問題児たちが異世界から来るそうですよ?~箱庭に訪れる冬~   作:bliz

25 / 53
UA10000突破ありがとうございます!これからもよろしくお願いします!

本編……どうしてこうなった。
交渉に行かせるつもりが予定が変わり、なぜか後半の方が字数が多くなるという。

それではどうぞ!


襲来と独白!

『ギフトゲーム名 ”The PIED PIPER of HAMELIN”

 

・プレイヤー一覧

・現時点で三九九九九九九外門、四000000外門、境界壁の舞台区画に存在する参加者、主催者の全コミュニティ。

 

・プレイヤー側・ホスト指定ゲームマスター

・太陽の運行者・星霊・白夜叉

 

・ホストマスター側 勝利条件

・全プレイヤーの屈服、及び殺害。

 

・プレイヤー側 勝利条件

一、ゲームマスターを打倒。

二、偽りの伝承を砕き、真実の伝承を掲げよ。

 

宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。 ”グリムグリモワール・ハーメルン” 印』

 

「これが今回のゲームか。とりあえず耀は白夜叉を探してきて、飛鳥達と合流してくれ。指定されてるんだから何かされる可能性がある」

 

「吹雪はどうするの?」

 

「魔王様の足止めだな。ジャック、魔王を強制的に撃退する方法ってあるか?」

 

「はい、箱庭の貴族の力を使えばゲームを一時的に中断することが可能です」

 

「それじゃあそこまで粘るか。……手札が心許ないがやるしかないな」

 

さっきのゲームでジャックに全力の一撃を放つために手持ちの氷をかなり使ってしまい、今は最低限しか残っていない。

 

「来たよ!」

 

耀の言葉で上を向くと魔王と思われる集団が空から降りてくる。

どいつが魔王か見定める前に客席から何かが魔王に向かって飛んでいく。

 

「…………十六夜だな。一人は抑えてくれるだろうから、残りをどうにかするか。とりあえず先制攻撃してくるから、後は任せた!!」

 

耀に後を任せ、空中に足場を作りながら加速し、目についた黒い服の奴に目標を定める。剣を取り出し、勢いのままに斬りつけるが止められる。

 

「流石魔王の一団だな、これぐらいなら難なく止めるか。ところで、魔王はお前か?」

 

「どうでしょうね、何か根拠でもあるの?」

 

「俺のイメージで魔王はだいたい黒い服を着てるからなっ!!」

 

返事と共に斬りつけるがそれはかわされる。

この間にも他のメンバーは地上へ降りていく。

 

「おもしろいわね、あなた。そのイメージ間違ってないわよ。魔王は私よ」

 

「教えてよかったのかよ」

 

「その内バレるでしょうし。それに、最終的に勝てば問題ないわ」

 

「それにしても意外だな。魔王がこんな見た目だなんて。まあ、男と殴りあったりするよりマシか。画がかなり違う」

 

俺の目の前で魔王と名乗ったのは女の子だった。

 

「そんなことを言っていられる余裕があるのかしら?さっきからあなたの攻撃当たってないけれど」

 

「厄介だなその風。物理じゃ相性が悪すぎる」

 

魔王は風を操り、ことごとく俺の攻撃を防ぐ。その風の色は黒く、一目でまともなものでないことがわかる。

 

「そう言ってはいるけれど、あなた私を倒す気がないわね。足止め、時間稼ぎ、そんなところね」

 

「まあな、俺じゃ相性が悪いし。ゲームの方も考えたいし一回退いてくれよ」

 

「嫌よ、あなたとこうしてるのにももう飽きたわ。死んで」

 

言うのと同時に魔王は防御に使っていた風を放つ。それを見た瞬間に何かヤバイと直感し、全力で避ける。

 

「残念、当たれば死ねたのに」

 

魔王は残念そうにしながらも、連続で風を放ってくる。おそらく、一回でも当たるとろくなことにならないので全て避ける。避けながら反撃として銃を撃つが、風によって防がれる。

しばらくすると、魔王による攻撃が止む。

 

「……攻撃が止んだ?いや、こんなときは大体……やっぱりかよ!」

 

魔王は避ける場所を与えなければいいとばかりに、全方位に風を放つ。

少し離れていたため、俺の所に来るまでに時間がかかる。俺との距離が半分ぐらいになった瞬間に雷鳴が鳴り響く。

 

審判権限(ジャッジマスター)の発動が受理されました! これよりギフトゲーム”The PIED PIPER of HAMELIN”は一時中断し、審議決議を執り行います!プレイヤー側、ホスト側は共に交戦を中止し、速やかに交渉テーブルの準備に移行してください!」

 

「命拾いしたわね」

 

「かもな。でも、最終的に勝つのは俺達だ」

 

 

 

 

 

地上に降りると既に集まっていた十六夜達と合流する。

 

「戦況はどうだ?」

 

「まともに動けるのは俺と黒ウサギだけだ。その上、お嬢様は行方不明ときた」

 

「飛鳥は心配だが、とりあえず今は交渉を優先したほうがいいな。これの結果が勝敗を左右するだろうからな」

 

「交渉は俺がやる。お前は春日部のフォローを頼む。お嬢様がいなくなったときに何も出来なかったから引きずってるみたいでな。交渉後すぐに開戦って言われたらヤバイからな」

 

「わかった。出来れば開戦までの時間を稼いでくれ。ゲームの考察もしなきゃいけないし、手札の補充をしときたいからな。上手くやってくれよ」

 

「お前もな」

 

十六夜は交渉の場に向かい、俺は耀の所へと向かう。

耀を探して歩き回っていると、人目につかないところに一人でいるのを見つける。耀の表情はどこか思い詰めたものだ。

 

「…………十六夜に話は聞いた」

 

「……私、何も出来なかった。……飛鳥は私を庇って…………」

 

耀は飛鳥がいなくなるまでのことを話す。相手のギフトのこと、それのせいで何も出来なかったこと、最後には飛鳥に庇われたこと。

 

「……私のせいだ。私があの時動けたら……飛鳥は……」

 

「一人で抱えこまなくてもいいんじゃないか?」

 

「……でもっ!」

 

「相手に力が及ばなかったのは事実かもしれない。でも、それを言うなら俺にだって責任はある。先に攻撃した時に一人じゃなく、全員を足止め出来ていればこうはならなかった」

 

「……それでもっ! 吹雪は一人抑えてた! ……私は何も出来てない!今までだって、そうだった!私は何も……えっ?」

 

自分が何も出来なかったことを悔やみ、叫ぶ耀を優しく抱きしめて、落ち着けるように頭を撫でながら語りかける。

 

「……誰だって失敗するし、今回みたいに何も出来ないことだってある。そのことを後悔したり、責任を感じるのは当たり前だと思う。でも、大切なのはそこからどうするかなんじゃないか?」

 

「ぐすっ…………そうだよね」

 

「俺が言えることじゃないかもしれないけど、助けが必要なら言ってくれればいい。それに、俺は昨日耀に助けられてる。かなり悩んでたんだけどな、耀のお陰で楽になった」

 

「……ありがと、私は皆の役に立ちたい。それと、あいつを一回殴ってやりたい。私のけじめとして。だから、私を助けてくれる?」

 

「もちろん、俺が耀を手伝う。だからさ、今は弱音とか全部吐き出して楽になったらいい。全部俺が受け止めるから」

 

その言葉と共に耀は泣き出し、嗚咽混じりに思っていることを吐き出す。

 

「………私、箱庭に来るまでは一人だった。……人間の友達がいなかったから、……吹雪や十六夜、飛鳥達が仲間になって嬉しかった。…………今までしたことなかったことがたくさん出来て楽しかった。……でも、……ぐすっ……気がついたら吹雪や十六夜が私より前を歩いてて、…………今日のことで飛鳥も先に行って、私だけが取り残されてる……そんな気がして。……そしたら、私がいなくてもって考えて。…………でも、それは嫌で……」

 

そこまで聞くと、無意識に耀を撫でるのを止め両手で強く抱き締めていた。

 

「大丈夫だ……俺達は仲間なんだから耀を置いて先に行ったりしない。……約束しただろ? いなくならないって。俺はいつだって耀の隣にいる。……それでも不安なら、隣にいれるように今の自分が出来ることをすればいい」

 

「…………うん」

 

俺の言葉に安心したのか、耀は本格的に泣き出す。しばらくそのままでいると、耀の泣き声が止み、その代わりに寝息が聞こえてくる。

 

「……寝ちまったか。さて、これからどうするかな」

 

耀は俺に抱きついたまま寝てしまったので部屋に運ぶために腕を外そうとするが、なぜか離れない。これではおぶることもできないので何度か試してみても上手くいかない。

 

「はぁ、仕方ないか」

 

このままではどうしようもないので手段を変えて運ぶことにする。俺は片方の手で耀の膝の裏を抱えて足を持ち上げ、もう片方の手で背中の辺りを支える。

いわゆる、お姫様だっこだ。

 

「……流石に十六夜に見られるわけには」

 

「無理だぜ」

 

「……お前な、そこは空気読んで見て見ぬふりしてくれよ」

 

「こんなおもしろそうなこと逃すとでも?後な、すぐに確認しといたら方がいいことができたからな」

 

途中までふざけていた十六夜の表情が真剣なものになる。

 

「交渉の方で何かあったな。用件は?」

 

「相手の魔王がペストだった。既に黒死病の菌をばらまいてあるから早い奴なら今日にも発症するだろうってな。お前はどうだ?」

 

「今の所は大丈夫だな。だるさとかも全くない」

 

「……そうか。詳しいことは春日部含めて明日話すから、今日はゆっくりしとけ」

 

俺の返答に十六夜はどこか驚いたような顔をするが、すぐにいつもの表情に戻る。

それからは、十六夜にからかわれながらも何とか耀を部屋まで運んだ。耀をベッドに寝かせてからあることに気付く。

 

「……あれ?もしかして俺寝られない?」

 

耀は俺に抱きついたまま離れないので、ベッドの縁ギリギリで寝かせてある。ベッドを枕のようにして寝ようとしても耀がいるので寝ることができない。

流石に寝ないのはマズイので打開策を考えていると、ある案を思い付く。

 

「……これは流石にマズイかな。でも、寝れないのはキツいしな。よし、朝一で謝ろう」

 

考え付いた案というのは耀と一緒にベッドで寝ることで、マズイとは思うが睡魔に抗うことが出来ず、結局寝ることにする。

 

「これはこれで寝れないな」

 

寝ようとすると耀が隣で寝ていることを意識してしまい、結局眠ったのは日付が変わってからだった。

 




感想お待ちしています。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。