シャーレの部長はブラックマーケットの代表   作:四脚好き

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37話

◎・カイザーPMC基地指令室・

 

「周囲の『ODI ET AMO』こちらに攻撃を開始しました! 応戦始めます!」

「敵兵力は?」

「に、二個師団規模です! こちらを包囲しています!」

「こちらの兵力を集結させろ!」

「北方の対デカグラマトン大隊を呼べ! 包囲に穴を開けさせろ!」

 

 カイザーの指令室ではオペレーターとカイザー理事が慌ただしく動いていた。未明ごろから姿を現した『ODI ET AMO』の部隊。はじめのうちは偵察車両、兵員輸送車程度だったが、日の出には大部隊として化し

ていた。

 

「……!? 北方に、未確認の兵力を確認!」

「北方に……!?」

「数は小隊規模……これはッ!? ゲヘナの風紀委員会と万魔殿の戦車部隊です!」

 

 

◎・アビドス砂漠 北方・

 

「……はぁ」

「キキキッ」

『カイザーPMCの別動隊、接近してきてます。一個大隊の規模です、委員長……マコト議長』

 

 アビドス砂漠の北方。風紀委員長のヒナは、先生からの『お願い』でこの場にいた。しかしどこから情報を手にしたのか、万魔殿のマコトまでこの場にいるのだった。それもテキパキと仕事をして、万魔殿部隊と風紀委員会を指揮していた。そんなマコトの姿にヒナは『普段からこうしてくれると助かるのだけれど』と思い溜息をつく。

 

「よぉーし、ヒナ。お前は突っ込んで好きに暴れまわれ、敵を引っ掻き回せ」

『な、ヒナ委員長に負担を強いるつもりですか!?』

 

 マコトの言葉にアコが抗議するがマコトは鼻で笑いそれを一蹴。

 

「ふん、貴様は何もわかってないな。ヒナは元々人の上に立つ人間ではない。誰かの指揮で動いてこそ、こいつの真価は発揮される。面倒な部隊指揮はこちらでする。何も考えず、ただ目の前の敵を滅ぼしてこい」

「……ええ、分かったわ」

 

 マコトの言葉を受け、ヒナは愛銃『終幕:デストロイヤー』を構えて、カイザーの部隊に向かって突撃する。マコトはその姿を確認してから部隊に指揮を出す。

 

「よし、全体前進! ヒナの攻撃で相手はまともな連携は取れない! 確実に仕留めていけ! 銀鏡イオリ、今日の切り込み隊長はヒナだ。ぞんぶんにスナイパーとしての仕事をするといい!」

「り、了解! アレ、本当にあの議長か……?」

「なんでも活躍すれば代表と話す機会ができるんじゃないかと画策しているようです」

 

 普段のマコトとの乖離ぶりにイオリが疑問の声を漏らすと、隣のチナツが理由を教えてくれる。あの『面会』からグランとの再び会う日を楽しみにしていたマコト。しかし当のグランはアビドスにご執心で全く、マコトに会ってくれなかった。

 『面会』での出来事が頭から離れなくなったマコトは初めて『そういうサイト』を見ながら自分を慰めようとしたが、欠損なんてめったにしないキヴォトス人では『ドS欠損男』なんてジャンルがある訳もなく、結局悶々とした夜を過ごすだけだった。そこでマコトは思いついた、『今、グランがご執心のアビドスの問題を解決すればこちらを見てくれるようになるのでは?』

 グランの過去について調べているときにアビドスの現状も知った。借金、チンピラ、先輩の死、そしてカイザー、全ては不可能だがこれらの問題の幾つかを解決できれば、グランは感謝を伝えに会いに来てくれるとマコトは考えていた。そんなときに先生が誘拐されたアビドスの生徒を助けるために風紀委員会と接触したという情報を手に入れたマコトはすぐに行動を開始した。

 

『マコト、手早く片付けるわ』

「お、おい、それは待て! 適当に暴れ回るだけでいい、私に活躍の場を与えろ! じゃないと、褒めてもらえないだろ……いや、失敗して虐めてもらうのも……

「風紀委員として取り締まった方がいいのかしら……でもこの方がマコトは仕事するし……はぁ」

 

 

◎・アビドス砂漠前線・

 

 前線への輸送車後方でグランは武装を装着していた。先生たちはその様子を輸送車前方で眺めていた。無言になって注視してしまうほどに今回のグランの武装は強烈なものだった。グランの背負う武装はどう見ても鉄骨鉄筋コンクリートにブースターを取り付けた、野蛮すぎる武器だった。

 『ODI ET AMO』はミレニアムのエンジニア部から教導を受けて立派な科学技術を有しているはずなのだが、どうも『ODI ET AMO』製の武装は発想が雑、というか野蛮な物が多い。グランの持つKO-3K2などがいい例だ。火力を上げるにはどうすれば良いか? という問題に銃身自体を増やせばよい、という強引な思想の元に設計された四連装バレルショットガンだ。

 

「あれ、柱よね?」

「柱にしか見えませんね」

「ん、柱」

「柱ですね☆」

「アロナ? どうしてあの武器を警戒してるの?」

 

 先生たちが各々感想を言っているのを聞きながら装着作業を進めるグランと専用スタッフ。右手にスナイパーキャノン『USC-26/H SALEM』左手にショットガン『KO-3K2』背にオーバードウェポン『MASS BLADE』を装備する。左足の義足のアタッチメントに『IRON HORUS』を接続して、その盾の裏に『Eye of Horus』を格納する。最後にスタッフがMASS BLADEから伸びている謎のコードを手に持ってグランに話しかける。

 

「行きます」

「ああ」

 

 スタッフはそのコードをグランのヘイローに刺した。本来であれば干渉することは不可能なはずのヘイロー。本来触れるべきでない身のに無理やり機械を接続される。体が拒絶反応を起こし、グランの脳が悲鳴を上げているのが感覚で理解できる。表情や、体が崩れて、倒れそうになるのをアビドスを救うという思いで無理やり奮い立たせる。アヤネ達はスタッフが後頭部に回ったときにグランが軽く震えたようにしか見えなかったため『くすぐったかったのかな?』と特に何も聞かなかった。

 

――ドオォォォン――

 

 車内が激しく揺れる。

 

「まもなく最前線に到達します! 代表、対策委員会の方々出撃準備を!」

 

 ドライバーがそう叫ぶ。先生は今一度生徒たちを集めて円陣を組む。そのさいにグランとの腕の組みたかたでごたついたのは致し方ないことだろう。

 

「みんな、絶対ホシノを助けるよ。アビドス、出撃!」

「「「「「了解!」」」」」

 

 輸送車が停止して後ろの扉が開かれる。グランが真っ先に降りて、攻撃を始める。続いて対策委員会が下りて、最後に先生がおりる。

 

「ぜんしーん!」「撃てッ!」「敵MBT接近!」「ロケット持ってこい! 早く!」「クソ企業が、ぶっ殺してやる!」「代表が戦場に出られる! 付近の部隊は代表と対策委員会を援護しろ!」

 

 対策委員会と先生が見たのは壮絶な戦場だった。銃弾や大声が飛び交い、砂塵が舞う。対策委員会は初めて見る本格的な戦場に震える。

 

「先生の安全を第一にいくぞ!」

 

 グランがスナイパーキャノンを構えて、遠くにいる狙撃兵を倒しながら声をかける。

 

「グランと『ODI ET AMO』の部隊が道を切り開いてくれる! 皆、基地まで一気に行くよ! シロコ、悪いけど私をおぶって! セリカは護衛よろしくね! アヤネも離れないようにしっかりついて来て! こんな大規模な戦闘、はぐれたら合流は難しくなるから! ノノミはグランの援護!」

 

 グランが『ODI ET AMO』の兵士たちと共に戦っているとキッド1から通信が入る。内容を確認したグランは先生たちに連絡する。

 

「先生! まもなくカイザーの基地の外壁を別動隊? が破壊するらしい! 突入準備と……この別動隊に覚えがないんだが、先生が呼んだか?」

「え? ごめん、私もわからない」

 

 先生の返答にグランはギョッとしてキッド1にもう一度所属を確認するように言うが、キッド1が言うには所属は名乗れないが、確実に味方だと別動隊は言っているらしい。大丈夫なのかと思いつつ待機する。

 

――ドゴオォォォン――

 

 砲撃音が戦場に鳴り響く。そしてカイザーの基地の外壁とそこを防御していたPMC兵が吹き飛んだ。

 

「この砲撃……L118、トリニティの牽引式榴弾砲です! 一体どうして……」

 

 アヤネが疑問の声を上げる。すると通信に何者かが割り込んできて姿を現す。

 

『あ、あう……わ、私です……」

「あっ! ヒフ―――『違います! 私はファウスト! 覆面水着団のファウストです!』

「……」

「ファウスト、お前が使ってるのはオープンチャンネルだ。敵味方関係なく名乗ってるが良いのか?」

「わぁ、ファウストさん! お久しぶりです! ちょっとおっちょこちょいなのはご愛嬌ってことですね☆」

『え、ええっ! ホントだ、オープンになってる!?……切り替え完了です! あとこのL118はトリニティの牽引式榴弾砲ですが……と、トリニティ総合学園とは一切関係ありません! 指揮官の方にもそう伝えておきましたので……。す、すいません。これくらいしかお役に立てず』

 

 遠慮がちに謝るファウスト。グランは驚愕して声も出なかった。グランにとってヒフミはブラックマーケットにまでグッズを買いに来るペロロキチではあるがここまで大胆なことをする子ではなかった。だからこそ、ヒフミのこの行動は頭を金槌で殴られた気分だ。グランは心の中で『こいつ、思っていたよりもヤバいやつか?』とヒフミの評価を変えた。

 

「ううん、凄く助かった」

「はい! ありがとうございます、ファウストちゃん!」

『あはは……えっと、皆さん頑張ってください!』

「火力支援の直後に突撃、定石通りだね。行くよ先生」

「敵は砲撃で混乱状態だよ! みんな行こう!」

 

 カイザー基地内に侵入する対策委員会、続いて『ODI ET AMO』の部隊も侵入する。

 

「目標地点到着。……ついに来たか」

「この辺りにホシノ先輩が閉じ込められているはずです! この周囲にきっと……」

「ここは……」

「……ここ、学校? この痕跡……多分学校だよね?」

「砂漠の真ん中に学校……もしかして」

 

 目標地点まで来たグラン達。そこでグランは青い顔をしながら口を引きつらせて笑う。そこにあったのはかつて学校だったと思われる施設の残骸だった。シロコが何かに気が付いたとき大部隊を引き連れてカイザー理事が現れた。

 

「ああ。ここは、本来のアビドス高等学校本館だ」

「あんたは……!!」

 

  カイザー理事は辺りを見回してから口を開く。

 

「よくぞここまで来たものだ、アビドス対策委員会。……それにしても、『ODI ET AMO』我々カイザーグループと本当に事を構えるつもりかね」

「今日の『ODI ET AMO』の指揮官は俺じゃない。今俺はここに『代表』として来ていない」

 

 グランは武器を下ろして、カイザー理事に向き合う。

 

「ほう? では今の君は一体なんだ。 シャーレの部長か?」

「いや、アビドスの生徒だ」

「ふ、笑わせる。それに何の意味がある。以前も言ったように生徒会がすべて退学したアビドス高校は滅んだ」

「……まだいる」

「何?」

 

 グランは胸ポケットからある書類を取り出す。それはホシノの家で見つけてきたグランの退学届だった。

 

「それは……退学届ではないか、そんな紙切れになんの意味がある!?」

「この俺の退学届、この書類には、退学を承認する旨の生徒会の印が押されていない。ホシノはきっと押せなかったんだろうな。……つまり、俺はまだアビドスの生徒で、生徒会のメンバーだ。ここにいるのは……アビドス高校 生徒会書記 水戸グランだ!!

 




グラン「ホシノ! 良か――電話か」

↓→うへ~、電話なってるよー。出てあげな~(90) Bad end。
↓ 
→→電話、さっさと出れば(108) Continue

 Continue yes   no

 グラン君の苦悩は続くことになりました。さてこの結果、皆さんはどんな考えで投票したんでしょうか? もしかしたらホシノにキツく当たられて曇ると思って下に投票した方とかいたんですかね? 答えは逆なんです。このキツイ性格こそがグランの求めるホシノ。上の方のホシノで対応された方がグランは辛いんですね~。

 あ、グラン達が乗ってきた車、このあと砲撃が直撃して炎上。ドライバーちゃんは蒸し焼きになっちゃいました。グランくんの背中にまた重石を一つっと。



 現在読者参加企画を計画中です。アビドス編終了後、幾つかのサイドストーリーとイベントストーリーをはさんでその時点での設定などを纏めた話を出します。その話り中で質問コーナーを少しやります。その名も、『代表の電波も支配しちゃうぞRadio』 詳しくは活動報告にあげているので皆さん、是非ご参加ください。

アンケート、裾じゃなくて袖でしたね。すいません。

いつか書く不思議時空のサイドストーリー。どれが見たい?

  • 代表、女体化騒動
  • みんなでカラオケ
  • グランの誕生日
  • 代表asmr
  • 『もしも用の遺書が流出した』
  • いいから全部かけ  
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