、本当だ」

「何よ! 今更怖気づいたわけ?」

「でも、グラン先輩の体の事もありますし、戦闘しないですむならそれが良いと思います」

 

 すると手を上げながらこちらに歩いてくる人物がいた。お、チナツか。立ち上がって手をふる。

 

「チナツ!」

「グランさんっ! っ!? そのケガは!? 失礼します!」

 

 こちらを確認すると急いで駆け寄ってくるチナツ。急に走り出したため、後ろの対策委員会が銃を構えようとするのを手を振って辞めさせる。チナツは俺の傍までくると俺を手早く座らせる。そしてこちらの状態を確認するために上着を脱がせようとする。

 

「な、何してるんですか!?」

「久しぶり、チナツ」

 

 声がする方を向けば先生とアヤネがこちらに着いたらしい。先生は小走りで手を軽く上げて挨拶しながら、アヤネは医療ドローンと手元に医療キットをもってやってきていた。

 

「何って代表の治療をしようとしていただけですが?」

「それは、私がやるので大丈夫です! 『グランさん』を怪我させた人たちになんか任せられません!」

『グランさん』? 見た所あなたは正規の医療スタッフではありませんよね? 私はゲヘナで救急医学部に所属していたこともあります。私の方が『グランさん』により的確な処置をできますが?」

さん付け呼び……この人も…… 今、グランさんは私たちの先輩なので私たちで面倒を見ます!」

「グランさんの現在の所属はシャーレ。シャーレは連邦生徒会所属の中立組織では?」

「私はグランさんに洋服をプレゼントされましたが!?」

「私は頭を撫でられたことがありますが!?」

 

 なぜだかアヤネとチナツの間で何やら火花が散っている。アヤネ、チナツ……どちらも一年生で、所属している組織ではメディックの立場にいる。それに両方眼鏡をかけている。こう見ると意外に共通点が多いのか? チナツの頭を撫でて貰った発言の後にアヤネが笑みを浮かべる。

 

「それなら、私もしてもらったことがありますから!」

「なっ!?」

 

 アヤネの勝利発言? の後に驚愕の表情を浮かべるチナツ。……別にそんなに驚くことでもないだろうに。頭を撫でるくらい。割とやってるぞ(・・・・・・・)。 顔をしたに向けたまま、プルプルと震えるチナツ。しばらくして何かを決心したように顔を上げる。顔は真っ赤で、見ているこっちが熱でもあるのかと心配になるぐらいだ。

 

「わ、私は一緒に温泉入ったことがありますがっ!?」

 

 あぁ~、あったな確かに。また行きたいな、と言ってもまずはこの怪我を直さないとだが。……周りが随分静かだな、どうした?周りを見ると、先生も対策委員会も便利屋も風紀委員まで驚いた顔をして固まっていた。……なんかそんなに驚くことがあったか?





 こいつら、メモロビしたんだッ!

グラン「ホシノ! 良か――電話か」

  • うへ~、電話なってるよー。出てあげな~
  • 電話、さっさと出れば
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