◎・ゲヘナ自治区・
『お父さん、お母さん、今日もいないの? ……お弁当、買ってこないと』そう言ってテーブルの上に置かれたお金を手にとって、お家から出たのがちょっと前。
このゲヘナ自治区は他の所よりも自由がたくさんあるんだって。だからお父さんもお母さんもいろんなことをして沢山お金を手に入れてるみたい。
二人ともお金が大好きだから、僕のことなんて気にしてないみたい。もともと、『シュッセ』というもの為に結婚して出来た子供って言ってたし……。
「うぅぅ……お金、取られちゃった。ぐすッ、ぅぅ……。お腹、へった……」
僕がお金を持っていることに気が付いた怖いお姉ちゃんたちに追いかけられて、鉄砲で撃たれて痛くて泣いてたらお金も取られちゃった。このゲヘナ自治区は他の所よりも自由がたくさんある、だからこれも良くあること、誰も助けてくれない。とにかく走り回って逃げたからもう動ける気もしないし、ここがどこなのかもわからない。痛いよ、お腹減ったよ、寒いよ、助けて……お母さん。
「もし? 大丈夫かしら?」
道路の端に倒れこんでいる僕に誰かが声をかけてくる。けど僕にはそれが誰だか確認することもできなくてただ、一言答える。
「お腹……へった」
「まぁ、それでここで倒れてましたの? 大変ですわね……口は開けられまして?」
なんだかいい匂いがする。僕は滲んで何も見えない視界で匂いを頼りに差し出されたなにかに向かって口を開ける。
「はい、どうぞ」
口のナカにもちもちした触感と甘いものが入ってくる。なんだかよく分からないけどとっても美味しくて暖かくてまた涙が出てくる。
「ふふふ、お口にあった様で何よりです。美味しいでしょう、この鯛焼き」
これが鯛焼き……初めて食べた。
◎・数年後・
どこまでも続く青空と、照りつける太陽、そして響く銃声。自由と混沌が校風のゲヘナ学園ではありふれた日常だ。
「ふふふ、かの"ゴールドマグロ"に次ぐという幻の魚"シルバーシャケ"なんという輝き……。港の名物として剥製にしようするなんてもったいない事をする前に手に入れられて良かったですわ」
「んーー! んー!」
「あぁ、フウカさんそんなに暴れないで下さいまし。この食材、私ぜひフウカさんに調理して欲しいのです」
「んー!」
給食部の車がもうスピードでゲヘナ自治区の道路を突っ切っていく。その給食部の車の助手席でハルナが腕を縛られて拘束されているフウカに笑顔で話しかける。ハルナの言葉に口を塞がれつつも叫ぶフウカ。ハルナ視線を動かしてチラリと後方を向けば背後から迫る装甲車が目に入った。
「止まれー美食研!」
装甲車に箱乗りをしている銀鏡イオリが愛銃を構えながら大声を上げる。その光景を見たハルナは一瞬目を細めた後、隣の運転席にいるアカリに話しかける。
「流石に動きが速いですわね、風紀委員会……。アカリさん、もっと飛ばせまして?」
「はーい。それじゃあ、しっかり捕まっててくださいね~♪」
そう言ってアカリは車を加速させる。そのせいで荷台部分は大きく揺れる。それでフウカの他に荷台にいたイズミとジュンコは大きく体勢を崩す。
「キャア! ちょっとそういうのは声かけてから数秒待ちなさいよ! 発声と同時に急加速したら掴める物も掴めないじゃない!」
「いたた……あ、待って暴れないでー!」
荷台で抗議の声を上げるジュンコ。そして同時にイズミが持っていた生け簀の中から逃れようとする"シルバーシャケ"をどうにか生け簀のなかに戻そうと奮闘している。
「イズミさん、間違っても落とさないように!」
「分かってるよ~! うわー!? ビチビチしないで! 生け簀の水がー!」
「アカリさん! 目標地点までは!?」
「あと700メートルです☆」
アカリの言葉を聞いたハルナは手早くスマホを取り出して、ある人物に連絡を取る。
「もう、まもなく目標地点に着きますわ! 準備は出来てまして!?」
『あぁ。もう―――
電話の相手がハルナの言葉に変じようとしたとき、イオリが給食部の車のタイヤを狙い射撃をする。放たれた弾丸は性格にタイヤに向かって直進して……
ガギィィィィィッッン!!
別方向から跳んできた弾丸によって弾かれた。
―――準備も、援護もできている』
「相変わらず、恐ろしい精度の狙撃ですわ!」
ハルナが冷や汗を流しながらそう答える。そして一方の風紀委員側ではイオリが自身の狙撃を防がれたことにいち早く気づく、そして素早く全体に指示をだす。
「狙撃が防がれた……ッ!? 全車、回避行動! 直進するな、良い的になるぞ! 『片翼のグラン』だ!」
ドンッ!!
「クソッ」
イオリの警告も虚しく一台の装甲車のボンネットが拉げ横転爆発する。幸い搭乗者は脱出していたが、あれでは追撃が出来ないだろう。他の車両の搭乗員も辺りを見回して狙撃手を見つけようと辺りを確認する。そして狙撃手を見つけた風紀委員はその距離に絶句する。
「敵狙撃者発見……距離4キロ以上……」
「4キロォ!? 相変わらずの射程だなあのトンデモ砲!」
報告を受けたイオリはその距離と自身の銃では太刀打ちできないことを察してルーフを叩く。そんなイオリの元にアコからの通信が入る。
『イオリ』
「アコちゃん!?」
『今、グランの方は委員長が抑えに行きましたので、アナタはそれまでグランからの狙撃を回避しつつ、美食研を追ってください』
「簡単に言ってくれる! ッ!? 左に退避!」
イオリの言葉通りにハンドルを切る運転手、すると車のすぐ近くに狙撃が着弾する。口径の違いから大きくアスファルトが捲りあがる。
◎・4キロ先、ビルの屋上・
「ほう、アレを避けるか。流石だイオリ。だが、いつまで持つかな」
そう言って右腕にもったスナイパーキャノン "Lucifer's Viper"を再び構える『片翼のグラン』こと水戸グラン。言葉とは裏腹に楽しそうにわっさわっさと
「まずは安そうな方から片付けよう」
グランはそう言い放ちイオリの乗っている車両以外を狙撃で破壊し始める。そうしてイオリの乗っている車両以外を破壊した時、物言えぬ悪寒にすぐにその場を離れるグラン。するとその瞬間、轟音と共にグランのいた場所にいくつもの弾痕が刻まれる。グランが銃声の主の方を見て笑みを深める。
「よう、またアンタか空崎ヒナ」
「私じゃなきゃ貴方は止められないもの」
ヒナが言い終わるのと同時に銃をグランに向ける。が、それよりも早く早撃ちの要領でヒナの銃に弾丸を撃ち込み、弾くグラン。銃を弾かれ手放してしまったヒナは一度銃の方を振り返ってから、グランを睨みつける。それに無言の笑みを返すグラン。
「……」
「……拾いに行く時間ぐらい待ってやっても良いぜ」
「不要……よッ!」
「そう来るか!?」
ヒナが地面を思いっきり蹴り上げグランに殴り掛かる。それを見たグランも銃をおいて構える。
ヒナの繰り出した右ストレートをスウェイで避けるグラン。しかしヒナストレートが避けられるのを想定していたのかそのまま身体を回転させ浮き上がり左足で後ろ回し蹴りをする。流石にこれは回避できなかったのか左腕を盾替わりに使って防ぐグラン。左腕に走る衝撃と痛み、しかしそれを来られて左腕にぶつかって止まったヒナの足を右手で思いっきり握りしめ、間接を捻り壊す。
「ッ!」
左足に走った痛みに顔を歪ませるヒナ。そしてグランはヒナの足を掴んだまま、振り回した後地面に叩きつける。叩きつけられたヒナは何回か地面を跳ねて転がっていく、しかしどれも受け身をしっかり取っていたのかすぐに起き上がり、左足の状態を確かめる。
「女の子の足を握り壊して投げるなんて、酷いのね」
「全部しっかり受け身取りやがった癖によく言う。あとお前"女の子"っていうタイプでもないだろうに、おっそろしい。蹴り一発で腕がいかれやがった」
「あなた、モテないでしょ」
「俺にはハルナがいればそれで良い」
「……そう」
ヒナは再びグランに向かって飛び掛かる。しかし今度はグランの方からもヒナに向かって走り出し拳を引き絞る。二人の拳が正面からぶつかりあった。
「グラァァァアン!」
「ヒナぁぁぁあああ!」
◎・数十分後 合流地点・
風紀委員会の追撃を逃れた美食研は合流地点である路地に身を潜めてメンバーの最後の一人であるグランの帰りを待っていた。とくにハルナはヒナとグランが戦闘を始めたという連絡を受け、他の誰が見てもわかる通り落ち着きがなかった。
「ハルナ、気持ちはわかりますがもう少し落ち着いたらどうですか」
「アカリさんっ、でももし彼に何かが会ったら!」
「ハルナ」
「ぁ……申し訳ありません。そうですわね、余裕をもって優雅たれ。心に余裕が無ければどんな美食もそ味を損ねてしまいますものね」
アカリの言葉にハルナは思わず大声を出してしまった。そんな ハルナを諫めるように更にアカリが声をかけて、ハルナもはっとなり目を瞑り深呼吸をして落ち着きを取り戻す。
「お待たせ!」
「グラン!」
「遅かったですね」
「お帰りー、もうお腹減ったよー」
「もう! あんまりハルナを心配させるんじゃないわよ!」
「んー! んんんーーー!」
グランが路地の上から壁伝いに降りてくる。するとハルナが直ぐに駆け寄り、アカリはハンドルに寄りかかったまま声をかけて、イズミが荷台で寝ころびながら空腹を訴えて、ジュンコが荷台の上に立ち上がりグランを指さして、フウカが藻掻く。グランは駆け寄ってきたハルナを抱きしめてクルクルと周り、キスをする。
「な、ななななな、いきなりなんて事をっ!?」
「別に良いだろ、俺達付き合ってんだし」
キスされたハルナは顔を真っ赤にしてグランから距離を取る。それに対して冷静に返すグラン。
「お熱いですねー」
「わぁ、チューしちゃった」
「あわわわわわ」
「(눈_눈)」
車両にのこっていた面子の反応が聞こえて更に顔を赤くするハルナ。そんなハルナの腰に手を回して車両の方に歩き出すグラン。
「それでハルナ、あの魚はどうやって食べるんだ?」
「そ、そうですわね。悩みどころではありますが三匹もありますし、フウカさんもいます。色々な料理にしてもらってみましょうか。それに……」
「それに?」
「どんな料理でも愛する御方と一緒に頂く食事が、私は一番好きですから♡」
そう言ってグランにニコリと笑いかけるハルナ。そうやって二人で二人で車両に向かって歩いていると一枚の新聞が風邪で飛んできてグランの足に引っかかる。
「ん?」
何故だかその新聞が気になり拾い上げるグラン。一面には『旧アビドス自治区、ハイランダー自治区への変更手続き完了!』と書かれていた。
「どうかしましたの?」
「いや、確か俺が一年生の時だったかな……? アビドスってとこの高校の生徒会が
新聞を読みながらグランがそう答える。
「事故で……それは残念でしたわね」
「まぁ、俺達にはどうしようもできないし、言っちゃあ悪いがアビドスとかいう無名の自治区、
そこまで言ってグランはアビドスの事が書かれた新聞をまるでいらないポスターを捨てる時のようにビリビリに破り捨てる。
「さ、そんなことよりも美食が俺達を待っている! 行こう、ハルナ」
グランはハルナと共に仲間のいる場所へ歩き出したのだった。
・ゲヘナグラン
両親がアビドスではなく、ゲヘナで仕事をしていた場合のグランくん。両親からのネグレクトは変わらず受けていた。幼い時、ご飯代をカツアゲされて泣いている所をハルナに救われる。それからはハルナと共にご飯を食べることが増え、ただの寂しい栄養補給から、楽しい食事にグランの食生活は変化した。
それから二人は共に成長してゲヘナ学園に入学、美食研究会を設立する。アカリからの援護を受けて二年生時にハルナに告白、二人は結ばれた。ハルナことが大、大、大好きで他の女性に目もくれないほど一途。
ゲヘナという修羅の国で育ったのと、四肢満足の為、本編グランよりもはるかに強い。ヒナとタメを張れる。
見た目の違いは片翼が無いくらい。因みに片翼は美食への追求のために調理した。美食研究会のメンバーにも美味しいと好評だった。もう片方は最後の晩餐としていつの日にかハルナと食べる約束をしている。
・ハルナ
最初アカリをヒロインに書いていたら脳内に急にインターセプトしてきてヒロインの座を搔っ攫って行った女。ゲヘナの名家出身で小さい頃から護衛を連れつつ食べ歩きをしていた。そんな中行き倒れているグランを見つけて鯛焼きを分けて上げたのが出会い。出会った頃は自分より小さくて軽かった同級生の男の子が高校に入って無茶苦茶男らしくなっててドキドキしてたら猛アタックされて堕ちた。最近、自分の彼氏の魅力がバレ初めて少し焦っている。
・ヒナ
自分と同等の力をもった存在が美食研究会にいることに頭を痛めている。グランはヒナにしか止めれず、ヒナはグランにしか止められないため二人きりで戦う機会がたくさんある。その為実はハルナに次いでグランの事を理解している。自分が全力で戦っても問題ない存在がいることで原作よりも少しだけ好戦的になっており、グランとの闘いがストレス発散にもなっているため原作よりも明るい雰囲気になって軽口を言い合う程度のことが出来る。
・アビドス
ナインボールとの遭遇時、ホシノを担いで逃げる人間がいなかったため、ホシノもユメと運命を共にした。生徒会が全員死亡したことでアビドス高等学校は消滅、ハイランダー鉄道学園の新生徒会長十六夜ノノミが自治権を継承した。
・フウカ
不憫
いつか考えているイベント回グランが若返ります。1年や幼児は体の年齢。記憶は頭の中身、なしだとその体の当時の記憶しかない。ケガは主に四肢欠損のありなし。
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一年、記憶あり、ケガあり
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一年、記憶なし、ケガあり
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一年、記憶あり、ケガなし
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一年、記憶なし、ケガなし
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幼児、記憶あり、ケガあり
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幼児、記憶なし、ケガあり
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幼児、記憶あり、ケガなし
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幼児、記憶なし、ケガなし