問題児たちが異世界から来るそうですよ?~箱庭に訪れる冬~   作:bliz

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 えー、ほんとにお久しぶりです。受験も終わり一段落したので投稿再開です。
 久しぶりなのでキャラが多少ぶれているかもしれませんがご了承ください。

 それでは、本編をどうぞ!


お前たちはやらかした

サラに招かれ部屋に入ると、窓から根に覆われた地下都市や大河が見えた。そこから見える景色から考えるとこの部屋は大河の中心にあるようだ。

 

「では、改めて自己紹介をさせてもらおうか。私は一本角の頭首を務めるサラ=ドルトレイク。聞いての通り元サラマンドラの一員だ」

 

「なるほど。それで大樹の所にあった水晶に見覚えがあったのか」

 

「誤解のないように一応言っておくが、あの水晶やアンダーウッドで使われている技術は私が独自に生み出したものだ」

 

「そうでごさいますか。それで、サラ様。さっき上層から参加の意を伝える手紙が来たとおっしゃられましたが……」

 

「ああ。東西南北の五桁の最上層から一つずつだ。フェアケラソス、アルセヴェント、ラウトグローム、ネージュグラースの四つだ」

 

 それを聞いたジャックが他の皆に気づかれないように俺の方を見てくる。言いたいことは俺がリーダーをやってることをここで言うのか? ということだと思うので、首を横に振って反応する。

 

「確かそのコミュニティは近年リーダーが行方不明で大きな活動はしていないと黒ウサギは聞いていたのですが」

 

「それは私もだったが、何でも最近新しいリーダーが就任したらしい」

 

 この話に着いていけてないのは飛鳥、ジン君、アーシャだろう。耀とジャックはそのリーダーの一人が俺だと知っているわけだし。

 

「あら、上層から来ているのなら会ってみたいわね」

 

「そうでございますね」

 

 言えない。その内の一人がここにいてそれを黙ってた理由が面白そうだからなんて言えない。

 

「それで、ジャック。彼女はやはり来てないのか?」

 

「はい。ウィラは滅多なことでは領地から離れないので私が代わりに」

 

「そうか。北側の下層で最強と謳われている参加者も招いてみたかったのだがな」

 

「「……北側、最強?」」

 

 サラの言葉を聞いた耀と飛鳥が疑問の声を上げる。

 

「ウィラ=ザ=イグニファトゥス。通称"蒼炎の悪魔"。生死の境界にも干渉することができる大悪魔。ざっくり言ったらこんな感じだな。噂だと五桁でも十分いけるとか聞いたけどな」

 

「ヤホホ……大悪魔と言っても五桁は個人技よりも組織力を重視します。強力な同士が一人いるだけでは長持ちしませんよ」

 

「その通り。強力な一個人に依存しているとそこがなくなったとたんに瓦解する可能性があるからな…………そうだろう、ジン?」

 

「え?」

 

 この流れで自分に話が回ってくると思ってなかったジン君は驚く。

 

「東側のノーネームが五桁のペルセウスを打ち破ったのは有名な話。それ以降全く別のコミュニティのようだという噂も聞くのだがな」

 

「あ、そういえばそうだったね」

 

「どこかの誰かさんの脅迫のお陰でね」

 

「さて、どこの誰だろうな」

 

「吹雪さん、そのタイミングでその発言は自白に等しいのですよ」

 

「何をしたのか気になるところだが、今は置いておくとして。先日北側に現れた黒死斑の魔王(ブラック・パーチャー)を倒したのもお前たちだろう?」

 

「そ、それは…………」

 

「別に隠さなくてもいい。今のサラマンドラに魔王を倒せるだけの力はないからな。誰かが手を貸したのだろうと思っていた。故郷を離れた私だが、礼を言わせてくれ。サラマンドラを助けてくれてありがとう」

 

「さ、サラ様! 頭を上げてください!」

 

 俺達に向かって頭を下げたサラに向かってジン君は慌てて頭をあげるように言う。

 

「それで、収穫祭の方はどうだ? 楽しんでもらえているだろうか?」

 

「はい。着いたばかりで多くは見ていませんが、賑やかでいいと思います」

 

「それは何よりだ。三日目以降からギフトゲームは始まるが、それまでもバザーや市場は開かれているからそっちも楽しんでいってくれ」

 

「それじゃあせっかくなら何かおすすめを聞いてもいいか? 」

 

「ふむ……そうだ、確か六本傷が沢山の南側特有の動植物を仕入れたと言っていたな」

 

「それじゃあ、あれもあるのかな」

 

「あれって……ああ、あれね」

 

 サラの言葉に耀と飛鳥は何かを思い出す。俺には心当たりがないので俺のいない間に話に出たんだろう。

 

「あのー、御二方? いったい何を?」

 

「「もちろん、ラビットイーター」」

 

「まだその話が続くのですか!? そんなものがあるわけ」

 

「在るぞ」

 

「在るんですか!?」

 

「それじゃあ……ブラックラビットイーターは?」

 

「それも在るぞ」

 

「何でそんなものも在るんですか!?」

 

 流石に無いだろうと思いながら聞いたであろう耀の質問に対するまさかの答えに黒ウサギが絶叫する。正直かなりピンポイント狙いな時点である程度犯人の目星はつく。

 

「流石にそれが天然で生息したりはしてないよな?」

 

「ああ。発注書ならそこにあるぞ…………山のようにな」

 

「まさか、あれ全部か?」

 

 サラの指差した先には段ボールの山があった。よく見ると全ての箱から微妙に紙がはみ出している。

 黒ウサギはそこに近づいていくと、箱から一枚取りだしその内容を確認する。少しすると黒ウサギの肩が震え始める。

 

「…………フフッ。名前を見ずとも、こんなお馬鹿なことをするのは世界でたった一人なのですよ。あの駄神様以外アリエナイノデスヨ」

 

 黒ウサギは髪を緋色に変色させるとサラの方を向く。

 

「……サラ様。収穫祭にご招待いただき、ありがとうございます。我々は少し用事ができたのでこれで失礼します」

 

「そ、そうか。ラビットイーターは量が多すぎて地下の一室をまるまる占領していたはずだ」

 

「ありがとうございます。それでは!」

 

 言うやいなや、黒ウサギは耀達の首を順番に掴んでいく。俺はそれを何とか回避しする。黒ウサギはもう一度掴もうとはせず地下に向かって去っていった。

 

「何だか色々と凄いな。それで、君は行かなくて良かったのか?」

 

「言っとかないといけないことがあったからな。さっき言ってた上層からのコミュニティ。あそこのリーダーとは面識があるから。すぐに連絡がつけられるわけじゃないけど」

 

「本当か? それならできればでいいが、話があるから今日の夜にここに来るように伝えてくれないか。それと、ノーネームのメンバーにも伝えてくれないか。十年前にアンターウッドを襲った魔王 ── ──巨人族について話があると 」

 

「わかった。上層からの方は良くて三人、悪かったら一人だと思う。四人ともはかなり奇跡的だと思っておいてくれ。それじゃあ、俺は行くから」

 

 そう言うと俺は部屋を出て、黒ウサギ達が行っているであろう地下の展示場へと向かった。

 

 

 

 

 

 地下の展示場に着き、黒ウサギ達を探そうとしていると少し遠い場所から大きな音が聞こえてくる。

 

「あっちか……どんだけ派手にやってるんだよ」

 

 音のする方に向かって少しすると、部屋の入り口と思えるところに立っている黒ウサギ以外の三人を見つける。

 そこまで行ってみて三人の顔をよく見てみると、全員が少し気分が悪そうで、耀と飛鳥にいたっては少し涙目だ。

 

「ん? どうしたんだ?」

 

「……ちょっと気持ち悪いもの見ちゃった」

 

「最初は春日部さんと黒ウサギを止めようと思ってたのだけれどね、部屋一杯の触手を見たら……」

 

「……あー、それはつらいな」

 

 俺が部屋の中を覗いてみると、そこにはラビットイーターが燃えた痕跡であろう灰と残りのラビットイーターを燃やしている黒ウサギの姿があった。確かに、部屋一面の触手を考えてみるとかなり気持ち悪い。

 

「あ、それとサラから連絡。話があるから今晩もう一回来てくれってさ。合流できるかはわからないから先に行っといてくれていい」

 

「はい。わかりました。合流できるかってことは今からどこかに?」

 

「祭りを見て回りながら人探しをな。できれば今日中に会っておきたいし」

 

「それは誰なのかしら?」

 

「会ってからのお楽しみだ。出来るなら今日の夜に紹介するつもりだし。それじゃあ、俺は行くから…………あのバカも捕まえられるといいんだけど」

 

「行ってらっしゃい。二人によろしくね」

 

「「えっ??」」

 

 自分達と同じように俺が会いに行く相手を知らないだろうと思っていた耀の言葉に飛鳥とジン君は驚く。

 

「春日部さん、吹雪君が会いに行く相手を知っているの?」

 

「確信はないけど、予想はつくよ」

 

「耀、合ってるからバラすなよ?」

 

「うん」

 

「それじゃあ、俺は今度こそ行くから」

 

 地下展示場を後にした俺は市場の中でお菓子を中心に売っているエリアに来ていた。というのも、探している相手の一人である玲華はお菓子が大好きなのでここを探せば高確率で出会うことができると考えたからだ。それに、今は俺一人だけでなく狼達にも探させているのでたぶん見つかるはずだ。

 

「さーて、それじゃあ見つかるまではゆっくり……してたかったな。あれはたぶん……」

 

 少し先にある店から出てきてこっちむかって歩いてくるはお菓子の山。お菓子を抱えている主の背が低いのでお菓子の山が歩いているようにしか見えない。でも、顔までは見えなかったが、チラッと見えた水色の髪と髪型には見覚えがある。

 

「おーい、玲華」

 

「あ、吹雪。どうしたの?」

 

「お前を探してたんだけど。そういや楓は?」

 

「向こうのカフェで席取ってるよ。そこでこれ食べるつもり」

 

陽炎(あいつ)は?」

 

「知らない」

 

「はぁ……後で探すか。というか、お前は何でギフトカードに仕舞わず持って歩いてるんだ」

 

「別に忘れてたわけじゃないもん!すぐ食べるからいいの!」

 

「はいはい」

 

 こうしてしゃべりながら少し歩くと、玲華の言っていたカフェに着く。

 

「お姉ちゃんお帰り~」

 

「ただいまー。さっきそこで会ったから吹雪も連れてきた」

 

「お前な、連れてきたはないだろ」

 

 俺と玲華が席に着き、玲華の買ってきた大量のお菓子を三人で食べ始める。

 

「そういえばさっき探してたって言ったけど、何か用事?」

 

「あ、そうだった。今日の夜主催者のとこ行くぞ。話があるから来てくれってさ。ちょっと荒事っぽそうな気がするけど」

 

「内容聞いたの~?」

 

「まあな。巨人についてだって言ってたぞ」

 

「別にいいんじゃない?……あ、これおいしい。……どうせあんたたち二人揃ったら暴走するでしょ」

 

「お前な、そんなのあるわけないだろ…………たぶん」

 

 俺は玲華に言い返そうとするが、実際にそんな状況になったときのことを考えてみるとそれなりにありえることだったので強く返せない。

 

「まあ、そういうわけだから夜まで一緒に行動できるとありがたいけど、問題あるか?」

 

「大丈夫だよ~」

 

「あたしも大丈夫だけど、それだと暇じゃない?面白い話とかないの?」

 

「そんなこと言われてもな……」

 

「そう言えば吹雪……彼女とかいないの?」

 

「…………は?」

 

 玲華からの突然の質問に俺の頭がフリーズする。

 

「何で急にそんな話を。いるわけないだろ」

 

「耀ちゃんとも仲良さそうだったし、ありえそうだもん」

 

「確かに、耀には世話になってるし、ノーネームの中でも仲がいいほうだとは思うけどそんな関係じゃないからな」

 

「でも、完全に好意がないってわけじゃないんでしょ?」

 

「……まあな」

 

 玲華にそう言われ、改めて耀との関係について考えてみる。確かに、飛鳥や黒ウサギと比べてみると、耀に対しては好意的なことはわかる。それでも、それが友人や仲間としての好意なのか、異性に対する好意なのかはわからない。

 

「それにしても、何でこの話にここまで食いついてくるんだ?」

 

「こんな話じゃないと普段弄られてるお返しはできないもん。それに……………このままにしとくと耀ちゃんが可哀想だし」

 

「ん?最後何か言ったか?」

 

「何にもない!」

 

「夜までずっとしゃべってるの~?」

 

「「……どうしよう」」

 

 楓からのまともな質問に俺と玲華は黙りこみどうするかを考える。

 

「このまま吹雪とこの話しても面白くないし……」

 

「頼むからやめてくれ……今その話をされてちょっと頭がごちゃごちゃしてるのに」

 

  正直な話、今までは普通に仲間だと思っていたが、さっきの玲華の話題のせいで耀のことをどういう風に見ればいいのか若干わからなくなっている。

 

「とりあえずどこか行くぅ?」

 

「そうだね。そろそろお菓子もなくなりそうだし。そう言えば陽炎は探さなくていいの?」

 

「今探してはいるけどあいつに関しては軽く諦めてる。さっき、四人揃ったら奇跡だって言ってきたし」

 

「確かに奇跡だね~」

 

「あたしたちの中で一番の気分屋だし仕方ないね」

 

「で、どこ行く?」

 

「お菓子買いに行く!」

 

 やっぱりか、と思いながら楓のほうを見てみると同じことを考えていたようで、二人で顔を見合わせてから先々進んでいってしまった玲華を追いかける。

 

「……そうだった。あいつからは目を離したらダメだったんだ」

 

「いつものことだよね~」

 

 玲華を追いかけ始めてすぐのこと、俺は自分の失敗に気がついた。というのも、玲華は自分が興味のあるものを見つけるとそっちへフラフラと行ってしまうので常にどこにいるかを把握しておかなければいけない。

 

「手分けして探したいところだけど楓と合流できなきゃ意味ないし……一緒に探すか」

 

「は~い」

 

 そうして探し始めること数時間、玲華達と合流した頃はまだ明るかったが、今となってはすっかり暗くなってしまった。

 

「そろそろ見つけないと二人で行かなきゃいけないな」

 

「あれお姉ちゃんじゃないかな~?」

 

「お、そうみたいだけど何かあったのか?」

 

 俺達が見つけたのはどこかしょんぼりとした様子で歩いている玲華の姿だった。

 

「お姉ちゃん、どうしたの~?」

 

「あ、楓に吹雪。……なんか行った先で店が次々と閉まっていっちゃって、ほとんどお菓子買えなかった」

 

「言われてみればけっこう閉まってるな……でも、閉めるにはまだ早いよな。理由は聞いたのか?」

 

「ううん。聞いてないよ」

 

「一応聞いてみるか」

 

 俺達は辺りを見渡し、今丁度店を閉める準備をしている人を探す。

 

「あ、あそこ!」

 

 玲華の見つけたところまで行き、店を閉めようと慌ただしく動いている人に話を聞く。

 

「なんでも、巨人族が攻めてきたらしい。この辺はまだ大丈夫だが、他ではけっこう荒らされてる所もあるらしい。あんたらも逃げた方がいいぞ」

 

「そうなのか。ありがとな」

 

 俺達は店から少し離れ、これからどう動くかの相談を始める。

 

「で、どうする?」

 

「もちろんぶっ飛ばす!お菓子の恨みを思い知らせてやるんだから!」

 

「……だと思った。潰すのには賛成だが、楓もそれでいいか?」

 

「大丈夫だよ~」

 

「うっし、場所もわかったし行くか。二人ともこいつらに乗ってくれ」

 

 俺はギフトカードから三匹の狼を呼び出す。ちなみに、巨人が多く暴れている場所は陽炎を探すために行かせていた狼達に与える命令を変更して探し出した。

 

「それじゃあ巨人狩りといきますか」




ちなみに、サブタイトルのやらかしたお前たちというのは、
1.気持ち悪い光景を作り出した駄神
2.祭りを荒らしてフルボッコが確定した巨人
3.迷子になったロリ
この三つが含まれています。

今回も読んでいただきありがとうごさいました。
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