シャーレの部長はブラックマーケットの代表   作:四脚好き

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82話

◎・『工場内部』・

 

 先生の指揮のもとロボットたちを突破して工場内に入ったゲーム開発部たち。

 

「はぁ、はぁ……何とか成功、かな?」

「潜入成功。ミッションをクリアしました」

「やはりロボットたちはこの建物内部には入ってこないらしい」

 

 グランは工場の外を見ながらそう告げる。先生はその言葉に頷いて生徒たち一人ひとりの状態を確認する。

 

「ねぇねぇ、私たちってもしかして実は凄く強いんじゃない? C&Cとか、他の学校の戦闘集団と戦っても勝てちゃうかも!」

「少なくともC&Cは絶対に無理だと思うけど……確かに、自分でもちょっとびっくり。きっと先生の指揮のおかげですね」

 

 そう言ってミドリは先生のほうに近寄っていく。そんなミドリをみたモモイの表情に気が付いたグランはモモイに声をかける。

 

「どうした、その微妙な表情は?」

「卑しい……卑しい~!」

「あぁ……なるほど」

 

 グランとモモイの目線の先には先生に撫でられて嬉しそうに尻尾を振っているミドリがいた。するとユズも近くに寄ってきて同じようにミドリを眺める。

 

「ミドリ、なんだか別人みたい」

「妹が女の顔してるのなんてどう見ればいいのさっ!」

「……笑えば、良いんじゃないか?」

「お兄様! アリスの頭も撫でてください!」

 

 グランは警戒を怠らずにアリスの頭を撫でる。少しして先生とミドリがこちらに向かってくる。

 

「みんな残弾は大丈夫?」

 

 先生の言葉に各々自分の武器の状態を確かめる。

 

「私は大丈夫」

「私も全然オッケー!」

「USC-26/H SALEMの方は弾切れだな。まぁ、これからの戦闘は閉所だろうし、KO-3K2でやっていく」

 

 ユズ、モモイ、グランは問題ないようだがアリスがすーの状態をみてあることに気が付く。

 

「バッテリーがチカチカしてます……『マナが足りません』ということでしょうか?」

「そうかも、あし一回ぐらいしか持たなそう……」

じゃあ、出来るだけ戦闘は避けていこっか」

 

 ユズがアリスと共にスーパーノヴァの状態を確認してミドリが戦闘を避けるように話す。そして先生が何かを考えた後グランに話しかける。

 

「何回もごめんねグラン。斥候をお願いしても良い?」

「先生の指揮があるとはいえあんまり戦闘経験少ない奴等には任せられないか。……分かった先行する」

「よろしくね」

 

 グランがKO-3K2を点検して駆けだそうとした時アリスが声を上げる。

 

「ここは……? あ」

「グラン、ストップ。……どうしたのアリス?」

「分かりません……ですが、どこか見慣れた景色です。こちらの方に行かないといけません」

 

 そうアリスは言うとスタスタと工場内を進んでいった。

 

「ちょ、待ってアリス!」

「グラン!」

「了解、追いかける」

 

 走り出したアリスにゲーム開発部が驚いているなか、先生はグランの名前を呼ぶ。グランは素早く方向転換して工場内の壁を跳び、アリスを追いかける。

 

「どうしたアリス?」

 

 アリスに追いついたグランはアリスに並走しながら質問する。

 

「アリスの記憶にはありませんが……まるで『セーブデータ』を持っているみたいです」

「それはつまり……」

「この身体が反応しています。例えるなら、そう、チュートリアルや説明が無くても進められるような……或いはまるで、何度もプレイしたことあるゲームを遊んでいるかのような……」

「成程な……だが一旦ストップだアリス。後続と距離が空きすぎてる」

 

 そう言ってグランはアリスを抱きかかえることでストップさせる。アリスはグランの言葉でようやくモモイ達と離れたことに気が付いたらしく足を素直に止めた。しばらくその場で待っていると先生たちが合流した。そうして先生たちに先ほどアリスが言っていたことを伝える。

 

「どういうこと……? 確かに、元々アリスがいた所と似たような場所だけど……」

「あ、あそこにコンピューターが一台……あれ?」

「あのコンピューター、電源が付いてる?」

 

 モモイとミドリは辺りを見回して一台のコンピューターを発見した。壁に埋め込まれているタイプのそのコンピューターは電源が入っているようで薄暗い工場の中でかすかに光を発していた。一行がコンピューターに近づくと何かのセンサーに引っかかったのか画面が動き出す。

 

[Divi:Sion Systemへ、ようこそお越しくださいました。お探しの項目をご入力ください]

「お、まさかの親切設計。G.Bibleについて検索してみよっか?」

 

 モモイがコンピューターの画面の文字を見て喜び検索をかけようとコンピューターのキーボードに手を伸ばすが寸前でミドリがその手を止める。

 

「いや、ちょっと怪しすぎない? それより『ようこそお越しくださいました』ってことは……『ディビジョンシステム』っていうのがこの工場の名前……?」

「G.Bibleと入力します」

「ちょ、アリスちゃん!?」

 

 折角ミドリがモモイの手を止めたのに、アリスが横からキーボードを操作してしまう。

 

「あ、なんか出た!」

[……#$@#$$%#%~*&(#@]

「こ、壊れた!? アリス、一体何を入力したの!?」

「い、いえ、まだエンターは押していないはずですが……」

「つまり……勝手に動き出したのか」

 

 グランは嫌な予感がしてきてコンピューターを破壊しようと武器を構える。するとその時、画面に文字が浮き上がる。

 

[あなたはAL-1Sですか?」

 

「!?」

「!!」

「……?」

「この名前は……」

 

 画面に浮き出た質問にモモイとミドリが驚愕し、アリスは疑問を抱き、先生が文字を見て何かを思い出す。

 

「いえ、アリスはアリスで……」

「まて、アリス。今は何もしない方が良い。離れろ」

 

 グランがアリスとコンピューターの間に入ってアリスを遠ざけようとする。

 

[音声を認識、資格が確認できました。おかえりなさいませ、AL-1S]

「!?」

「音声認識付き!?」

 

 無情にも画面に浮き出た文字にミドリが悲鳴に似た声を上げる。

 

「えっと……AL-1S、ていうのは、アリスちゃんのことなの?」

「あ、ごめん。そういえばユズちゃんには言ってなかったかも」

 

 ユズが疑問の声を上げて、ミドリがユズに伝えていなかったことを謝る。

 

「アリスの、本当の名前……本当の、私……。あなたはAL-1Sについて知っているのですか?」

[……]

「返答が遅い……?」

「何か画面もぼんやりしてきたけど、処理に詰まっているのかな?」

 

 アリスの質問にコンピューターはすぐ答えることはなく、長い沈黙が続いた。

 

[そうで……@!#%#@!$%@!!!!]

「え、え? なにこれ、どういう意味!?」

 

 突如可笑しな挙動を始めたコンピューターに皆が驚く。

 

[緊急事態発生。電力限界に達しました、電源が落ちると同時に消失します。残り時間15秒]

「ええっ!? だ、ダメ! せめてG.Bibleのことを教えてからにして!」

 

 モモイが画面にしがみついてそう言い放つ。すると画面は新たな文章を浮かび上がらせる。

 

[あなたが求めているのは、G.Bibleですか? <YES/NO>]

「!?」

「YES!」

 

 ミドリが素早くYESを選択する。

 

[G.Bible……認証完了、コード:遊戯……人間、理解、リファレンス、ライブラリ登録ナンバー193、廃棄対象データ第1号。残り時間35秒]

「廃棄!? どうして!? それはゲーム開発者たちの、いやこの世界の宝なのに!」

「案外中身がしょうもないからじゃないか? 『ゲームを愛することです』とかの一言だけみたいな」

「そんな訳ないじゃん、キヴォトスの伝説的なゲームクリエイターが残したものだよ! ぜったい何かあるって!」

 

 グランの言葉にモモイはクワッと目を見開いて反対する。

 

[G.Bibleが欲しいのであれば、提案します。データを転送するための保存媒体を接続してください]

「えっ……? G.Bibleの在り所を知ってるの?」

[あなた達も知っています。今、目の前に]

「ど、どういうこと!?」

 

 画面に映ったと言葉にモモイ達は驚愕する。

 

「正確には、私の中にG.Bibleがあります。しかし現在私は消失寸前、新しい保存媒体への移行を希望します]

「そ、そうは言っても急に保存媒体なんて……あ、『ゲームガールズアドバンスSP』のメモリーカードでも大丈夫?」

 

 モモイがポケットの中からゲーム機を取り出してコンピューターに見せるように掲げる。

 

[…………まぁ、可能、ではあります」

「な、何だか凄く嫌がっている感じがするんだけど……気のせい?」

「まぁ、凄く沈黙長かったしね」

 

 コンピューターの返答にモモイが冷や汗を流して、となりで先生も苦笑いする。そうなりながらもテキパキと準備するゲーム開発部の面々たち。

 

「データケーブル……連結完了!」

[転送開始……保存領域が不足、既存データを削除します。残り時間9秒]

「え、嘘っ!? もしかして私のセーブデータ消してない!? ねぇ!?」

[容量が不足しているため、確保します]

 

 画面の文字に焦ったモモイの慟哭が工場内に響き渡る。先生も自分のスマホゲームのデータが帰るのを想像したのか顔を青くして、グランがそれを横目で見ながら呆れる。

 

「だ、ダメ! お願いだからセーブデータは残して! そこまで装備揃えるの凄く大変だっ―――

[残念、削除]

「ん?」

「ちょっとおおぉぉぉぉおおお!?」

 

 モモイの絶叫が響くなかグランは今のやり取りに違和感を覚えた。最初こそ機械的なやり取りだけだったのに、今の一言やモモイのゲーム機を見たときなど"明らかに人間臭い"動きを見せるコンピューターに疑問を抱いたのだ。そんなことを考えている間にゲーム機の画面は暗転してしまった。

 

「あれ……電源、落ちちゃった……?」

「ああぁぁ! 私のゲームガールズアドバンスのデータがあぁぁっ!!」

「あ、待って! 何かが画面に……?」

 

 画面が明るくなりゲーム機のモニターに文字が表示される。

 

[転送完了]

「え?」

[新しいデータを転送しました]<G.Bible.exe>

「こ、これって!?」

「こ、これ今すぐ実行してみよう! 本物なのか確認しなきゃ! exe実行! あ、何かポップアップが出て……って、パスワードが必要!? 何それ、どうすればいいのさ!?」

 

 表示されたポップアップを見て再び憤慨するモモイ。それもそうだろう、ゲームデータまで失ってものがパスワードのせいで見れないのだ、こうも荒れるだろう。

 

「……大丈夫。普通のパスワードくらいなら、ヴェリタスが解除できるはず……!」

「(こくこく!)」

 

 荒れるモモイにミドリがそう言って落ち着かせる。その後ろではユズも頷いている。

 

「そ、そうだね。そうすれば……!」

「これがあれば、本当に面白いゲームが……『テイルズ・サガ・クロニクル2』が……!」

「うん、作れるはず! よしっ!」

 

 モモイとミドリがお互いの顔を見て笑い手を取り合う。

 

「待っててねミレニアムプライス……いや、キヴォトスゲーム大賞! 私たちの新作は今度こそ、キヴォトスのゲーム界に良い意味での衝撃を与えてやるんだから!!」

 

 モモイが握りこぶしを掲げそう大声で宣言する。その声は力強く、大きく、工場中に響き渡った。

 

「お、お姉ちゃん、声大きすぎ。そんな大声で叫んだら……」

「正解だ、ミドリ。足音多数、人間じゃない。表にいたロボットだな。……今まで建物の中に入ってこなかった癖に急に……。電力限界とか言ってたのが関係あるのか?」

 

 ミドリがモモイに注意するがその途中でグランが足音を察知して全員に伝える。

 

「あー、ごめん」

 

 モモイが気まずそうに謝る。

 

「グラン、戦闘は回避できそう?」

「無理だな。もう接敵する」

「そっか。皆、戦闘準備!」

 

 先生がグランに確認するが、グランは首を振って武器を構える。それを見た先生はゲーム開発部に指示をだし始める。

 

「グランが殿、ミドリが援護を! モモイはゲーム機の回収急いで! アリスは残り一発だからここぞというときまで温存。ユズ、ごめんね、私の護衛お願いしても良い?」

「ミドリ、足元を狙え。撃破じゃなくて脱出が目標だ、転ばせればいい」

「はいっ!」

「ゲームガールズアドバンスの回収オッケー! 私も援護に回るね!」

「アリスが先導します! この身体が道順を覚えているので!」

「わ、私、絶対に先生を守りますのでっ!」

 

 全員が武器を構えお互いの顔を見合い笑う。そしてモモイが武器を構えながら全員に声をかける。

 

「みんなで無事に、部室まで戻ろう!」

「「「「「うん!(あぁ!)」」」」」

 

 




https://syosetu.org/novel/337523/
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