問題児たちが異世界から来るそうですよ?~箱庭に訪れる冬~   作:bliz

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明けましておめでとうございます。
今年はテスト明けに遅くなる投稿を出来るだけ早くするのと週一更新を目標にやっていきたいと思います。

今年もこの小説をよろしくお願いします。

あ、課題………………


炎と氷の演舞!

「ウィル・オ・ウィスプについて知っていることは以上です」

 

「了解、後はその場でどうにかするさ」

 

「主殿、相手は格上だが、私は二人ならば負けないと信じている」

 

「ありがとう。私達にできることを精一杯やってくるよ」

 

「それじゃあ行くか」

 

ウィル・オ・ウィスプについての情報を聞き、二人で並んで決勝のステージに向かう。

しかし、通路から出ようとした瞬間に目の前を火の玉が横切り、驚いた耀がバランスを崩す。

 

「大丈夫か?」

 

「うん、問題ないよ。ただ……ちょっと恥ずかしいかな」

 

耀に言われ今の状況を確認すると、俺が片腕で耀を抱いていた。

とっさに支えようとした結果こうなったみたいだ。

 

「……ご、ごめん。急だったからとっさに……」

 

「……大丈夫だよ、私の為だったんだし」

 

火の玉の原因を探ろうと周囲を見渡すと、もう一度こっちに向かって飛んでくるのが見えるのでバットを取り出す。

 

「火の玉って打てるのか知らないけど……ぶっ飛べぇぇぇ!!」

 

向かって来たのに対して構えると、火の玉に向かってフルスイングする。すると、手応えがあり、方向を変えて飛んでいく……黒ウサギの方に向かって。

「何でこっちに飛んでくるんですかー!」

 

「悪い、故意に起こした事故だ」

 

「それってわざとですよね!何で黒ウサギなんですか!」

 

「「……だって、黒ウサギだから」」

 

「理由になってません!というか、何で耀さんまで加わってるんですか!」

 

「そんなことより、早くやろうぜ」

 

「誰のせいですか、誰の!」

 

「そりゃ、こいつだろ」

 

俺は今まで空気だった女の子を指差す。

 

「お、お前ら人のことを無視しといて漫才すんなよ!!審判、さっきのこいつの攻撃は反則で、こいつら失格だろ!」

 

「何言ってんだ、先にやってきたのはそっちだろ。俺がやったのは、飛んできたから打ち返した、これは正当防衛だろ」

 

「……く、くそっ」

 

少女は俺の言い分に言い返すことができない。

 

「えー、一悶着ありましたがこれから決勝戦を始めたいと思います。それでは白夜叉様よろしくお願いします」

 

特に気にすることもなく進行する黒ウサギ。俺達のせいなのか切り替えが早くなっているみたいだ。

 

「たぶんそうだよ」

 

「…………何で考えてることがわかるんだよ」

 

「今に始まったことじゃないでしょ?」

 

「それもそうか」

 

『それでは、決勝の舞台を決めたいので手元の招待状を見てくれるかの。そこに書いてある番号がサウザンドアイズの外門と同じ三三四五番となっておる者はおるかの?おったら名乗りを上げてほしい』

 

その言葉と共に観客が一斉に招待状を見る。

少しして、一人の子供が名乗りを上げた。

 

『こ、ここにあります!!アンダーウッドのコミュニティが三三四五番の招待状を持っています!』

 

『それでは皆のものお手を拝借』

 

全員が手を叩くと、俺達の周りの風景が変化する。

そこは、一面が木に覆われそれが複雑に絡み合っていた。

 

「……樹の中か?」

 

「そうみたい。でも、なんだかゲーム盤じゃなくて本物の樹の中にいるみたい」

 

状況を確認している俺達の前に契約書類が現れる。

 

『ギフトゲーム名 ”アンダーウッドの迷路”

 

・勝利条件

一、プレイヤーが大樹の迷路より野外に出る。

二、対戦プレイヤーのギフトを破壊

三、対戦プレイヤーが勝利条件を満たせなくなった場合(降参を含む)

 

・敗北条件

一、対戦プレイヤーが勝利条件を一つ満たした場合

二、上記の勝利条件を満たせなくなった場合 』

 

審判権限(ジャッジマスター)の名において、以上が両者不可侵で有ることを御旗の下に契ります。ここにゲームの開始を宣言します」

 

「とりあえず俺は今回サポートに徹する。耀がクリアしないと勝てないからな」

 

「どうするの?」

 

「今回の作戦は耀が考えてくれ。俺だっていつもいるわけじゃないからな。もちろんアドバイスはする」

 

「わかった。ちなみに吹雪はどういう風に考えるの?」

 

「俺の場合はまず行動の指針を決めて、それに沿って自分の勝率が上がるようにするな。まあ、俺は相手の勝率を下げて相対的に上がるようにすることが多いな」

 

「……そうなんだ。じゃあ今回は迷路からの脱出をメインに動こうかな。ジャック・オー・ランタンが本物だったら壊せないだろうし。吹雪には足止めをお願いしたいんだけど、他には何か作戦ある?」

 

「……そうだな、今回のゲームのポイントは二つだろうな。一つはジャックが本物かどうか。もう一つは相手に迷路の出口を知る方法があるかどうか」

 

「出口を知る方法があるかどうかなんてわかるの?」

 

「あるぞ、それはなーーーーでいけると思う」

 

「それじゃあそれでいこう」

 

「お前ら、いつまで話してんだよ!」

 

俺達の作戦会議が長いことに痺れを切らしたアーシャが怒鳴る。

 

「別に、勝てる試合の勝率を上げてただけだし」

 

「お、お前!言わせておけば!!」

 

「耀、作戦スタートだ!」

 

怒ったアーシャを放っておいて、二人が真逆の方向に向かって走り出す。

少し行った所で止まると、アーシャがどの方向に向かって動くかを確認する。

 

「くそっ、どっちを追いかければいいんだよ!…………パートナーはクリアできないんだったよな。それじゃあこっちだ!」

 

アーシャは耀が走って行った方に向かってジャックに乗って飛ぶ。

 

「背を向けてくれたし、不意討ちからの挟み撃ちといきますか。どうせなら新兵器の試し撃ちも兼ねて」

 

俺はギフトカードから氷で出来たライフル銃を取りだし追いかけながら構える。

走ってアーシャを追いかけていき、射程圏内に入った所で引き金を引く。放たれた銃弾はジャックに命中し、少しスピードが落ちる。

距離が近くなると武器を二丁の拳銃に代え弾幕を張る。

 

「あーっ、イライラする!何でこいつらにいいようにやられてるんだよ!!これでもくらえっ!!」

 

後ろから攻撃され自分が思うように行動できないことにイラついたアーシャが火球を放つ。しかし、それは俺と耀から逸れて飛んでいく。

 

「何で当たらないんだよ!」

 

どうやら火球が逸れたのは耀が風で誘導したからのようだ。

 

「てことは、こいつは火を操ってるわけじゃなく、ガスの類いを操ってるってことだな。だから風で誘導できたみたいだな」

 

アーシャは立て続けに火球を放つがそれは全て逸らされる。

その間にも俺の放つ銃弾は命中し、ジャックのスピードが上がらず耀との差が開いていく。

 

「…………くそっ、悔しいがここは任せるよジャックさん(・・・・・・)

 

わかりました(・・・・・・)

 

その言葉と共にジャックの姿が消え、耀の前に立ちはだかる。

 

「失礼、ここを通すわけにはいきません」

 

ジャックが攻撃を放ち、耀はそれに反応するが吹き飛ばされる。

ジャックは追撃しようと追いかけるが、俺は耀との間に走り込みジャックを止める。

 

「通すわけにはいかないのはこっちもだ。あんたは俺が足止めはせてもらう」

 

「この状況で勝てると?」

 

「ああ、あんたをここに留めておけば俺達の勝ちだ」

 

俺は手榴弾を大量に取り出すと、火をつけジャックの周りに投げる。

手榴弾が爆発すると、辺りが炎に包まれる。

 

「耀!視界が塞がってる今のうちにゴールに行け!」

 

「わかった!」

 

耀が去るのと同時に炎が払われる。

視界がよくなった時にはアーシャ達が追いかけていたはずの耀の姿は見えなくなっていた。

 

「行かせてしまいましたか。アーシャ、あなたは今から追いかけなさい」

 

「……わかりました」

 

アーシャはいなくなった耀を追いかけるようにさっきまで進んでいた方向に飛んでいく。

 

「さあ、俺の相手をしてもらうぞ。本物の(・・・)ジャック・オー・ランタン」

 

「やはり気づきましたか。ということは私を倒せないことをわかっている上で勝てると言ったのですね?」

 

「流石にさっきの動きを見たら気づくぞ。一つ言っておくが、俺一人で挑んでいてたら勝てなかったさ。でもな、二人だから(・・・・・)勝てるんだよ」

 

「そうですか。ですが、ずっと足止めされているわけにもいきません。通させてもらいますよ!!」

 

その言葉と共にジャックの目が本気になる。

 

「こりゃ迎撃とか考えてる場合じゃないな。俺の方から行く!!」

 

武器を二刀流にし、一気にジャックに迫ると右手の剣で斬りつける。 ジャックにそれを弾かれるが、勢いを殺さずに回転し左手の剣で斬りつける。

ジャックはそれを右手で受け止めると左手で殴ってくる。その攻撃をしゃがんで回避し、顔を蹴り上げる。ジャックにはそのまま離れられ、距離を取られる。

 

「やりますね。それではこれはどうですかっ!」

ジャックは離れた位置から火球を放ってくる。アーシャのものとは比べ物にならない量のものが飛んでくるので回避に専念するがかわしきれずいくつかに当たってしまう。

 

「流石にこのままじゃ厳しいな。……仕方ないか、武器の領域(アームズテリトリー)

 

ギフトカードからたくさんの武器を取り出すと空中にばらまき、ギフトを使って固定する。

 

「これでここは俺の領域だ。全力で勝ちにいく!!」

 

手に持っていた剣を投げつけると、それに合わせて走る。ジャックはそれを弾くとそのまま攻撃をしかけてくる。

それを近くに固定してある剣を足場に、空中へと回避しながらハンマーを手に取り背後に回る。

すぐさまハンマーをフルスイングしてジャックを吹き飛ばし、その場にあった銃に武器を代えて乱射する。しかし、それは炎の壁によって阻まれ、そこから火球が飛んでくる。

 

「この数は厳しいな…………平面での話ならだけどなっ!」

 

ハンマーを足場にして空中へと飛び上がり、その先で別の武器を蹴ることで立体的に回避し、それでも間に合わない物は武器をぶつけることで逸らす。

やられっぱなしでいるわけにもいかないので武器を飛ばす。ジャックはそれを飛んで回避しながら火球を放ってくる。

 

「周りのやつも当てようとしてるんだけどな………………ああ、スペカ欲しいな」

 

ジャックを攻撃するのには手元から放っている物だけでなく、飛んでいく先に有る物も使ってやっているのだが、それを捌き俺に反撃してくる実力に舌を巻く。

しばらく弾幕を張っているとジャックの周りの武器が無くなってきたので一度攻撃をやめる。

 

「なあ、そろそろ決着をつけないか?弾幕を張ってるだけじゃ終わる気がしない」

 

「いいのですか?あなたの目的は足止めだったはず」

 

「もう十分だ。それに、ここまでやって決着はお預けは嫌だからな」

 

「……そうですか。それならば全力の一撃でいきますよ!!」

 

ジャックの頭上に炎が集まっていき、巨大な一つの火の玉となる。

俺もそれに対抗するために武器を塊にし、巨大な氷の塊を大量に作る。

 

「それじゃあ終わりにするか。氷星の軌跡(アイスミーティアー)!!」

 

同時に放たれた攻撃はぶつかるとその場で拮抗する。炎は氷を溶かしていくが、次々と降ってくるので次第に威力が弱くなっていく。

炎が消滅するのと氷がなくなるのは同時だった。それと共に俺達は地面に倒れる。

 

「ハアハア、流石に動けないな。追いかけるなら行けばいい」

 

「いえ、私も動けません。この勝負あなた達の勝ちです。ですが一つ聞かせて頂いてもいいでしょうか?」

 

「ん?何だ?」

 

「私を足止めすると言ったときのあなたはなんとかして勝つ、というよりも勝つための保険という感じでした。その理由を聞かせて頂きたい」

 

「……バレてたか。不信感を抱かせないように足止めしようと思ったんだけどな……感じに出てたか。まだまだだな」

 

「では、あの時点で勝利を確信していたと?」

 

「確信ていう程じゃないけどな。策は上手くいったんだがあんたに耀を倒されると意味がないからな」

 

「策とは?」

 

「簡単な話だよ。このゲームに勝とうとするなら相手より先にゴールに出るのが一番だろ?あんたみたいに壊せないのが相手だとクリアしようがないからな。だったら、どうやったら先にゴール出来るのか。相手をゴールさせなければいい。(・・・・・・・・・・・・・・)

 

俺の一言でジャックは納得したような声を出す。

 

「……そういうことですか。最初にあなたが走った方向がゴールであり、その場所がわかるならばあなたの方に行くはず。しかし、行かなかったので私達はゴールの方向を知る方法が無い。だからゴールのない方向に誘導し、その先にゴールがあるかのように思い込ませた」

 

「そういうことだ。後は適当なタイミングで俺達だけゴールに向かえばいい。まあ、今回はあんたの足止めで視界が封じられたら丁度よかった」

 

「……あなたの掌の上だったということですね」

 

「いや、耀がゴールの向きを知ることができたから上手くいっただけだ。二人だから勝てるって言っただろ?」

 

『勝者、春日部耀!』

 

話していると、終わりを告げるアナウンスが流れる。

どうやら先にゴールできたみたいだ。

少しすると、ここに来たときと同じように景色が変化し、闘技場に戻ってくる。

 

「負けてしまいましたか。最後に一つだけあなたに忠告を。おそらく、あなたのギフトは今使っているレベルのものではなくもっと強大な力のはずです。大きな力は使い方を誤れば自分だけでなく周りにも被害を出すでしょう。そのことをお忘れなきように」

 

「…………そうだな。忠告感謝するよ」

 

ジャックの言葉にギフトを手に入れた時のことを思い出す。あの時は友人や他のお客さんに被害がなかったが、部屋は氷漬けになっていたのでもしかしたらあの時に、と考えてしまう。

 

「やったね、吹雪」

 

「……そうだな!何はともあれ格上に勝ったんだな」

 

「うん」

 

やって来た耀にさっきまでの雰囲気を悟られないように何とか気分を上げる。

すると、何かがヒラヒラと落ちながら視界に入ってくる。それは黒い契約書類だった。

 

「…………ジャック、これは魔王のものか?」

 

「……ええ」

 

「魔王の襲来か。耀、気を引き締めて行くぞ」

 

「わかった」

 

そして観客の誰かが叫ぶ。

 

「……ま、魔王が現れたぞぉぉぉぉ!!!」




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