問題児たちが異世界から来るそうですよ?~箱庭に訪れる冬~ 作:bliz
……はい、叫んだ通り現在テスト期間です。
ほんとに何やってるんだ。
夜中の眠けざましに書いてたらいつのまにか進んでました。
今回は謎解き編です。無理矢理感があるかもしれませんがご了承ください。
それでは本編をどうぞ!
「…………どうしてこうなった」
屋敷を出た俺は自分の判断が間違っていたかもしれないことに気づく。なぜなら、この屋敷を守っている人と戦っていたはずの人達が俺の姿を見るなり全員襲ってきたからだ。
入る時はそこまで襲われてなかったことを考慮すると、来た時と今との違いがこの状況を生み出していると考えるのが妥当となる。
そしてそれに当てはまる物はあれしかない。
「……この球だよな、絶対に。てことは、少なくとも街の半分を敵に回したわけか。まあ、戻してくるなんて選択肢はないけど」
もし今ここにいる人達が神具を手に入れるためにここに来ていた場合、この屋敷にあるのを二つとも持っている俺は必然的に狙われることになる。そして、わかっている範囲では四つある神具の内三つを持っている俺はかなりの人数の相手をしなくてはならない。
しかし、こんなことで諦めていてはゲームをクリア出来ないので覚悟を決めて人だかりの中に突っ込む。その瞬間周囲から今までとは比べ物にならない人数からの剣閃が襲いくる。俺はギフトカードから操れる限界の量の剣を取り出し、その内の二本を手に持ち他を操って攻撃を弾く。けれど、人数が人数なだけに対処が間に合わないものが出てくる。その中で致命傷になり得るものだけをかわし、かする程度のものは無視して進む。
そうして何とか敷地を出ると一時的に人がいなくなったので武器をしまい一息つく。その段階で俺の体にはいくつものかすり傷ができていた。
「ここを抜けるのだけでこれだと先が思いやられるな。今のままだと氷が足りるかもわからないし……っ、お前らもこれ狙いってわけか?」
気がつくと辺りを狼に囲まれていた。今まで人を襲っているのを見なかったことを考えると狼達も神具を狙っているように思える。そして、それによって今朝の出来事にも別の可能性が浮かんでくる。俺が縄張りに入ったから襲われたのではなく、俺が持っていた神具を狙って襲ってきたという可能性が。
「はぁ……更に敵が増えるのかよ。これ最終的にどうなるんだ」
更に悪くなっていく状況に憂鬱になりながら狼の相手をする。今回は朝と同じように手榴弾をメインにして戦っているので疲れはしないが手持ちの氷は減っていく。一応かなりの量を持っているが、このペースで戦闘をしていればいずれは尽きてしまう。それを防ぐためにどこかで補充したいがこの状態ではそれもままならない。
しかも、爆音に気づいた人が集まり始めている。
「強行突破しかないか……」
今までのように屋根の上を行きたいところだが、既に人で埋まっていて乗るスペースもない。
そうなると必然的に街の中を行くしかなくなるのだが、相手にしなければならない人数を考えるとかなり危険な選択になる。しかし、進まなければクリアできないのも事実なのでやるしかない。
俺はギフトカードから剣を何本か取り出し、二本を手に持ち他を自分の周りに漂わせる。そして、集まってきた人を薙ぎ倒しながら進む。
「リアル戦国◯双やってみたいとは思ってたけど、いきなり難易度高すぎだろ。ゲームみたいに倒していければどれだけ楽か……」
こんなことを言っている余裕があったのも最初だけで、街の中心に近づくにつれて人数が増えていき進む速度も遅くなっていく。神具を手に入れて屋敷を出たのは午前中だったが、街の中心に来た頃には正午を過ぎていた。
今までは屋根の上を走っていたので気づいてなかったが、街の中心は広場になっていて、今はそこが人で埋め尽くされている。その数は膨大で、何人か倒して隙間を作ってもすぐに埋まってしまい、止まることを余儀なくされる。そうしている間に後ろからも人が来て取り囲まれる。
「……これはヤバいな。まあ、ここが正念場みたいだし頑張りますか」
人が集まってきているので、ここを抜けることができれば後は戦闘も少なくなるはず。そのことを意識して気合いを入れ直す。
手札を出し惜しみして負けては元も子もないないので、ギフトカードから出せるだけの武器を取り出し人を倒していく。
それだけやっても人が減っていく気配はなく、疲労やダメージのせいでむしろ増えているのではないかと思ってしまう。どれだけ時間が経ったのか、どれだけの人を倒したのかもわからないまま戦い続け、気がついた頃には辺りはすっかり暗くなりっていた。周りを見渡すと立っている人はほとんどいない。とりあえず自分の状態を確認してみると、体はボロボロで、極限状態でギフトを使い続けたせいで頭痛もひどい。
「痛っ……ほんとにギリギリだな。屋敷に着いたら休めるといいけど」
フラフラの状態でなんとか進み、もう少しで屋敷の敷地に入れるというところでたくさんの狼達が立ちはだかる。
今の俺に一匹ずつ相手をするような余裕はないのでギフトカードに残っている氷を取り出し巨大な槍を作る。
「
その槍を狼に向かって放つ。今の全力で放った槍は狼達を吹き飛ばし、屋敷の敷地の中へと飛んでいく。
「あ、やばい。屋敷に被害が出てないといいけど」
狼がいなくなったことにはかわりないので、道を進み屋敷へ向かう。
敷地の中を進むと不思議なくらいに人の気配がなく、昨日と同じ場所のようには思えない。そんな疑問も屋敷の入り口に着くと解消される。
そこには入り口手前に刺さった槍とその時の影響を受けたであろう人の山があった。
昨日会ったあの人を探してみるが姿が見えない。どうやら一緒に吹き飛ばしてしまったらしい。
「やっちゃったのは仕方ないし、さっさと神具回収するか」
その為に屋敷に入り、そこにあった時計を何気なく見ると十二時まで後一分だった。それを見た瞬間、昨日の出来事がふと頭をよぎる。
「ちょっと待て、昨日のあれが十二時になって鳴ったんだったらヤバい!」
そのことに気づいたときには俺は既に走り出していた。昨日も通った通路を抜け、神具のある部屋に向かう 。何とか鐘が鳴る前に部屋の入り口に辿り着くことができる。
しかし、部屋に入ろうとドアノブに手をかけた瞬間鐘の音が鳴り響く。
それによって昨日のように意識が失われていく。俺はそんな中で体を動かし神具を手に入れようとする。そして、俺が神具に手を伸ばすのと意識を失うのは同時だった。
俺は目を覚まして辺りを確認するとそこは昨日と同じように森の中だった。まず自分の状態を確認すると頭痛は治まっていたが体のあちこちの傷から痛みが走る。次に昨日最後に手を伸ばして神具を手に入れられたのかを確認するが、持っているのは三つだった。
「マジか……街行ったら戦闘は確定だし今のうちに考察してみるか」
まずは契約書類を取り出し一文ずつ内容を確認していく。最初に気になったのは『月日も繰り返す』という部分。昨日までの二回の経験とこの一文からある可能性が浮かび上がる。
「まさか……同じ日が繰り返してるのか? 」
これが本当なら昨日街に入ってすぐに襲われたときの既視感にも納得が行く。それもそのはず、同じことを繰り返しているのだから当たり前だ。
しかし、一つ謎が解けるのと同時にそれは俺にある現実を突きつける。同じ日が繰り返しているのなら倒された人や怪我をした人が元気になっている可能性が高く、戦闘になれば俺が不利になるということだ。それなら俺の傷も治してくれればいいのだがそこまで都合がいいわけもない。
「後気になるのはクリア条件だな。この神具が絡むのは間違い無さそうだけど、これが終わりとどう繋がるのか……そういや石盤もあったな」
思い詰めていた時に忘れかけていた石盤の存在を思いだし、その内容も考えに入れる。すると、契約書類と石盤の内容に繋がりのようなものを見つける。『 冬の終わりには月日が流れず終わりが始まる』と『終わりの始まりし時世界は闇に包まれるだろう』いう文と 『太陽を追いし者いずれ太陽を飲み込み世界を終焉へと導く』 と『月を追いし者いずれ月を飲み込み世界を終焉へと導く』という文だ。
まずは『闇に包まれる』という部分と『太陽と月を飲み込む』という部分、これは太陽と月がなくなることで光がなくなり闇に包まれると捉えることができる。
次に『月日が流れない』という部分、これも一つ目と同じようなことで、月日が流れるということは太陽が上って沈み、月が上って沈むことと考えることもできる。だからこれも太陽と月の運行が止まる、つまり飲み込まれると考えることもできる。
最後に『終わりの始まり』という部分と『終焉へ導く』 という部分、これは見た通りだ。
「となると鍵になるのは太陽を追う者と月を追う者か。次はそれについて考え……お前ら本当に嫌がらせみたいなタイミングで出てくるよな」
考察を続けようとするが、辺りを囲むように現れた狼によって中断させられる。昨日も含めて俺の行動を妨害するという点では完璧なタイミングで出てくる狼達に軽く怒りを覚える。憂さ晴らしを兼ねて手榴弾で攻撃しようとするが、昨日使いきってしまっていたことに気がつく。
とりあえず壁を作って狼を寄せ付けないようにして武器がどれぐらい残っているのかを確認する。
「……あ、そういや残り全部槍にして投げてたな。回収してたからよかったけど……」
残っていたのは昨日投げた槍の分だけだった。それを元に武器を作ると剣が数本と他の武器が数種類出来た。
「これだけでどうにかしろと……」
今の手札でどうするかを考えていると壁にヒビが入る。俺自身の疲労や狼の数を考えても明らかに早すぎる。これではまるでギフトの性能が落ちているとしか思えない。
「くっそ! どこまで難易度上がるんだよこのゲーム! 」
次第に条件が厳しくなっていくのに叫ばずにはいられない。いくらギフトの力の解放がかかってるとはいえ、今の俺にはかなり難易度が高い。
そんなことを言っていられるのも一瞬で、壁が壊され狼が襲いかかってくる。幸いにも一斉に飛びかかってきているので、俺は薙刀を持ってその場で回転し、まとめて攻撃する。それによって一瞬狼達が怯むが、すぐさま襲ってくる。しかも今度は時間差を使い同じことをされないようにする徹底っぷりだ。
俺は街がある方向に向かって走りだし、その時の正面にいる狼を弾き飛ばす。横からくるのはヤバそうなのだけを避け、他は無視する。それでも狼の群れを抜けられたわけではないのですぐに次が襲ってくる。俺は多少のダメージを覚悟して、同じことを繰り返す。
そしてなんとか狼の群れを抜け、追われながら森の中を走る。できるだけ直線で走るのをさけ、木を利用して少しでも狼の動きが悪くなるようにする。
そうしてダメージを最小限に抑え、街の入り口に辿り着く。
「うわ、もういるのかよ。入らない選択肢はないけど、どうするか……」
入り口から街の様子を伺うと、昨日みたいとはいかずともかなりの人数が待ち構えていた。恐らくは入り口の近くに住んでいる人が集まったのだろう。
どうするか迷っていると後ろから狼の鳴き声が聞こえてくる。少しは引き離したつもりだったが、僅かな間に追いつかれたようだ。
「くそっ! 屋根にも上れないし、だからって普通になんて進めるわけないし、せめて空に道でもあれば…………俺はバカか! 足場なら作れるだろ」
今になってようやく自分で足場を作って進めばいいということに気がつく。昨日このことに気がついていればあんなに苦労しなくて済んだかもしれないと思うと、ほんとうに昨日の自分を恨みたくなる。
俺は足場を作り空中へと逃げる。足場を作るときの速度はいつもよりも遅く、ギフトの性能が落ちているのが確定的になる。
とりあえず一息つこうとしたその時、
「は? 普通この距離は来ないだろ!」
屋根から狼と人が飛び移ってくる。今屋根とは普通の人なら届かない距離が開いているので、狼ならまだしも、まともな人なら普通はやらないはずだ。
どうやら理性を失っているように見えたのは本当のようで、まともな判断ができなくなっているようだ。
「これは休んでる暇はなさそうだな。ろくでもないことやられたくないし」
俺は自分の前に足場を作り、後ろの部分を消しながら走る。そうしているのは万が一足場に乗られて追いかけてこられるのを防ぐためだ。
足場がなくなったことがわかったのか飛び移ってくる人の数は減り、その代わりに屋根から剣が投げつけられる。俺は壁を作ってそれを防ぐが、数の暴力は凄まじく、常に作り続けなければならないので体力がなくなっていく。
そのまま走り続けてなんとか屋敷の入り口に辿り着き、下に降りようとしてそれをやめる。
下を見るとそこは人で埋め尽くされていて地面がほとんど見えない。屋敷に二階や、それと同じくらいの高さの位置にある窓があればそこから入るのだが、そんなものはない。
「しっかしどうするか。流石に壁壊して侵入とかはなしだし……やめた、悩んでも仕方ないし突っ込むか」
俺は人の間にある僅かな隙間に入るとハンマーを取り出し、その場で回転する。モン◯ンでの溜め三みたいなことをしていると、ある程度入り口に近づくことができた。そのまま続ければ入り口まで行けるとは思うが流石に酔うのでやめる。
「後はゴリ押しで行くしかないか……というか今までもゴリ押しか」
結局はゴリ押しでの強行突破という結論になる。あれ? 俺今回のゲームでゴリ押ししすぎじゃないか?
俺はハンマーを振り回して人を吹き飛ばしながら突き進む。そのまま続けているとほどなくして入り口に辿り着くことができた。
屋敷に入り、神具のある部屋を目指す。今日は昨日みたいな状況ではないので余裕を持って行くことができる。
部屋に着くと、持っている神具を並べて台の上に置く。後はこれをどうにかすればいいだけのはずなので改めてゲーム内容を考える。
「このゲームの鍵になるのは太陽と月で間違いないはず。それで後わかってないのは黒き太陽と赤き月か」
とりあえず、多いわけではない神話関連の知識を軸に覚えているかどうかを探してみるがなかなかわからない。しかし、どういうわけか完全に知らないという感じがせず、どこかで見るか聞くかしたことがあるような気がする。
それがいつで、どこでだったのかを思い出そうとするがなかなか思い出せない。
「何で思い出せないんだ。これは中途半端に覚えていたからか、それとも昔のことだから覚えてないのか。そういえば子供の頃は彗星とか珍しいのもあいつらと一緒に眺めて…………ちょっと待てよ、確か太陽と月にも珍しい現象があったような……」
解決の糸口になるかもしれないものを見つけ、頭の中からそれに関する情報を引っ張り出す。
「……これか。黒き太陽が皆既日食、赤き月が皆既月食、光の輪はダイヤモンドリングってわけか。ほんと、昔の経験ってどこで使えるかわからないな。今回ばかりはあいつらに感謝しとかないとダメか。さてと、それじゃあこれが意味するのは……」
謎が解けると、それと同時に神具の使い方に思い当たる。見る立場からすると、皆既日食は月が太陽の円の中に完全に重なることで起こる。つまり、
「これが石盤の内容に合ってるなら何か出てくるわけか。たぶんそいつがラスボスだろうな」
出てくるものの正体には全く心当たりはないが、何が出てきてもクリアしなければいけないので関係ない。
「それじゃあ、ラストバトルといきますか!」
俺は二つの小さな神具を大きな方の中に入れる。その瞬間辺りが光に包まれ、それが収まるとそこにあったはずの街が消え、一面の雪原が広がっていた。
そして、目の前には二頭の巨大な狼がいた。
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