シャーレの部長はブラックマーケットの代表   作:四脚好き

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52話

◎・廃墟・

 

「お、オールドキング……なのか?」

「よぉ、首輪付き」

 

 グランとイズナを吹き飛ばしたのは浅黒い肌にサングラスをかけた大柄な男。その男はニタニタと笑いながらグランに話しかける。その男の顔を見たグランをは驚きで顔を染める。

 

「グラン、イズナ、大丈夫!?」

「ああ……俺は平気だ。……イズナは?」

「イズナも平気ですグラン殿。……しかしあのような人物は今までいなかったです」

 

 イズナは急に出てきた男には見覚えが無いようで混乱している。その言葉を聞いてマサムニェが笑いながら答える。

 

「だろうな! こやつは万が一の切り札だ。こやつの扇動もあって魑魅一座をまとめ上げたのだ」

 

 先生は障害物に隠れながら現れた男を観察する。男は右手にショットガンを、左手にライフルを持っている。今は両手を下ろして楽な体勢をしているように見えるがどうにも攻め込む気にさせないオーラのようなものを纏っていた。魑魅一座が射撃を開始したため、グランとイズナは一度、先生のいる障害物の所まで下がる。障害物の後ろで先生はグランに話しかける。

 

「グラン、なんだか知り合いみたいだけど?」

「知り合い……まぁ、知り合いか。アイツの名前はオールドキング、本名は不明だ。反連邦生徒会組織『リリアナ』を率いていた。俺たち『ODI ET AMO』との抗争に敗れるまでは『リリアナ』こそがブラックマーケットでの最大勢力だった」

「成程……グランの先輩という訳か……」

 

 先生はグランの言葉を聞いて、中々手強そうな相手だな、と考え込む。グランは障害物の裏から、オールドキングに話しかける。

 

「久しぶりだな! それにしても『首輪付き』とは随分な挨拶じゃないか!?」

「くくく、シャーレの部長など、連邦生徒会に首輪をつけられた証に違いないだろう! 牙抜かれた野郎が偉そうに!」

「本当に牙が抜けているか見せてやる! 先生!」

 

 グランは先生の方を向く。先生もグランの方に目を向けて見つめあう二人、そして先生が頷く。

 

「イズナ、魑魅一座をお願い!」

「承知しました! こっちです魑魅一座!」

 

 イズナは障害物から飛び出して魑魅一座の射撃を一手に引き付ける。攻撃がイズナに集中する。イズナは持ち前の身体能力を活かして狭い建物内であっても縦横無尽に動き回り射撃を回避する。しかしそれでも数の力は圧倒的で徐々に回避する場所を失っていく。すると――

 

「やっ! 空蝉の術!」

「なっ!?」

「あいつどこィったッッ!!」

 

 イズナは空蝉の術を使い射撃を回避して魑魅一座達の後ろを取って攻撃をする。その様子を見たグランと先生は驚愕する。

 

「凄い! すごいよイズナ!」

「……えぇ?…… いや、今のうちに!」

 

 グランは魑魅一座の標的が自身からイズナに映って攻撃が来なくなったのを確認して障害物から飛び出す。そうして一気にオールドキングに接近する。

 

「吹っ飛ばしてやる!」

「手間をかけさせるなよ……大勢待ってるんだからな」

 

 ショットガンで牽制しながら蹴りを放つがオールドキングはそれをジャンプして避ける。そして空中に居るにも関わらず正確にライフルでグランを撃つ。

 

「くっッ!」

 

 ギリギリ地面を転がって回避するグラン。跳んで離れた場所に着地しながらオールドキングはあきれ顔をしてグランに話しかける。

 

「『リリアナ』を壊滅させられたときの戦闘の時にも言ったが、一対一でお前が俺に敵うわけないだろう、首輪付き。 ここにはキッドたちはいないぜ?」

「黙っとけ!」

 

 オールドキングに向けて射撃をするグラン。それをオールドキングは左右にステップしながら避けてグランに接近して蹴りを繰り出す。腕をクロスすることでどうにか防御には成功するが後ろに吹き飛ぶグラン。その様子を見ていた先生はある疑問を持つ。

 

「あの戦い方……」

「お、気づいたか? 流石『先生』か? そうさ、脚力とショットガンを活かした接近戦はおれガグランに教えてやったのさ」

「本当なの?」

 

 先生はオールドキングを見ながらそう問う。

 

「本当だ。そもそもこんな嘘をついても意味がないだろう。あの首輪付きはブラックマーケットに来たばかりの頃は片腕ねぇわ、スナイパーの癖にショットガンを使いたがってて、ブラックマーケットでもかなりの変人ってことで有名だったんだぜ。自分の適性外の武器を無理に使って生き残れるほどブラックマーケットは優しい場所じゃないからな」

 

 オールドキングは上を見て昔を懐かしみながら語る。

 

「でも首輪付きは生き残りやがった。驚いたぜ、あの時は。だから色々教えてやったのさ。ショットガンでの立ち回り方や、有効な戦い方とかな。まぁ、こいつは俺とは別に目標にしている"姿"があるみたいだったがな」

「グランの目標……それって……」

「多分、先生の予想通りだよ……」

 

 グランが立ち上がりながら先生の言葉に続ける。その姿を見てニタリと笑うオールドキング。再びオールドキングに向かって急接近するグラン。

 

「またその手か?」

「そんなわけあるか!」

 

 今度は蹴りを繰り出すのではなく、オールドキングの目の前で上に向かって思いっきりジャンプする。そうして空中で体を捻って天井に着地する。そして再び足に力を込めて斜めに跳ぶ。そうやって、オールドキングの周りを跳び回るグラン。

 

「ハハハッ! まるでスーパーボールだな」

「笑ってろッ!」

 

 オールドキングは首を動かして周りを見回して面白そうにしている。そんな様子を見たグランは半ギレしながら声をかけて、オールドキングの隙を伺う。

 

「……ッ!」

 

 オールドキングの顔が左に向き切った時、グランは丁度反対側になる右側から一気に接近して蹴りを繰り出す。

 

「単純なんだよぉ、首輪付き」

「なっ……」

 

 しかしグランの蹴りはしっかりと受け止められる。オールドキングは蹴りとは反対方向を向きながら気配の身でグランの攻撃を受け止めだったのだ。

 

「そらっ!」

 

 掴んだ足を背負い投げの要領で振り、グランを背中から地面に叩きつけようとする。

 

「んぐっ!」

「はははっ、何だその恰好! 可笑しなやっ――グッハァッ!?」

 

 背中から叩きつけられそうになったグランは両手を地面につけ、ブリッジのような恰好で叩きつけられるのを回避する。その可笑しな恰好にオールドキングは思わず笑いだすが、その隙に掴まれていない側の足で側頭部を蹴られてしまう。

 

「もういっちょ!」

「がぁっ!?」

 

 よろめいたことでグランの足を手放してしまうオールドキング。グランは素早く体制を整えてショットガンをオールドキングに撃ち込む。そして先ほどまでとは真逆にオールドキングの方が吹き飛ぶことになる。

 

「はぁ…はぁ……はぁ。いつまでもあの頃のまんまだと思うなよ」

 

 肩で息をしながらオールドキングが吹き飛んでいった方に右手の中指を立てるグラン。その顔は『してやったり』という表情で、ここ最近で一番晴れ晴れしていた。――が。

 

――バンッッ!――

 

「ぐがががぁぁぁぁぁぁ?!?!」

 

 グランが突き立てていた右手の中指が正確に撃たれる。指は千切れこそしなかったが、激痛がグランを襲う。オールドキングがライフルを構えながら戻ってきた。そして大きくジャンプしてグランを上から踏み抑え、ショットガンを撃つ。

 

「がはっ!?……くそっ!」

「動きがお粗末になってきてるぜ。これは本当に首輪をつけられちまったようだなぁ?」

「グランッ!」

 

 痛みに声をあげるグラン。その後どうにか反撃してオールドキングに立ち向かうが戦況は芳しくなかった。そんなグランを心配して声を上げる先生。しかし状況はイズナの方も悪化していた。

 

「う、ぐぅっ!」

「啖呵を切った割には大したことないじゃないか、イズナ!」

「イズナッ!? 大丈夫?」

 

 先生はシッテムの箱で回りの状況を確認しながらイズナにも声をかける。そんな先生たちを見て、マサムニェは笑い声をあげる。

 

「くはは、街で暴れていた間に、百鬼夜行各地の魑魅一座にここへ戻ってくるように伝えておいたのさ! おまけに切り札のオールドキング! さぁ、この状況でも儂を裏切って、先生に着くつもりか? 今ならまだ、水に流してやらんでもないぞ! しっかり考えたらどうだ、この愚か者!」

「愚かなどではありません!」

 

 傷ついても、輝く瞳でマサムニェの言葉を強く否定するイズナ。

 

「忍者は……! イズナは……! イズナの夢を信じてくれた人の為、主殿の為に戦うだけです!」

 

 

「それこそが、イズナの信じる忍びの道だから!」

 

「ふん、口だけは達者だな。やれ、魑魅一座!」

 

 魑魅一座たちがイズナに攻撃を集中するため集まってくる。

 

「喰らえっ!」

 

――バラララララッ――

 

 イズナは魑魅一座の攻撃を受け倒れこむ。たまらずイズナに駆け寄る先生。

 

「イズナ……っ!」

「ふん、本当に頑丈なやつだ。てこずらせてくれる」

 

 マサムニェは南部大型自動拳銃を懐から取り出し、倒れたイズナに近づく。先生はそれに気が付いてイズナを庇うように両手を広げてマサムニェの前に立つ。

 

「……そこをどいてくれまいか先生? おぬしはキヴォトス人ではない、そのままでは死んでしまうぞ?」

「絶対に動かないわ」

 

 マサムニェは拳銃を先生に向け、トリガーに指を駆ける。しかし先生は一向に動く気配はなく、マサムニェを睨みつけている。そんな様子を倒れながら見ているイズナ。

 

「うっ……イズナがここで、倒れるわけ、には……。イズナは、主殿のことを、守らなきゃ……」

 

 イズナは懸命に先生に手を伸ばす。そんなとき……。

 

「やるじゃん、忍者の子! あとは私たちに任せて!」

「だ、誰だ!?」

 

 そして廃墟の壁が吹き飛んだ。

 

 




 

 ついにグランと結ばれたホシノ。多くの人間が祝福する中、キッドたちを中心とする"7人の猟奇恋人"なる猟奇的な性癖をもったヒロインたちが来襲! ホシノに挑戦状を叩きつけてきた! せっかくグランと結ばれたのに争いなんてくだらないと拒否するホシノ。すると猟奇恋人のリーダーたるキッド2はグランの体を7つにバラバラにしてしまう。7人の猟奇恋人を倒してグランを復活させるために戦う選択をしたホシノ。
集ったかつてのライバルたち"純愛恋人"ともにホシノは猟奇恋人との決死のバトルに挑む!

 ※本編とは一切関係ありません。

何だか他に比べてグランくん、トリニティに知り合い少なくない?と思ったので。トリニティにグランの関係者は? いらない以外の選択肢場合は()の中から一人が対象となります。

  • もういらない。
  • 正義実現委員会(ツルギ、マシロ、イチカ)
  • シスターフッド(ハナエ、ミネ)
  • 救護騎士団(マリー、サクラコ、ヒナタ)
  • 図書委員会(ウイ、シミコ)
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