問題児たちが異世界から来るそうですよ?~箱庭に訪れる冬~   作:bliz

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遅くなってしまいすいません!
季節外れですがどうぞ




あら、魔王襲来のお知らせ?
夏祭りだそうですよ?


「ねえ吹雪、夏祭りに行かない?」

 

ある日の夕方のこと、のんびりと過ごしていたら耀に夏祭りに誘われた。

 

「いいけど、……どうして俺なんだ?」

 

「一緒だと一番楽しそうだから……だめ?」

 

「いいよ、ありがとな誘ってくれて。……そういや、服装ってどうする?」

 

「どういうこと?」

 

耀は意味が伝わらなかったのか首を傾げる。

くそっ、何でこんなに可愛いんだよ。

 

「折角だから浴衣とか着ていってもいいんじゃないかなって思ってさ」

 

「それもそうだね、着替えてくるよ」

 

それから俺も浴衣に着替え待っていると、

 

「ごめん、遅くなっちゃった」

 

浴衣を着た耀がやって来た。

その浴衣はライムグリーンに花をあしらったものだった。

それに見とれていると、

 

「大丈夫?ボーッとしてるけど」

 

「あ、ああ。大丈夫だ、問題ない」

 

耀に心配された。

「 流石に浴衣が似合って可愛かったから見とれてたなんて言えないし」

 

「それ、ほんと?」

 

「…………えっ?もしかして口に出してた?」

 

「うん。それで、さっきのほんとなの?」

 

耀が顔を真っ赤にして尋ねてくる。

 

「ああ、浴衣が似合ってて可愛いよ」

 

耀の顔が更に真っ赤になる。

そんなことを考えている俺の顔も真っ赤になっているだろう。

「「あ、あのさ。とりあえず行かない?」」

 

「「そうだな(ね)」」

 

恥ずかしさを紛らわすために言ったのに同じタイミングでいってしまい更に気まずくなる。

結局祭りの会場に着くまで二人とも顔が真っ赤だったが、着くとそんな雰囲気もなくなった。

 

「うわぁ、すごいね。ここまで大きなものだとは思ってなかったよ」

 

「俺もだ。向こうでも祭りには行ってたけど、ここまで大きいのは初めてだ」

 

会場には既にたくさんの人がいて、辺りの屋台からは客を呼ぶ声や、遊んでいる子供達の声が聞こえてくる。

 

「ねえ、早くいこうよ!」

 

「そうだな。あれは…………あったあった」

 

探していた屋台を見つけると、そこへ向かう。

 

「どうして最初に射的なの?」

 

「このあと目一杯遊ぶためだよ。お兄さん、そっちのやつのルールは?」

 

「こっちのやつだな?」

 

店員さんが指差したのは普通の射的の台の隣に設けられているコーナーだ。

その中では的が動き回っている。

 

「動いている五つの的を壊したらクリアで

弾丸は三発だ」

 

「ギフトは使っていいんだよな?」

 

「おうよ。但し、的の動きの阻害は禁止、的の破壊には必ず銃を使うことだ」

 

「それじゃあ弾道を操作したら簡単じゃないの?」

 

耀の疑問はもっともだ。

 

「別にできなくもないが、的の軌道はランダムなのと、弾は一定の時間が経過すると地面に落ちるようになってるから簡単にはクリアできないぜ!」

 

「吹雪、クリアできるの?」

 

「余裕だよ」

 

「言ってくれるじゃねえか!それなら、一回でクリアできたら商品券の金額2倍にしてやるよ!」

 

なんか知らないけど2倍にしてもらえたラッキー。

 

「それじゃあやるけど、動きの阻害のギリギリのラインになったら教えてくれ」

 

俺はコーナーの中を雪で満たしていく。

 

「もしかして、クリア方法って……」

 

耀はクリア方法がわかったらしい。

まあ、しょっちゅうやってるからな。

 

「そこまでだ」

 

店員さんのストップで満たすのをやめる。

 

「こんだけあれば十分だろ。これでクリアだ!」

 

俺は雪で満たしたコーナーの中に銃を入れてから引き金を引く。

すると、

 

ドカーン

 

爆発が起こった。

 

「やっぱりこれだったんだ。起爆法は弾丸を発射するときの爆発かな?」

 

「正解だよ。流石にわかるか」

 

「やられたぜ、こんな方法でクリアするとはな。気に入った!祭りのフリーパスをやるよ!」

 

「いいのか?」

 

「別に構わねえよ。元々こういう渡し方をするものだからな。………………可愛い彼女がいるんだ、サービスだよ」

 

「っ!そ、そんなんじゃ……」

 

「お嬢ちゃん、景品渡すからきてくれ」

 

呼ばれて取りに行く耀の顔が赤かった気がするんだが……もしかして聞かれてた?

その事に思い当たるとフリーズしてしまう。

 

 

~~~店先では

 

「ほら、これで楽しんできな。折角のデートなんだから」

 

「…………そんなんじゃない」

 

「そんなに顔を赤くして言われてもな。それに、嫌じゃないんだろ?」

 

「……それはそうだけど」

 

「あいつ、君のためにこれやりに来たみたいだぜ。お金とか気にせずに祭りを楽しんでほしいんじゃないか?俺が言いたいのはこれだけだ」

 

「おじさん、ありがと!」

 

~~~~

 

「ただいま、もらってきたよ」

 

「何話してたんだ?やけに嬉しそうだけど」

 

「別にいいの。ほら、行こ?」

 

「そうだな。折角来たんだし楽しまなきゃダメだよな!耀、どの屋台行きたい?」

 

「別に私の希望じゃなくても」

 

「いいからいいから。誘ってくれたのは耀なんだし、まずは耀が楽しんでくれないと」

 

「わかった。でも、吹雪も楽しまなきゃダメだよ。じゃあ、あっち行くよ」

 

耀に手を引かれやって来たのは食べ物の屋台がたくさんあるエリアだった。

「まずは何食べる?」

 

「焼きそばとかでいいんじゃないか?リンゴ飴とかは後で歩きながら食べたらいいし」

 

「そうだね、買ってくるから待ってて」

 

五分後、耀は両手いっぱいに焼きそばのパックを抱えて帰ってきた。

 

「そんなに食べるのか?」

 

「食べれるよ。これでも少なくしたんだから」

 

「お、おう」

 

その言葉通り、焼きそばは数分でなくなってしまった。

それからも、耀は俺が驚くような量のたこ焼や焼きとうもろこしを買ってきては、きれいに完食した。

そして今は、俺はかき氷、耀はリンゴ飴を片手に歩いている。

 

「それにしても、やっぱり箱庭は凄いね。祭りの規模が大きいだけじゃなくて、見たことない屋台もあったし」

 

「そうだな。逆に見たことあるけど違うってやつもあったからな。金魚す…………あれは見なかったな」

 

「……そうだね」

 

二人して記憶から消したいのはわけがある。

巨大な水槽でおっさんみたいな顔のでかい金魚をすくうんだぞ?

あんなのは、あっちゃダメだろ。

 

「あ、わたがしあるよ!行こ!」

 

「そんなに急がなくても大丈夫だろ」

 

はしゃいでいる耀を見ているとほんとに来てよかったなと思える。

普段はおとなしそうな感じだけど、こうやってるのを見るとやっぱり女の子で可愛いんだよな。

 

「どうしたの?止まってるけど」

 

「別に、はしゃいでる耀も可愛いなって思っただけ…………あ、やっべ」

 

時既に遅し、考えていたことを耀に言ってしまった。

来る前と同じように二人とも顔を赤くして固まってしまう。

 

「ほ、ほら。わたがし食べるんだろ?早く行こうぜ」

 

「そ、そうだね」

ぎこちない会話でどうにかごまかすことには成功する。

でも、なんだよこの感じ。これじゃあ付き合いたてのカップルだろ!

「…………わたがしおいしいね」

 

「…………そうだな」

 

顔が赤いのは収まったが、ぎこちないのは直らない。

そんな感じでしばらく歩いていると広場から歓声が聞こえてきた

 

『……………でした!それでは…………に参ります!』

 

『イエェェェェェェェェイ!!!』

 

「行ってみるか?」

 

「そうだね」

 

広場に行ってみると、何かの優勝者の発表をしていた。

 

『優勝は…………そこのお二人です!!』

 

「「へ?」」

 

なぜか俺達にライトが当たり、ステージへと誘導される。

 

「あのー、これは一体何なんだ?」

 

「これは各屋台の人に印象に残ったお客さんを聞いて、その票数が多かった人に商品を渡すというものです」

 

「私達特に何も……」

 

「いえいえ、あなた方がぶっちぎりで優勝でしたよ。その時に聞いた意見には、『あんな方法でクリアしたのは初めてだ』『大量に買っていったのにすぐに他のところでも大量に買っていた』などがありましたね。特に若い方からは『リア充め、爆発しろ!!』が圧倒的でしたね」

 

「……そ、そんなんじゃ」

 

「最初の二つはまだわかるが、……最後のは何だよ!!それ言ったやつ出てこい!ぶっ飛ばしてやる!」

 

「まあまあ、落ち着いて。景品の品なんですがこちらと、花火の点火になります」

 

そう言うと司会の人が景品の入った箱とボタンを渡してきた。

 

「それじゃあお願いします!」

 

『3……2……1……』

 

「どうぞ!!」

 

「「せーのっ!」」

 

二人でボタンを押すと空に花火が上がっていく。

 

「耀、ここから離れるぞ。どうせ見るなら静かな場所の方がいいからな」

 

「うん」

 

そしてやって来たのは近くの丘だった。

 

「きれいだな」

 

「そうだね。…………吹雪、ありがとね」

 

「急にどうしたんだ?」

 

「最初にやった射的、私のためだったんでしょ?私がお祭りを楽しむために。私、楽しかったよ。一人で来てたらこんなに楽しくなかったと思う。吹雪と一緒だったからだよ」

 

「楽しかったのは俺もだよ。まず、俺一人だったら来なかったかもしれないからな。十六夜や飛鳥と来ても楽しかったかもしれないけど、耀と来れてよかった」

 

「ねえ、また私の隣で花火を見てくれる?」

 

「勿論だよ。どうせなら今回みたいに上げるだけじゃなくて、自分で作った花火を打ち上げてみたいけどな。」

 

「そうだね」

 

この日は俺達二人にとって忘れられない日になった。

 




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