シャーレの部長はブラックマーケットの代表   作:四脚好き

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59話

◎・レッドウィンター生徒会 会長執務室・

 

 ワーワーワー 出てこーい! 会長を引きずり出せ! 

 

「これは……面白いことになってきたな」

「なんでハルミちゃんはそんなウキウキしてるの?」

 

 執務室の外から聞こえてくる喧噪にハルミは自身の愛銃を手入れしながら備える。先生はそんな様子のハルミをジト目で見ながらシッテムの箱を使って情報の収集をする。

 

「うぅ……ああもう、うるさいうるさい! いったい何の騒ぎだ!? おちおち昼寝もできないではないか!」

 

 チェリノが目を覚ましてどかどかと大股で歩きながら執務室のドアに向かって歩いていく。そのドアの外からトモエが目を丸くしながら執務室に入ってくる。

 

「ちぇ、チェリノちゃん! 緊急事態です!」

「こら! いくら急ぎの用事だとしても、お昼寝の時間は邪魔するなと言ったはずだ! トモエ秘書官、お前も粛清されたいのか!?」

「も、申し訳ありません……!」

 

 トモエは一度頭を下げてチェリノに謝罪する。しかし次顔を上げたとき、トモエの眼には強い決意の意思が宿っていた。

 

「……ですが、緊急事態です。武装した生徒たちが事務局に押し寄せてきています!」

 

 トモエの言葉にチェリノは若干呆れの混じった顔で返す。

 

「なんだ、またクーデターか? 今回はどこの部活だ? 『ルビコン解放戦線』か? 『唐揚げにレモンをかけることを許さない革命家集団』か? まぁ、どこだとしてもクーデターなら、マリナ委員長に任せておけばいい。気にするな。そんな些細なことでわざわざ―――」

「あの、それが……」

 

 チェリノは余裕綽々の様子で、語るがトモエの顔色は一方に良くならず重々しく口を開く。

 

「あの、それが……。クーデターを起こしたその人がその、他でもないマリナ保安委員長たちでして」

「……なっ、なんだと!?」

 

 瞬間、静寂に包まれる執務室。

 

「くははははははっ!」

「ちょ、ハルミちゃん!」

「あ、ぁぁ」

 

 そしてハルミの爆笑が執務室に響き渡る。急に笑い出したハルミを止めようとする先生だが、ハルミの笑いは止まらなかった。その横でチェリノは力が無くなったかのように座り込み、トモエに支えられる。

 

「大丈夫ですか、会長!?」

「だ、大丈夫……。そ、それより! どうしてマリナがクーデターを? おいらは何もしてないのに!」

「それは、分かりませんが……」

「まさか……この前、マリナが大事にとっておいたプリンをこっそり食べたからか? それとも、マリナが大事にしている熊のぬいぐるみに、涎を垂らしたまま昼寝をしたからか?」

 

 チェリノは頭を抱えながらトモエに縋り付いている。縋り付かれていトモエの表情が少し妖しいものになっているのからは目を逸らしながら先生はチェリノに声をかける。

 

「……多分、プリンの方じゃないかな?」

「うう……どうしようカムラッド、今からでも新しいプリンを買ってきたほうが良いだろうか? しかし、今レッドウィンター連邦学園に残っているのは、水を混ぜた薄味のプリンしかないし……」

「ともかくここは、危険です。もうすぐマリナ委員長の率いる親衛隊が、事務局に到着します。銃撃戦になるでしょうし、先生も私たちと一緒に避難しましょう」

 

 トモエはチェリノと手をつないでテキパキと脱出の準備を進める。その過程で先生たちにも一緒に来るように声をかける。

 

「だ、だが、一体どこに逃げるんだ?」

「レッドウィンター外郭付近の、旧校舎へ向かいましょう。あそこに隠れればマリナ委員長も簡単には見つけられないかと。そこに一時撤退を」

「そ、そうか、一時撤退だな! 決して逃げる訳じゃない!」

「はい。さぁ、急ぎましょう!」

 

 執務室の隠し通路を開くトモエ。ここから外に出ようというのだろう。本棚の後ろから出てきた隠し通路に目を輝かせる先生。先生たちは隠し通路を走りながら外を目指す。その最中ハルミは先生に耳打ちする。

 

「先生、クーデターを起こした奴等なら私が一人で片付けることもできるがどうする?」

「一人で相手できるの!?」

「……こう言ってはアレだが、私は『代表』や『小鳥遊ホシノ』『空崎ヒナ』よりも強い」

「そうなんだ」

「先生は『OVERED WEAPON』を見たことがあったな。アレは代表が私たちのような格上を相手するためのカウンター兵器だ。そう、代表が『私』を意識して、『私』を思って! 作り上げた兵器だ! 

「うん、落ち着け―」

 

 急に内また気味になって顔を赤くして大声を出したハルミに先生はもう雑に突っ込むことしかできなくなっていた。しかし頭の中は冷静に考えを巡らせていた。

 

「あの『OVERED WEAPON』で相手をすることを想定されていた生徒……。そう思うと確かにハルミちゃんは強いんだね、でも今回は戦わなくてもいいよ」

 

 先生は少し優しい顔をしてハルミを見る。

 

「ほう、何故だ?」

「んー、チェリノちゃん悪い子ではないんだけど、少し我儘だったでしょ?」

「我儘というには少し苛烈だと思うがな」

「だから今回のことがいい経験にならないか期待してるの。だからクーデターはこのままで」

「……先生がそういうなら構わない。聞いていた通り、本当にお人よしだな」

 

 ハルミは納得半分、呆れ半分という表情で頷いて話を切り上げる。そして通路の出口に近づいたころ、ハルミは何かに気が付いた。

 

「先生」

「どうしたの?」

「クーデターの邪魔はせずに見守る形をとるのはわかったが、流石に身に降りかかる火の粉は払わせてもらうぞ?」

「それは、そうだね。……あぁ、そういうこと。うん、お願い」

 

 その先生の言葉に軽く頷いたハルミは通路の出口の光の方に急加速する。

 

「元生徒会長のチェリノと事務局のトモエか、悪いが、見逃してやれん。ここでくたばりな!」

 

 出口で待ち構えていただろうレッドウィンターの制服を着た男子がロケット砲とマシンガンを駆使して攻撃をし始める。

 

「そう簡単にはやられんよ」

「ぐはっ!」

 

 しかしハルミはロケットの爆風とマシンガンの弾幕をまるで這いまわっているような超前傾姿勢で回避して接近してサマーソルトキックを男子に叩き込んで吹き飛ばす。遅れて出口から出てきた先生たち。トモエはハルミと戦っている男子の姿を見て驚く。

 

「彼は、保安委員会のボリス委員です! ……しかし、一撃離脱戦法が得意なボリス委員を速度で押しているとは……ハルミさん、かなりの手練れのようですね」

 

 トモエも最初の方は心配していたがハルミの圧倒的な実力に今は落ち着いて先生やチェリノに流れ弾が跳んでこないかだけに気を使っている。

 

「どうした? レッドウィンターの保安委員はこの程度なのか? ウチの警備部隊の方が優秀だぞ?」

「ハラショォォォォォォォォオ!!!」

 

 ボリスのロケットとマシンガンは火力こそ出るが本人の射撃能力がそれほど高くはないためどちらかというとただ乱射しているだけ、という感じが抜けきれず効率的にダメージを与えられていなかった。それ対しハルミはフィジカルも技術もボリスを大きく上回りライフルで着実にダメージを稼ぐ。やがて弾が切れたのだろうボリスは武器を捨てる。

 

「く、くぅ。吾輩には守るべきレッドウィンターの姿があるのだ、負けられんよ!」

 

 そう言って素手で突撃するボリス。そんな姿を見たハルミはフッ、と笑って自身も武器を手放す。

 

「お前のその姿は私の代表にも通ずるものがある。故に敬意をもって同じく素手で相手してやる」

「感謝する。が、女とて吾輩は手加減はせん「シィッ!」ゴハァッ!?」

 

 ボリスが言葉を言い終わるよりも早くハルミのフックがぼりに直撃する。脳を揺さぶられたボリスは一撃でダウンして雪原に倒れこんだ。

 

「……と、まぁ、こんな物か」

「お疲れ様、ハルミちゃん。これ、銃」

「ありがとう先生」

 

 戦闘を終えたハルミに先生は近づく、その手には先ほどハルミが手放した銃があった。

 

「さて、道中の戦闘は私が対応しよう。旧校舎までの案内は頼んだぞ。トモエ秘書官」

「了解いたしました。それではこちらへ、道中よろしくお願いします」

 

 トモエとハルミは仕える相手こそそれぞれだが、ともに従者という立場。なにか考えが似ているというか、シンパシーのような物があるのだろう。少ないやり取りでテキパキと行動をする二人の姿は正に理想の部下、というものだった。

 

 





 いやー、イチカが実装されましたね。なんかおもっいた性格と違ったけどそれが余計に癖に刺さりましたね。カスミもなんかバカではなかったですね……。

追記・アンケートの救護騎士団とシスターフッドの面々が逆転してしまっているというミスを犯してしまいました。投票に関しては()を無視していただいて絡みが見たい生徒がいる組織の方に投票してください。私はミスの罰として貯石していた5000石をガチャにつぎ込んできます。

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