毎度、毎度誤字報告ありがとうございます。
先生によってグランが目つぶしをされて少し経った後。
「よし、これで良いかな。グランさん、もうこっち向いていいですよ」
「あぁ」
グランが振り返るとモモイとミドリと似たような恰好になった謎の少女がいた。
――ピピッ――
「ん?」
「な、何この音!?」
「警報音みたいだけど……もしかして近くにロボットが?」
「グラン、見える?」
部屋に響く音に再び身を硬くする才羽姉妹。先生は素早くシッテムの箱を抱え、グランに辺りの確認を頼む。グランも先生に声をかけられるかどうかの瞬間に武器を抜いて構えながら辺りを確認する。そして部屋を確認し終えたグランは銃を下ろしながら先生に話しかける。
「異常なしだな」
「そっか、ありがとグラン」
「しかしそうなると音の出どころが分からん」
グランと先生が考え込むとモモイが声を上げる。
「多分なんだけど『この子』から聞こえた気がする」
「え? ま、まさか……?」
「『この子』っていうのはその寝ている奴か?」
グランはモモイの言葉を聞いて改めて寝ていた少女に目をやる。驚くほど長い黒髪に、小柄な体躯。"まるで人とは思えぬほどに綺麗な肌"。座っている場所に日の光が差し込んでいるのも相まって一種の神聖さをグランを感じ取っていた。
『―状態の変化、および接触許可対象を感知。休眠状態を解除します―』
「……」
「め、目を覚ました……?」
「……」
「おい、口は聞けるか?」
「状況把握、難航。 会話を試みます……説明をお願いできますか」
「え、えっ? せ、説明? なんのこと?」
目を覚まして行動を開始した少女。その発言は機械的でゲーム開発部やグラン、先生たちを戸惑わせる。少女の質問を受けて才羽姉妹が慌てふためく。
「せ、説明が欲しいのはこっちの方! あなたは何も? ここは一体なんなの!?」
「本機の自我、記憶、目的は消失状態であることを確認。データがありません」
「記憶喪失ってこと?」
「肯定」
少女が述べたことに目を見開いた先生は少女に近寄って目線を合わせるように屈む、そして少女の状態を確認をする。少女の返事を聞いて『答えてくれてありがとう』といって頭を一撫でする先生。
「と、とりあえず、いきなり攻撃してきたりしないよね?」
「肯定。接触許可対象への遭遇時、本機の敵対意思は発動しません」
少女の返答に感動したようで今まで黙っていたモモイが目を輝かせながら少女に詰め寄る。
「うわー! すごい。ロボットの市民ならキヴォトスによくいるけど、こんなに私たちに似ているロボットなんて初めて!」
モモイが少女の手を取ってブンブンと振っている間、ミドリは先生の横に移動していて先生に話をかける。
「うーん……先生、どうしましょう?」
ミドリの言葉を聞いて先生は再び少女に話しかける。
「『接触許可対象』ってどういう意味か教えてくれる?」
「回答不可、本機の深層意識における第一反応が発生したものと推定されます」
「深層意識って、何のこと……?」
「うーん……工場の地下、ほぼ全裸の女の子、おまけに記憶喪失……ふふっ、良いこと思いついちゃった」
「いや……今の言葉の羅列からは、嫌なことしか思い当たらないんだけど……」
「???」
少女の状態を確認して何かを思いついたのかあくどい顔をするモモイと冷静に突っ込みを入れるミドリ。その時偶然、グランもモモイと同じように少女の事について考えを巡らせていた。
(行方不明の連邦生徒会長が封鎖していた区域、連邦生徒会長が組織したシャーレの先生にだけ付与された権限、その先にいたどう見ても高性能なロボット……。どう考えても
「よし、とりあえず部室に帰ろう!」
「まぁ、この子をこのままにもできないしね」
才羽姉妹が武器を取って移動の準備を始める。それに合わせて先生も動き出す。
「よし! それじゃあ、まずはこの部屋から出ないとだね。グラン、その子をお願いね」
「え! お、俺なのか!?」
「うん。その子、武器を持っていないみたいだし私たちの中で一番腕が立つのはグランだからね。しっかり守ってあげて」
才羽姉妹と先生は立ち上がって部屋の中を見回りに行ってしまった。グランは先生から言われた言葉に驚いて立ち尽くしてしまった。その横顔を覗き込む謎の少女。その視線を感じたグランは若干戸惑いながら手を差し伸べる。
「ほ、ほら行くぞ。お前をどうするにしてもまずはここから移動する。確かに武器は持っていないみたいだしな、しっかりついてこい」
「了解しました。追跡を開始します」
「追跡じゃなくて……あぁ、もうほら乗れ」
グランは少女に向けて背中を向ける。
「?」
「おんぶだよ、おんぶ。しっかり捕まっとけ」
グランの説明を聞いて少女はグランの背中にしっかりと捕まる。少女が捕まったのを確認したグランはゆっくりと体があまり揺れないようにして歩き出す。
「……」
大きくあたたかな背中に少女は自分でも説明できない感覚を抱いた。そして気が付いた時には無意識にその背中に顔を埋めていた。
◎・ゲーム開発部 部室・
少女を部室に連れて帰ってきた先生たち。そこでモモイの考えを聞いてミドリは渋い顔をしていた。
「うーん、やっぱり心配……。この子をうちの部員に偽装するなんて……本当に大丈夫?」
「『大丈夫』の意味を確認……『状態が悪くなく問題が発生していない状況』のことと推定、肯定します」
ミドリの言葉を聞いて数舜目を瞑った少女は自身の状況を報告したがそれを聞いたグランは顔を顰める。
「うん。その口調で大丈夫は大分無理があるな。モモイ、流石に無理があるんじゃないか?」
「そう言っても、もう選択肢はないよ。何としても、私たちのゲーム開発部を守らなきゃ。そうしないと、ユズの居場所が……寮に戻るわけにはいかないし……」
「……そう、だったね」
「居場所……か……」
モモイの言葉にミドリは重苦しく返事をして、グランは居場所という言葉を小声でつぶやく。先生だけがその呟きに気が付いて、グランが言う『居場所』という言葉の意味を理解してグランの纏う雰囲気が変わったのを感じ取った。モモイはそんなグラン達の様子に気が付くことはなく話を進める。
「服装もある程度整ったし、後は武器と……学生登録をして、学生証を手に入れないと。学生証については、私の方で何とかするから、ミドリは先生たちと一緒にアリスに『話しかた』を教えて上げて」
「は、話し方?」
モモイの言葉にミドリは首を傾げる。
「今のままだとミドリの言った通り、疑われちゃうかもしれないから。ただでさえ『友達もいないあなた達に、新しい部員の募集なんてできるはずないでしょ』って言われているし……。もし、何かの拍子にユウカに『本当にゲーム開発部なのか』ってきかれたとして……『肯定、あなたの質問に対し、アリスの回答を提示。私はゲーム開発部の部員』……なんて言っちゃった暁には、全部台無しになりかねない」
「アリスのモノマネ上手いねモモイ……」
先生はモモイの行ったアリスのモノマネがツボったらしく笑っている。その横にいたグランはあることに気が付いて喋り出す。
「というか、名前は『アリス』で決定なのか?」
「うん!」
「あの時のモモイの言い間違えがもうしっくりきちゃって」
「私もアリスちゃんで良いと思います」
グランの質問にモモイ、先生、ミドリの順で答える。三人の返答を聞いたグランは暫く考えた後、口を開く。
「なら名字は『天童』で……」
「『天童』?」
「あぁ、最初アリスを見たとき日の光が綺麗に入り込んでいただろう? 子供は天からの授かりものなんていうが正にそんな言葉が似合う景色だった。それにあの出会いも窮地のゲーム開発部に天が送ってくれたみたいだろ。だから『天』からの『
グランはそう自分の考えを述べたあと周りを見て感想を待つ。先生はにっこりと笑う。
「フルネームだと『天童アリス』になるのかな、私は良いと思うよ」
「うん! 私も良いと思う、なんだかRPGに出てきそうだし、ゲーム会社の『
「私もお姉ちゃんと同意見です。天童アリスちゃんで良いと思います」
才羽姉妹と先生から賛成を得たグランはアリスの前まで行って膝をついて目線をアリスに合わせる。
「……?」
目の前に来たグランの行動が理解できずに首を傾げるアリス。そんなアリスを見てグランはクスリと笑ってアリスの頭を撫でる。
「おまえの名前は『アリス』……『天童アリス』だ。これからよろしくなアリス」
「天童アリス……私の名前。私はアリス……。認識しました、本機の名称『天童アリス』 私はアリスです。よろしくお願いします、水戸グラン」
アリスはしっかりと自分の名前を確認するように口に出す。そしてしっかりとグランに挨拶を返した。
「ったく、一体何なんだここは」
そう愚痴りながら何処かの駅の中であろう通路を歩いていく。いつまでたってもループする不思議な空間。この空間から抜け出すルールは簡単。
『異変を見逃さないこと
異変を見つけたら、すぐに引き返すこと
異変が見つからなかったら、引き返さないこと
8番出口から外に出ること』
まぁ、このルールが嘘じゃなければだけどな。様々な異変を確認し引き返してきた。そうしてようやく8番出口の表示まできた。
「もう、なんの異変も見逃さない……」
そう言いながら廊下の角を曲がる。そこには……。
「あ、ぁぁあ、嘘……。あ、い、異変……なの、なん、ですか」
「……」
廊下の真ん中に立っていたのはユメ先輩だった。もう、もう2度と見ることはないと思っていた、先輩が笑って……俺を見てくれて……違う! ダメだ! ひ、引き返え、引き返さないと!
無意識の内にユメ先輩の方に向かっていた足を無理やり止める。
「う、ぅうぅ」
息が上手くできない、思考がまとまらない、足が上手く動かせない。でも返らなきゃ、返るんだ。フラフラとしながらユメ先輩に背を向けて歩いてきた道を引き返す。
「グラン君」
「っ!?」
声が聞こえた。聞き間違うなんてことはありえない、確かにユメ先輩の声だった。思わず振り返る。そこには先ほどよりも暖かく、それでも少しだけ寂しさを感じさせる笑顔のユメ先輩がいた。
「それでいいよ。グラン君はこっちに来ちゃダメ」
「あ、あああぁぁ」
ダメだった。今までギリギリ耐えていたものが決壊して涙が溢れ出す。もう俺の顔はぐずぐずだろう。これは、本当に異変何だろうか。いや、きっと、異変何だろう。ユメ先輩自身がこっちに来ては駄目だと言っているだ。
「ユメ先輩。貴方が異変でも、幻でもまたこうして会えてとても嬉しかったです。……さようなら」
涙を拭いてそうユメ先輩に告げる。
「グラン君、私も嬉しかったよ。私からも最後に一つだけ……もしかしたらグラン君にとっては残酷なことになっちゃうかもしれないけど」
「……どんなことも覚悟しています」
あの時俺はユメ先輩を見捨てたんだ。どんな怨み言も言われる覚悟はある。
「私、グラン君のこと大好きだったよ。先輩としてじゃないよ、一人の異性として私は水戸グランさんのことを心から愛していました」
「っあ……」
真剣な顔でユメ先輩はそう俺に言った。俺は唖然としてその言葉に返事することはできなかった。
そして俺は気が付いた時には自室のベッドの上で目を覚ました。結局あれは何だったのだろうか、俺はあのあと引き返したのだろうか? というか、アレは夢だったのだろうか。ふと右手首に違和感を感じてそちらを見る。
「――ッ」
俺の右手首には見覚えのある緑色の髪の毛が巻き付いていた。
最初は首に髪の毛を巻き付かせようと思ったんですけどそれだとなんか重すぎる気がしたので右手首にしました。
『代表の性活』 いる?
-
いる
-
いらない