シャーレの部長はブラックマーケットの代表   作:四脚好き

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46話

 攻撃してくる魑魅一座を掴んで地面に叩きつけたり、ショットガンでよろけさせたところを蹴り飛ばす。そうしてドンドンと魑魅一座をなぎ倒す。

 

「きゃんっ!?」

「ちょ、ちょっとストップ、グラン! それイズナ!」

 

 先生の指揮のもと戦闘していると急にストップがかかった。そういわれて、目の前の魑魅一座の姿をよく見ればそこにいたのはイズナだった。

 

「お前、どうしてここに?」

 

 イズナに向けていた武器をしまう。

 

「そ、それはイズナの台詞です! どうしてお二人が私たちの邪魔を!? はっ、もしかしてお二人は最初からイズナを誘い出すために近づいてきたのですか!? まさか、すべては仕組まれていた……!? イズナの夢を応援するって言ってくれたのに! 本当は悪い人たちだったんですか!?

「ち、違う! 俺は本当にお前の夢を応援して……ち、違うんだ。俺は邪魔するつもりはなくて」

「ぐ、グラン大丈夫? それにイズナはどうして……?」

 

 違う、俺は本当にお前のお前の夢を応援していて……。イズナの言葉が何度も頭の中でリフレインする。思考がまとまらない、手が震える。なぜ、なぜなんだ。夢、希望、欲望、そういったものを持っていた人間なんて今まで何人も殺してきた、何回もその夢を潰してきた! なんも感じなかっただろう! 何も考えないようにしていただろう! なのにどうして今更こんなに胸が痛むんだ! イズナの顔を見ていられずに顔をそむける。

 

「い、イズナは忍びとして命令に従っているだけです!」

「命令?」

 

 俺が動きを止めている間にも、お祭り運営委員会の二人に先生は指示を出して活躍していく。

 

「どうよ! お祭り運営委員会を舐めないで!」

「一網打尽、デス!」

「くっ、強い! あいつら、なんか前よりも強くなってる……!?」

「ご、ごほっ……。あそこの大人のせいっす。急にお祭り運営委員会の動きが変わったっす!」

「くっ、イズナ殿! 一旦戦略的撤退だ!」

 

 魑魅一座が撤退の指示を出すのが聞こえる。

 

「せ、戦略的撤退……? ですが、イズナは……」

「立派な忍者は引き際を弁えてるものだよ! 何かの本で読んだ気がする!」

「なるほど! そういうことであれば!」

 

 イズナも撤退の指示を了承したようだ。だが、このまま返してしまっては何も解決しない。震える手を無理やり動かしてイズナに銃を向ける。するとイズナは少しだけ悲し気な顔をする。あの時のホシノみたいに……無理だ、撃てない……

 

「グラン殿……まさか、イズナの夢を応援してくれたお二人が立ちはだかるなんて……。何という運命の悪戯! ですが、イズナは知っています! 忍びの道を行くからにはこういったことも起こり得るのだと! 望まぬ戦いもまた忍びの定め宿命!」

「くっ」

 

 いつまでも引き金を引かなかったせいで、イズナに行動する隙を与えてしまった。イズナはその場でバク中をしながら近くの建物の上に飛び乗る。そしてそのバク中の時にこちらのショットガンをけりあげて吹っ飛ばした。……ホントに身体能力は凄まじいな。そしてイズナは建物の上から、こちらに声をかける。

 

「お二方、イズナは諦めません! 次に相まみえる時はイズナ、今の三倍くらい強くなっていますので! それから……」

 

 イズナは下で呆然としている俺の方をみる。

 

「グラン殿が本当にイズナの夢を応援してくれていることは伝わりました。先ほどの言葉は申し訳ありませんでした」

「え? あ、ああ」

「えへへ、グラン殿。イズナは絶対に夢をかなえて見せますから! では、ニンニン!」

 

 イズナはにっこりと笑って建物の上を駆けていき、その姿はあっという間に見えなくなった。……なんであんな笑顔を浮かべられるんだろう、俺はお前を傷つけようとしたのに。

 魑魅一座も撤収したことでその場はこちらも百夜堂に戻ることとなった。

 

 

◎・百夜堂・

 

「ああもう、また! 桜花祭が始まってからというもの、こうやって魑魅一座の奴らがあちこちで悪さをするんです!」

「あの魑魅一座……って、何者?」

 

 先生がシズコに質問する。すると、お祭り運営委員会の二人が深刻な表情をして説明を始める。

 

「魑魅一座・路上流。昔から百鬼夜行で、しょっちゅう問題を起こしているやつらデス!」

「確かに以前から問題児だったとはいえ、こんなに組織的に動くようになったのは最近になってからな気が……。 まるで、組織だって『百夜ノ春ノ桜花祭』を台無しにさせようとしてるっていうか……」

「何にせよ、任侠を志す者として放ってはおけマセン!」

「ああもうっ! 本当に何なのよっ! 今までは何とか私たちだけで止められたんだけと……。なんか頻度も数も増えてる気がするし、このままだと……。 このまま桜花祭がダメになったら、私たちがあちこちから責められるじゃない! たまったもんじゃないわよ!」

「本性が出ているぞ」

 

 んー、良い子ではあるんだろうが、この裏表がある感じがブラックマーケットの人間を思い出させるんだよな……。本音が出ていることを指摘すると、シズコは表情を固まらせた。

 

「な~んちゃって、シズコ怖いです~☆」

「うーん、反応に困るわね……」

 

 先生も最初は可愛いと言っていたが、シズコの本性に気が付いたのか苦笑いをしている。

 

「フィーナ、理解できマセン。どうして桜花祭を邪魔しようとするんデショウ?」

「……知ったこっちゃあないが、色々と気に食わないんじゃないかい」

「誰だ、お前」

 

 いつの間にか、店内に入ってきていた。切れ長の眼と細くすらっとした体躯のまるで猫のような、後子に銃を向ける。

 

「あっ、会長!」

「どうも、百鬼夜行の商店街の会長だよ」

 

 顔見知りだったか、銃を下げる。

 

「いったい桜花祭の何が気に食わないんでしょうか……?」

「さあね……ただ強いて言えば、今回はひとつ大きく変わったことがあるだろう。昔からこの『百夜ノ春ノ桜花祭』の最後には、伝統的に花火が打ち上げられていた。でも今回はちょっと違うんだろう? 新たな試みだとかなんとか」

 

 会長の言葉にシズコは頷く。

 

「はい……今回の桜花祭の為に、特別に準備したものが」

 

 そういって、シズコはテーブルの上に何かの装置を置いた。これは……プロジェクター……か? 俺はエンジニアではないし、そっち方面に明るくないから微妙にわからん。

 

「今回のお祭りのフィナーレの為に、ミレニアムにお願いした特別な装置です」

「ホログラムで花火を再現する、specialでniceな機械だと聞きマシタ!」

 

 ああ、やっぱりミレニアム製か。ミレニアム……エンジニア部の連中は元気だろうか?

 

「お金がかかってそうな機械だな……まぁ、何にせよ、何かが変わるということを誰しもが簡単に受け入れられるわけじゃない」

「それはそうですけど……それが理由で、桜花祭を邪魔するなんて……」

 

 ……『変わるということを誰しもが簡単に受け入れられるわけじゃない』か。まぁ、それはそうだよな。俺がトップになってブラックマーケットの法令というか、掟を変えたときもいろいな反発が起きたな。あとは……あの時の小鳥遊ホシノとかがな。

 

「私はただ、『百夜ノ春ノ桜花祭』を今まで以上に素敵なものにしたくって……」

「あくまで推測だ。それに儂だって今さら、このことを蒸し返したいわけじゃない。ただ、気に食わんと思う奴等もいるだろうなって話だよ。学生がこんなに金を使って……ってな」

 

 ん? この感じ……成程な。先ほどの襲撃の中の魑魅一座の言葉、『さぁみんな、ご要望通りに荒らして荒らして荒らしまくりな!』というものからも考えられるが、『ご要望』を出している人間がいるということ。そして『学生がこんなに金を使って』妙に感情が籠っていたな。……ふーん。

 

 

「はい……ですが、私たちも趣味や道楽だけでやってるわけじゃありません! 全てはお祭り運営委員会の委員長として、桜花祭を素敵なものにするために! それだけは自身を持って言えます!」

「ハイ! お祭りというのは、年々どんどん楽しくなっていくべきデス!」

 

 お祭り運営委員会の二人が胸をはってそう答える。……何か一つのことに向かって学友と共に努力する……。眩しいなぁ。

 

「ふん、そうかい。じゃあそうなるように頑張りな」

「そうやってぶっきらぼうですが、会長はいつも手伝ってくれますし。今回の桜花祭でも、色々と心配してくれてますもんね」

「フィーナ知ってます! 『ツンデレ』ってやつデスね!」

「違うわい! ……それで、どうするつもりなんだい? そろそろあいつらを止めないと、このままじゃ桜花祭が滅茶苦茶になっちまう」

 

 こいつ、さりげなくだがこっちの情報を聞き出そうとしている。止めるか? 俺が悩んでいると先生が横から口を出す。

 

「他の人に助けを求めるっていうのは?」

 

 先生の言葉にシズコは顔をしかめる。

 

「うーん……助けを求められる部活や委員会がゼロってわけじゃないんですけど……。どこもかしこも、真っ当に手伝ってくれるのかどうか……」

「ええ」

 

 先生がシズコの言葉に唖然とする。

 

「うーん、でも背に腹は代えられませんし……。心当たりはありますし、一度行ってみましょう。ただ……。先生の力が必要です、協力してくれますよね?」

「勿論よ!」

 

◎・百鬼夜行 裏路地 廃墟・

 

 百鬼夜行商店街の裏路地にある廃墟の一室。そこに魑魅一座の幹部とイズナは集結していた。体面に座るのは今回魑魅一座を雇っている雇い主だ。

 

「失敗の理由を聞かせてもらおうか、魑魅一座。今日中にお祭りを中断させると約束したはずだが……? 大金を払ってまで聞きたいのは『できませんでした』なんて言葉じゃないぞ」

「それは! 相手側に予想外の戦力がいたからだ!」

「シャーレの連中っす! うちらの兵力をあの気狂い野郎が蹴り飛ばしたせいっす!」

 

 幹部たちの言葉に魑魅一座の雇い主は首を傾げる。

 

「シャーレの、先生?」

「はい、屋浦先生とグラン殿です!」

 

 イズナが大きな声で二人の名を言う。

 

「……イズナ殿まで、何を言っている」

「以前、言っていましたよね。イズナが頑張って命令を遂行していけば、いつかはかっこいい忍者に慣れるって! イズナが生涯仕えるべき、運命の主君とも出会えるって!」

 

 イズナの言葉に雇い主は目を逸らしながら答える。

 

「たしかに、そう言ったような気もするな……」

「イズナは正に、そんな主君に出会えたのかもしれません! 先生たちは強く、優しく、何よりイズナの夢を応援してくれました!」

 

 イズナは笑顔を浮かべ、尻尾を振りながら先生のことを語る。

 

「ほう……それで」

「そんな先生たちが、何故か邪魔者たちと一緒にいました! どういうことなのでしょう? ……はっ、まさか……! イズナ、分かりました! 先生たちは……騙されているのではないでしょうか!」

 

 イズナの言葉に雇い主半分あきれながら、しかし状況をしっかりと把握する。

 

「それはどうでもいいが……イズナ殿もそう言うのなら、確かにそのシャーレの連中は油断できない相手なのだろう。今回は多めに見よう、ただし額面通りの働きはきっちりしてもらうぞ」

 

 雇い主の言葉に魑魅一座は力強く返事をする。

 

「次こそ、このお祭りを中止にさせてやるよ!」

「ご心配なく。イズナも、騙されている先生を倒して、真実を教えて上げます! ニンニン!」

「そ、そうか……。本当に大丈夫だよな……? ……一応、お前も雇っておいて正解だったな」

 

 イズナは大きく宣言して廃墟を出ていく。そんなイズナの姿を見て不安を感じた雇い主はイズナが出ていった扉とは逆の方を見て、暗闇に話しかける。

 

「次はお前も出てくれ、オールドキング(前支配者)




  新アンケート開始です! そして新たな強敵の予感……。

現在読者参加企画を計画中です。イベントストーリー後、設定などを纏めた話を出します。その話の中で質問コーナーを少しやります。その名も、『代表の電波も支配しちゃうぞRadio』 詳しくは活動報告にあげているので皆さん、是非ご参加ください。
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