問題児たちが異世界から来るそうですよ?~箱庭に訪れる冬~ 作:bliz
とりあえずこのペースを目標にやっていきたいです(実現するとは言ってない)
それでは、本編をどうぞ!
「かなりギリギリだな……崩れる前にやったほうがいいな」
「なら早くやったほうがよさそうね。よく見ると追加が来てるし」
地上に上がって状況を確認してみると、巨人族の襲撃を龍角を持つ鷲獅子が何とか数の優位を使って押さえ込んでいるという感じだ。それでも、どこか一ヶ所でも崩れてしまえばすぐにそこから崩壊してしまいそうだ。
その上、巨人族の数は未だに増え続けているので崩れるのも時間の問題だ。
「となると……増援を潰すのと、ある程度巨人族を押し戻すのとに分かれた方がいいか」
「私は乱戦の方に行くよ~」
「確かに、楓のギフトならあっちに行った方が有効だな。俺は増援を潰すけど、玲華は?」
「あたしも増援潰しに行く。あのサイズ相手にしようとすると乱戦だと味方巻き込みそうだもん。というか吹雪、あのサイズ相手にできるの?」
「その辺は問題ない。というかお前あのサイズ相手に出来るようになってたのか」
「流石に箱庭みたいな異世界に来てないと無理だけどね。元の世界だと無理だもん」
「そりゃそうか。んじゃ、行きますか。楓には後何匹か預けとくから上手く使ってくれ」
「は~い」
そうして俺と玲華は巨人たちの増援を潰しに、楓は巨人と戦っている味方の援護に動き出す。
しばらく行くと、今既に攻めてきている巨人と増援に来ている巨人の間を見つけ、俺と玲華はそこに降りる。
「それで、どうするの?この数を押さえるとなるとちょっとめんどくさそうなんだけど」
「一応考えてはある。なあ、流石に今攻めてきてるやつらの中に翔べるやつはいないよな?」
「流石にいないでしょ。というか、やることだいたいわかったんだけど。動けなくする気でしょ?」
俺の質問にこの後何が起こるのかをだいたい察したらしい玲華。長い付き合いだからやることが読めるのはわかるとしても、相変わらずお前はみたいな顔でこっちを見るなよ。
「とりあえず、全員倒れてろ」
俺は巨人達の足元を一気に凍らせる。突然のことに気がつかず、次々と巨人達が足を滑らせ倒れていく。手に持っている剣や槍を地面に突き立て倒れないようにするための支えにしようとするやつが出てくるが時既に遅し。倒れる他の巨人に巻き込まれ倒れていく。
「わかってはいたけど、凄い光景ね。巨人のドミノって。で、あたしの出番は?」
「ボコりたいんだろ?わかってるよ、俺の準備が終わるまで自由にやってていいから」
「えー、それだけ?どうせすぐに終わるでしょ?」
「……はぁ、わかったよ。ある程度なら気がすむまでは待っててやるから。気がすんだら戻せよ?確実に巻き込むから」
「やった!」
さっきまでは不満そうだった玲華だが、好きにしていいと言った瞬間嬉しいという表情を全面に押し出す。
「どう殺ろうかなー…………よし、焼いちゃおう。ということで、よろしくね。フーちゃん!フッくん!」
玲華は本を取りだし、それを開くと名前を呼ぶ。それに応えるかのように今まで何もいなかった場所に二羽の巨大な鳥が現れる。片方は赤い体で炎を纏い、もう片方は金色の体で鷲の姿をしている。
「お前、まだそれ使ってたのか」
「なしでも出来るけどね。ずっとこれでやってたから楽だし。楓もまだ持ってるよ」
「それじゃあ、今呼び出したのを紹介してもらおうか」
「えっとね、赤い方がフェニックスのフーちゃんで、金色の方はフレズベルクのフッくん」
「お前は相変わらず……」
「何よ!」
俺が呆れているのは玲華のネーミングセンスに対してだ。おそらく名前の付け方はふで始まるからだろう。
「いや、お前は平常運転だなあと。まさか、こっちに来て変わったのが呼び出せる種類が増えたってだけじゃないよな?」
「もちろんよ。そっちこそ進歩してるんでしょうね?」
「当たり前だ。これから見せてやるよ」
玲華のギフト、春の体現者は仲良くなった生き物を召喚するというなんというか玲華らしいギフトだ。昔は見たくなったときに犬や猫を召喚するぐらいにしか使ってなかった。
ちなみに、玲華が手に持っている本は昔ギフトを手に入れてすぐの頃、読んでいた絵本に本を手に持って動物を召喚する人がいたので、それを真似た結果だ。前は本がないと召喚できなかったが今は大丈夫らしい。
「吹雪、下の凍ってるやつ溶かして」
「お前、何言ってんだ?」
「だって下燃えないんだもん!直接焼くより一気にやった方が気持ちいいでしょ!」
「お前な……それならちゃんと足止めしろよ?」
「もちろん!」
どうやら玲華は俺と話している間に地面に生えている植物に火をつけてそれに風を送り込んで一気に燃やそうとしていたらしい。しかし、俺が凍らせていたせいで上手くいかずさっきの考えに至ったようだ。
「ほら、溶かしたぞ」
「フーちゃん!フッくん!やっちゃって!」
玲華の指示?の通り、地面に生えている植物に火がつき、それが送り込まれた風によって更に強くなり巨人達にダメージを与えていく。
「ほんと、なんでそんな指示でどうにかなるんだよ」
「皆と仲良しだから大丈夫なの!」
「で、いつになったら気が済むんだ?」
「もういいよ、燃やしたらスッキリした」
「それじゃあ戻してやってくれ。巻き込まないようにするのは難しいし」
「フーちゃん、フッくん、ありがとね。お疲れ様」
玲華がそう言うと二羽は姿を消す。それと同時に俺は地面を凍らせ、再び巨人達を転倒させる。
「それじゃあ、こっちも遠慮なくいかせてもらいますか。
俺はさっきから用意していた氷を大量に落下させる。今までは相手の数や場所の都合もあっていくつか落とすだけだったが、今回は相手の数も多く、広い場所にいるので全く自重せず氷塊や槍、剣などを片っ端から落下させている。
「あんたもほんと変わらないわよね」
「お前に言われたくねーよ。お子様のくせに」
「お子様って言うな!」
そう言いながら地団駄を踏む玲華。変わらないのはお互い様らしい。
「で、完全に倒れたわけじゃなさそうなんだけど?」
気分を落ち着けた玲華は改めて戦場を見て巨人が全滅していないことに気がつく。
「あれだけで終わるとでも?まだやることは残ってるから大丈夫だ」
俺は次の手である手榴弾を準備する。と言っても、巨人にダメージを与えることができそうなサイズにした結果手榴弾と呼べるようなサイズじやなくなってしまったが。
「あ、俺から離れるなよ?危ないから」
「爆風ぐらいなら大丈夫だけど?」
「今回のはちょっと違うからな。いいから俺の近くに来とけ」
玲華の考えとしては爆風を風で相殺しようというところだろう。しかし、今回はいつもとは違うものを用意した。
「それじゃあ、くらえ!!」
俺は集団の中に用意したいくつかの爆弾を起爆する。いつものは爆風と炎で相手を攻撃するのだが、今回は爆発の威力を抑えその代わりに爆弾の外側を覆っている氷を飛ばしてそれでダメージを与える。
普段使っていない理由としては俺にも破片の制御ができないので味方を巻き込む可能性が高いからだ。
「これだけやっといたら大丈夫だろ」
「向こうは地獄絵図みたいになってるけどね」
巨人達を見てみると、最初の玲華の炎によって焼かれた者や、俺の全く自重しない攻撃によって潰された者など……うん、これ以上はやめとこう。
「増援はもういなさそうだし、戻るか?」
「そうだね、それじゃあ戻……うわっ!!」
戻ろうとした矢先、少し遠くからかなり大きな音が聞こえた。それに驚いた玲華は変な声を出しながら俺に飛びついてくる。
「お前な、大きい音ぐらいさっきの爆発でもしただろ。なんで今回だけ驚くんだよ」
「うぅ、仕方ないでしょ……さっきのは急だったんだから」
「わかったから、早く離れろよ」
「わかってるわよ。というか、さっきの方向って」
「……乱戦してるほうだな。音の犯人にも心当たりがあるけどな」
「……あたしも。合ってたらとっちめてやるんだから」
~~~~~
少し時間は遡り、玲華達と別れた楓は幻獣と巨人が戦っている場所にやって来た。空から戦況を眺めて自分がどう行動するのかを考える。
「どうしようかな~…………とりあえず回復だね~」
少しだけ悩んだ後、楓はギフトカードから杖を取り出す。
「いっくよ~、
楓がギフトを発動させると、巨人と戦っている幻獣の傷が次々と治っていく。幻獣達は急に自らの傷が治ったことに驚きながらも、果敢に巨人に向かっていく。楓の回復によって少しは戦線が持ち直したがそれでも危ういことに変わりはない。
「次は相手の数を減らそうかな~。
楓が手に持っていた杖を振ると急に巨人達が味方同士で争い始める。楓がやったのは巨人に幻覚をかけ、巨人を敵として認識させたのだ。相手を倒すために同士討ちを選ぶあたり、誰の影響を受けているのかがよくわかる。
「後は自分で減らしていけばいいよね~。誰かと合流した方がよさそうだけど~」
誰かと合流しようと動き始めた楓は巨人が集団で争っているところを見つけてはそこに巨大な火の玉を空中から落としていく。それでも倒れない相手には風の刃をぶつけることで倒していく。
少しすると戦場全体に霧が立ち込み始め、すぐに周囲のものが何も見えなくなる。
「どうしようかな~?」
楓は焦った様子を全く見せず落ち着いた様子で、というよりもいつも通りのんびりと考える。その時、楓から少し離れたところで霧がなくなり始める。風を感じた楓は何が起こっているのかを理解し、自分も同じことをすることにする。
「吹き飛ばせばいいんだね~。思いっきりいくよ~」
全力とまではいかないがある程度の力を込めて風を起こした結果、周囲の霧がなくなっていく。
そしてさっき風が起こった辺りに誰かがいることに気がつく。
「とりあえずあっち行ってみようかな~」
楓が動き出そうとしたその時、そのすぐそばを何かが通り抜けていく。
「は~い」
その瞬間に聞こえた言葉を疑うことなく楓はそれを実行するために動く。さっき見つけた人影を目指しながら下にいる巨人達を一ヶ所に集めていく。その方法とはある一点を中心としてそこに巨人が引き寄せられるように強力な重力をかけ、逆にその近くにいる幻獣にはそこから離れるように重力をかけるというものだ。
「あ、耀ちゃんだ~」
楓はかなり近くまで来たことでさっき見えていた人影が耀であることを認識する。耀も近づいてきている相手が誰なのかがわかり、楓の方に向かって動く。
「久しぶり~」
「そうだけど、そんなにのんびりしてて大丈夫なの?」
「大丈夫だよ~。それに~、もうすぐ終わるよ~」
「え?」
こんな状況にも関わらずマイペースな楓の様子に耀は驚くが、質問の返答によって更に驚く。
「そろそろかな~。
「それってどういう……」
楓からの指示を不可解に思いながらも耀はとりあえずそれに従う。その瞬間、楓が巨人達を集めていた場所に巨大な雷が落ちた。
「うわっ!!」
たとえ耳を塞いでいたとしても耀の聴力は普通の人間よりもかなりいいので大きな音が聞こえたことに変わりはなく、急にそんなものが聞こえれば驚くのは当然だ。
耳を塞ぐことができた耀はマシな方で、雷が落ちた場所の近くではたくさんの幻獣が気を失ったり、フラフラになったりしている。
「今のは楓が?」
「違うよ~。仕込みはしたけどね~」
「そうなんだ。そう言えば吹雪知らない?」
「お姉ちゃんと一緒だよ~。増援潰すって言ってたよ~」
「なんか吹雪らしいね。それで、これからどうするの?」
「特に決めてないよ~。とりあえず耀ちゃんと一緒に動こうかな~」
「それじゃあとりあえず降りよっか」
地面に降りた二人は耀が少し先導する形で歩いていた。耀の目的は飛鳥と合流することだ。
少しして、二人の視界に人影が見えてくる。
「赤い服だし、たぶん飛鳥だね。隣は誰だろう?」
「どんな人~?」
「えっとね、黒いローブみたいなのを着ててよくわからないけどオレンジ色が見えるよ」
「たぶん私の知り合いだよ~」
「そうなんだ。……あれ?飛鳥が急に慌て出したけどどうしたんだろ?楓、急いであっち行ってもいい?」
「私も行くよ~」
今まで普通に立っていた飛鳥が急に慌て始めたことに耀が疑問を浮かべ、二人は飛鳥のいる場所に急いで向かう。そこにいたのはさっき言っていた通り飛鳥と、耀にとっては初対面であり、楓やここにいない吹雪や玲華にとっては馴染み深い人物だった。
「お、楓じゃねーか。別れて以来だな。あいつらは?」
「その内来ると思うよ~」
「楓、その人は?」
「初めましてだな。俺は
「よろし……え?何するつ」
耀が自分の目に飛び込んで来た光景に驚き、状況を把握しようとしている間に陽炎が吹き飛ばされた。
~~~~~
巨人の蹂躙を終えた俺と玲華は楓が向かった場所を目指していた。ちなみに、玲華は俺が出した狼に乗っている。帰りぐらい自分で呼び出して乗れよと言ったが、めんどくさいの一言で片付けられた。
「で、あいつがいたらどうする?」
「吹っ飛ばす!さっきの恨みをはらしてやるんだから!」
「やるならちゃんとやれよ?避けられるとかなしだからな」
「わかってるわよ」
そうこうしている内に乱戦が起こっていた場所に辿り着く。様子を見てみると、お互いを刺して倒れている巨人達がいたが、それ以上に気になったのは一ヶ所に集まって大量に死んでいる巨人達がいたことだ。
「あれ焦げてるよな。さっきの音のことを考えたら当たりでいいんじゃないか?」
「そうね。つまり、吹っ飛ばせるってことでしょ」
それから少しして人が四人集まっているのを見つける。わかりやすい特徴として赤い服、緑色の髪、そしてオレンジ色の髪が見える。
「おい、あれじゃな……もういないのかよ」
俺は玲華の方に振り返るが既にそこに玲華の姿はなく、視線をさっき見ていたところに戻すとそこに向かっているのが見える。
「……はぁ、とりあえず俺も急ぐか」
俺は狼に指示を出し玲華を追いかける。追いついた頃には既に玲華は目標を達成していた。その場には耀と飛鳥、楓がいたが耀は急な出来事についていけていない様子で、飛鳥にいたってはなぜか顔が真っ赤だ。
「吹雪、私今の状況がよくわからないんだけど。……吹雪?」
「……あ、悪い。ちょっと考え事してた。さっき吹っ飛んだのは気にしなくていいから。人違いじゃなければだけどな」
耀の顔を見て巨人を潰す前に玲華と話していたことを思い出し、少しボーッとしていたのを耀に心配されてしまう。玲華め、ほんとに恨むぞ。
「大丈夫だよ~」
「ならいいか」
「ほんとに大丈夫なの?」
「いつものことだから問題ない」
「じゃあさっき飛んでったのは……」
俺のいつものことというのを聞いて耀はさっきのが俺とどういう関係なのかわかったみたいだ。
「その通り。あれが
「それは私も知らない。聞こうとしたら玲華が……」
「それなら本人に聞くか」
「それは俺が話してやる」
「いつの間に帰ってきたんだお前は……というか、別にお前じゃなくていいから」
「そう言うなって」
いつの間にか帰ってきていた陽炎にはそこまで触れないが、本人が話したくて仕方ないという表情をしているので視線でそれを促す。
「聞いて驚くなよ。それはな………………………………」
「溜めすぎだアホ。とっとと言え」
「わかったわかった。だから剣をしまえって。えっとだな、俺が告白した」
「「「……え?」」」
俺、耀、玲華の声が重なる。流石に急にそんなことを言われたらこんな反応になると思う。
ついでに言えば、とりあえず蹴飛ばした俺は悪くないと思う。
ようやく最後の幼馴染みが登場しました。他の二人みたいに何か特徴を、とか考えましたがこうなりました。最初はこんなオチの予定じゃなかったのに……
楓と陽炎のギフト詳細は次回になると思います。
今回も読んでいただきありがとうございました。