シャーレの部長はブラックマーケットの代表   作:四脚好き

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48話

◎・百鬼夜行・

 

「ハハハハははハハハハはッ!」

「な、なんだ、こいつ!」

「グラン!? なんで動いてるの!?」

「だ、代表さん!?」

 

 グランは笑いながら魑魅一座に襲いいかかる。魑魅一座は急に現れて暴れ回るグランに隊列を乱される。先生とシズコも先ほどまでぐったりとしていたグランが急に動き回る姿に仰天する。

 

「シズコ、先生! おれガ相手を引き付ケル! その間に!」

「わ、分かった!」

 

 シズコは先生の指揮を受けて、的確に魑魅一座を倒していく。その近くでグランはヘイトを集めるように大立ち回りをする。被弾しながらも前進して魑魅一座を撃ち、蹴り、掴み上げる。しかしそれ程接近すればそれだけ攻撃も激しくなる、そうなれば被弾も増え、グランはどんどんボロボロになっていく。

 

「もう、倒しても倒してもキリがない……! それに代表さんの怪我も増えてるし、せめてフィーナもいれば……!」

「不味い……。敵の反応が全く減らない」

 

 グランとシズコの努力も虚しく、魑魅一座の数は増える一方だった。シズコはそんな状況にフィーナを百夜堂に置いてきたのは失敗だったかと愚痴る。

 

「ぐふっ」

「代表さん!」

 

 ついに、グランが負傷の深さに耐えられなくなったのか、クスリが切れたのか、倒れこんでしまう。その隙を見逃す魑魅一座ではない。

 

「お? なんだか分からないが倒れたぞ!」

「前回の蹴りの仕返しだ! 袋叩きにしちまえ!」

 

 攻撃がグランに集中する。シズコがグランを助けに行こうとするが行く手を魑魅一座が阻む。

 

「撃て撃て!」「さんざんやってくれやがって!」「随分と調子よさそうだねぇ」「クソ野郎がぶっ殺してやる!」

 

 倒れこみながらも銃でわずかに反撃をするグランだが四方八方から撃たれ、相手を倒すよりも相手に与えられるダメージの方が大きく、次第に追い詰められ、意識が混濁する。

 

「くっ……」

 

 先生も、流石に不味いと思い、大人のカードを取り出す。そして、そのカードを使おうと、カードを握る手に力を込めたとき、

 

「そこまでだよ! 魑魅一座・路上流!」

 

 戦場に大きな声が響く。

 

「だ、誰だ、お前は!?」

「何だ誰だと聞かれたら、答えてやるのが人情ね!」

 

 ――ドドンッ!!

 

「シュババッ!! 派手に!」

「可憐に……」

「う、美しく……! で、合ってます……?」

「ばっちり! 街の平和を守るため、美少女三人組の修行部……! ここに参上!!」

「参上ー……」

「えと、参上、です……」

 

 小柄でちょこまかと動き回る少女と、眠たげそうにしている少女、少し恥ずかしそうにしている大人しい少女の三人は修行部を名乗りポーズをとる。

 

「ふふーん、完璧な登場演出! ね、ツバキ先輩!」

「ふぁ……そう?」

「えっと、カエデちゃん。何だかすごい見られている気が……」

 

 シズコも先生も魑魅一座もグランさえも修行部に注目し唖然としていた。そしてシズコは先生の方を向いて一言。

 

「……ね、言ったでしょう? 変わり者だって」

「……うん」

 

 先生も良い子とは思っているが、変わり者ということは否定できなくなったようだ。

 

「……はっ!? つ、つい見惚れてしまったが、お前たちは何者だ!?」

「私たちは、素敵なレディーになるために日々修行を続ける『修行部』!」

「それが目的なのは、カエデだけでしょ? 私は別にそんな修行はしていないし……とにかく寝られればそれで。ふぁ……眠い。ここで寝ていい?」

 

 魑魅一座の言葉に小柄な少女が身振り手振りを交えながら名乗り出る。しかしそれを横から眠たげな少女が否定する。盾の裏から枕を取り出して今にも寝てしまいそうだ。そんな眠たげな少女に小柄な少女は憧れの目線を向ける。

 

「魑魅一座と対峙しながらも全く動じないツバキ先輩、かっこいい! ああっ、でもツバキ先輩! ここで寝ちゃダメ!」

 

 カエデと呼ばれた小柄な少女はツバキというなの眠たげな少女を揺すって寝かさないようにする。

 

「あはは、でも目標があるということは良いことだと思います」

「そうだよミモリ先輩! 素敵なレディーになるための修行ついでに、街の治安も守らなきゃ! ということで、私たち修行部の出番だよ! 魑魅一座・路上流、覚悟!」

「うん、覚悟~」

「そ、それでは、覚悟してください!」

 

 そう言って、修行部は魑魅一座に対して攻撃を始める。

 

――ズダダダダダダダ

 

「グああっ! また強くなってないかあいつら!?」

 

 修行部が加勢したことでシズコたちは再び攻勢に出る。

 

「無駄無駄! こっちには先生がいるんだから!」

「ちっ、一体何者なんだシャーレ……!」

「反撃しろ、反撃を! あとさっさとそこの野郎を片付けて少しでも相手の数を減らせ!」

 

 魑魅一座が既に負傷しているグランから仕留めてしまおうと射撃する。しかしグランと魑魅一座の間にツバキが滑り込み、盾で射撃からグランを守る。

 

「こんなに傷ついてるのに、まだやるの? ……大丈夫、私が守るから」

 

 銃撃から守りながらグランに笑いかけるツバキ。そんなツバキの姿を朦朧とした意識で見るグラン。

 

「……ホシノ?」

「えっとぉ……私はその『ホシノ』って人じゃないよー。……あ、寝ちゃった」

 

 そこでグランの意識は途切れた。その後もツバキは意識のなくなったグランを守りながら戦った。

 

 

◎・アレグロブリーズ車内・

 

「ううっ……。ここは……アレグロの中か。……何だこの服」

 

 あの戦闘の最中に俺は意識を失ったみたいだ。その後ここまで運ばれたみたいだが、確かこの服は……百鬼独特の……『着物』だったか?  ベットから立ち上がり、外を見る。日は暮れかかっているようだ。 隣の百夜堂に人の気配を感じてアレグロを降りて百夜堂に入る。

 

「あっ、グラン起きたの! 良かった……」

「代表さん!?」

 

 俺の姿を見た先生と、シズコがこちらに走り寄ってくる。大分心配をかけたようだ。……ん? 先生はこちらに走り寄ってくるが止まる気配がないんだが……。っておぉい! 先生はこちらに走り寄ってきてそのまま抱きしめられる。

 

「ごめんねグラン。 いつもいつも、グランには大怪我させてばっかりで。 私がもっとしっかりしていれば……」

 

 抱きしめられていて先生の顔は見えないが、声色からして泣いているのが伝わる。ああ、もう、本当にこの人は……。腕も足もモツも飛んでいってないんだから、大丈夫に決まっているだろうに。優しい人だ。

 

「大丈夫だ先生。そもそも止められていたのに勝手に戦闘に参加した俺が悪いんだ。気にしないでくれ」

 

 泣く先生を慰めて、離れる。そして百夜堂の机に集まっている見たことない面子に挨拶をする。意識があいまいだったせいでいまいち覚えていないが、確か修行部の面々だったはずだ。

 

「連邦議会ブラックマーケット代表兼『ODI ET AMO』代表兼連邦捜査部シャーレ部長、水戸グランだ。助けてくれてありがとう。当時は意識が曖昧でな……修行部の方々で間違いないか?」

 

 俺がそう言うと小柄な子が前に出てこちらに手を伸ばす。握手か。

 

「私、勇美カエデ! 素敵なレディーになるため修行部で修行してるの!」

「勇美か、よろしく」

 

 裏表がなく、明るく元気。何というか、見ていてこっちまで元気になる子だな。こちらをニコニコと見つめてくる勇美の頭をなでる。すると勇美はムフーと息をする。……愛い奴め。

 

「私は、水羽ミモリ。え、えっと夢は『素敵な大和撫子』、『素敵なお嫁さん』です。修行部の副部長をしています」

「よろしく。……いい夢なんじゃないか。……なんか男の俺がとやかく言うと角が立ちそうだ」

 

 『素敵なお嫁さん』か……。口には出さないが、控えめな佇まい、というか男を立ててくれそうな感じは少し古い価値観だが、良い嫁になりそうな気がする。

 

「春日ツバキ。修行部の部長で、『より安らかで完璧な睡眠』を目指して修行しているよ。よろしくね、グランー」

「……よろしく頼む。……助けてくれてありがとう」

「……どうかしたー? 私の顔に何かついてるー?」

「いや、盾持ちとは少しな……」

「んー?」

 

 意識が朦朧としているときに何だか不味いことを口走った気がするんだよな……。それにしても、ショートカットに盾持ちか、性格はのんびり系……。体系こそ真逆と言っても良いが余計なものを思い出させるな。修行の目標は『より安らかで完璧な睡眠』か、まともに寝たのっていつが最後だ? だいたい戦闘での気絶と、悪夢にうなされてばかりだからな……。

 

「今、この子たちと今回の騒動の元凶とその見つけ方について会議してたの」

「元凶……依頼者か?」

「グランは気が付いていたの?」

 

 復活した先生が後ろから近づいてきて状況を説明してくれている。するとシズコが俺の前に来て説明を続ける。

 

「街に出て、どこかで悪さをしている魑魅一座を見つけて一機に包囲。そのあと拘束して、そいつらから元凶を吐かせるの! 必要なら多少過激な方法もやむなし!」

 

 なるほど、確かに手っ取り早いし、確実に情報は手に入る。……まぁ、その情報が本物かどうかが分からないことが問題だか、何の収穫もないよりかはましだろう。

 

「任せろ、ブラックマーケット仕込みの拷問を味合わせてやる」

「oh! 委員長の小指ザクリの刑よりもスゴそうデス!」

「え、シズコはケジメつけさせるつもりだったのか? ヤバ」

 

 百夜堂ってもしかして任侠者たちのフロント企業だったりするのか?

 

「うわっ……」

「あら……」

「ふあぁ……」

「……」アングリ

「えっと……よく考えると、フィーナもチョットやり過ぎだと思いマスよ、委員長……」

「なんで私の発案みたいなことになってるの!? というか代表の方が絶対ヤバいこと言ってたでしょ!」

 

 ……叩けば鳴るとはまさにこのことか。シズコ、お前もう猫を被るのやめろ。

 

「と、とにかく、魑魅一座を捕まえて元凶について吐かせる! もう時間がないの。百夜ノ春ノ桜花祭のクライマックスは明日……」

 

 シズコは不安そうな顔でそういった。……今更何だがこの桜花祭、何日にもわたって行われるタイプのお祭りなんだな。

 

「あっ、聞いたことある! 花火でしょ、ホログラムの! パンパンパーンって!」

 

 勇美は元気だなぁ……。

 

「ええ、盛り上がりも最高潮。桜花祭のラストを飾るのに相応しい新たな花火を用意したわ」

「もしその時に魑魅一座が暴れたら、『騒ぎ』じゃ済まなそうだね~」

「もしそんな事になったら、責任を問われて私たちお祭り運営委員会は……」

 

 俯いて、震えるシズコ。

 

「シズコちゃん……」

「……ううん、もしものことはその時また考える。 まずは早いところ元凶を探す! それで私が受けてきたストレスをそっくりそのまま叩き込んでやらないと、腹の虫がおさまんない! 絶対ボコボコにしてやるんだから!!」

 

 勢いよく顔を上げて握りこぶしを作りそう宣言するシズコ。……はははっ。いいな、面白くなってきた。ここまで不安や、ストレスに追い込まれてもへこたれないその精神力、どこまで行けるのか見たくなってきた。元凶にはある程度察しがついているが、黙っておくか。

 

「さぁ、行きましょう先生! 代表さんも、フィーナも、修行部も! 百夜ノ春ノ桜花祭を絶対成功させるんだから!」 

 




 実は最近『ストライクウィッチーズ』シリーズを見たんですよ。パン……ズボンが気になるのは一期の4話くらいまで出でしたね。思ったより熱いお話でした。……あー! ペリーヌの顔を曇らせて―! ……ストパンシリーズの書籍、数多くてどれから手を付けたものか……。

現在読者参加企画を計画中です。イベントストーリー後、設定などを纏めた話を出します。その話の中で質問コーナーを少しやります。その名も、『代表の電波も支配しちゃうぞRadio』 詳しくは活動報告にあげているので皆さん、是非ご参加ください。
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