問題児たちが異世界から来るそうですよ?~箱庭に訪れる冬~ 作:bliz
今回は途中まで三人称、続きは一人称という形になっています。読みにくいかもしれませんがご了承ください。
それはそうと、前半は若干暴走しています。ですが、後悔も反省もしておりません。
こんなのがたまにあってもいいじゃないか!
ということで本編をどうぞ!
「……っん。……朝かな?」
次の日の朝、耀は目を覚ます。昨日悩んでいたことが嘘のようにスッキリとした目覚めだ。
目が覚めて眠気がなくなっていき、周りの状況を認識すると違和感があることに気付く。自分が何かに抱きついているのだ。何を抱いているのかを確認して一瞬で顔が真っ赤になる。
「私、どうして吹雪に抱きついて…………そっか、あのまま寝ちゃったんだ」
耀は昨日の自分の行動を振り返り何とか状況を把握する。
「それじゃあ吹雪がここまで運んでくれたのかな。後でお礼言っとかないと。そういえば私、吹雪のことどう思ってるんだろ?」
(初めて会った時は……雪をクッションにして寝てたんだっけ。それからガルドに会ってゲームをすることになって……あの時は……ガルドが遊ばれてただけだからいいや。その次はレティシアが来た時だね……そうだ、あの時は確か吹雪がレティシアを庇って……)
「邪魔するぜ」
考え始めたところで十六夜が部屋に入ってくる。このとき耀は気付いていなかった…………抱きついている今の自分の状況に。
「ほぅ……これはほんとにお邪魔だったな。失礼したほうがいいのか?」
「えっ?………………こ、これはそういうのじゃなくて、ただ気が付いたらこうなってて…………」
十六夜はそう言うが、帰る気を見せず今の状況を楽しそうに眺める。
耀は十六夜がニヤニヤし始めたのを不思議に思い今の自分の状況を確認し、顔を真っ赤にしながら否定する。
「まさか昨日のうちに一緒に寝るようになるまで進むとはな」
「だから違うってば!」
「まあいい、とりあえずそいつ起こすから出てこい。からかわれたいなら話は別だが」
耀は渋々ベッドから出る。
十六夜は枕を構えるとそれで叩こうとするが、途中でやめる。
「どうせなら春日部に起こしてもらった方がおもしろそうだな。……てことで、任せた」
「……何で私が。……………………恥ずかしいし」
「もう一回弄られるのとどっちがいい?」
「…………わかった」
耀は十六夜に脅迫され、渋々引き受ける。
「ほら吹雪。起きて、朝だよ」
耀が呼び掛けながら揺するが全く反応を見せない。それを見た十六夜はどうせならと言わんばかりのおもしろがった表情で耀に耳打ちをする。
「吹雪の上に乗ってーーーーって言えば起きるんじゃないか?」
「……そ、そんなの言えるわけ…………」
「別に、一緒に寝てたことで弄っ」
「わかったよ!やるから」
耀が上に乗り心の準備をしている間に、十六夜は吹雪に近づくと、体を抑え口を塞ぎ、起きても反応できないようにしてからあることを囁く。
「…………………………お姫様だっこ、添い寝」
吹雪はその爆弾に反応して起きようとするが十六夜のせいで身動きすることができない。
そんなやり取りに気付かず心の準備をしていた耀は起きていることに気付かないで言われたことを言う。
「…………お、起きて。お、お兄ちゃん。……あ、朝だよ……」
それを聞いた十六夜は抑えていた手を離して満足そうに離れる。
「……おはよう、耀」
「……十六夜っ!!」
吹雪が挨拶をしてくるが、その顔がどこか気まずそうなのを見て耀は全てを察し、枕を投げる。
「ヤハハ、おもしろいものを見させてもらったぜ。春日部があんなことを……」
「十六夜のせいでしょ!!」
「気にするな。とりあえず春日部は降りてやれ、そのままだと動けないからな。吹雪はとりあえず部屋戻ってこい」
「ああ」
吹雪は一旦部屋に戻る。
「春日部、とりあえずいいこと教えてやるよ。お前……昨日吹雪にお姫様だっこされてたぜ」
「…………えっ?」
今日何度目かわからない驚愕と共に耀の顔は更に赤くなる。
「抱きつかれたままだったから、おぶれなかったんだろうな。隣で寝てたのもそういうことだろ」
「……そうなんだ。吹雪、絶対気にしてるんだろうな」
「こっからは真面目な話だ。あいつのことどう思ってるんだ?どうせ、俺が部屋に来た時考えてたんだろ?」
状況から何を考えていたのかを当てる十六夜、もはやエスパーのレベルである。
「……そうだけど。吹雪のことか…………最初は自由だなって感じで、レティシアの時にすごく心配になって。……それから吹雪のことが少し気になるようになって、いつの間にか十六夜や飛鳥よりも親しくなって。……吹雪は優しくて、仲間思いで、便りになって、いつも私を助けてくれて、でも、自分よりも仲間を優先するところは直して欲しいかな。そんなところだね」
「………………ここまででなんで気づかないんだよ」
話を聞いて自分が吹雪を好きだと言っているのに近いことを話していることに気付かないことに呆れる十六夜。
「そろそろあいつが帰って来るだろうから、いつも通りに話せるようにしとけ。さっきまでの話を本人にしたいなら別だが」
言い終わると同時に扉が開き吹雪が入っきた。
~~~~~
時は少し遡る。
衝撃的な目覚めを十六夜に提供され、事態についていけないまま部屋を追い出された俺は自分の部屋に戻り、朝食を食べに行くために歩いていた。
「何食べようかな。そういや、耀もまだ食べてなさそうだったしパンとかにして持って行った方がいいか。食べてたとしても、自分で食べたら…………耀なら食べるか」
何にするかは決まったので、どこで手に入れるか考えているとジャックに出会う。
「お、ジャックか。何処かでパン売ってるところないか?朝食に食べようと思うんだがなかなか見つからなくてな」
「ヤホホ、それならあっちにホットドッグを売っている屋台がありましたよ。ゲームの方はよろしいので?」
「これから考えるところだ。とりあえず何か食っときたいからな」
「そうですか。私はゲームに参戦することが出来ませんので、よろしくお願いします」
「ん?何で参加できないんだ?」
「私は今回作品として来ていますので、参戦権がありません」
「そうか、ジャックがいてくれた方が戦闘が楽になるんだが、仕方ないな」
「ゲーム以外のことでお手伝い出来ることがあれば言ってください」
そのままジャックと別れ教えてもらった店に行く。そこに着くとホットドッグを多目に買って、耀の部屋に向かう。
「……そういえば寝てたこと謝ってないな。とりあえず部屋にいったら謝るか」
それからは何事もなく、すぐに耀の部屋の前に着く。迷っていても仕方がないので、すぐに謝ることだけを考えて扉を開ける。
中にいた二人はさっきまで何か話していた様な雰囲気だが、たぶん俺は関係ないので気にしない。
「……あ~、耀。とりあえずごめん。勝手に隣で寝ちゃって」
「別にいいよ。私がずっと離さなかったみたいだし。…………………………嫌じゃなかったし、むしろ……」
最後に耀が何か言った気がするが聞こえなかったが、許してもらえたのでよしとする。
「じゃあこの話はもういいな。十六夜、今の段階で分かってることを話してくれ。あ、これ朝御飯に買ってきたから耀も食べるか?」
「食べる」
やはり、まだ食べていなかったのか耀は嬉しそうに受け取る。
十六夜は話を始める前に改められた契約書類を渡す。
「わかった。食いながらでいいから聞いとけ。 とりあえず相手だが、ラッテンはドイツ語でネズミの意。ネズミと人心を操る悪魔の具現。ヴェーザーは地災や河の氾濫、地盤の陥没などから生まれた悪魔の具現。シュトロムはドイツ語で嵐の意。暴風雨などによる悪魔の具現。ペストは斑模様の道化が黒死病の伝染元であったネズミを操ったことから推測。黒死病による具現。こんなところだな」
「そういや昨日俺に聞いてきたな」
「そうだった。お前ら体調はどうだ?」
「俺は大丈夫だ」
「私も」
俺達の返答に十六夜は考え込む。
「……あいつが嘘を言ったのか? ……いや、あれは普通に言った感じだったが……」
「どうした?」
「昨日の交渉でペストが正体がバレたときに『さっき私と戦った銀髪の人、特別強力なのかけといたから。今日中に確実に発病するわよ。耐性があっても無駄よ。無効化されない限り』って言ってたんだよ」
「耐性なら心当たりはあるけど、無効化はな……」
俺は耀とお揃いのブレスレットを見る。これを貰ったときに耐性を付けると言っていたので、耀が発病していないのはそのお蔭だろう。
「まあいいか、クリア方法はどうなんだ?」
「偽りの伝承を砕き、真実の伝承を掲げよ。つまり”砕き”、”掲げる”ことが出来る物だからステンドグラスじゃないかと思う。伝承に関してはあいつらの中から本物を当てるってことでいいと思うぜ」
「ステンドグラスで正解だと思う。さっきジャックに聞いたんだが、ジャックは作品として参加してた。だからあいつらはステンドグラスを媒介にしてるんだろう。それと、ステンドグラスの保護にあたる奴らに護衛をつけた方がいいな。そこを妨害するだけで相手の勝率がかなり上がるからな」
「おそらくそこにはラッテンが来る。手駒が増える状況は願ったりかなったりだろうからな」
「だったら、俺と耀にやらせてくれ」
「お願い、私のけじめの為にあいつに一発入れてやりたいの」
耀の熱意に押され、十六夜が折れる。
「わかった。ただし、護衛はレティシアを主体にやってもらう。お前らは二人でヤバそうな所を見つけたら動けるようにしといてくれ。春日部なら遠くの状況もわかるだろからな」
「……そういや、ペストってどんな病気なんだ?詳しく教えてくれ。対策が出来るかもしれないから情報が欲しい」
「ペストは別名黒死病、その名の通り発病すると体に黒い斑点が表れる。症状にもよるが適切な治療をしなければかなりの確率で死に至る。昔はヨーロッパで14世紀に大流行して…………14世紀?これだと年代が……くそっ、すっかり騙されたぜ。あいつらは
「十六夜、とりあえず説明してくれ」
情報を話ながら思い当たることがあったのか一人で思考を加速させていく十六夜。俺達は完全に置いていかれてるのでとりあえずストップをかける。
「悪い悪い。端的に言えば正解はヴェーザーだ。他の奴らは後の時代になって考えられたもの、つまり今回のゲームの年代よりも後の伝承だ。白夜叉を封印したルールもわかったぜ。ペストは太陽が寒冷期に入り活動が弱くなったことで蔓延した。そこを利用したんだろう」
「それじゃあゲームクリアの方針としては、ヴェーザーのステンドグラスを保護し他を破壊。ペストの打倒。この二つでいいな」
「どうやってペストを倒すの?」
「……そこなんだよな。戦ってみてわかるんだが、ペストの使う風が厄介すぎる。殆どの攻撃が防がれた。十六夜みたいにギフトの無効化が出来るんなら話は別なんだけど」
さっきの話で俺も無効化が出来る可能性があるが、やり方がわからず、出来るかすらもわからないので提案するのはやめておく。
「俺はヴェーザーとやるぞ。あそこまでやり合ったからおそらく俺を狙ってくる」
「となると、黒ウサギにペストの足止めを任せて俺達はヴェーザーとラッテンの撃破。それから合流してペストを。基本はこんなところだろ」
「だな。お前らペストを発病するなよ。一人でも欠けると作戦が変更になるからな」
「……飛鳥、大丈夫かな」
耀が飛鳥のことを思い出し心配する。
「そこまで心配するなよ。お嬢様だって仲間で問題児なんだぜ。どうせゲーム中に戻ってきたりするさ」
「……なんか俺達も問題児って言われた気がするけど。……十六夜の言う通りだ。飛鳥は仲間なんだから信じてやればいい。それが今の俺達が出来る唯一のことだからな」
「……うん、そうだね」
感想お待ちしています。