シャーレの部長はブラックマーケットの代表   作:四脚好き

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69話

「あれなら、問題なさそうだな」

 

 ミカと会った後、窓辺から跳んでトリニティの建物の屋根の上を駆けて駅の方まで向かう。あの後、そのまま下に降りたら、あの入り口でやり取りしていたトリニティ生と揉めそうだったし。

 

「さて、色々あって遅くなったがキサキの所に向かうか」

 

 トリニティの駅から山海経に向かう。今日一日、アビドスからトリニティ、そしてこれから山海経とキヴォトス中を移動して回ったから思うんだが、やっぱり車で移動した方が良いのだろうか? でもこれだけ用事が重なる方が珍しい方で基本的には『塔』とシャーレ間の移動ばかりだから電車で事足りるんだよなぁ。VBMRグリフォンとか使ったのはアビドスには交通機関が少なかったからだし、アレグロブリーズは先生に送っちゃったし……。ん? 俺ってもしかして個人で持ってる移動手段がない? いや、『ODI ET AMO』の装甲車とか船とかは部下に言えば喜んで運転してくれるだろうけどそれは『俺個人』じゃなくて『組織』の物じゃん。んー、何かバイクか、車でも買った方が良いだろうか? そんなことをぼんやりと考えながら外の景色を見て山海経に向かう。あ、何か車内販売でも買うか。駅弁何があるかなぁ。あ、別に何食べても味分からんし一緒か。

 

◎・山海経高級中学校・

 

 自治区の入り口から豊富な飲食店が並び、観光業も盛んであるが、一方で生徒会であり、キサキの所属する『玄龍門』と山海経の商人の連合組織『玄武商会』による様々な利権を巡った対立が絶えない自治区だ。ある意味、ブラックマーケットに一番近い状態の学園自治区かもしれない。まあ、こちらはまだ秩序がある方だが。何回来てもこの赤く煌びやかな街並みは目に悪い気がする。さてと、キサキに指定された場所は……。

 

「は? ここって……」

 

 キサキに指定された集合場所の店を見つける。ここは確か、玄武商会の会長『朱城ルミ』がいる店だったはず。……組織としては対立しているがキサキとルミは幼馴染で仲が良かったはずだし、問題ないっちゃ、ないのか? というか、貸し切りになってる……。 入って、いいんだよな? 意を決して戸を開けて店内に入る。

 

「いらっしゃーい。あ、グランじゃない! 奥で待ってるよ」

 

 俺が来た目的も理解している、そして誰がとは言わない辺りの気遣いも出来てる。やっぱり料理人としても組織の長としても一流だよなぁ。そうして奥の個室になっている席に向かう。

 

「遅かったの」

「悪い」

 

 足組みをして頬杖をつきながら横目でこちらを見る妖艶な少女、彼女こそが、山海経高級中学校の生徒会会長、竜華キサキ。

 

「どうせ、女の所に行っておったのだろう?」

 

 キサキの目が鋭くなる。実際その通りなのだが、彼女に責められるのは中々にきつい。彼女の目の前の先に座ろうとする。

 

「そちらに座るでない」

「いてっ」

 

 座ろうとしたところ脛を蹴られる。ハイヒールの先っぽだから絶妙に痛い。キサキに催促されては断れないな。そうしてキサキの正面から隣に座り直す。席がソファタイプだから体をぴったりとくっつけることができる。すると一見分かりづらいが少し口角が上がった表情でこちらの方にしな垂れかかってくるキサキ。

 

「しっかし、あの色も知らぬガキだったのが、今では性豪とはのう」

「いつの話をしているんだ。あとあの時はお互い初めてだったんだからお前も色を知らなかっただろうが」

 

 思えばキサキとの付き合いはかなり長い……。キッド2が一番で二番目に付き合いが長いな。俺がまだ、ブラックマーケットの小規模組織だったころで、キサキもまだ玄龍門の下っ端一年生だったころからの付き合いだもんなぁ……。いや、キサキは既にその変装の腕前とカリスマ性で注目されてたけど。

 玄龍門には裏社会に属する人間の警護を請け負うというあまり大きな声では話すことができない活動がある。小規模組織だった俺たちがより大きくなるために様々な会談などを行った。しかし当時の『ODI ET AMO』の力だけでは会談中の護衛が足りないとなり玄龍門に警護の派遣を依頼した。その時に玄龍門から派遣されて出会ったのがキサキだ。

 

「罠ばっかりの商談、あの時は……大変だったなぁ」

「ふふっ、懐かしいのぉ。妾もお主もまだまだ小童で余裕がなく精一杯じゃった」

 

 当時の敵対組織の罠だった商談。大量の罠と敵、それをキサキと手を取り合って切り抜けた。今思えば、吊り橋効果というものだったのだろう。沢山の爆発、倒壊する建物、いつまでも消えない敵の怒号、それらを切り抜けたとき俺たちは煤にまみれ、服も所々破けていたいたが、そんなことも気にせず見つめ合い笑いあっていた。

 そうして苦楽を共にした俺たちは護衛期間が終了したあとも連絡を取り合い、共にトップを目指す者同士として、互いに励まし合ったり、愚痴を言いあったりした。そんな俺たちが惹かれるのに大して時間はかからなかった。そうして惹かれ合った俺たちは互いに初めての交換をした。そう、この竜華キサキこそが俺の初めての女。

 

「今思えば俺は初めてがお前だったとか、かなりの幸せ者だな」

「い、いきなり歯の浮くようなことを言うでない」

 

 プイっと反対側を向いてしまったキサキ。その顔は見ることは叶わなかったが、チラリと見える耳が赤くなっているのが見える。あ、そういえば……。

 

「今晩は久々にあの服着てくれないか。あの……玄龍門の構成員が来ているパンツスタイルの服」

「ほう、お主はあのような服が好みか?」

「いやー、好みというかなんというか……。昔の話をしたせいでもう一度あの恰好のキサキが見たくなったというか」

 

 頬を掻きながらそう言えば、キサキはいつの間にかこちらに向き直ってニヤニヤとしていた。っ!? びっくりしたぁ……。キサキが頬杖ついてるのとは反対の手でテーブルの下の俺の内ももをさわさわさと触る。

 

「……」

「……」

 

 次第にそういう雰囲気になり無言で見つめ合う俺たち。そしてどちらが言うまでもなく、互いの顔を近づけて……。

 

「はいはーい、そこまでだよお二人さん」

「「っ!?」」

 

 個室の扉を無遠慮にルミが開け放った。そのせいで一気に遠のくキサキの顔。ルミがテーブルの上に料理をどんどん置いてい行く。

 

「まだ注文してないんだが?」

「キサキは先に注文していたし、グランが何頼みたいのかは分かるつもり」

 

 ルミが置いているものを見る。冷菜の盛り合わせだ。

 

「この後は?」

「ふかひれスープ、牛肉とピーマンの細切り炒め、麻婆豆腐少な目、五目炒飯。デザートに杏仁豆腐。どう? 合ってるでしょ」

「……正解だ。よくわかったな」

「そりゃあ、一年生のころから通ってくれているんだ、好みもしっかり覚えるよ」

「あ、それは……」

 

 ルミが笑いながらそう言うが、できればそのことは言って欲しくなかったなぁ……。ほーらとなりの門主様の目が笑ってないじゃん。

 

「それはそれは……初めて聞いたのう? してどれくらいの頻度で通っておるのか教えてほしいのう、ルミ」

「えーと、三週間に一回か二回ぐらいかな」

「ほほう? して『グラン』」

 

 あ、やば。『お主』とかじゃなくて名前呼びだ。

 

「妾にお主が会いに来るのはどれくらいかのう?」

「い、いや、俺もお前も忙しいから予定が合わないから店に来るのとは難易度が「どれくらいかのう?」

「一か月に一回あるかないか(・・・・・・)です」

「なのにルミの所には頻繁に会いに来ていたと……?」

 

 キサキの目が先ほどの情欲に塗れていた目とは打って変わって猛吹雪を思わせる目をしている。あぁ、さっきまでいい雰囲気だったのに……。

 

「さ、さっきも言ったが俺たち互いに忙しい身だろ? 俺が山海経に来た時だいたいお前もいないんだよ。だからここによって飯食って帰るんだよ」

「へー」

「!?」

 

 なっ、ルミ!? いつの間に隣に座って!? 

 

「いっつもお店に来てくれるからあたし嬉しくて、グランの為に頑張ってたんだけどな……。あたし、キサキのついでだったんだ」

「へ!? あ、いや、そういう意味じゃなくてだな」

 

 え、なんかこの個室急に湿度上がった? 右半身にキサキが抱き着き、左半身にルミが縋り付くようにくっついてくる。 一体どうしてこんなことに……。あ! 他の玄武商会の子が料理を持ってきた! よし、これで空気がマシになる……おい! どうして部屋の中を覗いてすぐ反転して立ち去っていくんだ!? せめて料理は置いておけよ!! ……はぁ、腹くくるしかないのか。ルミの顎に左手を添えて俺の方を向かせる。そして少し乱暴に唇を奪う。

 

「んん゛っ!?」

「……ほう?」

 

 驚いて顔を離そうとするルミの後頭部をキサキの抱き着きをほどいて自由にした右手で掴み、逃げられないようにする。左手は顎から口に移動させ親指をルミの口の中にねじ込み、口を無理やり開かせる。開いた口に間髪入れず舌をねじ込む。

 

―クチュグチュジュル――

 

「ちょ、ぐらん、いきなっ……ぁ、いぁっ…やらぁ、だへぇ……」

 

 そんな擬音が聞こえるかのように深く舐るような口付け。ルミの口内は他の女よりも湿度が高く、唾液の粘度も高い気がする。色々な調理をして味見をしているせいなのか、なんだか旨い。そう甘いとか、レモンの味とかそういうのではなく旨い、うま味調味料というか、味の素みたいな……。

 俺を距離を取ろうと、俺の腹や胸を押していた手はいつの間にか力が抜けており、変わりに俺の服をつかんでいる。結構力が入っているのか、かなりの皺がスーツに出来てる。

 

「……っう」

「ふぅぅぅ、ふぅ」

「随分情熱的じゃったの「次はお前だよ」っっ!?」

 

 ルミが完全に脱力して床に膝から崩れ落ちる。床に女の子座りになり個室の壁にぐったりとよりかかる形になる。そして後ろから何か期待したような目で見ているキサキを席に押し倒し、ゆっくりと触れるだけのキスを何回もする。

 

「んっ、ちゅ、むぅ、っはぁ、老公(ラオゴン)*1

 

 キサキはその体格通りというか口も小さい、ルミのように無理やり舌をねじ込むようなことはできないし、それをキサキが好まないのも知っている。キサキの唇はしっとりとしていたルミとは違いプルプルとしている。何かそういうリップクリームなのか甘い味がする。それにしても……黒い噂が絶えない抑圧的な支配組織『玄龍門』のトップであるキサキが恋人のような甘く優しいプレイが好みでその反対組織ともいえる『玄武商会』のトップのルミが乱暴な方が好みとはな。何度も何度も唇を夢中で重ねる。左手で自分を支えて、右手はキサキと恋人つなぎをする。こうして握ると本当に小さい。

 そうして今度はキサキが満足するまでキスをした。そして口を離して席に座り直すとルミが復活していた。そしてこちらから顔を逸らしつつ、けれど目線をチラチラと向けながら質問してくる。

 

「い、いきなりなんなのさ……。そりゃあ、嬉しかったけど

「あれ以上はどれだけ話しても拗れるだけだったからな。話すよりも行動で示した方が良いだろう。それに俺はブラックマーケットのトップだ、折角だから欲しいものは全部奪ってやろうと思ったんだよ」

「それって……」

「なんと、我儘な男じゃ」

 

 キサキとルミの言葉にニヤリと笑う。

 

「あぁ、俺はとても我儘なんだ。キサキもルミも俺の物だ。嫌ならそう言え、手放すかどうかを考えてやる」

 

 そういって右手で隣に座っているキサキの背中に手を回して抱きしめる。そうしながら席のすぐそばに立っていたルミの腰に手を回して座っている俺の顔をルミの胸に埋める形になるよう引き寄せる。

 

「考えるだけなんだ、っ!」

「随分、(おさ)らしくなったようじゃのう。はぁっ!」

 

 抱きしめた後、さわさわと二人の体に手を這わせ、左右の違う感触と声を愉しむ。もう、貸し切りだしこのままおっぱじめちゃっても良いんじゃないか? 他の店員も混ぜちゃって。

 

「グラン、ねぇ、ちょっと離して……」

「なんだ、もう嫌になったのか?」

 

 ルミの方を見れば笑いながら首を振る。

 

「違うよ、とりあえず今出来てる料理は持ってくるから食べちゃって。 そのあと、お店の子を帰しちゃってあたしが別の料理作ってくるから」

「ふーん、何を作る気だ?」

「まだ決めてはないけど……材料はニンニク、マムシ、牡蠣、スッポンとかそこらへんを使おうかなって」

「ふふふ、それなら存分に楽しめそうじゃな」

 

 笑いながら仕返しとばかりに俺の体に指を這わすキサキ、耳元で聞こえる囁き声がとても気持ちいい。この余裕そうな声がいつまで続くか本当に楽しみだ。結局この日はルミの店でヤッたあとそれでも満足できず、六和閣のキサキの私室に移動、そこで続きをすることに。因みにキサキは俺と出会った頃の玄龍門構成員の格好もしてくれた。そして当時の呼び方だった『大哥(ダーカ)*2と読んでくれたのもかなり興奮した。

 

*1
中国語で夫。彼氏を差すこともある

*2
中国語でお兄さん、若い男性に使われる




 私の私見ですが、ルミは若干Mでキサキは純愛イチャイチャを好みそうだな、と思ったのでこの作品ではそう扱っていきます。そしてグランくんの最初の女がキサキだったとは……。今回の話を書いていたらいつの間にかキサキにそんな設定が付いていたんですよ。最初ここまで属性盛るつもりなかったんだけどなぁ……。

 豆知識
 
グランの色々な一番
ファーストキスユメ先輩
はじめてキサキ
最初にグランを好きになった女子ノノミ
付き合いの長さキッド2
グランを一番傷つけた人ホシノ

 
 メインヒロインはホシノなんですよ、この作品……
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