シャーレの部長はブラックマーケットの代表   作:四脚好き

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39話

◎・アビドス本館・ 

 

 ホシノの救出を喜んでいるさなかそれは起きた。突如として地震がグラン達を襲ったのだ。この地震に何かしらの覚えがあるのか、すぐにグランとホシノは表情を硬くする。

 

「ホシノ! これは……この揺れは! あの時の!」

「不味い。本当に不味い。グラン! 私の武器を!」

「わかってる!」

 

 グランはすぐさま左足からホシノの武器と盾をパージして渡す。突然の揺れと二人の様子を見てセリカたちと先生も何かを感じ取る。

 

「ふ、二人ともどうしたの?」

「……ユメ先輩の命を奪った奴が来る」

「え! あの話に出てきたグランさんたちの先輩の!?」

「お前たちは離脱準備! というか、先生をここからすぐに離れさせろ!」

 

 後輩に指揮を出すグラン。途中で出た話にホシノが気が付いて、ショットガンの状態を確認しながら質問する。

 

「ユメ先輩の事話したの?」

「詳しくは話してない。あとで聞いてみると良い」

 

 答えながら各武装のチェックをするグラン。二人が、装備の点検をしていて逃げる様子が全くない様子を見た先生が焦りの声を上げる。

 

「ホシノ、グランもどうして戦う準備しているの? そんなに危険の存在なら一度逃げるべきだよ!」

 

 先生の言葉を聞いて、グランとホシノは驚いて一瞬目を点にする。そしてお互いの顔と手元を見て、笑う。

 

「確かに逃げるべきなんだろうな。アレは今でも夢に出てくるぐらいには強かったし……けど……なぁ、ホシノ?」

「うん。これだけは譲れないね。先生たちは離脱しても良いよ。あとは私たちに任せて」

「……けど!」

 

 なおも先生は食い下がる。生徒が自ら危険に飛び込もうとしている、先生としては断固として止めたいだろう。グランは困ったような顔をして、先生に語り掛ける。

 

「本当に危なくなったら離脱しますし、助けも呼びます。だから二人でやらせてください。ケジメ……みたいなものです」

「……グラン? その口調……うん。わかった」

「「「「先生!?」」」

 

 先生が了承したことに驚くセリカ、アヤネ、ノノミ。まさか先生こんな危険なことを許可するとは思わなかったのだろう。シロコはただじっと、ホシノを見る。

 

「ん? どしたのシロコちゃん?」

「これ、渡しておく」

 

 シロコがそういって、ホシノに自分がしていたマフラーをわたす。

 

「うへ? いいの~、これシロコちゃん大切にしてたじゃん」

「ん、だから渡す。 帰ってきて、また私にそのマフラーをつけて」

「ふふふ~、シロコちゃんは甘えんぼさんだなー。りょ~かい、絶対帰るから待ってて」

 

 ホシノが笑いながら、マフラーを受け取る。その様子を見ていたセリカが溜息をする。

 

「もう……なんだか、これ以上引き留めるとこっちの方が空気読めないみたいじゃない。……ホシノ先輩もグランも絶対帰ってきてよね! せっかく助けに来たのに、いなくなっちゃうなんて嫌だからね!」

「何かあれば、すぐ呼んでくださいね。いつでも支援の準備はしてますから!」

「グラン先輩……一緒に行ってほしい場所があるんです。だから私待ってます☆」

 

 それぞれの励ましの言葉を述べて離脱していく、先生とノノミ達。その場に残った、グランとホシノは作業を再開させながら、話し合う。

 

「勝てると思う?」

「わからない、けど秘策は持ってきた」

「その背中の奴?」

「うん、でも数秒チャージしないといけない。行ける?」

「やるだけ、やってみるよ」

 

 グランが、愛銃USC-26/H SALEM固有名『Viper of Isis』を構える。ホシノも状態を確認し終えた、『Eye of Horus』を構える。……そして砂の台地を割ってそれが現れる。背中に大型のブースターを装備し空を自在に飛び回るロボット。その姿はロボットという人工的な物であるはずなのに神秘性すら感じさせる。そのすがたはまさしく『セラフ』にふさわしいものだった。

 

SUPREME SERAPH

 

Nine Ball = Seraph

 

 

『修正プログラム起動。 全システムチェック終了 戦闘モード起動 ターゲット確認 排除開始』

「グラン、狙撃の腕は?」

「落とすわけがない」

「なら、行くよ」

「「二人で」」

 

 セラフが、両手内に仕込まれたパルスキャノンを連射しながらものすごいスピードで接近してくる。それをホシノは回避しながら、ショットガンを発射する。頭部に命中して一瞬動きが止まるセラフ、すかさずグランがスナイプするがその銃弾にすぐに反応して、レーザーブレードで切り伏せるセラフ。

 

「相変わらず、発砲後に反応して切り伏せるとか、インチキだよ、あのスピード!」

「文句言ってないで離脱!」

 

 グランに向かって大型ブースターからミサイルを発射するセラフ。グランは跳んだり、ショットガンでミサイルを迎撃してやり過ごす。

 

「このっ!」

 

 グランがミサイルの迎撃に気を取られている間にセラフはパルスとレーザーブレードを駆使して、ホシノに接近戦を仕掛ける。ホシノはよけたり、盾で攻撃を防ぐので手いっぱいで攻撃に転じれない。そのようすを見たグランはすぐさま援護に入ろうとするが、そうするミサイルが飛んできて射撃をさせてもらえないでいた。

 

「一か八か……」

 

クランはこのままではらちが明かないと考えて義手である左腕で態とミサイルの突っ込む。爆発の衝撃と熱波に包まれるグラン。

 

「グラン!?――しまっ!?」

 

 グランが爆発に包まれた瞬間を見て動揺してしまったホシノ。数舜防御が遅れて吹き飛ばされる。すぐに立ち上がるホシノ、だがその隙を見逃すセラフではなく、立ち上がろうとしたホシノの視界にはブレードを構えて、振り下ろそうとするセラフが視界一杯に映った。思わず目を瞑ってしまうホシノ。しかしいつまでたっても、痛みはこなかった。恐る恐る目を開くと、そこにはブレードを構えていた右腕が吹き飛んだ、セラフがいた。

 

『右腕部 損傷』

「まず、一撃」

「グラン!?」

 

 煙の中から左腕と左手に持っていたショットガンを失ったグランが飛び出してきて、セラフに蹴りを叩き込んで吹き飛ばす。セラフは廃墟の壁に激突する。

 

「大丈夫、ホシノ?」

「そっちこそ」

 

 ホシノは立ち上がり、腕のなくなったグランの左肩を叩く。

 

「腕は鈍ってないみたいだけど、連携のほうは鈍ったね」

「それはどっかの誰かさんが勝手に出て行ったから……」

「僕はあの時『出ていけ』って言われたんだけど……」

「そ、それはッ!……本当にごめん。言ったことも、腕のことも。……謝って済むことじゃないとは理解してるけど」

「あの時は……お互い冷静じゃなかった。だから腕は仕方がなかったんだ、それでお終い」

 

 グランの言葉ににホシノが目を丸める。

 

「そ、そんな簡単に流していいの? 腕だよ!? もう一生……」

「僕にとっては腕よりも、ホシノの方が大事だし」

「……ホントに、なんでそう言って……」

 

 ホシノは思わず涙を流す。そして約二年の空白を埋めるようにグランを抱きしめる。その耳は真っ赤になっており、それに気が付いたグラン。

 

「恥ずかしがるならやらなきゃ良いのに」

「うるさい! 黙って抱かれてろ!」

 

 自身の泣き顔わ隠す用にグランの胸に顔をこすりつけるホシノ。ガラガラと音を立てながら起き上がるセラフ。それを確認するとすぐにグランから離れて戦闘にそなえる。

 

「帰ったら、絶対続きする」

「じゃあまず、生きて帰らないとな。少しずつ昔を取り戻そう」

「行くよ、グラン!」

 

 セラフがミサイルを放ちながら飛び上がり一定の距離を保ちつつ射撃を仕掛ける。

 

「後ろに!」

「了解」

 

 ホシノが前に立ち、盾で攻撃をふせぐ。その後ろにグランは隠れる。攻撃を盾の後ろで防ぎながら話し合う二人。

 

「あの時と同じ、飛ばれると厄介」

「砂地じゃなければ跳んで同じ高さまでいけるんだけど……」

 

 グランの言葉にホシノが何かを思いつく。

 

「足場があれば行けるんだよね?」

「う、うん」

「そしたら足場はどうにかするから、アイツを撃ち落として。そしたら私は一気に近づいて、ダメージを与える」

「大丈夫?」

「片腕が無くなった分攻撃頻度は落ちてるはず、行ける」

 

 ホシノはそう確信めいて宣言する。

 

「攻撃が途切れた! グラン! 上!」

「わかった!」

 

 ホシノが盾を上に向けって構える。グランはホシノの意図をすぐに理解して、盾を足場にして一気に飛び上がる。グランは『Viper of Isis』をセラフに向ける。

 

「ユメ先輩の仇。撃たせてもらう!」

 

 万感の思いを込めて、セラフの背中を撃ち抜く。

 

カアウゥゥゥゥン!

 

 翼を撃ち抜かれ落下していくセラフ。着地した所にホシノが突っ込んでシールドバッシュを叩き込む。大きく姿勢を崩すセラフ。たまらずブレードで反撃をするが、本気になったホシノは止められない。ホシノが連続攻撃でセラフをくぎ付けにしているあいだ、グランは『MASS BLADE』の起動準備に入る。接続されたコネクターがヘイローハッキングを始める。頭が割れ、全身が沸騰するような熱さに包まれる。身体に致命的ダメージを与えられたとき火事場の馬鹿力を発揮するのと同じようにヘイローを無理やり追い詰めて本来その生徒が持たない量の神秘を出力させる。この瞬間、グランの持つ神秘はホシノをも超えていた。

 

「あ、あああ゛゛アあ゛あ゛゛アあ゛゛!!」

 

 鉄筋を横に構え、薙ぎ払いの準備をする。柱の先に咲いているブースターが点火される。最大出力になるまでに振りぬかないようにブースターの勢いを無理やり抑え込む。無理矢理出力された神秘を無理やり吸い取られる。体はその感覚に拒絶反応がおき、脳を異物にかき乱される。目から鼻から血を流し、口の端から血泡が出てくる。体は熱を発しているはずなのに、寒気が止まらず、歯ががちがちとなる。それでも、グランは倒れない。ホシノを助けるため、ユメ先輩の仇を撃つため、自分の夢を叶えるため。

 そしてその瞬間はやってくる。

 

「ホジノ゛!゛ はな゛れでっ゛!」

「わかった! 決めて!」

 

 ホシノは屈んでブレードを避ける。そしてそのまま、セラフの両ひざを撃ってセラフを転ばす。そしてセラフから距離を取る。すれ違う形でセラフに突っ込むグラン。

 

「全部、焼け散れえええぇぇぇ!!」

 

ズゴオオオォォォン

 

 

 『MASS BLADE』をセラフに叩き込む。膨大な質量と熱を叩きつけられて、セラフは粉々に吹き飛ばされる。セラフの有する『神秘』も『恐怖』も『崇高』さえ、その熱と衝撃は文字通りすべてを焼き尽くした。そして大爆発が起きる。砂が空中に舞い上がり、あまりの熱量に空中で砂がガラス化する。ガラス化した砂がキラキラと舞う中、ホシノは盾を地面に立てて落ちてくるガラスからグランを守っていた。

 

「生きてる?」

「あ゛あ゛、な゛ん゛どが」

「声、ガラガラじゃん」

「……」

「どうしたの?」

 

 ガラスが舞って輝いている青空。それを背景にして笑っているホシノ。

 

「綺麗だよ、ホシノ」

「……へへ、いきなりどうしたのさ」

 

 二人は爆発を心配して、先生たちがやってくるまで輝く青空の元、笑いあっていた。

 

 

 

 そして、約一週間後ブラックマーケット内の病室にて

 

「ホシノ、この退学届に印をして退学を正式なものにしてくれ」

「は?」

 




 

 現在読者参加企画を計画中です。アビドス編終了後、幾つかのサイドストーリーとイベントストーリーをはさんでその時点での設定などを纏めた話を出します。その話り中で質問コーナーを少しやります。その名も、『代表の電波も支配しちゃうぞRadio』 詳しくは活動報告にあげているので皆さん、是非ご参加ください。

貴方が一番好きなキッドは?

  • キッド1 大鷲ハルミ
  • キッド2 白羽ムイ
  • キッド3 伊知智アム
  • キッド4 衛府フセ
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