イズナと別れた後、百夜堂を探して百鬼夜行を練り歩く。
「あの、百夜堂というお店がどこにあるか知りませんか?」
「百夜堂っていえば、あの有名な喫茶店だね」
「百夜堂のイチゴ餡蜜が最高でねぇ」
「色々美味しいものがあるんだけど、何より最高なのは……」
「「「シズコたんの可愛い笑顔!」」」
「なんだこいつら」
百夜堂への道を聞いただけなのに、なぜかそんなセリフを何十回も聞いた。先生に送られてきた『ニャンニャン』といい、シズコという女は大分あざとい奴のようだ。そうやって何度もシズコという奴の話を聞いた末にようやく百夜堂にたどり着いた。
「お頭ァァ! ようこそいらっしゃいマシタッ! わざわざシャーレ組からいらっしゃると聞いて、このフィーナ! 心よりお待ちしておりマシタァッッッ!!」
「シャ、シャーレ組?」
「おう、出迎えご苦労」
「グラン!?」
「あ、いつもの癖で」
百夜堂に入るとフィーナという少女が塔に帰ったときの部下たちと同じようなノリで挨拶してきたため、その時の癖で少し横柄な態度で返してしまった。隣の先生も驚いている。けど、これ俺は悪くないだろ、というかこのフィーナという少女どこかの組織の者なのか? そんな感じはしないんだけどなぁ……。
「ちょっとフィーナ! 先生が困ってるでしょ! 男性の方はなんか適応してるし!」
「エ、でも……。先生たちが来たらビックリするくらい盛大にお出迎えって、さっき委員長が。それに通じマシタよ!」
「いやいや、それはあくまでも百夜堂の従業員としての、第一印象な話だから! そう第一印象! 第一印象をとびっきり可愛くしておくことで、最初から先生の好感度MAXで行こうというこの……」
「そういう話は相手に聞かれない所でやるべきだな」
その前で化けの皮が剥がれたシズコに呆れ顔で話しかける。
「はっ……! 今のは、その、つまり……。て、てへぺろ!」
「ふっ」
「は、鼻で笑われた!?」
確かに、このシズコは可愛いし、その仕草はとても似合っているとは思う。ただ、今まで様々な女と関わってきた(意味深)俺にとっては少々ガキ臭すぎる。
「ええっと、そうじゃなくて。……コホン。いらっしゃいませ、シャーレのお二方! 百夜堂へようこそ、にゃんにゃん!」
「可愛いー♡」
「あの後にそれをするプロ意識には敬意を表する」
本当に、心から尊敬する。
「えへっ、では中へご案内します! フィーナ2名様ご案内!」
「はいっ! 不肖フィーナ! お頭を全力でおもてなしいたしマスッッッ!」
「だからそういうのじゃなくて!!」
おーおー、賑やかな店だこと。フィーナに案内されて窓の傍の日当たりの良い席に案内される。
「どうぞ」
「ありがとー」
椅子を引いて先生を先に座らせてから自分も座る。目の前に百夜堂の二人も座る。
「それにしても先生、本当に来てくださったんですね!」
「せっかく呼んでくれたからね」
「えへへ、ではあらためて自己紹介を。私は河和シズコ。百鬼夜行連合学院所属、お祭り運営委員会の委員長であり、この百鬼夜行自慢の伝統的な喫茶店『百夜堂』のオーナー! それと同時に百夜堂の看板娘でもあって、つまりはみんなのアイドルみたいなものです!」
「そしてワタシは百夜堂の従業員! 任侠の道を究めんとする、フィーナと申しマス!」
自らアイドルを名乗るか、人気には相当自信があるみたいだな。……にしても肩書が多い、これはイズナの時とは違って俺も肩書フル詠唱するか? それに任侠か。……ウチとは似ているが少し違うんだよな……。キサキの所も……違うな。
「知ってると思うけど、シャーレの先生、屋浦ニイだよ。よろしくね、二人とも」
「連邦議会ブラックマーケット代表兼『ODI ET AMO』代表兼連邦捜査部シャーレ部長、水戸グランだ。よろしく」
「はい、よろしくお願いしま……『ODI ET AMO』? どこかで聞いた気が……? ま、いっか。こほん。それで先生たちは百鬼夜行連合学園に来るのは初めてなんですよね? では、私たちお祭り運営委員会のPRを兼ねてお話しましょう!」
シズコが席を立って、手書きポップを待ってくる。おおう、商魂たくましいというか、なんというか。
「百鬼夜行連合学院は、昔から観光業を中心に発達した学園自治区です。お祭り、温泉、音楽といった様々な娯楽がたくさんあるのですが……。何よりも注目すべきはグルメ! ありとあらゆる文化と生徒たちとが交わり、息づいている。そんな場所なんです! そして私たち『お祭り運営委員会』は、その百鬼夜行の観光業の中でも最大規模を誇る『お祭り』を担当しています。『運営委員会』という名前ですが、企画から運営、そして全般的な管理まで、その殆どを担当している部活なんです! えっへん!」
「そしてここ百夜堂はワタシたち『お祭り運営委員会』のCoooolなアジトなんデス!」
「おー」
いつの間にか二人が席から立っており、ポップと身振り手振りを使って説明する。先生は感心して拍手をしている。この二人、最大規模の『お祭り』を任されているだけあり、宣伝がかなりうまい。俺も思わずのめり込んでいた。
「そして今まさに、私たちが準備してきた『百夜ノ春ノ桜花祭』が開催中! これが私たち、お祭り運営委員会の力です!」
「街にも活気が溢れていて、いいお祭りだね」
「はい。色んな方の努力や協力があって、こうして盛り上がってはいるのですが……。最近、邪魔をしてくるやつらが現れまして……。今朝もいきなりあちこち荒らされたし、ほんっとに……」
「それが『相談したいこと』?」
先生の顔から、笑顔が一瞬消えたが、生徒に威圧感を与えないためかすぐにまた笑顔に戻る。しかし真剣な声色でシズコに聞く。
「はい、先生を純粋に『百夜ノ春ノ桜花祭』へご招待したかったのも本当なのですが……」
ズカガガガカアアアァァン
巨大な爆音と衝撃が百夜堂に伝わってくる。随分、火力のある武器を使ったな。ロケットランチャー辺りか?
「委員長! 敵襲デス!」
窓の外を確認したフィーナが大声で叫ぶ。
「ああもうっ、言ってる傍からあいつら! ほんっとやってらんない!!」
「それが素か?」
「あっ……え、っと、きゃーシズコこわーい……なーんちゃってー……えへっ」
「ふっ」
「と、とにかく! 詳しいことは現場に向かってからで!」
お祭り運営委員会と共に百夜堂を出て、爆音のした通りへ向かう。そすると天狗のお面をした集団が街を荒らしているのが見えた。
「ふはははっ! あたしらは、百鬼夜行の路上に屯する魑魅魍魎」
「その名も……魑魅一座・路上流っす!」
「さぁみんな、ご要望通りに荒らして荒らして荒らしまくりな!」
「最近のお祭りは派手だね」
先生はそう言うが、アレはどう見ても違うだろ。……にしても『ご要望通り』か。
「そ、そんな訳ないじゃないですか! こんなお祭りがあってたまるもんですか! いや、キヴォトスは広いし、あるかもだけど……とにかくあれはただの邪魔者です!」
「せっかくの桜花祭を邪魔しようとするだなんて! 許せマセン!」
お祭り委員会の二人が武器を取る。二人からしっかり敵認定も貰ったことだし、遠慮も必要ないだろう。
「はっ、たかだかお祭りの運営委員会ごときが、あたしらの相て――ンぐ!?――ゴバァッ!?
「隙だらけだぞ」
懐に飛び込んで、下腹部を踏みつぶす様にソバットを叩き込む。そうしてバランスを崩して、仰向けになった奴の腹にKO-3K2をぶち込む。ハハッ、魑魅一座・路上流だったか? ちっこくて蹴りやすいな!
「ハハハハはハハはハハハ!」
「What?」
「ちょ!」
「グラン!?」
後ろで、先生とお祭り運営委員会の二人が驚いているのが聞こえる。何を驚いている? 奇襲は戦端を開くのには定石だろう?
「て、てめぇ! 行き成り何しやがる! くそっ! 全員、突撃だ!」
魑魅一座・路上流の奴等がぞろぞろとやってくる。ふふふ、良いぞ。
「全員、蹴散らしてやる!」
最近、ストレスが溜まっててなぁ。憂さ晴らしさせてもらう!
ストレスで情緒不安定のグランくん。凶暴性がにじみ出てきたみたいですね。
キッド1「代表の脳を焼いた三銃士を連れてきました」
キッド2、3、4「脳焼き三銃士!?」
キッド1「その力強さと圧倒的な戦闘センスで代表を魅了した初期過去ホシノ」
初期過去ホシノ「グラン? あんな情けない男がなんですか?」
キッド1「ギャップと甘い日常で幸せを代表に与えた後期過去ホシノ」
後期過去ホシノ「グランは、私にとって……その、大切な人です」
キッド1「過去の罪を思い出させ代表の情緒をグチャグチャにした現在ホシノ」
現在ホシノ「うへ~、どうしたの顔色悪いよ、代表君?」
現在読者参加企画を計画中です。アビドス編終了後、幾つかのサイドストーリーとイベントストーリーをはさんでその時点での設定などを纏めた話を出します。その話り中で質問コーナーを少しやります。その名も、『代表の電波も支配しちゃうぞRadio』 詳しくは活動報告にあげているので皆さん、是非ご参加ください。