シャーレの部長はブラックマーケットの代表   作:四脚好き

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51話

◎・百鬼夜行展望台・

 

「あぅぅ……またしても先生に太刀打ちできず……。……えへっ。えへへへ……先生たちと一緒に食べた焼きそば、美味しかった……。先生はイズナを止めるって言ってたけど、最後に『またね』って……。……先生の為にも、イズナは負けません! 次こそ必ずこの手で先生を……!」

 

 イズナは展望台の上で硬く拳を握りさらに決意を硬くする。そんな彼女の視界の端に何かが移りこむ。日々、忍者として修行してきた彼女の視力はその姿を容易く捉える。

 

「あんな所に魑魅一座? それに、横に居るのは……。先生とグラン殿?」

 

 魑魅一座に連れられて移動する先生とグランだった。魑魅一座と敵対しているはずの先生たちが魑魅一座と一緒に移動していることを疑問に思ったイズナは一団の後をこっそりと追跡し始めるのだった。

 

◎・百鬼夜行商店街 廃墟・

 

「こんなところに先生を連れてきて……。まさか……?」 

 

 一団を追って廃墟内に侵入したイズナは魑魅一座に気が付かれないように潜入する。辺りの音に耳を澄まして状況を確認する。

 

「多分あそこに向かうはず、見つからないように天井に隠れて……」

 

 天井裏まで一気に飛び上がり忍び込むイズナ。天井裏わ這って移動して目的の地点まで移動する。そうすると下から会話が聞こえてきた。

 

『命令通り連れてきたよ!』

『連れてきたっす!』

『よくやった、魑魅一座。やればできるじゃないか。……あえて嬉しいよ、シャーレの御二人さん』

(あれは……やっぱり先生とグラン殿!!)

 

 魑魅一座が連れてきた人物を天井裏から確認して自分の勘違いでなかったことを確認したイズナ。

 

『……商店街の会長の、ニャン天丸?』

『ふん、儂の本名はニャン天丸じゃない! 儂の名はマサムニェ……。 裏路地の独眼竜! ニャテ・マサムニェとは儂の事じゃ!』

 

 そうして、マサムニェの口から語られた野望。イズナはそれを天井裏で聞いて驚愕していた。先生が言っていたことこそが正しくて、自身は大好きな桜花祭を中止に追い込むために行動していたのだと知りショックを受ける。

 

―――桜花祭が中止になれば、お祭り運営委員会はその責任をとって運営を下りるしかない。自然と次にその役割が任されるのは儂だろう。これでも商店街の会長だ、そのコントロールも難しくはない』

『その為にイズナのユメを利用したのか?』

 

 イズナはまた驚愕することになる。マサムニェの野望を聞いたグランが心の底から冷え込むような恐ろしい声をだしてマサムニェに質問した。その声色といったら忍者としての修行の為それなりに修羅場を潜ってきたイズナも寒気がして尻尾の毛が逆立つのを感じる。

 

『イズナ……ああ、あの自称忍者のチビッ子か。そうだな、あいつは実に役に立ってくれた。大した金もかけていないのに、よく働いてくれたよ』

『……また金か』

 

 更に低くなるグランの声。ある程度戦闘を経験した魑魅一座や先生はグランの気配の変化を感じ取って冷や汗を掻き始めているが戦闘の経験がなく、気配の感じ方などまるで分からないマサムニェはグランの様子に気が付くことなくベラベラと話し続ける。

 

『ちょっと忍者ごっこ(お遊び)に付き合っただけで、こんなにも活躍してくれるとは思ってもみなかった。戦力だけなら、魑魅一座の数十人分はあったからな』

『『……お遊び?』』

 

 重圧の数が増えた。マサムニェの言葉に先生も反応したのだった。

 

『ああ、幼稚な子供のごっこ遊びだろう? あいつの言う、魔法のような『忍者』なんて、ファンタジー世界の話だ。「雇い主としてご命令を」だとか「ご命令であらばなんでもこなすのが忍びの道」だとか。笑わないようにするのが大変だったくらいだ』

『てめぇ……』

 

 グランが手を握りこみマサムニェを睨みつける。

 

『逆に言えば面倒だったのはそれくらいで、ちょっと付き合ってあげればあの通り。もうやる気満々で「忍びとして全力を尽くします!」なんて言った時には、いくら儂でも笑いが止まらなかったさ!』

『今なら言えるけど、あの歳で忍者とか笑わせるよな!』

『正直、隣で見ているだけでも笑いをこらえるのが大変だったっす』

『ああ、本当に便利なやつだ。実に経済的で、バカで、こちとら大助かりだよ! ふははははっ!』

(そんな……そんな!)

 

 廃墟にマサムニェの笑い声が響く。イズナは天井裏でマサムニェの真意と笑い声を聞いて涙を目に浮かべ、両手を胸の前でギュッと握りしめる。

 

『……お金のために、イズナの夢を利用したってこと?』

『……夢? 何を言っている? あんな夢想とすら言えないバカの妄想を、夢だと? おぬしも付き合いの良いやつだな。先生とはいえ、大したお人よしだよ』

 

 先生の言葉にあきれ顔で答えるマサムニェ。

 

(……ッ! イズナに忍者として活躍してほしいって、信じてるって言ってたのに……。でもそれもこれも全部……イズナを騙すための嘘だった? イズナは、騙されて……?)

 

 イズナは天井裏で一人曇る。

 

『話を聞いているとおぬし、イズナ殿……いや、イズナが儂の命令を聞いて動いていたことに気づいていたんだろう? 魑魅一座もイズナも、どちらも支配下にあると知っていたのに、のこのことイズナに同行するのはちょっと頭が足りないんじゃないか? 裏に罠がある可能性を考えないとは。そちらの小僧もそれほど実力があるわけではないのは確認済みだぞ? 罠があったら対応できないだろう。行動力だけはあるイズナを泳がせ、おぬしを上手く見つけさる。、一部の魑魅一座にイズナを尾行させ、隙を見て誘拐……。あくまで策の一つだったが、面白いほどうまくいった。あいつは本当によく働いてくれたよ。 ふはははっ!』

(イズナが騙されたせいで……! イズナの夢を応援してくれた、二人が……!)

『正直それはそうだな』

 

 グランはその部分についてだけはマサムニェの言葉に同意する。

 

『イズナと一緒にいたのは確かに迂闊だったかもしれない』

『何だ、自己分析できてるじゃないか』

『でもそれは私が決めたこと、イズナの責任じゃない』

「……せ、先生?」

 

 先生は一歩前に出て胸を張りそう宣言する。

 

『忍者ごっこ……だっけ?』

『……ああ、そうだ。存外その「ごっこ遊び」も約に立ったがな。それで、その忍者ごっこがどうした?』

『一つ言わせてもらうけど、忍者っていうのは……。 ロマンなんだよ!!

「!?」

 

 先生は廃墟中に響く大声でそう叫ぶ。グランは先生の後ろで頭を抱えて「このタイミングでそれかぁ……」と半分呆れており、魑魅一座も驚愕して声が出ていない。

 

『人から幼稚と言われても子供っぽいと言われても……! ガッコいいものはカッコいいんだよ!』

 

 イズナは先生の言葉を聞いて胸が熱くなるのを感じていた。自身の夢を笑わないで、応援して、かっこいいとまで言ってくれる先生。そう、あの人こそ、あの方こそ! イズナの行動は早かった。

 

「ヤあぁぁぁ!」

「な! 天井が!?」

 

ドゴゴゴーン!

 

 炸薬を用いて天井を崩す。そして魑魅一座と先生の間に降りたつイズナ。

 

「キヴォトス最強を目指す忍び! 真の主君の窮地を救うため、今ここに参りました!」

「……ほう」

「イズナ!」

 

 天井から降りたったイズナにグランは最初こそ警戒していたが、イズナの言葉を聞いて天井裏で今までの会話を聞いていたことを察して警戒を辞める。

 

「イズナ! どうして天井から……!?」

「全部聞いていました。 雇い主の話も……どんな時もイズナの夢を笑わない、先生の気持ちも。イズナはついに見つけました……最初からずっとイズナの夢を応援してくれた、先生の隣でなら……イズナは、これから先もずっと、夢を見続けることができます!」

 

 武器をマサムニェに対して構えながらそう言うイズナ。武器を向けられたマサムニェはたじろぐ。

 

「グっ、裏切るのか、イズナ!?」

「先生……いえ、主殿!」

「主殿って……なんかいい響き」

「おい」

 

 先生が何やら危ない発言をしたのでとっさに突っ込むグラン。

 

「今からイズナは、全てを真の主君たる主殿に捧げ、主殿のために戦います! ……いざっ!」

「よろしく、イズナ! グラン!」

「ああ。行くぞ!」

 

 先生がシッテムの箱を取り出してすぐさま物陰に隠れ指示を出し始める。そうしてイズナとグランが魑魅一座に向かった瞬間、マサムニェの奥から人影が跳んできてグランを吹き飛ばす。

 

「ぐほぉっ!?」

「グラン殿!? きゃっ!?」

 

 吹き飛んだグランを心配してイズナはグランの方を見てしまう。その隙にイズナも同様に謎の人影に吹き飛ばされてしまう。グランとイズナを吹き飛ばした人影はゆっくりと着地して気だるそうに歩きながら吹き飛ばしたグランに近づく。グランは体を引きずりながら立ち上がり人影の正体を確認して驚愕にその顔色を染める。

 

「お、オールドキング……なのか?」

「よぉ、首輪付き」

 





評価、感想は作者の承認欲求モンスターが満たされるので執筆速度向上につながります。どうぞよろしくお願いします。

『代表の電波も支配しちゃうぞRadio』第二回いる?

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